やっと日本人男子が出てきた。
気がつけば、ジャズライフ・ディスク・グランプリ「2019年度ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」が発表されている。ジャズライフ執筆陣による年間ベスト・アルバムの各々のランキングも併せて発表されており、ジャズ盤蒐集〜鑑賞の「ここ一年間の振り返り」に格好の記事である。
紹介されているアルバムそれぞれを見れば、意外と我がブログに何らかの形でご紹介しているものが結構あって、まずまず「良い耳」をしていたということで、我が耳にちょっとホッとした。そして、今回のグランプリでは、日本人男子の台頭があって、やっと日本人男子の若手ジャズマンが出てきたか、と嬉しく思う。ここ10年〜15年は、日本人女子の独壇場だったからなあ。
『THINKKAISM』(写真左)。2019年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、松丸契 (as, ss), 金澤英明 (b), 石井彰 (p), 石若駿 (ds), 高橋直希 (ds)。タイトルの「THINKKAISM」はグループ名でもある。アルト・サックス奏者の松丸契(まつまる・けい)がリーダー。パーソネルを見渡すとドラマーが二人居るが、ここでは「ツイン・ドラムス」である。思わず「楽しみ」である。
このリーダーのアルト・サックス奏者、相当に「尖っている」。フリーなブロウ・スタイルではあるが、ルールの中で最大の自由度を醸し出すブロウで、演奏の雰囲気は「スピリチュアル・ジャズ」。日本人ジャズらしく、ファンクネスが乾いて希薄なので、メカニカルでクールなスピリチュアル・ジャズが成立している。独特の「スピリチュアル・ジャズ」な雰囲気で、深化した響き満載である。
トリオ・ユニット「BOYS」として自由度の高いインプロビゼーションが身上の金澤英明・石井彰・石若駿のリズム・セクションをメインに、現役高校生・高橋直希がドラマーとして参加し、ツイン・ドラムスを実現。ピアノは自由度高く乱舞し、アコベはブンブン唸り、ツイン・ドラムスは迫力と切れ味満点。リズム・セクション単体でも独特な「自由感」が良い感じである。
そこに独特な様々な切り口から、スピリチュアルなアルト・サックスが絡んで乱入して、最低限の秩序の中で、自由にフリーに、タメながら、スピリチュアルに吹きまくる。1995年千葉県生まれ、パプアニューギニア育ち、バークリー首席卒業という異色の経歴をもつサックス奏者・松丸契。既に次のリーダー盤が楽しみである。
東日本大震災から8年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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