1970年代ロックのカヴァー集
以前にリリースされた既出のアルバムを色々と漁っては聴き直していたので、そんなに前作と間が空いたのか、とビックリした。スパイロ・ジャイラの新作は約6年振りのリリース。スパイロ・ジャイラは1974年の結成だから、結成以来、既に40年以上が経過している、フュージョン&スムース・ジャズのグループの老舗中の老舗である。
Spyro Gyra『Vinyl Tap』(写真左)。2019年10月のリリース。メンバーは、90年代前半から続く浮動の4人、Jay Beckenstein (sax), Tom Schuman (key), Julio Fernández (g), Scott Ambush (b) と、新加入のドラム奏者 Lionel Cordew。前任のドラム奏者 Lee Pearson は前作1作のみで交代となったようだ。
出てくる音は、確実に「スパイロ・ジャイラ」の音。冒頭の曲「Secret Agent Mash」の演奏をちょっと聴いただけで、それと判る個性。で、この冒頭の「Secret Agent Mash」って、どこかで聴いたことがある。というか、よく聴いた。ロリンズの演奏だ。そう「アルフィーのテーマ」。そして、2曲目以降、どの曲も「あれっ、どっかで聴いたことがあるぞ」という曲ばかりなのだ。聴き進めるにつれ、思わず頬が緩み、ニコニコしてくる。
この盤の収録曲を列挙すると以下の様になる。1曲目のジョニー・リバースの「Secret Agent Mashと8曲目のオリヴァー・ネルソンの「Stolen Moments」のジャズの有名曲以外、1970年代のロック、ソウルの名曲のカヴァー演奏がズラリである。1970年代ロック&ポップスも得意ジャンルとする私としては嬉しいことこの上無し、である。
1. Secret Agent Mash(Johnny Rivers)
2. Sunshine Of Your Love(Cream)
3. Can’t Find My Way Home(Blind Faith/Steve Winwood)
4. What A Fool Believes(The Doobie Brothers)
5. The Cisco Kid(War)
6. You’ve Got To Hide Your Love Away(The Beatles)
7. Tempted(Squeeze)
8. Stolen Moments(Oliver Nelson)
9. Carry On(CSN&Y)
カヴァーされた曲はどれもが名曲揃い。それが故にメイン・フレーズが印象的かつ個性的なものが多く、安易にカヴァーすると、趣味の悪い「軽音楽」っぽくなるのだが、スパイロの場合はそうはならない。それぞれ、メイン・フレーズはなぞらえるだけで、ドンドンとアドリブ部に入って、ジャズっぽいインタープレイを展開する。このアドリブ部をだけ聴くと、何の曲だかまるで分からない。
このアレンジが良い。名曲の持つ魅力的なメイン・フレーズに頼らないところがジャズっぽい。実は今回のスパイロの新作、往年のロックやポップス、ジャズ、ソウルのカヴァー集という触れ込みで、ちょっと不安だったのだが、そんな不安はこの新作を一度聴くだけで全面的に払拭された。スパイロ・ジャイロって、未だに隅に置けんなあ。
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« コンテ・カンドリのワンホーン作 | トップページ | 1990年代以降のロイドを聴く »
コメント