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2019年12月の記事

2019年12月31日 (火曜日)

今年もありがとうございました

大晦日です。今年もジャズを、70年代ロックを、70年代Jポップを聴き直してきました。また、まだ聴いたことのない、新盤やリイシュー盤も聴いてきました。音楽って素晴らしいですね。そして、聴いていて楽しい。
   
来年もよろしくお願いします。
 
 
 
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東日本大震災から8年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年12月29日 (日曜日)

邦題『昼と夜のバド・シャンク』

さて、年の暮れである。今年もあと2日を残すのみ。当ブログ「ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログ」も今年の最後のアップになる。明日から1月2日まで、記事のアップはお休み。年末年始のご挨拶のみをアップする予定。今年も我がブログをご愛顧いただき、ありがとうございました。uu: も1,000を超える様になり、記事を書く励みになりました。ありがたいことです。

今年は米国西海岸ジャズのアルバムを結構、しっかり聴き込んで来たのではないか、と思っている。今年の「ジャズ鑑賞」の最大の成果は、この米国西海岸ジャズのアルバム・コレクションの見直しと聴き直しであろう。米国西海岸ジャズの主なアルバムを100枚程度、聴き込むことによって、米国西海岸ジャズの個性や特徴を再認識した。聴いた事の無いアルバムも多く発掘した。実りある一年であった。

さて、今日はこのアルバムである。『Bud Shank-Shorty Rogers-Bill Perkins』(写真)。邦題が『昼と夜のバド・シャンク』。1954〜55年の録音。LP時代、LPのA面が「デイ・サイド」、B面が「ナイト・サイド」。パーソネルについては、Bud Shank (as, fl, ts, bs)は「昼夜両方」に出演。デイ・サイドについては、Shorty Rogers (Flh), Jimmy Rowles (p), Harry Babasin (b), Roy Harte (ds)。ナイト・サイドについては、Bill Perkins (as, ts, fl), Hampton Hawes (p), Red Mitchell (b), Mel Lewis (ds)。
 

Bud-shankshorty-rogersbill-perkins

 
米国西海岸ジャズにおける人気アルト・サックス奏者、バド・シャンクの傑作である。昼は、フリューゲルホーンのショーティ・ロジャースとの双頭フロントにしたクインテット編成、夜は、シャンクと同じサックスを担当するビル・パーキンスを双頭フロントとしたクインテットによる編成。米国西海岸ジャズを代表するピアニスト二人がそれぞれ担当するリズム・セクションに鼓舞されて、シャンクが吹きまくる。

バド・シャンクはアルト・サックスがメインだが、テナーもバリトンも出来る。サックス奏者の「ポピュラーな余芸」とされるフルートも良い。この『昼と夜のバド・シャンク』では、シャンクの演奏する楽器の全てが網羅されている。そういう意味でも、この盤は、サックス奏者「バド・シャンク」を知る上で、最適のリーダー作だと言えるだろう。確かに、「デイ・サイド」部分でも「ナイト・サイド」部分でも、バド・シャンクは好調である。

バックの2種類のリズム・セクションも好調で甲乙付けがたい。ちなみにこの盤、LP時のジャケットが粋。表面が日中の景色で、6曲目までの演奏メンバーと曲が書かれており(写真左)、裏面は同じ景色の夜の風景で、7曲目からのメンバーと曲が書かれている(写真右)。ネットや雑誌の紹介記事にはジャケットの表面しか出てこないので、「あれ? ビル・パーキンスは何処いった」となるんだが、実は裏面にいるんですね。
 
 
 
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2019年12月28日 (土曜日)

西海岸のコーラス&トロンボーン

1950年代の米国西海岸ジャズはアレンジが優れていて、東海岸に比べてお洒落なアルバムが多い。つまりは、ファンに「聴かせる」「聴いてもらおう」という気持ちが強く出ている。いわゆる「ジャズに対する考え方」というのが、西海岸については「人に聴かせる、人に聴いてもらう」というスタンスなのだ。

『Four Freshmen and 5 Trombones』(写真左)。1955年の作品。ちなみにパーソネルは、Don Barbour, Ross Barbour, Bob Flanigan, Ken Errair (vo), ここまでが「The Four Freshmen」。Frank Rosolino, Harry Betts, Milt Bernhart, Tommy Pederson, George Roberts (tb), ここまでが「5 Trombones」。バックのリズム・セクションが、Claude Williamson (p), Barney Kessel (g), Joe Mondragon (b), Shelly Manne (ds)。

パーソネルを見れば、これは好盤だな、と直感的に思う。タイトル通り、「The Four Freshmen」の見事なコーラス。「5 Trombones」の見事なユニゾン&ハーモニー。そして、バックのリズム・セクションが、これまた、米国西海岸ジャズを代表するミュージシャンが集結している。そして、「The Four Freshmen」と「5 Trombones」とが有機的に「音の化学反応」を起こすよう、2者のユニゾン&ハーモニーを中心に、優れたアレンジが施されている。
 
 
4-freshmen-and-5-trombones  
 
 
「フォー・フレッシュメン」のコーラスは、明らかに米国西海岸を彷彿とさせる。これは、フォー・フレッシュメンのコーラスをチャック・ベリーのリズムに乗せた音楽と紹介される「ビーチ・ボーイズ」の影響だろう。ビーチ・ボーイズのコーラスは、フォー・フレッシュメンのコーラスを参考にしており、西海岸のコーラスといえば、ビーチ・ボーイズ=フォー・フレッシュメンになるのだ。

トロンボーンという楽器の音が人間の声に似た音が出せるということで、実際の人間のコーラスとの相性は良い。この盤は、その「説」が正しいことを証明してくれる。人のコーラスとトロンボーンのユニゾン&ハーモニーがこんなにも相性が良いなんて「目から鱗」である。選曲はふた昔前、20~40年代のスタンダード曲を選んでいるが、耳慣れたスタンダード曲をメインにした演奏が故に、トロンボーンと肉声のユニゾン&ハーモニーの相性の良さが更に映える。

どの演奏も尖ったところはない。穏やかで流麗である。これが若い頃は「不満」だった。しかし、よくよく聴けば判るのだが、適度な緊張感と切れ味の良いスリルをビンビンに感じる。アレンジ良好の、お洒落な西海岸ジャズの代表的サンプルの一枚である。西海岸を彷彿とさせる「フォー・フレッシュメン」と「ファイブ・トロンボーン」の音世界は耳に馴染み、聴く耳に優しい。
 
 
 
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2019年12月27日 (金曜日)

ユニークなピアノレス・トリオ

シリアスに聴き込む様なメインストリーム・ジャズについては、毎年、コンスタントにリリースされし続けていて、喜ばしい限りである。今年も様々なフォーマットで、様々なメンバー構成で「聴き込むメインストリーム・ジャズ」な盤がリリースされた。そして、年の暮れである。この年の暮れに良い盤に巡り会った。

Zakir Hussain & Chris Potter Dave Holland『Good Hope』(写真左)。2018年9月21ー22日、NYのSear Sound, NYCでの録音。ちなみにパーソネルは、Dave Holland (b), Zakir Hussain(tabla), Chris Potter (sax)。当初は地味なジャケットなので触手が伸びなかったのだが、レジェンド級のベーシスト、デイヴ・ホランドのリーダー作と言うことで、気を取り直してゲットした。

クリス・ポッターがサックス1本でフロントに立つトリオ構成。見渡したらピアノが無い。そして、ドラムも無い。ドラムの代わりに「タブラ」が入っている。「タブラ」とは、北インドの太鼓の一種。指を駆使し複雑で多彩な表現が可能な打楽器で、叩くの当然、ピューンと引っ張った様な音も出せるのがユニーク。この「タブラ」をドラムの代わりに採用している。
 
  
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この「タブラ」の採用が大正解なのだ。ベーシストがリーダーの盤にはドラムはちょっと邪魔。ベーシストのソロ・パートのバックでドンスカやられたら、大人しくシンバルでリズムを刻まれても、ベース・ソロの微妙なニュアンスがかき消されてしまう。コンガやボンゴでも、音がまずまず大きい打楽器なので同様の傾向になる。しかし「タブラ」は違う。音の芯はあるが音量は大きくない、というか調整が可能。

この「タブラ」のお陰で、ホランドのベース・ソロがしっかりと聴くことが出来る。しかも、タブラのエキゾティックな音が、このメインストリームなジャズにアフリカン・ネイティヴな独特の雰囲気を与えていて、今までに聴いた事の無いユニークなアドリブ展開に仕上がっている。ポッターのサックスも申し分無い。ポッターのバックでの「タブラ」は躍動感溢れ、フロントを鼓舞する勇猛な打楽器に変身している。

「タブラ」って、太鼓の張力を変えることで音程を上下させることができるので、そのソロは旋律楽器のソロに近い表現も出来るので、トリオ演奏全体の音の変化のバリエーションが豊か。基本的には静的でクールで温和なトリオ演奏。そこに「タブラ」がクールでユニークなビートを供給。ここに今までに無い、ユニークなピアノレス・トリオの演奏がある。好盤です。
 
 
 
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2019年12月26日 (木曜日)

70年代のブレイキー&スティット

1970年代は、クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズの全盛時代で、電気楽器がメインのロックとジャズの融合音楽や、ソフト&メロウな融合音楽が流行に流行った。当時はアコースティック楽器がメインの「純ジャズ」なんて過去の遺物扱いで、誰も見向きもしない様な状況だった。しかし、である。それでも「純ジャズ」の新盤はリリースされ続けていた。コアなマニアが居たんですねえ。「純ジャズ」は死なず、です。

Art Blakey & the Jazz Messengers『In Walked Sonny』(写真)。1975年5月16日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Sonny Stitt (as, ts), Art Blakey (ds), Walter Davis, Jr. (p), Bill Hardman (tp), David Schnitter (ts), Yoshio "Chin" Suzuki (b)。ゲストにソニー・スティットのテナー。ビル・ハードマンとデイビット・シュニッター、2管ジャズ・メッセンジャーズとの共演。

1970年代半ばに上質のハードバップ。そのリズム&ビートの雰囲気は往年のジャズ・メッセンジャーズそのもの。1970年代半ばのクロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズの全盛時代に、こんな上質のハードバップが新盤として録音されていたとは、ちょっとビックリした。1970年代の「純ジャズ」冷遇時代にも、ジャズ・メッセンジャーズは、こんなに格好良いハードバップをやってたんですねえ。
 

In-walked-sonny

 
よく聴けば、ジャズ・メッセンジャーズの全盛時代と比べると見劣りする部分があるかもしれない。それでも、この盤に記録されているハードバップは、十分に水準をキープした、まずまずの内容のハードバップである。そして、肝心の部分をしっかりと締め、しっかりと鼓舞しているのが、客演したソニー・スティットのアルト&テナー・サックスである。

ソニー・スティットのバップ基調の味のあるサックスが良い雰囲気だ。録音当時51歳。さすが、ビ・バップからハードバップを生き残ってきたベテランである。この盤のハイライトは、冒頭のベニー・ゴルソン作の「ブルース・マーチ」、3曲目のフレディ・ハバードの「バードライク」。ソニー・スティットのサックスがこんなにジャズ・メッセンジャーズに合うなんて。良い雰囲気のハードバップである。

ジャケット写真を見ると、ブレイキーもスティットも1970年代のファッションに身を包んでいて、なんだかジャズメンらしくないんですが、この盤に詰まっているジャズは、紛れも無い「ハードバップ」である。さすがはジャズ・メッセンジャーズ。さすがは総帥のアート・ブレイキー。1970年代のジャズ・メッセンジャーズはスランプの時代だ、と言われていますが、どうして、なかなかのハードバップやってます。
 
 
 
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2019年12月25日 (水曜日)

ラロカは「変わり種」のドラマー

ピート・ラロカ(Pete La Roca)は変わり種のドラマーである。ピート・ラロカは芸名。本名は「ピーター・シムズ(Peter Sims)」。ジャズ・ドラマーで弁護士である。1957年から1968年までは「ジャズ・ドラマー」。1968年から1979年までは法曹界に身を置いて「弁護士」。1979年からジャズ界に復帰している。この経歴だけでも「変わり種」である。

そのドラミングもちょっと風変わり。ジャズ・ドラマーでありながら、ファンキーな雰囲気は希薄。ジャズっぽくないドラミング。それでいてスイング感はあるが、そのスイング感はスクエア。幾何学模様のような、理詰めでキメたような「リズム&ビート」。このドラミングの個性って、新主流派のモーダルな展開にピッタリ。そう、ラロカのドラミングは「モーダルな」ドラミングである。

Pete La Roca『Turkish Women at the Bath』(写真左)。1967年5月25日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、John Gilmore (ts), Chick Corea (p), Walter Booker (b), Pete La Roca (ds) 。中世(?)の女風呂の絵がジャケットになっている。これだけ見れば、この盤の内容が硬派な「モード・ジャズ」、いわゆる「新主流派」の音がギッシリ詰まっているなんて思わないだろうな(笑)。
 
 
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実はこの盤を初めて聴いた時、パーソネルを確認せずに聴いた。しばらく聴いていると、その展開は「新主流派」。ばりばりのモード・ジャズである。カルテットの演奏なのも判る。そして、ピアノがどうにも、どこかで聴いた音なのだ。それもかなり聴き込んだ音。高音域を中心にモーダルな、そしてどこかスパニッシュな雰囲気が漂う硬質でメカニカルなタッチ。そう、このピアノは「チック・コリア」である。

加えて、ライトでポップな、テクニックに走らず、平易でモーダルなテナーが良い。ジョン・ギルモアである。ウォルター・ブッカーのタイトなベースも良好。そして何より、さすがリーダーだけに、ラロカのドラミングが素晴らしい。ダイナミックでドライヴィングするドラミングはあまりに個性的。スクエアなスイング感、そして、縦ノリのリズム。バップではない。モーダルなドラミング。

アルバム・タイトルの『Turkish Women at the Bath』=「トルコの女が風呂に入っている」。なんとジャズらしからぬタイトルではないか。それでも中に詰まっている音は、思いっ切り「モーダルなジャズ」。4人がそれぞれ、より自由でアグレッシヴなプレイを展開しつつ、有機的に絡んだモーダルなジャズを演出する。特にチックが良い音出してます。チック者にはマスト・アイテムですね。
 
 
 
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2019年12月24日 (火曜日)

JALCのクリスマス・ソング集

さて、クリスマス・イヴである。今年は久し振りに暖冬基調で、ちょっと暖かい日が続いていたので、クリスマスが近づいてきたという感じが希薄だった。加えて、この2〜3年前から、テレビやネットで、クリスマスについて過度に取り上げることが少なくなってきた感じで、イマイチ盛り上がりに欠ける。ジャズの世界でも、今年はあんまりクリスマス企画のアルバムはリリースされなかったのではないか。

とはいえ、クリスマスである。我がバーチャル音楽喫茶『松和』でも、クリスマス企画のアルバムを採り上げてみる。今回は「ビッグバンド」のクリスマス・ソング集である。1988年に結成され、現在も活動を続ける、ウィントン・マルサリス率いるビッグ・バンド「Jazz At Lincoln Center Orchestra(略称:JALC)」。現代のビッグバンドの中でも、恒常的に活動を続けている、かつ、メンバーは一流のジャズメンで固めた、超一流のビッグバンドである。

Jazz at Lincoln Center Orchestra with Wynton Marsalis『Big Band Holidays』(写真左)。クリスマス・ソングを中心に演奏した模様を捉えた、そんなビッグバンドの魅力的なライブ盤である。2012年12月7-8日、2013年12月12-13日のライヴ録音。リリースは2015年10月30日。ホリデー・シーズンの為の素晴らしいパフォーマンス。
 
 
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おなじみのクリスマス・ソングはもちろん、サッチモの「‘Zat You Santa Claus?」、ビリー・ホリデイの「It's Easy to Blame the Weather」、レッドベリーの「Good Morning Blues」などでは、ルネ・マリー(René Marie)やセシル・マクローリン・サルヴァント(Cécile McLorin Salvant)、という二人の優れた女性シンガーのフィーチャーが聴きどころ。

切れ味良く、ドライブ感とダイナミズム溢れるところが、このビッグバンドの個性。加えて、一流のジャズメンでメンバーを固めているので、演奏のテクニックが途方も無く高い。ミストーンなど皆無である。そんなビッグバンドがおなじみの聖夜曲をやるのだ。その出来は素晴らしいもので、聖夜曲がここまでアカデミックにかつアーティスティックに仕上げられるなんて、なんか魔法でも見ているかのようである。

ビッグバンドの素晴らしいクリスマス・ソング集。ボーカルも趣味良く収まっており、クリスマス・ソングだからといって俗っぽくならない。何故か我が国では、このジャズ・アット・リンカーン・センター・オーケストラ(JALC)はウケが悪い。何故なのか判らないんだが、このライブ盤って良い雰囲気のアルバムなので、是非とも一聴をお勧めしたいです。
 
 
 
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2019年12月23日 (月曜日)

エディ・ハリスを侮るなかれ

実は僕は「Eddie Harris(エディ・ハリス)」のテナー・サックスが好きだ。レス・マッキャンと組んだ『Swiss Movement』を聴いて、このハリスのテナーを聴いて感心した。とにかくテナーが良く鳴っている。だけど、ずっと我が国での評価は芳しくない感じがずっと続いている。純ジャズはもちろんのこと、ファンクあり、ラップあり、冗談音楽のようなアプローチもやったりするから、ジャズをシビアに捉える我が国ではまず「ウケない」。

「際物」扱いされることもしばしばである。それでも、1990年後半からの紙ジャケ・ブームに乗って、先の『Swiss Movement』などがリイシューされて喜ばしい限り。但し、先にも述べたとおり、エディ・ハリスは、器用貧乏というか、プレイヤーとしての焦点が定めにくい。よって、代表作を絞りにくい。ハリスの様々な「芸風」毎に、ハリスらしい好盤を選んだ方が良いみたいだ。

『The Electrifying Eddie Harris』(写真左)。1967年3月20日でのニューヨーク録音。ちなみにパーソネルは、Eddie Harris (ts, varitone), Jodie Christian (p), Melvin Jackson (b), Richard Smith (ds) がメイン。Melvin Lastie, Joe Newman (tp), King Curtis (ts), David Newman (ts, bs),Haywood Henry (bs), Ray Barretto, Joe Wohletz (perc) が客演している。
 

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いち早く電気サックスを取り入れたエディ・ハリスの好盤。パッキパキのファンクネス溢れるソウル・ジャズかしら、と思いきや、冒頭の「Theme in Search of a Movie」の様に映画音楽のような美しいバラードからノリのいいミディアム・テンポのナンバーまでバラエティ豊かな内容が魅力。後のフュージョン・ジャズを先取りした様な内容におもわず頬が緩む。
 
4曲目の「Sham Time」がこれまたエディ・ハリスらしい、ラテン調のソウル・ジャズ大会。とにかく楽しい音世界。ジャズって良いなあ、って思う。エディ・ハリスって、曲調毎にテナーの「芸風」を変えているのだ。素晴らしいテクニックである。しかも、テナー・サックスがとても良く鳴っている。どんな音のテナーも耳に馴染む。これって、良い楽器が良い楽器らしく「鳴らされている」からなんだよね。
 
エディ・ハリスについては、サブスク音楽サイトで、かなりの数のリーダー作がアップされている。良い時代になったもんだ。今回のエディ・ハリスとの再会を機会に、ハリスのリーダー作を一気聴きしようかと考えている。なんだかワクワクする。これだから「ジャズ盤鑑賞の旅」は止められない。暫くは「エディ・ハリスの森」を彷徨うことになりそうだ。
 
 
 
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2019年12月22日 (日曜日)

西海岸ジャズのブラウニーです

思い出した様に、最近、クリフォード・ブラウン(愛称「ブラウニー」)を聴き直している。今まで、散々聴き直したヘビロテ盤も聴き直しているが、今まで、数回しか聴いていなかった盤をメインに聴き直している。これが面白くて、以前、若い頃聴いた時の印象と全く違った印象が多々あって、以前と違って好意的な印象が多い。年齢を重ねると共に、若い頃、聴き取れなかった「何か」が聴きとれるようになったからだろうか。

Clifford Brown『Best Coast Jazz』(写真左)。1954年8月11日の録音。ブラウニーが事故によって急逝する約2年前の録音。ちなみにパーソネルは、Clifford Brown (tp), Herb Geller, Joe Maini (as), Walter Benton (ts), Kenny Drew (p), Curtis Counce (b), Max Roach (ds)。録音場所は「Capitol Studios, Los Angeles, California」とある。ブラウニーが西海岸ジャズのメンバーと録音した盤である。

ジャケット写真から感じる様に、スタジオでのジャム・セッションを一発録りで収録したもの。収録された曲も長尺の2曲のみ(LP時代のA面に1曲、B面に1曲の割り当て)。ジャム・セッションと言えば、印象的に「東海岸ジャズ」って感じがするので、若い頃、この盤に初めて出会った時、西海岸ジャズがメインのジャム;セッションか〜、なんて、あんまり気乗りがしない、ほとんど期待感無しに聴いた思い出がある。
 
 
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まず、やっぱりブラウニーのトランペットは素晴らしい。ジャム・セッションの数々のパフォーマンスの中でも突出している。暫く聴いていると「ブラウニーやな」と明確に判る、ブリリアントで躍動感溢れ、流麗かつ繊細なトランペットは明らかにブラウニーだ。ウィントンにもマイルスにも出来ない、唯一無二な「トランペットがトランペットらしく鳴る」ブラウニーのプレイに思わず耳を奪われる。

ブラウニー以外の西海岸ジャズのメンバーも健闘しています。ドラムのマックス・ローチは別格として、当時、既に人気だったケニー・ドリューのピアノ、吹き込み直前まで日本に駐屯していたウォルター・ベントンのテナー、西海岸の黒人ベーシストのカーティス・カウンスなど、西海岸ジャズの名うてのジャズマン達が気持ち良く、アドリブ・フレーズを紡いでいます。そんなに悪くないですよ、ホント。

ジャケットは白黒写真で「やっつけっぽい」感じで、なんか胡散臭いんですが、内容はなかなかのもの。ジャム・セッションはジャズの醍醐味の1つですが、それぞれの楽器の即興演奏を気軽に楽しめる好盤です。特に、ブラウニーの「ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド」で繰り広げる超ロング・ソロが圧巻。やはり、このジャム・セッションの主役は圧倒的にブラウニー。
 
 
 
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2019年12月21日 (土曜日)

ネオ・ハードバップのブレイキー

先週の日曜日に、ウィントン・マルサリス参加のジャズ・メッセンジャーズの『Art Blakey in Sweden』をご紹介した。確かに、ウィントン・マルサリス参入後のジャズ・メッセンジャーズのハードバップ演奏については、全く新しい響きが充満している。今の耳で振り返れば、いわゆる「ネオ・ハードバップ」の先駆だったことが良く判る。今でも十分に通用する内容に思わず「目から鱗」である。

Art Blakey & the Jazz Messengers『Live At Bubba's Jazz Restaurant』(写真左)。1980年の録音。ウィントン・マルサリス参加のジャズ・メッセンジャーズについては、どのアルバムも内容十分の「ネオ・ハードバップ」を聴くことが出来るが、僕はこの盤を推すことが多い。ウィントンが18歳のデビュー直後にブレイキーのジャズ・メッセンジャーズのメンバーとして、フロリダのジャズ・クラブ「バッバス」に出演した時の録音。

ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Winton Marsalis (tp), Bobby Watson (as), Billy Pierce (ts), Jimmy Williams (p), Charies Fambrough (b)。見渡すと、ウィントンとワトソン、ピアースが突出した存在。ネオ・ハードバップな響きはこの3人が醸し出していたことになる。今から思えば、凄いフロント3管である。
 
 
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まず、有名なスタンダード曲、例えば「Angel Eyes」や「'Round Midnight」「My Funny Valentine」などの演奏を聴けば、このバンドの演奏の「全く新しい響き」を感じることが出来る。まず、スタンダード曲の旋律に対するアプローチが全く新しい。過去のハードバップ時代の定番フレーズを踏襲することは全く無い。自ら、新たなアプローチとアレンジを施し、それを前提に新しい響きのモーダルなアドリブを展開する。

そして、ジャズ・メッセンジャーズの十八番である「Moanin'」についても、全く新しいアプローチが施されていて、新しい魅力が詰まった「Moanin'」の演奏が実に楽しい。こういう新しいアレンジとアプローチがあるんだ、なんて妙に感心したりする。この盤が初めてリリースされた当時、18歳で抜擢され堂々とフロントを務めるウィントンのプレイに誰もが衝撃を受けた、とあるが、納得である。

しかし、一番驚くのは、アート・ブレイキー御大の柔軟性と応用力の高さ。ウィントン達がネオ・ハードバップな解釈ものもと、新しい響きとアプローチを披露するのだが、ブレイキー御大のドラムはその新しい響きにビビットに反応して、ならではのドラミングに切り替え、逆に、若きフロント達をリードし鼓舞する。なんて懐の深いドラマーだ。超一流なレジェンドは物が違う。この盤では既に「ネオ・ハードバップ」を支え、鼓舞している。
 
 
 
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2019年12月20日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・122

ジャズのアルバムはキラ星の如くある。聴いても聴いても、新しい盤がリリースされるし、聴いても聴いても、聴いた事の無い魅力的な内容のアルバムが見つかったりする。これはいい、と自分の感性にあった素晴らしい盤に出会ったりするし、これはどうにも、とどうしても自分の感性に合わない盤もある。しかし、いずれもプロのジャズメンが創り出した素晴らしい音世界である。

昔はCDショップをはしごして、今ではネットショップやサブスクの音楽サイトを徘徊して、ジャズのアルバムを探し歩いている。まず、この探し歩いている行為自体が楽しい。そして、時々、これは、という盤に出会う。そして、その盤が一時期、ヘビロテ盤になり、そして、お気に入りの好盤となる。これこそがアルバム蒐集の醍醐味である。

『Hank Jones Trio With Mads Vinding & Al Foster』(写真)。1991年の録音。ちなみにパーソネルは、Hank Jones(p), Mads Vinding(b), Al Foster(ds)。どういう経緯で、このトリオが組成されたか判らないが、パーソネルを見ただけで聴きたくなるトリオである。どうやったら、この組合せを思いつくのだろう。
 
 
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バップ・ピアノの大御所、ハンク・ジョーンズに、ニールス・ペデルセンに並ぶデンマークの重鎮ベーシスト、マッズ・ヴィンディング、、マイルスいわく「みんなが好きなことを演奏できるリズム・パターンを設定して、そのグルーヴを永遠に保つことの出来るドラマー」、アル・フォスター。この3人がピアノ・トリオを組んだ、スタンダード・アルバム。どんな音が出てくるのか、ワクワクである。

録音当時、ハンクは73歳、マッズは43歳、アルは48歳。濃厚で成熟したハードバップが展開されるかと思いきや、非常にシャープで洗練された切れ味の良いモーダルなトリオ演奏に驚く。出てくる音は古き良きスタンダードの旋律、しかし、その響きは新しい。ファンクネスを絞り込んだ、ソリッドなアドリブ展開。縦ノリ・スインギーなリズム&ビート。当時の新伝承派よりもモダンでウォームな音作り。

いや〜、これは掘り出し物です。温故知新を地で行くような、成熟メンバーのピアノ・トリオ。ポップでお洒落でウケ狙いのピアノ・トリオとは無縁の、意外と硬派なピアノ・トリオです。アルバム・ジャケットは新装されているそうですが(写真左)、オリジナル盤のジャケット(写真右)よりは味わいがあって良いですね。とにかく、このトリオ盤、意外と好盤です。お勧め。
 
 
 
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2019年12月19日 (木曜日)

ブラウニーのメモリアル盤である

暫く、クリフォード・ブラウンを聴いていないことに気がついた。クリフォード・ブラウン、愛称「ブラウニー」。ブラウニーのリーダー作は若い頃にかなり聴き込んだ。その反動だとは思うのだが、ここ10年ほど、ブラウニーのトランペットをほとんど聴いていない。しかし、ブラウニーのトランペットはジャズ・トランペットの基準である。やはり、たまにはここに戻らないとなあ、ということで盤を漁る。

Clifford Brown『Clifford Brown Memorial』(写真左)。Prestigeからのリリース。PRLP 7055。1953年6月11日にてNYでの録音、同年9月15日にてStockholmでの録音。ちなみにパーソネルは、NYでの録音は、Clifford Brown (tp), Benny Golson (ts), Idrees Sulieman (tp), Gigi Gryce (as), Herb Mullins (tb), Oscar Estell (bs), Tadd Dameron (p), Percy Heath (b), Philly Joe Jones (ds)。Stockholmでの録音は、Clifford Brown (tp), Art Farmer (tp), Arne Domnerus (as), Lars Gullin (bs), Åke Persson (tb), Bengt Hallberg (p), Gunnar Johnson (b), Jack Noren (ds)。

ブラウニーは自動車事故で1956年6月26日に急逝している。ブラウニー急逝の当時、ブラウニー追悼盤、いわゆる「メモリアル・アルバム」が急造された。ブラウニーは人気トランペッターであったが故、様々なレーベルから、ブラウニーの「メモリアル・アルバム」がリリースされている。この盤もその例に漏れず、で、プレスティッジ・レーベルが何とかブラウニーの追悼盤をだしたいなあ、と思っていて、この音源を発掘したんだと思っている。
 
 
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追悼盤というには、あまりに唐突な録音年月日と録音場所である。ただし、聴いてみれば判るんだが、演奏されているハードバップについて、アレンジが良いのだ。いわゆる「聴かれること」を意識している録音で、調べてみたら、それもそのはず、Stockholmでの録音は「Quincy Jones」の監修、NYでの録音は「Ira Gitler」の監修。なるほど、やっつけ感皆無の、しっかり準備され仕込まれた録音という雰囲気が良い。

ブラウニーのトランペットはほぼ申し分無い。Stockholmでの録音はアート・ファーマーと組んだ地元のミュージシャンとの録音とNYでの録音はタッド・ダメロン・オーケストラ在籍時での録音なのだが、ブラウニーは録音を楽しむ様に、音数もいつもとは控えめに吹いている。が、それが良いのだ。バリバリに吹きまくらずに、音数を選んで旋律に忠実に余裕を持って吹く。ブラウニーのトランペットが説得力を持って耳に入ってくる。

この盤の良さは、ブラウニーのトランペットの良さを、判り易く温和な演奏の中で楽しめるところ。メモリアル・アルバムというには、どこか説得力に欠ける演奏内容ではあるが、ブラウニーのトランペットを愛でるには実に良い感じな盤なのだ。久し振りに聴いたのだが、気軽にブラウニーを楽しめる盤として、これから聴き続けるだろうなあ、と嬉しい予感のする盤である。
 
 
 
東日本大震災から8年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年12月18日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・156

いや〜良い盤を見つけた。ロニー・キューバーの新作である。ロニー・キューバーはバリトン・サックス(以降「バリサク」)奏者。僕はこのバリサクの音が大好きで、バリサクのアルバムを見つけたら必ず聴く様にしている。特に、バリサク奏者の中でも、このロニー・キューバーは昔からお気に入りのバリサク奏者である。彼のリーダー作は見つけたら、即ゲットである。

Ronnie Cuber『Four』(写真左)。今年の最新作である。ちなみにパーソネルは、Ronnie Cuber (bs), Ed Cherry (g), Brian Charette (org), Adam Nussbaum (ds)。SteepleChase Recordsからのリリース。SteepleChaseが未だに元気に活動しているのが実に嬉しい。パーソネルを見渡しても知らない顔ばかり。どんな音が出てくるのか、ワクワクである。

ロニー・キューバーは1941年12月生まれなので、今年で78歳。ジャズの世界でも、もはや「レジェンド」「仙人」の域である。この新作では年齢の割にバリサクを吹き切っている。バリサクは一番低音を担当するサックスで、とにかくでかい。当然、重たいし、肺活量もかなり必要。曲によってはちょっとヨレっているところもあるが、これはご愛嬌。
 
 
Four-ronnie-cuber  
 
 
ロニー・キューバーのバリサクの吹きっぷりは「ストレート」がメイン。重低音が出せるので、この部分でブリブリブリとビブラートをかましたり、ブリッと捻れた音を出したりしがちなのだが、ロニーのバリサクはそのパフォーマンスは必要最低限に留めている。コルトレーンの吹きっぷりの様な「ストレート」な音出しなので、ロニーのバリサクはとてもモダンな香りがする。

バックのギター、オルガン、ドラムも好印象。特に、ブライアン・チャレットのオルガンが良い。職人芸的に地味に小粋なテクニックを偲ばせて、とてもファンキーにそして、ジャジーにロニーのバリサクを際立たせる。味のあるオルガンとはこのこと。エド・チェリーのギターも好演。バリサク、オルガンとコッテコテにもっこりファンキーなフロントの音を、シャープで切れ味の良いエレギがグッと引き締めている。

昔ながらのスタンダート曲、ミュージシャンズ・チューンズな曲、いわゆるハードバップ期からファンキー・ジャズ期に皆が得意としたスタンダード曲をメインにバリサクを吹きまくるロニー・キューバーは実に楽しそう。僕がロニー・キューバーを知ったのは、1987年の『The Gadd Gang』での好演だった。あれから32年。未だ、ロニー・キューバーのバリサクは僕のお気に入りである。
 
 
 
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2019年12月17日 (火曜日)

バッド・プラスの2019年最新作

ジャズの深化のひとつがこのピアノ・トリオの出現だった。米国ミネソタ州ミネアポリスの出身。アコースティック・ジャズでありながら、それまでの亜アコースティック・ジャズの音の概念を覆す「轟音サウンド」で、ジャンルを超えた幅広い人気を獲得した。音楽性については、グランジ・ロック、テクノ、フリー・ジャズ等の要素を取り入れた豪快なプレイが身上。

そのピアノ・トリオは「The bad Plus(バッド・プラス)」。米国中西部の逸脱ジャズ・マンたちが2000年に結成したピアノ・トリオである。オリジナル・メンバーは、Ethan Iverson (p), Reid Anderson (b), David King (ds)。各国の音楽評論家が残した賞賛の言葉が「ロックの魂を持っているジャズトリオ」「NIRVANA以来もっとも独創的なサウンドを持つスリーピース・バンド」「ジャズ純粋主義者は彼らの音を前に怯え、前衛は彼らの音に群がる」。どれも言い得て妙である。

The bad Plus『Activate Infinity』(写真左)。そんな「バッド・プラス」の最新作。2019年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、Reid Anderson (b), Orrin Evans (p), Dave King (ds)。ピアノがイーサン・アイバーソンからオリン・エヴァンスに変わっての2枚目。本作は全曲メンバーのオリジナルで固められているが、それもそのはず、実にユニークなピアノ・トリオ演奏が展開されているのだ。
 
 
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「轟音サウンド」など過去のこと、演奏は淡々と進んで行く。高速フレーズを弾き倒す訳でも無いし、8ビート基調のロック寄りのノリの良い演奏を聴かせる訳でも無い。歩くテンポをメインに淡々と演奏が進んで行くのだが、暫くすると、ピアノの奏でるフレーズがユニークなのに気がつく。黒鍵を織り交ぜて、半音上がったり半音下がったり、音程を半音上げ下げしながら、2音飛ばし3音飛ばしの捻れたフレーズを連発していく。聴いていて、思わず「悶絶」したくなるくらいの捻れ具合。

そんな捻れたピアノに追従するベースがこれまた限りなく自由度の高いモーダルなベース。ピアノの捻れなど何処吹く風、ピアノと基音を合わせるだけで、自由度の高い、伸びのある重低音ベースを駆使しつつ、モーダルな旋律でフロントのピアノをやんわりと支える。そこにポリリズミックなドラミングが演奏全体のテンションを高め、淡々としたフレーズの展開に刺激とビートを供給する。

面白い、実にユニークなピアノ・トリオの演奏である。最初はあまりに淡々としているので、これはそのうち飽きるかな、と思ったのだが、意外や意外、捻れたピアノのフレーズ、自由度の高いモーダルなベース、ポリリズミックなドラミングが有機的に結合した、新しいジャズの響きに聴き惚れている内に一枚、聴き通してしまう。一般ウケするより、玄人好みの好盤と言える。ジャズ者中級者以上向け。
 
 
 
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2019年12月16日 (月曜日)

Jing Chiというフュージョン楽団

1970年代後半から1980年代前半にかけて、猛威を振るったフュージョン・ジャズのブーム。それでも、1980年代半ばの「純ジャズ復古」に併せて、フュージョン・ブームは沈静化に向かい、口の悪いジャズ者の方々からは「フュージョン・ブームは終わった」「フュージョン・ジャズは間違いだった、一時の気の迷いだった」などと揶揄され、ジャズ雑誌などからは見向きされなくなった。

しかし、21世紀に入っても、フュージョン・ジャズは生きている。今の耳で聴く、1970年代後半のフュージョン・ジャズも、今のフュージョン・ジャズも内容的にはなかなかのもの。フュージョン・ジャズにはフュージョン・ジャズのトレンドと展開というものがあって、やはり、一世を風靡しただけある、ジャズのひとつのスタイルになった、と言って良いだろう。

Vinnie Colaiuta, Robben Ford, Jimmy Haslip『Jing Chi』(写真左)。2002年のリリース。「Jing Chi」はバンド名でもある。「Vital Energy」の中国語読みだそうだ。元Yellowjacketsのジミー・ハスリップが提唱し、ギターのロベン・フォード、ドラムのヴィニー・カリウタが加わり結成したトリオ編成のフュージョン・バンドである。
  
 
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このバンドの音は「フュージョン」。「クロスオーバー」では無い。基本はジャズとロックの融合なんだが、「クロスオーバー」は、ジャズ:ロックの割合が「7:3」か「6:4」でジャズの割合が高い。「フュージョン」は「5:5」か「4;6」でロックの割合が少し高くなる。言い換えると「クロスオーバー」の方がやや難解、「フュージョン」の方がポップで判り易い、と僕は解釈している。

この「Jing Chi」というバンドは、もともと、ギターのロベン・フォードがハード・ロック寄りのギンギンのエレギを弾きまくるので、このエレギの音に引き摺られて、ハスリップのエレベは重低音なウォーキング・ベースを轟かせ、カリウタのドラムはロック調のポリリズムで叩きまくる。エレギはハード・ロック基調なんだが、ベースとドラムはフュージョン・ジャズ時代のアプローチを基調としている。

そして、フュージョン・ジャズの「高テクニック」という面は、この「Jing Chi」というバンドについては申し分無い。3者の個性とテクニックがぶつかり合って、しっかりと「化学反応」を起こしている。ロック基調のフュージョン・ジャズとして、心ゆくまで楽しめる。実は僕がこの「Jing Chi」を知ったのは、つい数年前。しかし、それ以来、僕のお気に入りのフュージョン・バンドのひとつとして愛聴している。
 
 
 
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2019年12月15日 (日曜日)

ジャズ・メッセンジャーズの復活

つい最近知ったのだが、今年って、アート・ブレイキーの生誕100年だそう。そうか、ブレイキーは1919年10月11日生まれだから、確かに今年で100歳になるのか。うっかりしていたなあ。どうりでジャズ雑誌とかで、ブレイキーの特集が組まれてる訳だ。そう言えば、ブレイキーは1990年10月16日に亡くなっているので、来年は没後30周年になる。

アート・ブレイキーと言えば「ジャズ・メッセンジャーズ」。リーダーのブレイキーが1990年に亡くなった時点で活動終了となる迄、35年以上に渡って存在したジャズ・コンボで、優秀な若手ジャズマンの登竜門として、多くの一流ジャズメンを輩出している。そういう面から「ブレイキー・ジャズ道場」とも呼ばれている。

活動のピークは2度ある。最初のピークは、1950年代後半、ベニー・ゴルソンを音楽監督として迎えた時期に「モーニン」「ブルース・マーチ」などのヒットを放った頃から1960年代中盤まで。2回目のピークは、1980年、わずか18歳のウィントン・マルサリスが加入して以降、1980年代後半までである。特に、トランペット奏者に恵まれた時期に、コンボとしての充実期が被る傾向にある(と僕は思っている)。
 
 
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Art Blakey & the Jazz Messengers『Art Blakey in Sweden』(写真左)。1981年の作品。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Wynton Marsalis (tp), Bobby Watson (as), Bill Pierce (ts), James Williams (p), Charles Fambrough (b)。ウィントン・マルサリスとボビー・ワトソン、ビル・ピアースをフロントにフィーチャー。新しい響きだらけのハードバップ。

1970年代後半、スターと呼ぶべき魅力のある若手サイドメンが不在となり、ジャズ・メッセンジャーズの暗黒時代と呼ばれる時期を経て、1980年代初頭、天才トランペッターウィントン・マルサリスの参加によって、ジャズ・メッセンジャーズは完全に息を吹き返し、2度目の活動のピークを迎えることになる。その片鱗が、このライブ盤に詰まっている。とにかく、ハードバップではあるが響きが全く新しい。

1980年代半ばの「純ジャズ復古」に向けて、この新生「ジャズ・メッセンジャーズ」から、新しい時代の、新しいハードバップが始まった。ジャズは即興の音楽。アドリブの音楽。自由度の高い音楽。この新生「ジャズ・メッセンジャーズ」の音を聴いていると、ジャズの可能性はまだまだ無限だなあ、と改めて感じる。『Art Blakey in Sweden』、良いライブ盤である。
 
 
 
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2019年12月14日 (土曜日)

好調な70年代メッセンジャーズ

The Jazz Messengers(ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)は、1954年から翌年にかけて、後に単独リーダーとなったアート・ブレイキーがホレス・シルヴァーと結成。1956年のシルヴァー脱退後、リーダーのブレイキーが1990年に亡くなった時点で活動終了とするまで、35年以上に渡って存在したジャズ・コンボである。

もともとこのジャズ・メッセンジャーズは、1950年代後半、ベニー・ゴルソンを音楽監督として迎えた時期に「モーニン」「ブルース・マーチ」などのヒットを放った老舗ジャズ・コンボ。1960年代半ばまで、コンスタントに充実したアルバムをリリース。しかし、ジャズがロックやポップスに押されて人気に翳りが見え始めたのに応じるかのように、1960年代後半から徐々に調子を落としていった。

しかし、今の耳で聴き直してみると、ジャズ・メッセンジャーズは何時の時代も、その時代時代の若手精鋭をメンバーにして、充実したハードバップを展開しているのだ。これにはいつも感心する。リーダーのブレイキーの見識と矜持、そして指導力の賜だろう。そして、そのリーダーの指導と方針に応えるメンバーも素晴らしい。そう、ジャズ・メッセンジャーズは何時の時代も、優れたハードバップ集団だったのだ。
 
 
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Art Blakey & the Jazz Messengers『Child's Dance』。1972年の作品。ジャズ・メッセンジャーズらしく、当時の若手精鋭が参加していて、溌剌したハードバップが展開されている。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Woody Shaw (tp), Buddy Terry (ss), Ramon Morris (ts, fl), Manny Boyd (fl), George Cables (p, el-p), John Hicks (el-p), Mickey Bass, Stanley Clarke (b), Ray Mantilla, Emanuel Rahim (congas), Nathaniel Bettis, Richie "Pablo" Landrum, Sonny Morgan (perc)。

ウッディ・ショウの伸びの良い、溌剌としたトランペットが良い。スタンリー・クラークのウォーキング・ベースが強烈だ。キーボードの2人とサックス+フルート部隊の3人は「必死のパッチ」(笑)。若々しくて良いでは無いか。ブレイキー御大はいつも通り、フロント隊、キーボード、ベースとバンド全体を鼓舞し続ける。この時期の御大は「バックに回ってしっかりと支える」ように鼓舞する。これが良いバランス。

ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌からは全く顧みられない1970年代のArt Blakey & the Jazz Messengersであるが、聴いてみると、どれも味のある、溌剌とした「ハードバップ」をやっている。ハードバップではあるが音が若々しい。それは、ジャズ・メッセンジャーズが若手ジャズマンの登竜門的コンボの位置づけで、何時の時代も若手有望株がメンバーになって、必死に鍛錬を積んでいるからである。
 
 
 
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2019年12月13日 (金曜日)

アジマスは英国のジャズ・トリオ

久々にECMレコードの聴き直しシリーズ。やっと1977年辺りまで来ている。この頃が、ECMレコードの最初の「充実期」で、ニュー・ジャズをメインに、キラ星の如く、好盤、佳作が目白押し。ECMレコードの音が、欧州ジャズのイメージをバッチリと固めた頃である。でも、我が国ではECMレコードのアルバムは、有名盤以外は入手し難かったなあ。

『Azimuth』(写真左)。1977年3月の録音。ECM 1099番。ちなみにパーソネルは、John Taylor (p,syn), Norma Winstone (vo), Kenny Wheeler (tp, flh)。メンバー3人ともイングランドの出身。珍しい「純英国」なメンバー構成。収録された全ての曲は「John Taylor & Norma Winstone」による。

さて改めて、アジマス(Azimuth)は、英国のジャズ・トリオ。トランペット奏者のケニー・ホイーラー、ボーカリストのノーマ・ウィンストン、ウィンストンの夫でピアニストのジョン・テイラーというトリオ構成。僕はこの「アジマス」については、存在は知っていたが、なんだかパチモンみたいな響きのバンド名なので、どうにも手を出さずにいた。
 
 
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しかし、アルバムと言うもの、まずは聴いてみるもので、このアジマスの奏でる音は、明らかにECMレコードがプッシュする「ニュー・ジャズ」である。クールなホイーラーのトランペットとテイラーのピアノ、そして、そこに流れるウィンストンの「女性スキャット」は、現代の「クールなスピリチュアル・ジャズ」に直結するもの。静的なエモーショナルは「ニュー・ジャズ」に相応しい。

そして、トランペットのケニー・ホイーラーが実に良い。クールでエモーショナルな、加えて耽美的で伸びの良いトランペットは実に聴き応えがある。このアジマスでのホイーラーのトランペットって、彼のベスト・プレイの1つに数えられても良い物だと思う。テクニックも確か、フレーズは流麗。明らかにこのトランペットは欧州ジャズのトランペットである。

実にECMレコードらしい「ニュー・ジャズ」なアルバムである。基本はモードだと思うんだが、飽きが来たり、ダレたところが無く、適度なテンションをずっと維持しつつ、音の広がりが芳しいニュー・ジャズな演奏に思わず聴き惚れる。こんなに優れたアルバムがなかなか、我が国では入手するのが難しかった。今の時代に感謝、である。
 
 
 
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2019年12月12日 (木曜日)

静的でエモーショナルなロイド

21世紀に入って、チャールズ・ロイドを再発見した。が、リリースはECMレーベル。どうも、チャールズ・ロイドとECMレーベルとが結びつかなくて、ECMレーベルにロイドの名前を発見した時は、僕は同姓同名の別人かと思った。しかし、ファースト・ネームの「Charles」は同名はありそうだが、「Lloyd」はどう考えても同姓は無いよな〜、ということで、やはり、ロイドの再発見である。

そして、やっとつい最近、再発見後のロイドの聴き直しを始めた。どうにも印象が曖昧になって、ECMレーベルのロイドの音世界がイメージ出来なくなっていた。メジャー・デビュー当時、1960年代後半のロイドは「コルトレーンのええとこ取り」。そのイメージが強くて、ECMレーベルでの「耽美的で静的でスピリチュアルな」ブロウがどうにも据わりが悪い。

Charles Lloyd『Notes from Big Sur』(写真左)。1991年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts), Bobo Stenson (p), Anders Jormin (b), Ralph Peterson (ds)。ピアノのステンソンとベースのヨルミンはスウェーデン出身で、ドラムのピーターソンは米国出身。ロイドは米国出身なので、スウェーデンと米国の混成カルテットということになる。
 
 
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この盤に詰まっている音は「静的でエモーショナルな」音世界。全編、ロイドの淡々とクールで耽美的な、流麗でスピリチュアルなブロウが印象的。決して、ホットにエモーショナルになることは無い。当然、変にフリーに傾くことは無い。演奏のベースはモード。モード奏法の良さを最大限に活かして、悠然とした、耽美的で伸びの良いフレーズが心地良い。

バックのリズム・セクションも好調。ピアノのステンソンとベースのヨルミンがスウェーデン出身なので、出てくる音は明らかに北欧ジャズ。しかし、ドラムのピーターソンのドラムの音は米国東海岸ジャズ。当時の若きピーターソンのドラミングが北欧ジャズへの傾倒を緩和させていて、意外と国籍不明なリズム&ビートに落ち着いている。これがまた面白い。

水墨画の様なテナーの音が、時には幽玄に変化し、時には霧のように漂っていく。1960年代後半のロイドの「コルトレーンのええとこ取り」とは全く異なる、唯一無二なロイドの個性。これがロイドのテナーの本質なのか、と思わず感心する。こんなロイドの本質的な個性を引き出したECMレーベルは凄い。マンフレート・アイヒャー恐るべし、である。
 
 
 
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2019年12月11日 (水曜日)

メル・ルイスの「双葉より芳し」

今、米国西海岸ジャズの中の、Mode Labelの「西海岸の肖像画ジャケット」のシリーズに填まっている。とにかく、西海岸ジャズの特徴と個性がグッと詰まっているのと、隠れた名手、隠れた個性をこのレーベルはピックアップしているので、リーダーが知らない名前であっても決して隅に置けない。

このMode Labelからリリースされたアルバムは録音時期が1957年の4ケ月間に集中しており、このMode Label自体、その短い期間に30枚弱のレコードをリリースした後、忽然としてシーンから消えた。実に不思議なジャズ・レーベルである。録音時期が1957年に集中しているので、このレーベルに残された音は、1957年、米国西海岸ジャズの最盛期の一年を切り取った、その時点での米国西海岸ジャズの状況を記録しているのだ。

『Mel Lewis Sextet』(写真左)。1957年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Mariano (as, ts), Buddy Clark (b), Mel Lewis (ds), Marty Paich (p), Bill Holman (ts, bs), Jack Sheldon (tp)。米国西海岸ジャズの精鋭達を集めた素晴らしいセクステット構成。米国西海岸ジャズはバリサクの活用が目立つが、ここでも、ビル・ホルマンがバリサクを担当している。
 
 
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冒頭の「Brookside」から、米国西海岸ジャズの「良きサンプル」の様な、米国西海岸ジャズらしい演奏が繰り広げられる。さすがにこのアルバムを流すと、3曲目くらいで、聴いている方は、これが「米国西海岸ジャズ」であることが明確に理解出来る。良きアレンジ、良きテクニック、心地良く響くフロント管のユニゾン&ハーモニー、流麗なアドリブ展開。これぞ「西海岸ジャズ」。

リーダーのメル・ルイスと言えば、後に、サド・ジョーンズ組んで「サド・メル オーケストラ」を立ち上げ、活躍したドラマーなのだが、そう言われてみれば、このリーダー盤に収録されている音世界は、どれもが「ジャズ・オーケストラ」に置き換えても、全く違和感の無いアレンジが施されている。メルの後のジャズ・オケでの活躍を暗示させる内容に思わずニンマリ。所謂「栴檀は双葉より芳し」である。

サイドメンのいずれも高いレベルのテクニックとパフォーマンスを披露していて、聴いていてとても心地良い。ジャズの良い部分をしっかりと感じさせてくれる好盤である。この盤を聴いてみて、米国ジャズを東海岸偏重で聴くことはあまりに能が無い、ということを再認識する。西海岸ジャズは個性と特徴をメインに、優れたジャズとしてのパフォーマンスを記録している。
 
 
 
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2019年12月10日 (火曜日)

ロングマイヤーはギタリスト

純ジャズをずっと聴いていると、無性にフュージョン・ジャズを聴きたくなる瞬間がある。もともと、フュージョン・ジャズの全盛時代にジャズを聴き始めた世代である。フュージョン・ジャズについては全く抵抗感が無く、むしろ親近感がある。実はフュージョン・ジャズも好きなジャンルのひとつで、かなりのコレクションとなっている。

フュージョン・ジャズが聴きたい、となれば、まずはCTIレコード辺りから物色することになる。そして、ボブ・ジェームス一派に行き着き、気がつけば、タッパンジー・レコードのアルバムを聴いていたりする。タッパンジー・レコードは、フュージョン・ジャズの中核ミュージシャンの一人、ボブ・ジェームスが立ち上げたレーベル。

タッパンジー・レコードは、総帥のボブ・ジェームスを始め、ウィルバート・ロングマイヤー、リチャード・ティー、カーク・ウェイラム、フィル・ペリーらを専属に迎えて立ち上げ、様々なジャズメンの様々な好盤をリリースしている。音的には、ボブ・ジェームスのプロデュース&アレンジの影響が大きく、どのアルバムにも、ボブ・ジェームスの手癖、痕跡が明確に残っている。
 
 
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Wilbert Longmire『Sunny Side Up』(写真左)。1978年2月、NYでの録音。主だったパーソネルは、Dave Sanborn (as), Richard Tee (p), Bob James (el-p, arr, cond), Wilbert Longmire (g), Gary King (b), Harvey Mason (d, el-d), Sue Evans (perc) など。フュージョン。ジャズの中核メンバーが大集合である。

リーダーのロングマイヤーはギタリスト。温和で穏やかで流麗なエレギの響きが個性。耳に刺激的に響くことは全く無い。耳に優しいマイルドな音。そんなジェントルなエレギが、アーバンでライトなフレーズを紡ぎ上げていく。曲によっては物足りない雰囲気も漂うこともあるが、バックのテクニック溢れる演奏とボブ・ジェームスの個性的なアレンジが強烈にフォローする。

ロングマイヤーのギターを聴きながら、バックのフュージョンの手練たちの演奏も楽しむという、一石二鳥な聴き方をするフュージョン盤である。演奏の雰囲気は流麗でウォームな演奏が多く、「ながら聴き」にも最適な音世界である。実際、僕はこの盤をリリースされた当時から「ながら聴き」をメインに聴き続けている。
 
 
 
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2019年12月 9日 (月曜日)

西海岸の幻の美人ピアニスト

Mode Labelの「西海岸の肖像画ジャケット」のシリーズ、ちょっと古風な肖像画の様な、やけにリアルな顔がアップのジャケットの他に、上半身の姿や全身の姿を描いたものもある。タッチが全く一緒なので確実に判別できる。今日は「上半身の姿」を描いたジャケットからの一枚。

『Joanne Grauer Trio』(写真左)。1957年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Joanne Grauer (p), Buddy Clark (b), Mel Lewis (ds)。女性ジャズ・ピアニスト、ジョアン・グラウアーがリーダーのトリオ編成。ジョアン・グラウアーは「幻の美人ピアニスト」と言われる。活動は長くは続かず、結局この一枚を残して消えたらしい。

しかし、このジョアンのピアノ、爽快である。明確なタッチと疾走感のあるアドリブ・フレーズ。端正なバップ・ピアノ。ファンクネスはほとんど感じないが、オフビートが明快で、マイナーなフレーズがアレンジ良く展開されるので、とてもジャジーに感じる。タッチが明確なので、初めて聴いた時は男性ピアニストだと思っていた。それほどまで、端正でダイナミックなピアノである。
 
 
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タッチやフレーズを聴いていると、なんとなく、ハンプトン・ホーズを想起する。ハンプトン・ホーズよりも端正で明確。破綻が全く無いところがジョアンの良いところ。アドリブ・フレーズはスケールが広く、ダイナミック。スローなバラード演奏については、繊細なタッチで紡ぎ上げるフレーズがなかなか良い。

バックのバディ・クラークのベースとメル・ルイスのドラムが小気味良い。リズム&ビートを確実に刻むだけ、かと思いきや、よくよく聴くと、いろいろと小粋なことをやっている。切れ味良く、趣味良く、ジョアンのピアノを鼓舞する。これがまた、このトリオ盤の聴きどころである。小粋なリズム隊。良い感じである。

エヴァ・ダイアナ(Eva Diana)による特徴あるイラストからも、その美貌が伝わってくる。このトリオ盤一枚だけで姿を消したらしいが、なんと、自己プロモ用の限定プレス盤で、2008年にカムバックしている(写真右)。その演奏内容は「エレピによるファンク・グルーヴな演奏」らしい。なんともはや、理解不能な美貌ピアニストである。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年12月 8日 (日曜日)

ジョン・レノンの39回目の命日

今年の12月8日を迎えた。ジョン・レノンの39回目の命日である。あの日はまだ僕は大学生。大学の生協のラジオとテレビで訃報に接した。なぜか、ジョンは撃たれても死なない、と思い込んでいたので、本当に亡くなったと知った時には、大ショックだったし、世の中の不条理というものを生まれて初めて思い知った瞬間でもあった。

しかし、もう39年も前のことになるのか。思わず感慨深いものがある。しかし、マスコミについても、ネットの反応についても、最近は「ジョンの命日」は、あまり話題にならなくなったように感じる。全く見知らぬ人物に、全く理由も無く、いきなり撃たれ、命を奪われるのである。どう考えても不条理であり、あってはならないことだ。

しかし、今、米国ではこの「不条理」が無くなるどころか、不定期に発生しては世界にその悲しい出来事が流れている。暗殺、無差別な銃撃、テロなど、後を絶たない。もはや「ジョンの命日」など、珍しいイベントでは無くなったのかもしれない。そういうことを考えながら、ジョンのアルバムを聴きつつ、静かに「ジョンの命日」を過ごしている。

John Lennon『Imagine』(写真左)。1971年のリリース。ジョンの名盤中の名盤とされる。僕は若い頃、このタイトル曲「Imagine」の歌詞が「ありえない、とても空想的」に聞こえて、この盤については暫く敬遠していた時期がある。しかし、先ほど述べた「不条理」を撲滅するには、これしかないのでは、と達観したのが50歳台に入ってからである。
 
 
Imagne  
 
 
今ではこのアルバム、ジョンのアルバムの中でも、一番のお気に入りになっているのだから、自分のことながら「ええ加減な奴」やなあ、なんて思ったりしている。この盤、バック・バンドもシンプルな個性で、アルバム全編に渡ってシンプルなロックになっていて、ジョンのボーカルがメッセージが明確に伝わる内容になっている。特に、リンゴのドラミングが素晴らしい。
 

Imagine there's no Heaven It's easy if you try
No Hell below us Above us only sky
Imagine all the people
Living for today...

Imagine there's no countries It isn't hard to do
Nothing to kill or die for And no religion too
Imagine all the people
Living life in peace

You may say I'm a dreamer But I'm not the only one
I hope someday you'll join us 
And the world will be as one

John Lennon 「Imagine」より抜粋


今年も、謹んでジョンの冥福を祈りたい。
 
 
 
 
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2019年12月 6日 (金曜日)

大江千里『Hmmm』は愛らしい

大江千里と言えば、1980年代から90年代にかけて、Jポップの人気シンガー・ソングライターで名を馳せた逸材である。ポップでお洒落な、和製AORな音作りで一世を風靡した。そんな大江千里が、50歳を目前にした2008年、日本国内での自身の音楽活動を休業し、ニューヨークに在住。2012年にはジャズ・ピアニストとしてのデビューを果たしたのである。

これにはビックリした。まず、そんなに簡単に、プロのジャズ・ピアニストになれる筈が無い。 明らかに無謀だ、と思った。確かにピアノは上手かった。それでも、途中から我流のピアノ。50歳を目前にして、ジャズ・ピアニストを目指すなんて、とハラハラして見守った。ジャズのデビュー盤『Boys Mature Slow』からハラハラしながら、ずっとリーダー作を聴いてきた。

大江 千里『Hmmm』(写真左)。ジャズ・ピアニスト転身後6枚目となるオリジナル・アルバムになる。今年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Senri Oe (p), Ari Hoenig (ds), Matt Clohesy (b)。NYでも屈指の名ドラマー、アリ・ホーニグにオーストラリア出身でNYで活躍するベーシスト、マット・クロージーを迎えたトリオ編成。
 
 
Hmmm-ohe
 
 
聴いてみてまず一言で言うと「良いアルバム」である。そして「個性的」なアルバムである。大江千里とは意外と「曲者」である。ジャズ・ピアニストとして一筋縄ではいかない、戦略的に「独特の個性」を演出している。過去のジャズ・ピアニストの一流どころを研究はしているものの、全くフォローをしていない。過去のジャズ・ピアノをフォローせずして、独特の個性を表出する。

これが成立するんだからジャズは面白い。とにかくそれぞれの楽曲のテーマ部の旋律が心地良く、アドリブの展開は流麗で愛らしい。こういう心地良く愛らしい、ジャズ・ピアノのフレーズや展開を僕はあまり聴いた事がない。この大江千里の『Hmmm』を聴いて、ちょっとビックリした。こういう志向がまだジャズ・ピアノに残っていたんやなあ。

この新盤、大江千里のJポップ時代に培った「流麗で愛らしいポップな感覚」とコンテンポラリーな純ジャズが見事に融合した、アーバンで小粋で、心地良く洒落た音世界を聴かせてくれる素晴らしい「仕業」である。僕はこの新盤に大江千里の「戦略性」を垣間見た気がしている。大江千里というジャズ・ピアニストは良い意味で「したたか」である。
 
 
 
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2019年12月 4日 (水曜日)

西海岸独特のピアノ・トリオ盤

Mode Labelの「西海岸の肖像画ジャケット」のシリーズ、ちょっと古風な肖像画の様な、やけにリアルな顔がアップのジャケットのシリーズの3作目になる。この人の名前は西海岸ジャズの名作『踊り子』『お風呂』の紙ジャケで、優秀なアレンジャーとして知った。米国西海岸ジャズにおけるアレンジャーの第一人者。そう「マーティ・ペイチ」。

マーティ・ペイチは、1925年1月23日米国オークランド生まれ。最初はジャズ・ピアニスト。M.C.テデスコに楽理を学び、アレンジャーとしても注目を浴び、ピアニストよりも、アレンジャーとしての活動が中心となっていった、米国西海岸ジャズらしい、変わり種のジャズマンである。

『Marty Paich Trio』(写真左)。1957年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Marty Paich (p), Red Mitchell (b), Mel Lewis (ds)。西海岸ジャズのファースト・コールなベーシスト、レッド・ミッチェルと、小粋かつ堅実なドラミングが身上のメル・ルイスを擁した堂々のピアノ・トリオ編成。
 
 
Marty-paich-trio-1  
 
 
マーティ・ペイチの、アレンジャーでは無い、ピアニストの側面にスポットライトを当てた、ピアニスト=ペイチの素敵な「ピアノ・トリオ」盤である。冒頭の「I Hadn't Anyone 'Til You」の愛らしいイントロのピアノの響きを聴くだけで、ペイチの、その趣味の良く愛らしい小粋なピアノが良く判る。

米国西海岸ジャズらしく「聴かせる、聴いて貰う」ジャズ・ピアノである。聴き耳を立てたくなる、じっくり聴き味わいたくなる演奏である。決して叩かない、決して高速フレーズは弾かない。聴き易く聴き応えのある「ミッド・テンポ」な演奏が心地良い。淡々とシンプルに流麗に弾き進めているが、以外と複雑なフレーズを織り込んでいる。テクニック度は高い。

収録されたどの曲もアレンジ良好。さすがアレンジの才人。とても趣味の良いピアノ・トリオ盤で、こんなピアノ・トリオ盤は東海岸ではちょっと見当たらない。西海岸ならではのピアノ・トリオ盤と言えるでしょう。ペイチのピアニストとしての力量を再認識出来る好盤です。ピアノ・トリオ者の方々に特にお勧め。
 
 
 
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2019年12月 3日 (火曜日)

ジャス喫茶で流したい・156

こういうジャズ盤に出会うと思わず頬が緩む。というか、緩みっぱなしになる。テナー・サックス+オルガン+ドラムスの「オルガン・トリオ」。ジャズにオルガンは良く似合う。古くは1950年代のハードバップの時代から、オルガン・ジャズは人気である。そんなオルガン・ジャズが、現代の、21世紀の今でも「ある」のだ。嬉しいではないか。

James Carter Organ Trio『Live From Newport Jazz』(写真左)。2018年 Newport Jazz festivalでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、James Carter (ts), Alwx White (ds), Gerard Gibbs (org)。実は、僕はリーダーの「James Carter(ジェームス・カーター)」を良く知らない。

ジェームス・カーターとは誰か。ジェームス・カーターは、1969年1月3日生まれ。今年でちょうど50歳。ジャズの世界では中堅からベテランに差し掛かる年齢。出身が「ジャズメンの古都」デトロイトというのが良い。若かりし頃は、ジョシュア・レッドマンの好敵手として注目を集めた強烈な個性をもつテナーマンである。
 
 
Live-from-newport-jazz  
 
 
さて、このライブ盤は、ジャンゴ・ラインハルトによって作曲された、または彼に関連した6つの楽曲を収録。そういう意味で、演奏自体が浮ついていなくて、実に渋く実に粋である。カーターのテーマ部は堅実で正統派、アドリブ部は野性味溢れるアブストラクトでフリーな展開。これが実に心地良い。いずれの楽曲もスピリチュアルでエモーショナルで、「ハートに染み入る」演奏である。

オルガンが効いている。オルガンの音は嫌が応にも演奏全体をジャジーな雰囲気で染め尽くす。そこにソウルフルなドラミングがフロントのテナーを鼓舞し煽る。カーターのテナーは自由奔放に激情豊かに、思いっ切りテナーを吹き上げる。そして、それが耳に付かない。流麗でキャッチャーで「フリーなアドリブ展開」。そして、オルガンがジャズのグルーヴの大本をしっかり押さえる。

カーターいわく「オルガン・サウンドはアフリカ系アメリカ人のルーツの一端を担っている。これらはスピリチュアル・ジャズからソウル、ネオ・ソウルへと繋がり、ジャズの魂を表現する不可欠な要素になっている」。なるほど、そんな理屈をこのライブ盤ではしっかりと音で、立派に表現している。このライブ盤、掘り出し物です。
 
 
 
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2019年12月 2日 (月曜日)

ロソリーノのトロンボーンが良い

Mode Labelの「西海岸の肖像画ジャケット」のシリーズ、ちょっと古風な肖像画の様な、やけにリアルな顔がアップのジャケットのシリーズの2作目になる。この人の名前はつい10年前くらいに、紙ジャケのシリーズで知った。米国西海岸ジャズにおけるトロンボーンの第一人者。そう「フランク・ロソリーノ」。

『Frank Rosolino Quintet』(写真左)。1957年6月、ハリウッドでの録音。ちなみにパーソネルは、Frank Rosolino (tb), Richie Kamuca (ts), Vince Guaraldi (p), Monty Budwig (b), Stan Levey (ds)。トロンボーンとテナーサックスの2管フロントのクインテット編成。ケントン楽団、ライトハウス・オールスターズなどで活躍した実力派トロンボーン奏者のリーダー作。

トロンボーンが入っていたら、その低音を活かすべく、もう一本、トランペットかアルト・サックスなどの管を入れて3管フロントにしそうものなのだが、ここでは、ロソリーノのトロンボーンを前面に押し出すべく、2管フロントにしたのだろう。確かに全編に渡って、ロソリーノのトロンボーンがしっかりと目立っている。
 
 
Frank-rosolino-5  
 
 
2管だと双方の相性が決めてになるが、この盤でのロソリーノのトロンボーンとリッチー・カムカのテナー・サックスとの相性は抜群。フレーズのテンポもしっかり同期が取れているし、音の質も良く似ている。これだけ相性が良いと、米国西海岸ジャズの十八番である「ユニゾン&ハーモニー」のアレンジがバッチリと活きてくる。

それが証拠に、この盤でのトロンボーンとテナーのユニゾン&ハーモニーが実に心地良い。流麗でありハモりが心地良い。この心地良いユニゾン&ハーモニーのテーマ部があるので、その後のアドリブ部でのそれぞれの楽器のソロが更に映えるのだ。ロソリーノのソロは結構、自由度が高い。凄まじいテクニックで自由度の高いアドリブを繰り広げる。そんなロソリーノのソロが映える。

加えて、演奏がとても端正で聴いていて気持ち良い。何とか努力して端正な演奏をしているのでは無く、自然と楽しみつつ端正な演奏をしている。この普通に自然に、端正な演奏を実現してしまうところが、なんとも西海岸ジャズらしい。この盤には米国西海岸ジャズの良いところがギッシリ詰まっている。ロソリーノのトロンボーンが良い音してる。聴いていてホノボノ心地良い。
 
 
 
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2019年12月 1日 (日曜日)

1990年代以降のロイドを聴く

チャールズ・ロイド(Charles Lloyd)。1960年代後半、突如、現れ出で、ジョン・コルトレーンの聴き易い部分をカヴァーして人気を博した。特に、コルトレーンのフリーキーな部分は「人種差別に抗議する怒り」として捉えられ、この「コルトレーンのフリーキーな演奏」を聴きやすくしたところが、フラワー・ムーヴメメント、ヒッピー・ムーヴメントの中でウケにウケた。

しかし、このコルトレーンの聴き易い、ええトコ取りをしたアプローチが胡散臭い。加えて、ロイド人気の半分以上は、バックのリズム・セクションの人気だった。このバックのリズム・セクションが、キース・ジャレットのピアノ、セシル・マクビーのベース、ジャック・デジョネットのドラムで、当時、それはもう新しい響きのモーダルなジャズで素晴らしいもの。このトリオの人気が意外と大きかった。

1970年代に入って、クロスオーバー・ジャズの波が押し寄せ、商業ロックが台頭し、メインストリーム・ジャズの人気が衰退していった。合わせてロイドの人気は下降し、遂には忘れられた人となった。1980年代は完全にロイドの名前は無かった。が、つい最近、といっても5年ほど前だが、ECMレーベルからリーダー作を出しているロイドに気がついた。調べれば、1989年から、ECMレーベルの下で、ロイドはリーダー作を連発していた。
 
 
Fish-out-of-water-charles-lloyd  
 
 
Charles Lloyd『Fish Out of Water』(写真左)。1989年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts, fl), Bobo Stenson (p), Palle Danielsson (b), Jon Christensen (ds)。バックのリズム・セクションは、スウェーデン出身2人、ノルウェー出身1人。チャールズ・ロイドのテナー&フルートのワンホーン・カルテット。リリースは、欧州ジャズの老舗レーベルのECM。

アルバムに詰まっている演奏の雰囲気は「欧州の純ジャズ」。バックのリズム・セクションが北欧メインなので、音の響きは北欧ジャズ。ロイドのテナーは北欧ジャズのスタンダードである「クリスタルな切れの良い」音よりも暖かでエッジが丸い。米国ジャズってほどでは無いのだが、クールな熱気をはらんだテナーは意外と個性的である。欧州のテナーマンには無い独特の個性。

1989年にロイドはこんなに魅力的なワンホーン・カルテット盤を出していたんですね。全く知らなかった。1960年代の胡散臭さ漂うリーダー作ばかりが我が国ではジャズ雑誌に載ってきたので、ロイドの1990年代の活躍は全く意識していなかった。全く以て不明を恥じるばかりである。そして、今、1990年代以降のロイドのリーダー作を聴き進めている。これが意外と楽しいのだ。
 
 
 
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