ディー・ディーのソウルフルな好盤
僕はジャズ・ボーカルに疎い。ジャズを聴き始めた時、ジャズはインストルメンタルに限ると思った。なぜなら、男性ボーカルにせよ、女性ボーカルにせよ、70年代ロック&ポップスにも、優れたボーカリストが多々存在していた。何も、ジャズでボーカルを聴かなくても、70年代ロック&ポップスの世界のボーカルで、十分に満足出来る。よって、20世紀中は、ジャズ・ボーカルはほとんど聴かなかった。
ジャズ・ボーカルを聴き始めたのは、21世紀に入ってからである。それも、正統なオーソドックスなジャズ・ボーカルは基本的に苦手で、フュージョン・ジャズ系のボーカル、特にジャズとR&Bとか、ジャズとボサノバとかの融合(フュージョン)の範疇でのボーカル盤がお気に入りになった。硬派なジャズ・ボーカル者の方々からすると、完全に「異端」な聴き方である。申し訳ない。
『Dee Dee Bridgewater (1976 album)』(写真左)。1976年の作品。米国はメンフィス出身のコンテンポラリーな女性ジャズ・ボーカリストである、Dee Dee Bridgewater(ディー・ディー・ブリッジウォーター、以降「ディーディー」)の2nd.盤。バックバンドには、フュージョン・ジャズ畑の名うての猛者どもが、ずらりと控えている。そう、この女性ボーカル盤、僕の大好きな「フュージョン・ジャズ系のボーカル」である。
冒頭から躍動感溢れるディスコ系のリズムに乗った「My Prayer」で一発、かまされます。3曲目の「It Ain't Easy」アラン・トゥーサンの作品。Muscle Shoals Sound Studios(アラバマ州)での録音で、米国南部の雰囲気がプンプン漂います。7曲目の「Every Man Wants Another Man's Woman」も南部録音で、アーシーな雰囲気濃厚。この南部録音の曲でのディーディーの歌唱は実にソウルフル。
一方、L.A.録音の曲も聴きどころ満載で、フュージョン・ジャズ畑の名うての猛者ども、セッション・ギタリストでも超一流のワー・ワー・ワトソン、レイ・パーカーJr、デビッド・T・ウォーカーが大活躍。西海岸フュージョン・ジャズの洒脱で小粋で適度にラフな雰囲気が堪らない。当時流行のAOR風のソウルフルなディーディーの歌唱が格好良い。
実は、この盤、ジャズを聴き始めた頃、1980年に聴いている。その頃から、この盤の持つ「フュージョン・ジャズ系のボーカル」の雰囲気がお気に入り。ジャンルレスな、ジャジーでソウルフルな正統派ボーカル。彼女のボーカルは、説得力があって心に響く様な、今で言う「スピリチュアル・ジャズ」な要素が魅力。この盤でのディーディーは、「フュージョン・ジャズ系のボーカル」の中でも、ジャズとR&Bの融合の範疇のボーカルで、僕にとっては殊の外、お気に入りである。
東日本大震災から8年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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