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2019年12月28日 (土曜日)

西海岸のコーラス&トロンボーン

1950年代の米国西海岸ジャズはアレンジが優れていて、東海岸に比べてお洒落なアルバムが多い。つまりは、ファンに「聴かせる」「聴いてもらおう」という気持ちが強く出ている。いわゆる「ジャズに対する考え方」というのが、西海岸については「人に聴かせる、人に聴いてもらう」というスタンスなのだ。

『Four Freshmen and 5 Trombones』(写真左)。1955年の作品。ちなみにパーソネルは、Don Barbour, Ross Barbour, Bob Flanigan, Ken Errair (vo), ここまでが「The Four Freshmen」。Frank Rosolino, Harry Betts, Milt Bernhart, Tommy Pederson, George Roberts (tb), ここまでが「5 Trombones」。バックのリズム・セクションが、Claude Williamson (p), Barney Kessel (g), Joe Mondragon (b), Shelly Manne (ds)。

パーソネルを見れば、これは好盤だな、と直感的に思う。タイトル通り、「The Four Freshmen」の見事なコーラス。「5 Trombones」の見事なユニゾン&ハーモニー。そして、バックのリズム・セクションが、これまた、米国西海岸ジャズを代表するミュージシャンが集結している。そして、「The Four Freshmen」と「5 Trombones」とが有機的に「音の化学反応」を起こすよう、2者のユニゾン&ハーモニーを中心に、優れたアレンジが施されている。
 
 
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「フォー・フレッシュメン」のコーラスは、明らかに米国西海岸を彷彿とさせる。これは、フォー・フレッシュメンのコーラスをチャック・ベリーのリズムに乗せた音楽と紹介される「ビーチ・ボーイズ」の影響だろう。ビーチ・ボーイズのコーラスは、フォー・フレッシュメンのコーラスを参考にしており、西海岸のコーラスといえば、ビーチ・ボーイズ=フォー・フレッシュメンになるのだ。

トロンボーンという楽器の音が人間の声に似た音が出せるということで、実際の人間のコーラスとの相性は良い。この盤は、その「説」が正しいことを証明してくれる。人のコーラスとトロンボーンのユニゾン&ハーモニーがこんなにも相性が良いなんて「目から鱗」である。選曲はふた昔前、20~40年代のスタンダード曲を選んでいるが、耳慣れたスタンダード曲をメインにした演奏が故に、トロンボーンと肉声のユニゾン&ハーモニーの相性の良さが更に映える。

どの演奏も尖ったところはない。穏やかで流麗である。これが若い頃は「不満」だった。しかし、よくよく聴けば判るのだが、適度な緊張感と切れ味の良いスリルをビンビンに感じる。アレンジ良好の、お洒落な西海岸ジャズの代表的サンプルの一枚である。西海岸を彷彿とさせる「フォー・フレッシュメン」と「ファイブ・トロンボーン」の音世界は耳に馴染み、聴く耳に優しい。
 
 
 
東日本大震災から8年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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