コンテ・カンドリのワンホーン作
米国西海岸ジャズの好盤のジャケットをズラリと並べて見渡していると、ちょっと古風な肖像画の様な、やけにリアルな顔がアップのジャケットが結構あるのに気が付く。Mode Labelのジャズ盤である。これらを僕は「西海岸の肖像画ジャケット」と勝手に名付けて、ちょくちょく引きずり出して来ては楽しんでいる。
『Conte Candoli Quartet』(写真左)。1957年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Conte Candoli (tp), Vince Guaraldi (p), Monty Budwig (b), Stan Levey (ds)。ビンス・ガラルディがピアノのリズム・セクションをバックにした、コンテ・カンドリのトランペットがワンホーンのカルテット編成。「西海岸の肖像画ジャケット」はカンドリの顔のアップ。
コンテ・カンドリって、他の管楽器と混じって演奏することが多くて、カンドリのトランペット単体を心ゆくまで愛でるというところまでいかない。もともと、米国西海岸ジャズって、曲毎の演奏時間ってそんなに長くないので、フロントが2管編成、3管編成の演奏では、管それぞれのアドリブの所要時間は短い。これではアドリブ・ソロの個性と特徴を捉えるにはちょっと辛い。
しかし、このワンホーン・カルテット盤は違う。管がカンドリだけ。やっとカンドリのトランペットの個性と特徴が心ゆくまで鑑賞出来るってもんだ。オープン・ホーンは明るい開放的な音でよく唄う。テクニックも優秀で指捌きは流暢。ミュート・プレイも淀みが無い。ミュートの音も小気味良くブリリアントで、ブラスの細やかな響きが素敵である。カンドリのトランペット、良い音している。
どの曲も米国西海岸ジャズの特徴が前面に出ている。テーマの部分からアレンジが実に良い。楽器同士の豊かな響き、洒落たユニゾン&ハーモニー。演奏全体の雰囲気は明るく爽やか。お洒落で健康的にアーバン。1950年代の米国西海岸ジャズの豊かで粋で洒落た音世界がこのアルバムに詰まっている。特に、3曲目のバラード曲「Flamingo」は、西海岸ジャズの良い面が思いっ切り出ていて絶品。
このMode Labelの「西海岸の肖像画ジャケット」のシリーズって、米国西海岸ジャズで活躍するジャズマンのショーケースの様な内容。有名どころから、知る人ぞ知るマニア向けまで、米国西海岸ジャズのジャズマンがリーダーとしてずらりと並んでいる。この「西海岸の肖像画ジャケット」を並べてみると壮観である。
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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