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2020年1月11日 (土曜日)

デックスの「充実のお蔵入り盤」

1979年、UA社のレコード部門をEMIが買収したのを好機と捉え、音源発掘男マイケル・カスクーナはキャピトルと談判、ブルーノートの未発表音源を発掘した。「Blue Note Classic LT series」である。1979年から1981年の間にLP40数タイトルが発表されたのだが、その時のジャケットの左上の虹入りの斜め線のイメージから「レインボー・シリーズ」とも呼ばれる。

今回は、Dexter Gordon『Clubhouse』(写真左)。1965年5月27日の録音。ブルーノートのLT-989番。ちなみにパーソネルは、Dexter Gordon (ts), Freddie Hubbard (tp), Barry Harris (p), Bob Cranshaw, Ben Tucker (b), Billy Higgins (ds)。ベースのみが2人のベーシストで役割分担しているが、フロントがテナーとトランペットのクインテット構成。

1960年代のデックス(Dexter Gordonの愛称)のリーダー作には駄作が無い。 1950年代は麻薬禍のため活動が低迷、大部分の期間を麻薬更生施設で過ごしたが、1960年代初頭から渡欧、フランスやデンマークを拠点に活動し、カムバックを果たす。このカムバック後のデックスはとても充実している。もともとジャズ演奏のトレンドを追いかけること無く、自らのスタイルを貫くタイプなので、演奏内容にブレが無い。
 
 
Clubhouse  
 
 
この『Clubhouse』も内容的には充実している。1965年の録音なので、トランペットのハバードは「天狗状態」で目立ちたがり。とにかく優秀なテクニックに任せて、五月蠅いくらいに吹きまくるのが耳につくところが玉に瑕だが、それ以外は、グループサウンドとしてバランスが取れていて、上質のハードバップ盤として仕上がっている。

デックスのテナーは申し分無い。豪放にてジェントル、歌心豊かな朗々としたプレイが身上。自作曲4曲、スタンダード2曲だが、特に自作曲は躍動感溢れ、明朗なテナーを吹く傾向があって、これがまた聴きどころとなっている。鼻歌を唄うようにテナーを吹き上げるデックス。こんなに内容充実の音源が、録音当時はお蔵入りとは。逆に、マイケル・カスクーナがよく発掘しリリースしてくれたと思う。

今の耳で聴き直してみると、完璧な内容の「ハードバップ」。1965年は新主流派(モード・ジャズ)の時代。内容が時代にちょっと合わなかったか、というのと、他のデックスのリーダー作が同様に内容充実しているので、当時、ブルーノートの総帥ライオンは「類似」を避けたのかも知れない。避けている内にその存在を忘れたのではないか、と想像している。とにかく「お蔵入り音源」とは思えない内容である。
 
 
 
東日本大震災から8年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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