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2019年12月 6日 (金曜日)

大江千里『Hmmm』は愛らしい

大江千里と言えば、1980年代から90年代にかけて、Jポップの人気シンガー・ソングライターで名を馳せた逸材である。ポップでお洒落な、和製AORな音作りで一世を風靡した。そんな大江千里が、50歳を目前にした2008年、日本国内での自身の音楽活動を休業し、ニューヨークに在住。2012年にはジャズ・ピアニストとしてのデビューを果たしたのである。

これにはビックリした。まず、そんなに簡単に、プロのジャズ・ピアニストになれる筈が無い。 明らかに無謀だ、と思った。確かにピアノは上手かった。それでも、途中から我流のピアノ。50歳を目前にして、ジャズ・ピアニストを目指すなんて、とハラハラして見守った。ジャズのデビュー盤『Boys Mature Slow』からハラハラしながら、ずっとリーダー作を聴いてきた。

大江 千里『Hmmm』(写真左)。ジャズ・ピアニスト転身後6枚目となるオリジナル・アルバムになる。今年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Senri Oe (p), Ari Hoenig (ds), Matt Clohesy (b)。NYでも屈指の名ドラマー、アリ・ホーニグにオーストラリア出身でNYで活躍するベーシスト、マット・クロージーを迎えたトリオ編成。
 
 
Hmmm-ohe
 
 
聴いてみてまず一言で言うと「良いアルバム」である。そして「個性的」なアルバムである。大江千里とは意外と「曲者」である。ジャズ・ピアニストとして一筋縄ではいかない、戦略的に「独特の個性」を演出している。過去のジャズ・ピアニストの一流どころを研究はしているものの、全くフォローをしていない。過去のジャズ・ピアノをフォローせずして、独特の個性を表出する。

これが成立するんだからジャズは面白い。とにかくそれぞれの楽曲のテーマ部の旋律が心地良く、アドリブの展開は流麗で愛らしい。こういう心地良く愛らしい、ジャズ・ピアノのフレーズや展開を僕はあまり聴いた事がない。この大江千里の『Hmmm』を聴いて、ちょっとビックリした。こういう志向がまだジャズ・ピアノに残っていたんやなあ。

この新盤、大江千里のJポップ時代に培った「流麗で愛らしいポップな感覚」とコンテンポラリーな純ジャズが見事に融合した、アーバンで小粋で、心地良く洒落た音世界を聴かせてくれる素晴らしい「仕業」である。僕はこの新盤に大江千里の「戦略性」を垣間見た気がしている。大江千里というジャズ・ピアニストは良い意味で「したたか」である。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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