« 2019年10月 | トップページ | 2019年12月 »

2019年11月の記事

2019年11月30日 (土曜日)

1970年代ロックのカヴァー集

以前にリリースされた既出のアルバムを色々と漁っては聴き直していたので、そんなに前作と間が空いたのか、とビックリした。スパイロ・ジャイラの新作は約6年振りのリリース。スパイロ・ジャイラは1974年の結成だから、結成以来、既に40年以上が経過している、フュージョン&スムース・ジャズのグループの老舗中の老舗である。

Spyro Gyra『Vinyl Tap』(写真左)。2019年10月のリリース。メンバーは、90年代前半から続く浮動の4人、Jay Beckenstein (sax), Tom Schuman (key), Julio Fernández (g), Scott Ambush (b) と、新加入のドラム奏者 Lionel Cordew。前任のドラム奏者 Lee Pearson は前作1作のみで交代となったようだ。

出てくる音は、確実に「スパイロ・ジャイラ」の音。冒頭の曲「Secret Agent Mash」の演奏をちょっと聴いただけで、それと判る個性。で、この冒頭の「Secret Agent Mash」って、どこかで聴いたことがある。というか、よく聴いた。ロリンズの演奏だ。そう「アルフィーのテーマ」。そして、2曲目以降、どの曲も「あれっ、どっかで聴いたことがあるぞ」という曲ばかりなのだ。聴き進めるにつれ、思わず頬が緩み、ニコニコしてくる。

この盤の収録曲を列挙すると以下の様になる。1曲目のジョニー・リバースの「Secret Agent Mashと8曲目のオリヴァー・ネルソンの「Stolen Moments」のジャズの有名曲以外、1970年代のロック、ソウルの名曲のカヴァー演奏がズラリである。1970年代ロック&ポップスも得意ジャンルとする私としては嬉しいことこの上無し、である。
 
 
Vinyl-tap  
 
 
1. Secret Agent Mash(Johnny Rivers)
2. Sunshine Of Your Love(Cream)
3. Can’t Find My Way Home(Blind Faith/Steve Winwood)
4. What A Fool Believes(The Doobie Brothers)
5. The Cisco Kid(War)
6. You’ve Got To Hide Your Love Away(The Beatles)
7. Tempted(Squeeze)
8. Stolen Moments(Oliver Nelson)
9. Carry On(CSN&Y)

カヴァーされた曲はどれもが名曲揃い。それが故にメイン・フレーズが印象的かつ個性的なものが多く、安易にカヴァーすると、趣味の悪い「軽音楽」っぽくなるのだが、スパイロの場合はそうはならない。それぞれ、メイン・フレーズはなぞらえるだけで、ドンドンとアドリブ部に入って、ジャズっぽいインタープレイを展開する。このアドリブ部をだけ聴くと、何の曲だかまるで分からない。

このアレンジが良い。名曲の持つ魅力的なメイン・フレーズに頼らないところがジャズっぽい。実は今回のスパイロの新作、往年のロックやポップス、ジャズ、ソウルのカヴァー集という触れ込みで、ちょっと不安だったのだが、そんな不安はこの新作を一度聴くだけで全面的に払拭された。スパイロ・ジャイロって、未だに隅に置けんなあ。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 


2019年11月29日 (金曜日)

コンテ・カンドリのワンホーン作

米国西海岸ジャズの好盤のジャケットをズラリと並べて見渡していると、ちょっと古風な肖像画の様な、やけにリアルな顔がアップのジャケットが結構あるのに気が付く。Mode Labelのジャズ盤である。これらを僕は「西海岸の肖像画ジャケット」と勝手に名付けて、ちょくちょく引きずり出して来ては楽しんでいる。

『Conte Candoli Quartet』(写真左)。1957年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Conte Candoli (tp), Vince Guaraldi (p), Monty Budwig (b), Stan Levey (ds)。ビンス・ガラルディがピアノのリズム・セクションをバックにした、コンテ・カンドリのトランペットがワンホーンのカルテット編成。「西海岸の肖像画ジャケット」はカンドリの顔のアップ。

コンテ・カンドリって、他の管楽器と混じって演奏することが多くて、カンドリのトランペット単体を心ゆくまで愛でるというところまでいかない。もともと、米国西海岸ジャズって、曲毎の演奏時間ってそんなに長くないので、フロントが2管編成、3管編成の演奏では、管それぞれのアドリブの所要時間は短い。これではアドリブ・ソロの個性と特徴を捉えるにはちょっと辛い。 
 
 
Conte-candoli-quartet  
 
 
しかし、このワンホーン・カルテット盤は違う。管がカンドリだけ。やっとカンドリのトランペットの個性と特徴が心ゆくまで鑑賞出来るってもんだ。オープン・ホーンは明るい開放的な音でよく唄う。テクニックも優秀で指捌きは流暢。ミュート・プレイも淀みが無い。ミュートの音も小気味良くブリリアントで、ブラスの細やかな響きが素敵である。カンドリのトランペット、良い音している。

どの曲も米国西海岸ジャズの特徴が前面に出ている。テーマの部分からアレンジが実に良い。楽器同士の豊かな響き、洒落たユニゾン&ハーモニー。演奏全体の雰囲気は明るく爽やか。お洒落で健康的にアーバン。1950年代の米国西海岸ジャズの豊かで粋で洒落た音世界がこのアルバムに詰まっている。特に、3曲目のバラード曲「Flamingo」は、西海岸ジャズの良い面が思いっ切り出ていて絶品。

このMode Labelの「西海岸の肖像画ジャケット」のシリーズって、米国西海岸ジャズで活躍するジャズマンのショーケースの様な内容。有名どころから、知る人ぞ知るマニア向けまで、米国西海岸ジャズのジャズマンがリーダーとしてずらりと並んでいる。この「西海岸の肖像画ジャケット」を並べてみると壮観である。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月28日 (木曜日)

ふてぶてしく頼もしいリーダー作

ジャズの歴史に名を残す、レジェンド級のジャズマンは、デビュー盤である「初リーダー作」で、自らが持つ個性を最大限に表現している。加えて、吹きっぷりも迷いが無く淀みが無く、思いっ切りストレートに吹き切っている。その吹き切り方にも個性があって、「俺はこういう風に吹くのが良いんや〜」という矜持がビンビンに伝わってくる。

Wallace Roney『Verses』(写真左)。1987年2月19日の録音。良い音で録音されてるな〜と思ったら、やっぱり「Van Gelder Studio」での録音ですね。ちなみにパーソネルは、Wallace Roney (tp), Gary Thomas (ts), Mulgrew Miller (p), Charnett Moffett (b), Tony Williams (ds)。なかなか厳選された、若手中心の2管クインテット編成。

マイルスに触発された「ブリリアントなマイルス」的なトランペッター、ウォレス・ルーニーの初リーダー作である。ウォレス・ルーニーの音楽的な原点は1960年代マイルス・デイビス・クインテットにあるのだが、その1960年代マイルスを、純ジャズ復古後の「新伝承派」で焼き直し洗練されたもの。ルーニーは録音当時は27歳。若さに任せて、溌剌と吹きまくっている。
 
 
Verses-wallace-roney  
 
 
マイルスもそうだったし、ブラウニーもそうだったし、ハバードもそうだった。そうそう、モーガンもそうだったし、ショウもそうだった。皆、初リーダー作の頃は、迷いが無く淀みが無く、思いっ切りストレートに吹き切っていた。このルーニーもそうである。テンポの速い曲もスローなバラードも、とにかく思いっ切り吹き切っている。これが清々しい。嫌味にならず、耳に付かず、気持ち良く耳に響く。

これが大切なんだろうな〜。楽器を吹くって、心に響く楽器の音ってそういうもんなんだろうな〜、とこのルーニーの初リーダー作を聴いていて、つくづく思う。マイルスに強く影響を受けているのが良く判るが、マイルスよりもブリリアントで、マイルスよりも躍動感が強い。ここをどう聴くかによって、ルーニーのトランペットの評価は変わる。

マイルス2世と聴けば「イマイチ」、マイルスを基本とした個性と聴けば「有望株」。マイルス2世と形容する人もいるが、僕はマイルスを基本とした新しい個性と聴いた。とても初々しい新しい個性に満ちた初リーダー作である。マイルスのモード演奏で有名な、ビル・エヴァンス作「Blue in Green」を選曲しチャレンジしているところなど、ふてぶてしくて頼もしい。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月27日 (水曜日)

小粋なジャケット、小粋な演奏

ジャズにおいて、粋なジャケットに「駄盤」は無い。特に、米国西海岸ジャズについてはその傾向が強い。というか、米国西海岸ジャズのジャズ盤って、ジャケット・デザインが優れているものが多い。米国西海岸ジャズは「聴かせるジャズ」という志向が強いが、ジャケットについても「見せるジャケット」を意識しているのだろう。

とにかく、東海岸の「プレスティッジ・レーベル」の様に、ジャズのアルバムのジャケットがどうしてこうなるのか、と首を傾げるジャケット・デザインが多くあって、どうにもジャケットって、ただLPを収納する厚紙のケースとしか思っていなかったフシがある。それに対して、西海岸ジャズのジャケットは正反対。見ていても安心出来るものが多い。

Red Mitchell『Happy Minors』(写真左)。1955年2月1日、LAでの録音。ちなみにパーソネルは、Conte Candoli (tp), Zoot Sims (ts), Bob Brookmeyer (tb), Claude Williamson (p), Red Mitchell (b), Stan Levey (ds)。米国西海岸ジャズを担う優秀なジャズメンがズラリと集う、フロント3管のセクステット構成。このパーソネルを見ただけで、この盤の内容が想像できるくらいだ。
 
 
Happy-minors-red-mitchell
 
 
3管フロントである。西海岸ジャズである。アレンジが行き届いている。3管フロントのユニゾン&ハーモニーが絶妙である。聴いていて、思わず惹き込まれる。それでいて、バックのリズム&ビートは軽妙で爽やか。決して、3管フロントの味のあるニュアンスを損なうことは無い。冒頭のタイトル曲を聴くだけで「ああこれは、米国西海岸ジャズのハードバップやなあ」と感じるのだ。

そして、ソリッドで骨太で流麗なベースのフレーズを聴いて「ああこれは、レッド・ミッチェルやなあ」と感じる。米国西海岸ジャズの当時のファースト・コールなベーシストは、レッド・ミッチェルとオスカー・ペティフォード。ペティフォードは堅実で野太いベース。ソリッドで流麗なベースはミッチェル。バップなピアノのクロード・ウィリアムソンにはミッチェルが似合う。

ズートのドライブ感溢れる堅実なテナーも良い。ブルックマイヤーのトロンボーンも低音中心に良く効いている。アルバムの収録時間は30分程度と短いが、そんなこと全く気にならない、米国西海岸ジャズの爽快なハードバップ演奏がここにある。やっぱりアレンジが良いんだろうな。演奏の部分部分が耳に残って、暫くしてまた聴きたくなる。そんな長いスパンでの「ヘビロテ盤」である。
 
 
 

東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月26日 (火曜日)

日本発の現在進行形エレ・ジャズ

ダウンロード・サイト経由で聴いて「これは面白い」と思った。「こういうジャズがまだ出てくるんだ」と感心した。エレクトリック・ジャズ、エレ・マイルスが好きなジャズ者であれば、きっと気に入ると思う。20世紀のエレクトリック・ジャズを洗練させて、今のエレクトロ機材をふんだんに使用した「現代のエレクトリック・ジャズ」。

THE DOOOD『DOOODISM』(写真左)。今年の9月のリリース。バンド名は「THE DOOOD」=「ザ・ドゥードゥ」と読む。メンバーは、斎藤タカヤ (p, Rhodes, key, Program, vo), 松岡”matzz”高廣 (perc), 大津 惇 (ds)。現代の現在進行形の最先端の「ジャズ」の音世界がこの盤に詰まっている。エレ・ジャズ好きには堪らない。
 
1960年代後半のエレ・マイルスから聴き始め、リアルタイムでエレ・マイルスを体験して来た「耳」には、この盤の音は「堪らない」。音世界の基本は「アフロ・キューバン」と「1970年代のジャズ・ファンク」。そこにメロウなファンク・グルーヴとハウス・ミュージック的なビートを融合させている。
 
 
The-doooddooodism  
 
 
1960年代〜70年代のエレ・ジャズと異なるのは、ロックの要素が全く感じられないこと。感じるのは「ジャズ」の要素のみ。ファンク、アフロ・キューバンなど、1960年代のジャズの要素が現代の最新のエレクトロ機材を通じて、新しい「エレクトリック・ジャズ」の響きを形成している。どこまで即興演奏で、どこまで準備されているのかは判らないが、この盤の音世界は確実に「コンテンポラリーな純ジャズ」。
 
面白いのは「日本人」によるエレ・ジャズであるが故、ファンクな要素メインなんだが、決して「黒く」無い。乾いたライトなファンクネスが特徴。日本人のエレ・ジャズの特徴をしっかりと引き継いでいる。これがまた「良い」。流麗でメロウで切れ味の良い展開など、きめ細やかな日本人ジャズの良いところが、そこかしこに感じる。
 
宣伝文句どうり、現在進行形の「エレクトリック・ジャズ」。今までのジャズが吸収してきた「ファンク・ソウル・ラテン・R&B」などを反映して、現代の最先端のジャズの「リズム&ビート」に乗せて、メロウにメロディアスに展開する。聴き味抜群、切れ味抜群の「エレクトリック・ジャズ」。エレ・ジャズ者にとっては「マストアイテム」。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月25日 (月曜日)

モブレーを理解する「第一歩」

40年以上前、ジャズを聴き始めてから、ずっと「ハンク・モブレー(Hank Moblay)」が良く判らなかった。1930年7月生まれ。1986年5月、55歳にて没。活躍したのは、1955年から1970年辺りの約15年余り。ブルーノートでのリーダー作は華々しい限り。1957年には8枚ものリーダー作を録音している。しかし、1972年の『Breakthrough!』以降はリーダー作もサイドマンとしての客演も無く、全く地味な晩年だった。
 
ハンク・モブレーの代表作3部作『Soul Station』『Roll Call』『Workout』は良く聴いたが、他のアルバムについては、モブレーって好不調の波が結構あるので、ある盤では「これは結構凄いなあ」と感じる反面、ある盤では「なんじゃこれ、元気ねえなあ」なんてちょっと首を傾げたくなる盤もあるので、選盤が面倒くさくなる。結局、他のテナーマンのリーダー盤に走ったりして、しばらくモブレーの事は忘れていた。
 
最近、ふと思った。何故、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンはモブレーを重用したのか。マイルスは何故、コルトレーンの後任にモブレーを据えようと考えたのか。どうにも、代表作3部作を聴くだけではよく判らない。ということで、今まで「つまみ食い」的に聴いてきたモブレーのリーダー作をガッツリと全て聴き直すことにした。
 
 
Hank-mobley-4  
 
  
『Hank Mobley Quartet』(写真左)。1955年3月27日の録音。ちなみにパーソネルは、Hank Mobley (ts), Horace Silver (p), Doug Watkins (b), Art Blakey (ds)。リリース当時は10" LP仕様。アルバム全体でも26分という短さ。しかし、アルバムというもの、収録時間の長さが価値では無い。その中に記録されているパフォーマンスの出来である。
 
この盤はモブレーの初リーダー作。録音当時は24歳のモブレーのワンホーン・カルテット。バックを支えるリズム・セクションも当時の精鋭メンバーで充実のサポート。そんな充実のカルテット編成で、モブレーは溌剌とテナーを吹きまくる。しっかりと芯の入った骨太なブロウ。テクニック良く流れる様なアドリブ・フレーズ。この盤のモブレーは、テナーマンとしての類い希な才能と素性の良さを大いに感じさせてくれる。
 
そして、この盤で判るのは、モブレーの「作曲の才」。5曲目の「Love for Sale」以外、他の5曲はモブレーの作曲。どの曲も出来は上々。この作曲の才って、当時、凄いことなのだ。そうそう自作曲を多数、用意できるジャズマンはいない。モブレーの最大の個性は、この「卓越したコンポーザー」としての才能ではなかったか。その才の上に、テナー・インプロバイザーとしての才がある。モブレーを理解する上で、最初に聴くべき好盤である。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月24日 (日曜日)

地味だけど味わいのあるアコギ

朝夜と冷え込む様になった。特に、この金曜日から土曜日にかけては寒いのなんのって。いきなり冬でした。しかし、今日は朝からちょっと暖かくなって、ちょうど11月下旬の陽気に戻った様です。明日は天気は悪いが、季節外れの暖かさ、でも明後日は気温は急降下とか。今年の秋は気温の乱高下が目立つ。

今年の秋は「米国西海岸ジャズ」。西海岸ジャズの100枚、と題して、ピックアップしたジャズ盤を順に、聴きなおしたり初めて聴いたり。米国西海岸ジャズは「優れたアレンジ・アーバンな雰囲気・洒脱なアドリブ」。東海岸ジャズの「熱気」に対する、西海岸の「洒脱」。東海岸ジャズのポイントは「アドリブ」、西海岸ジャズのポイントは「アレンジ」。

Al Viola『Solo Guitar』(写真左)。1957年の作品。サントラなど生涯で500タイトル以上の録音に参加、フランク・シナトラのサポートを25年に渡って務めた「裏方職人な」ギタリスト、アル・ヴィオラ。彼のギターには、整然とした「自由」と「節度」が共存している。端正な閃きに溢れた即興演奏。ソロ・ギターでありながら、曲毎に良くアレンジされている。
 
 
Solo-guitar-al-viola  
 
 
ジュリー・ロンドンの『Lonely Girl』では、アコギ1本で伴奏を務めている。アル・ヴィオラのアコギは地味ではあるが説得力があり、ギターのユニゾン&ハーモニーがシャープであり、音の伸びと抜けがやたらと良い。そんなアコギ一本でジュリーのボーカルを受け止めている。そんな印象的な音のアコギがソロ・ギターを奏でている。

超絶技巧な生ギターのソロ演奏。晩秋の夜長、米国西海岸ジャズが聴きたいと思ったら、まずはこの一枚。クラシックの素養がベースの、西海岸ジャズらしい、音の基礎が整った、ほど良くアレンジされた即興ジャズ。ギター。大向こう張った、大掛かりな展開とは全く以て無縁。地味と言って良い程、淡々と粛々とアドリブ・フレーズを展開していく。

全編クラシック・ギター1本で奏でられた、リラックスして聴けるギター・ソロの傑作盤。地味ではあるが、聴けば聴くほどの味わいのある、噛めば噛むほど味が出る「スルメの様な」盤。シンプルなアコギ1本の音が、こんなにも表情豊かでニュアンスに濃淡があるのか、と改めて驚く。こんなギター・ソロ盤が米国西海岸ジャズに存在するとは。いやはや、米国西海岸ジャズは奥が深い。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月23日 (土曜日)

「キースのソロ」の個性の完成

キース・ジャレットのソロ・ピアノは「キースの専売特許」だと思っている。その特徴である「現代音楽風で内省的、ピアノの響き、リズム&ビートはクラシック風。クリスタルでクリアで超絶技巧なクラシック・ピアノの様な展開」。この特徴は他のピアニストもフォローできると思うんだが、キースのソロについては「フォロワー」がいない。

キース自身もキース風のソロ・ピアノは自身の専売特許だと強く思っているらしく、キースの後進の「耽美的」ピアニストのソロ・ピアノについては手厳しい評価を表明、特に「ブラッド・メルドー」のソロ・ピアノについてはかなり辛口である。他のピアニストもキースにここまで言われてまで、同じテイストのソロ・ピアノはやろうと思わないのだろう。

加えて、このキースの専売特許である「ソロ・ピアノ」は、厳密に言って、僕は「ジャズ」だとは思っていない。即興演奏がメインなので、安易に「ジャズ」に分類されるが、どちらかと言えば「クラシック」と解釈して良いものだと感じている。キースがキースの個性で演奏する「クラシック風の即興ピアノ」。そのキースのソロ・ピアノの「完成」を感じるアルバムがこれ。
 
 
Vienna-concert  
 
 
Keith Jarrett『Vienna Concert』(写真左)。1991年7月13日、ウィーンの「Vienna Staatsoper」でのライブ録音。収録されたパフォーマンスは40分を超える「Vienna, Part 1」、25分を超える「Vienna, Part 2」の2つ。この2つのパフォーマンスは、キースのソロ・ピアノの特徴である「現代音楽風で内省的、ピアノの響き、リズム&ビートはクラシック風。クリスタルでクリアで超絶技巧なクラシック・ピアノの様な展開」がバッチリと反映されている。

ジャズの要素はほとんど感じられない。あるのは、唯一無二で複雑で自意識過剰な、キースのキースによるキースの為のソロ・パフォーマンスのみ。極上の即興のクラシック。キースにしか許されていないソロ・パフォーマンスのみが展開される。このライブ盤では、このキース特有のソロ・パフォーマンスのみが収録されている。前作『Paris Concert』のアンコールの様な、ジャジーなソロ・パフォーマンスは微塵も無い。

キースの、自身のソロ・ピアノに対する揺るぎの無い自信を感じる。ジャズ者の聴衆にすら迎合することのない、圧倒的なキースのキースによるキースの為のソロ・パフォーマンス。彼のソロ・ピアノに対するセンスと美意識、そして、それを支える比類無きテクニックを強烈に感じさせてくれる。キースのソロ・ピアノ盤の中でも屈指の内容である。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月22日 (金曜日)

「キースのソロ」の個性と発展

いつもどこかに散りばめられているグルービーなリズム&ビートはどこへやら。現代音楽風で内省的、ピアノの響き、リズム&ビートはクラシック風。クリスタルでクリアで内省的で、超絶技巧なクラシック・ピアノの様な展開。演奏自体は完全即興演奏なので、その「即興演奏」の部分で、このライブ盤でのキースのソロ・ピアノは辛うじて「ジャズ」の範疇に留まる。『Dark Intervals』で固まった、キースのソロピアノの方向性。

Keith Jarrett『Paris Concert』(写真左)。1988年10月17日、Salle Pleyelでのライブ録音。僕が、キースのソロピアノの方向性を決定付けたポイントと感じている『Dark Intervals』の次のソロピアノ盤である。収録曲、というか収録パートは3つ。「October 17, 1988」と「The Wind」「Blues」。いよいよ、『Dark Intervals』で固めたソロピアノの演奏の方向性のお披露目である。

最初のパート「October 17, 1988」が、現代音楽風で内省的、ピアノの響き、リズム&ビートはクラシック風である。暗く重い出だし。徐々にポジティヴな展開に変化しつつ、穏やかでリリカルで静的な展開に着地し、最終的に昇華され浄化されるようなラスト。途中、左手のビートが活躍する展開はあるが、ビートの質は「均一ビート」。ジャジーなオフビートでは無い。
 
 
Paris-concert-keith-jarrett  
 
 
最初のパート「October 17, 1988」は純粋にジャズと解釈するのには、ちょっと無理がある。演奏が「即興」なので、音楽のジャンルに分類するのには「ジャズ」しかない、という感じで、このキースのソロ・パフォーマンスは「ジャズ」とされるが、どちらかと言えば「クラシック」と解釈して良いと思う。もともと、キースはクラシック・ピアニストとしても相当の実力を持っているので、意外と「言い得て妙」だと思うのだが。

しかし、2つ目のパート「The Wind」は、ジャズ・スタンダード曲。ミュージシャンズ・チューン。このパフォーマンスはどこを取っても「ジャズ」。ピアノの響きと展開はまだ「クラシック」の傾向が強いが、右手の即興フレーズはしっかりと「ジャズ」化している。そして、ラストのパート「Blues」で一気に、ソロピアノのパフォーマンスはジャズになる。これが絶妙なのだ。この「Blues」には、いつもどこかに散りばめられているグルービーなリズム&ビートが戻って来ている。

このライブ盤の収録された頃は、キースのソロ・パフォーマンスはまだ「ジャズ」だと解釈されていた。そこに現代音楽風で内省的、ピアノの響き、リズム&ビートはクラシックな演奏。この即興クラシックな演奏はまだまだ聴く方からすると「毒」がある。その「毒」を中和する役割を担ったのが、この「Blues」。メインディッシュの後のデザートの様な味わい。この『Paris Concert』は収録されたパフォーマンスのバランスがとても良い。キースのソロピアノの代表作の一枚として良いと思う。 
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月21日 (木曜日)

デュークのピアノの個性を愛でる

デューク・エリントンはビッグバンドの主宰者で有名だが、実はピアノニストとしても優れた才能の持ち主である。ピアニストとして参加して、優れたアルバムを多く残している。しかし、昔は、このデュークのピアノ盤がなかなか入手出来なかったという状況もあって、なかなかポピュラーな存在にならなかった様に感じる。

Duke Ellington『Money Jungle』(写真左)。1962年9月17日の録音。ちなみにパーソネルは、Duke Ellington (p), Charles Mingus (b), Max Roach (ds)。ハードバップが成熟、ジャズが多様化に舵を切った時代に、デューク・エリントンが、ビ・バップ時代からのレジェンド級の大物2名を従えて、堂々のピアノ・トリオである。

事前知識として、ミンガスのベースとローチのドラムを採用して、デュークはピアノ・トリオを組んだ、ということは判ったんだが、何故ミンガスとローチだったのか。他のベースと他のドラムでは駄目だったのか。それはデュークのピアノの個性を聴いたら、何となく理解出来る。
 
 
Money-jungle-1  
 
 
デュークのピアノは「ゴツゴツ硬派なバップ・ピアノ」である。硬派で指の回る、音符が適度に多いセロニアス・モンク、とでも形容したら良いのか。雄々しい太い硬質な音。いわゆる「バップな」音。そんな「バップな」ピアノには、バップなベースとバップなドラムが良く似合う。ここではバップなベースは「チャールズ・ミンガス」、バップなドラムは「マックス・ローチ」。

とにかく、デュークのピアノの個性がビンビンに伝わってくる好盤。とにかくユニークなデュークのピアノ。それまでの、そして、それからの他のジャズ・ピアノには全く類似の無い、唯一無二のデュークのピアノの個性。そんなデュークのピアノには、やはりデューク作のオリジナル曲が良く似合う。

このピアノ・トリオ盤は、デュークの、デュークによる、デュークの為のピアノ・トリオ盤。デュークのピアノをフィーチャーし、デュークのピアノが一番聴こえてきて、デュークのピアノが一番楽しめる盤である。ミンガスのベースとローチのベースは、デュークのピアノの個性を更に惹き立たせる為に存在する。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月20日 (水曜日)

日本人による「エレ・マイルス」

今を去ること40年以上前、FMでマイルス・デイヴィスの日本公演の実況録音を聴いた瞬間から、エレクトリック・ジャズがお気に入りである。今から振り返ると、あの実況録音の音源って、後の『アガルタ』だった。当時、一番尖った最先端のエレクトリック・ジャズを僕は耳にしたことになる。これは幸運なことであった。

Selim Slive Elementz『VOICE』(写真左)。先日、この盤の音を聴いた時、これは、と感じた。音のベースはエレ・マイルス。しかも、周到に準備され、優れたアレンジが施されたエレ・マイルス。洗練された、流麗な、それでいてインパクトのあるエレ・マイルス。それが、このSelim Slive Elementzというバンドの音である。では、この「Selim Slive Elementz」とは何か?

「Selim Slive Elementz」は、マイルス・デイヴィスと交流のあった音楽ジャーナリスト 小川隆夫が、quasimodeのリーダー平戸祐介と手を組み、マイルス・ミュージックの遺伝子を受け継いだ精鋭プレイヤーたちで結成したスーパー・ジャム・バンド(宣伝より)。ちなみにパーソネルは、小川 隆夫 (g), 平戸 祐介 (key), 元晴 (as, ss), 栗原 健 (ts), 小泉P克人 (elb), コスガ ツヨシ (g), 大竹 重寿 (ds), 西岡 ヒデロー (perc)。
 
 
Voice-1  
  
 
「2サックス、2ギター、4リズムが織りなす21世紀のエレクトリック・マイルス・サウンド」がキャッチ・フレーズ。確かにその通りで、この盤に詰まっている音は、確実に「エレ・マイルス」である。が、エッセンスは踏襲しているが、エレ・マイルスのコピー、カヴァーに全くなっていないところが良い。出てくる音は確実に個々のメンバーのオリジナリティー溢れるもの。

しかし、演奏として感じるのは「エレ・マイルス」。エレ・マイルスの音世界もこういう風に継承されていく時代になったんだなあ、と感慨深いものを感じる。そして音の傾向は「日本人」。エレ・マイルスの肝は「ファンクネス」なんだが、このファンクネスが乾いている。この乾いたファンクネスって日本人独特なものと僕は感じている。その乾いた「ファンクネス」がこの盤に詰まっている。

実はこの「エレ・マイルス」のエッセンスを踏襲した新盤、メンバーの中に「トランペット」がいない。トランペットを入れると、あまりにエレ・マイルスしてしまうのを避けた、とのこと。しかし、トランペットが不在で、これだけ「エレ・マイルス」のエッセンスを踏襲して、かつオリジナリティを最大限に発揮し表現できるとは。Selim Slive Elementzというバンド、末恐ろしいほどのポテンシャルを秘めていると見た。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月19日 (火曜日)

僕のエリントン楽団の入門盤

ジャズのビッグバンドの「横綱格」といえば、デューク・エリントン楽団だろう。かたや、カウント・ベイシー楽団という声もあるが、僕はエリントン楽団に軍配を上げたい。音の厚み、個性的なフレーズ、優れたアレンジ。ほんの僅かではあるが、エリントン楽団を「東の横綱」に、ベイシー楽団を「西の横綱」に推したい。

しかし、である。僕はジャズ者初心者の頃、エリントン楽団の良さが全く判らなかった。マイナーでアーバンな響き。分厚いユニゾン&ハーモニー。ちょっと捻れた個性的なフレーズ。当時の僕の耳には重かった。シンプルでキャッチャーなベイシー楽団に走った。あれから、40年あまり経って、今では、先ほどのような評価に落ち着いている。ほんの僅かな差、なんですけどね。

『The Popular Duke Ellington』(写真)。1966年3月の録音。デューク・エリントンは、1974年に亡くなっているので、彼にとっては晩年の録音になる。が、1966年の録音なので音が良い。世代的にハイファイ志向の我々としては、ビッグバンドを愛でる場合、音は良い方が安心するし、集中して聴ける。そういう意味で、この盤は音が良いので、入門盤の位置づけで、エリントン楽団を聴き込むには最適な盤である。|
 
 
The-popular-duke-ellington-1  
 
 
なんせ、冒頭が「Take the "A" Train(A列車でいこう)」なのが良い。小学校6年生の時、ラジオでこの曲の演奏を聴いて、思いっ切り好きになって以来、ずっと愛聴曲。これが良い。今の耳には、この曲の演奏のダイナミズム、繊細さ、奔放さが良く判る。自由奔放に演奏している様で、しっかりと規律が守られ、しっかりとコントロールしている。この良い意味での「抑制の美」が、エリントン楽団の良さの1つだと感じている。

2曲目の「I Got It Bad (and That Ain't Good)」以降、エリントン楽団の自由奔放で、緩急自在で、硬軟自在で、変幻自在な演奏が堪能出来る。収録されている曲は、エリントン楽団の有名曲、十八番がズラリ揃っていて、それだけでもエリントン楽団の真髄を心ゆくまで堪能出来る。まずはこの盤を入門盤として聴き込み、エリントン楽団の他の好盤に手を伸ばして、エリントン楽団の音世界を極める。そのアプローチがお勧め。

油井正一著の『ジャズ―ベスト・レコード・コレクション』にこの盤の評がある。「デューク・エリントンほど同じ作品を何度もレコーディングしながら、そのつど時代にふさわしい編曲としてレコーディングしている人も珍しいだろう。このアルバムはタイトル通りエリントンのファンの人以外にも親しまれている名盤だ。内容的にも彼の代表作の1枚に挙げられる」。けだし名言、けだし言い得て妙である。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

2019年11月18日 (月曜日)

ブラジル音楽と米国西海岸ジャズ

米国西海岸ジャズの好盤を漁っている。米国西海岸ジャズのアルバムは、まだまだ聴いたことの無いアルバムがゴロゴロしている。1980年代の終わりまで、我が国では米国西海岸ジャズはマイナーな存在だったことが大きな要因。そもそも我が国で米国西海岸ジャズのアルバムが流通する様になったのは、1990年代の後半辺りからか、と記憶している。
 
Laurindo Almeida & Bud Shank『Brazilliance Vol.1』(写真)。ブラジルの名ギタリスト、ローリンド・アルメイダが、米国西海岸ジャズのアルト奏者バド・シャンクを迎えたカルテット編成。1953年9月、1954年4月22日、ロサンゼルス にての録音。ちなみにパーソネルは、Bud Shank (as), Harry Babasin (b), Roy Harte (ds), Laurindo Almeida (g)。
 
ブラジル音楽の伝道師ギタリスト、ローリンド・アルメイダ。アルメイダ。米国西海岸ジャズ屈指のアルトサックス奏者バド・シャンクと組んだ好盤。バド・シャンクのアルトは、端正で切れ味の良い鮮烈さに溢れた音。アルメイダの洗練された柔らかなアコースティック・ギターと好対象。この対比が実に良い。
 
 
Brazilliance-vol1_1
 
 
ブラジル音楽とジャズとの邂逅。米国西海岸ジャズのアレンジの優秀さと西海岸ジャズメンのテクニックの優秀さ。それらが『ゲッツ/ジルベルト』よりも10年も早くジャズとブラジルの融合を実現していた。ラテン音楽のどことなく俗っぽいところ(そこが良いのだが)を、西海岸ジャズのアレンジがソフィスティケートし、落ち着いた聴き応えのある上質のジャズに昇華させている。
 
ピアノレスという編成で、アルメイダのギターを抑制しなかったのが正解だろう。とにかくお洒落で粋。それでいて、しっかりとジャズしていて、ブラジル音楽している。これがこの盤の一番凄いところ。当時の米国西海岸ジャズの懐の深さが偲ばれる。加えて、この盤、いろいろなジャケットのバージョンがあるが、僕はこの鋭い目のブラジルの踊り子のイラストのジャケットが好きだ(写真左)。
  
ちなみに、この『Brazilliance』シリーズは、このVol.1から、1958年のVol.2、1963年のVol.3 まで3アルバムある。Vol.2以降は、ブラジル音楽とジャズの融合ってこんな感じだよね、という予定調和なところや慣れたところが見え隠れする。そういう観点では、Vol.1が初めてのラジル音楽とジャズの融合の記録ということでスリリングな部分や新鮮な部分が散りばめられていて、一番聴き応えがある。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月17日 (日曜日)

マイケルがはじけて吹きまくる

ランディ・ブレッカーの新盤を聴いていて、ふと弟のマイケル・ブレッカーのテナーが聴きたくなった。弟マイケルは、2007年1月13日、57歳にて早逝している。よって、最近の新盤は無いので、マイケルのテナーらしいブロウが収録されている旧盤を物色することになる。マイケルは、フュージョン、メインストリーム、両方いける口ではあるが、自由奔放なブロウという面ではフュージョン・ジャズ系のアルバムが良い。

Steps Ahead『Magnetic』(写真左)。1986年のリリース。参加ミュージシャンは、Michael Brecker (ts, EWI), Mike Mainieri (vib, key), Peter Erskine (ds), Hiram Bullock (g), Victor Bailey (b), Warren Bernhardt (p, syn), Chuck Loeb (g), Dianne Reeves (vo) 等々。フュージョン・ジャズの名うてのジャズメン達がズラリと並ぶ。いやはや、今から振り返れば、錚々たるメンバーである。

このアルバムでのマイケルのブロウは「はっちゃけている」。ブレッカー・ブラザース時代以来の「ポジティヴに吹きまくる」マイケルがここにいる。思えば、ブレッカー・ブラザースが解散、その後、アンチ・フュージョンな、硬派なコンテンポラリーな純ジャズ集団「ステップス」に参加。ストイックなテナーを吹いていた分、この「ステップス」後の「ステップス・アヘッド」で「はじけた」。
 
 
Magnetic_steps-ahead  
 
 
そんな感じのマイケルのテナーとEWI (Electronic Wind Instrument)である。そもそも「スッテプス・アヘッド」というバンドの演奏の個性が「明るくポップでキャッチャーな」フュージョン・ジャズといったもので、どの曲もフュージョン・ジャズらしく、超絶技巧なテクニックを駆使して、キャッチャーなアドリブ・フレーズを吹きまくり、弾きまくる。とにかく聴いていて楽しい。

特にリズム・セクションが強力。ウエザー・リポートで鳴らしたピーター・アースキンのドラミングがまず「見事」。コンテンポラリーな純ジャズ風のドラミングを叩きまくり、バンド全体のリズム&ビートを引き締める。そして、ハイラム・ブロックやチャック・ローブのエレギが、これまた「見事」。リズムにリードに大活躍。マイニエリのヴァイブも良いアクセントになっていて「見事」。

今の耳で振り返って聴けば、この「ステップス・アヘッド」のパフォーマンスは、1970年代に生まれ発展したフュージョン・ジャズの究極の姿と言っても良いのでは無いか。ムーディーでアーバンな個性はスムース・ジャズに任せれば良い。フュージョン・ジャズは「明るくポップでキャッチャー」そして「超絶技巧なテクニックで吹きまくり、弾きまくる」。これがフュージョン・ジャズにとって一番である。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月16日 (土曜日)

スピード感溢れるビッグバンド

大編成のビッグバンド・ジャズ。ジャズの人気が落ちていく中、ジャズの演奏家自体の絶対数が減少するので、21世紀になったら、ビッグバンド・ジャズは「絶滅危惧種」化しているのでは、と危惧していたが、これは杞憂であった。21世紀に入っても、ビッグバンド・ジャズはしっかりとジャズに根付いている。

Jazz at Lincoln Center Orchestraや、Jazz Orchestra of the Concertgebouwなど、パーマネントな活動を維持しているビッグバンドもあり、意外とビッグバンド・ジャズは人気があるのでは、と睨んでいる。例えば、このビッグバンドも、人気上昇のお陰で実際のビッグバンドが編成された、面白い例である。

Battle Jazz Big Band『4th』(写真左)。2009年7月のリリース。コンマスの吉田治 (as) をはじめとして、純国産のビッグバンドである。リード・トランペットは佐久間勲、則竹裕之 (ds)が正式参加など、腕に覚えのある国内のジャズメンが集結。それぞれの曲のアレンジが優秀で、ダレたところが一切無い。このスタジオ録音2枚目も充実したビッグバンド演奏がぎっしり詰まっている。
 
 
4th-battle-jazz-bigband  
 
 
もともとこの「Battle Jazz Big Band」シリーズって、高速なジャズばかりを集めたコンピCDとして始まった「Battle Jazzシリーズ」が、その人気の高さによって、急遽、オリジナルのビッグバンドを編成し、実際のオリジナルな演奏を撮り下ろして収録を始めたもの。この盤は『4th』=4枚目、だが、実際のオリジナル演奏を収録したアルバムとしては『3rd』以来、2枚目の録音盤になる。

ノリも良く、グルーヴ感も良好、アルバムを聴き終えると、スカッと抜群の爽快感。景気の良いオープニングのバディリッチ作の「Good News」、常識破りのアレンジ、全編トロンボーン・セクションをフューチャーした3曲目「Donna Lee」、手に汗握る、超絶技巧かつ疾走感抜群のラストの「Magic Flea」まで、思う存分、切れ味の良いビッグバンド・ジャズを堪能出来る。

プロのテクニック+学バンのノリ+超カッコいい曲=BATTLE JAZZ BIG BAND、がコンセプトで、高速でスピード感溢れる、格好良く思いっ切り心地良くスイングする演奏は聴き応え充分。一糸乱れぬアンサンブルとダイナミズムは世界の他の優秀なビッグバンドと比肩するもの。久し振りの聴いた『4th』だが、やっぱり良い。これは大変、他のアルバムも聴き直さないとなあ。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月15日 (金曜日)

節目となるソロ・パフォーマンス

順調にキース・ジャレットのソロ・ピアノ盤の聴き直しは進んでいる。1980年代に入って、キースの活動は多様化していく。1983年には、ピアノ・トリオ「スタンダーズ」を旗揚げ、クラシック・ピアノの世界にも進出し、ソロの活動もピアノや様々な楽器を用いての多重録音など、様々な形式、形態にチャレンジしている。1980年代半ば以降は、活動のベースは「スタンダーズ」の世界。合間合間にソロ・ピアノという活動が定着していく。

Keith Jarrett『Dark Intervals』(写真左)。1987年4月11日の録音。我が国の東京は「サントリー・ホール」でのライブ録音。もちろん、ECMレーベルからのリリース。録音エンジニアは及川公生。この日本における公演で、キースはソロ・ピアノのコンサートとして、記念すべき100回目を迎えることとなった。意外と歴史的に節目となるソロ・パフォーマンスである。

さて、このライブ盤は、キースのソロ・ピアノ盤の歴史を振り返ると、以降のキース・ジャレットのソロ・パフォーマンスの方向性を決定付けた内容であることが判る。キースの中でどういう心境の変化があったのか判らないが、確かにパフォーマンスの方向性は変わった。それまでのアメリカン・フォーキーで、ゴスペルチックな雰囲気も織り交ぜたアメリカン・ルーツ音楽をベースとした、躍動的でポジティブで外向的な展開が、この日本でのライブ盤で、ガラッと正反対に変わっている。
 
 
Dark-intervals-1  
 
 
現代音楽風で内省的、ピアノの響き、リズム&ビートはクラシック風。ただし、演奏自体は完全即興演奏なので、その「即興演奏」の部分で、このライブ盤でのキースのソロ・ピアノは辛うじて「ジャズ」の範疇に留まっている。明らかに意図的にジャズのリズム&ビートを排除しているように聴こえる。ただ、即興演奏のイマジネーションはバリエーション豊か。次から次への新しい展開が湧き出てくる。

冒頭の「Opening」に度肝を抜かれる。心揺さぶられる、決して穏やかでは無い、まるで読経の様な祈りの様な、うねるような「重低音」の響き。このビートはジャジーっぽさ皆無。当時のキースの「グルジェフへの傾倒」が良く判る。 2曲目の「Hymn」以降、ジャズっ気の希薄な、西洋宗教的な薄暗く荘厳な音世界。タイトルの「Dark Intervals」は言い得て妙なのが判る。

いつもどこかに散りばめられているグルービーなリズム&ビートは鳴りを潜め(そこが良かったんだが)、クリスタルでクリアで内省的で、超絶技巧なクラシック・ピアノの様な展開。しかし、この東京公演の追加公演ではスタンダード・ナンバーのみで構成されたのだから、キースの頭の中は判らない。しかし、正式なアルバムとしてのソロ・ピアノは、この『Dark Intervals』を境に方向性は変わり、この方向性を踏襲することとなる。そういう意味でこの盤は「キース者」として必聴。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月14日 (木曜日)

どこを切っても「ベノワ節」です

ジャケットの写真を見て、この人、幾つになったのかな、とまず思った。デヴィッド・ベノワ(David Benoit)。1953年生まれなので、今年で66歳。そうか66歳か。ちょっと歳を取り過ぎている雰囲気が気になる。ここは現在の「姿形」の写真を使わなかった方が良かったのでは、と下世話に思う。

『David Benoit and Friends』(写真左)。今年8月のリリース。デイヴィッド・ベノワが豪華ゲストを迎えたスムース・ジャズ盤である。パーソネルを見渡すと、 Dave Koz, Marc Antoine, Rick Braun, Vincent Ingala, Lindsey Webster 等々、スムース・ジャズの「手練れ達」がずらりと名を並べる。

ここまで優秀なメンバーを集めると、演奏のテクニックと表現力については申し分無い。あとはリーダーの統率力と演奏のアレンジである。まあ、この優秀なメンバーを生かすも殺すも「統率力とアレンジ」次第ということだが、ベノワ翁については全く問題無い。この盤の冒頭の「Ballad Of Jane Hawk」を聴くだけで直ぐ判る。
 
 
David-benoit-and-friends-1  
 
 
この盤、徹頭徹尾、どこを切っても「ベノワ節」満載。ちょっと懐かしさを感じる、フォーキーでネーチャーで印象的なフレーズの数々。シュッとした透明度の高い「深めのエコー」。歩くテンポがメインの「ベノワ・ビート」。演奏全体の雰囲気は明快に「スムース・ジャズ」。クロスオーバーでもフュージョンでも無い。このベノワの音世界こそ「スムース・ジャズ」である。

ベノワのキーボードは完璧に「スムース・ジャズ」の響き。そんなベノワのキーボードにディヴ・コーズのサックスが映える。リンジー・ウェブスターの艷やかなヴォーカルがもそこはかと無くファンキーでビューティフル。マーク・アントワンの「スムースな」アコギが実にムーディー。そこに少し聴くだけで判る、ベノワ独特のアレンジ。

 
ラストのコールドプレイの「Viva La Vida」が絶品。ベノワのアルバムを聴いていると「スムース・ジャズ」もええなあ、と思う。ベノワのスムース・ジャズは「硬派で骨太」。軟弱なところ、聴き手に迎合するところは全く無い。ベノワのスムース・ジャズは「プロの技」。聴き応え十分。我が国で人気がイマイチなのが不思議なくらいである。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月13日 (水曜日)

ランディとアダの夫婦共演盤

フュージョン、メインストリームの両刀遣い。ジャズ・トランペットのレジェンドの一人「ランディ・ブレッカー(Randy Brecker)」が実に元気である。2007年に弟のマイケルが早逝、美人ピアニスト&ボーカリストのイリアーヌ・イライアスとも離婚。彼の人生、なかなか激しいもので、普通なら萎えてしまいそうなものなのだが、彼はそうはならない。2001年にアダ・ロヴァッティと再婚。最近はリーダー作に客演に大活躍である。

Randy Brecker & Ada Rovatti『Brecker Plays Rovatti - Sacred Bond』(写真左)。今年10月のリリース。ちなみにパーソネルは、Randy Brecker (tp, flh), Ada Rovatti (ts, ss, vo), Stella Brecker (vo track #1), Rodney Holmes (ds), David Kikoski (p, fender rhodes), Alexander Claffy (b, elb), Adam Rogers (g), Jim Beard (keys, hammond organ), Cafe´Da Silva (perc)。パーソネルは「ランディ人脈」で固められているようだ。

さて、この新盤、公私ともどものパートナーであるランディ・ブレッカーとアダ・ロヴァッティ(写真右)の双頭リーダー作品である。ランディとアダは夫婦。ランディはトランペッター、アダはテナー奏者でボーカルも担当する。いわゆる「夫婦共演」盤である。楽曲を見渡せば、収録曲はアダのオリジナル。この新盤は、夫婦の2人が「アダ・ロヴァッティの楽曲を演奏する」という内容。
 
 
Brecker-plays-rovatti-sacred-bond
 
 
CDプレイヤーにスイッチを入れると、出てくる音は「クロスオーバー・ジャズ」。それも現代の最新のテクニックと解釈を基に展開される「現代のクロスオーバー・ジャズ」である。ちょっとフュージョン・ジャズやメインストリーム・ジャズに寄って展開する部分もあるが、基本は「クロスオーバー・ジャズ」。懐かしい展開ではあるが、その展開を構成する音は「今」である。録音も今風。自然な響きではあるが、ダイナミックレンジが広く、楽器の音の分離がとても良い。

アダのサックスを聴いていると、往年の「マイケル・ブレッカー」を彷彿とさせる。端正にまとまった、ちょっと繊細で流麗なマイケルといった雰囲気。ランディのトランペットのパートナーとして、やはりここは「マイケル」かあ。でも、モーダルな展開をメインとするサックスは迫力があって、その力感はなかなかのもの。ランディのトランペットと並べても遜色ない。そういう意味で、この夫婦共演盤は成功していると言える。

この盤を聴いていて、ジャズに夫婦共演盤ってあったかなあ、とふと考える。う〜ん、パッと浮かぶのは、スタンリー・タレンタインとシャーリー・スコットの共演盤。それから、チック・コリアとゲイル・モラン。そう言えば、ランディは前妻のイリアーヌとも共演していたなあ。う〜ん、あとは浮かばんなあ。そもそも夫婦でジャズ・ミュージシャンをやっているケースが僅少なのだ。そういう意味では、この盤はジャズでの「稀少盤」とも言える。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月12日 (火曜日)

邦題「ブレゲンツ・コンサート」

このソロ・コンサートのライブ音源については、1980年のアナログ時代、このコンサートの数日後のミュンヘンでのソロ・コンサートも含めたLP3枚組の大作としてリリースされた。当然、値が張る。しかも、時代は「フュージョン・ジャズ」の全盛期。このLP3枚組の大作はあまり注目されていなかった様な思い出がある。そして、2000年にCD化された時、このLP3枚組の音源から「ブレゲンツ」でのコンサートだけが収録された。

Keith jarrett『Concerts』(写真左)。1981年5月28日、オーストリアのブレゲンツでのライブ録音。邦題は「ブレゲンツ・コンサート」。確かに、プレゲンツでのライブ音源のみなので、邦題については理解出来る。しかし、原題の「Concerts」の最後の「s」には疑問が残る。なんせ、ブレゲンツは単一、同日のソロ・コンサートのみで構成されているですから、ちょっとECMはいい加減でしたね(笑)。

さて、冗談はさておき、この「ブレゲンツ・コンサート」である。キースのソロ・パフォーマンスには珍しく、メジャー・キーを多く採用したフレーズが、バリエーション豊かに出てくるので、アルバム全体の雰囲気はポジティヴで明るい。タッチが温かく、フレーズの展開が外向的。若干、アメリカン・フォーキーな雰囲気も見え隠れし、キースの「真の本質」がまだまだこの辺りでは滲み出ている。
 
 
Conserts-keith-jarrett  
 
 
即興演奏の部分は、それまでの「フェイシング・ユー」や「ケルン」「サンベア・コンサート」などのポジティヴでちょっと明るい、外向的なパフォーマンスがメインで、躍動感もあり、聴いていて単純に「楽しい」。キースの専売特許である「演奏中の唸り」についても、このライブ盤の収録の頃から、ソロ・パフォーマンスでも出てきたみたい。まあ、このライブ盤では、キースの「唸り声」はあまり気にならない。

そして、アンコールの「ハートランド」が絶品である。この演奏については、事前に作曲されたものらしく、完全な即興演奏ではないのだが、そんな事は全く気にならないし、拘る気にもならない。それほど、この「ハートランド」は素晴らしい。このラストのパフォーマンスだけでもこの単品「プレゲンツ・コンサート」は「買い」だろう。

2013年になって、LP3枚組のオリジナル編成にて、CDリイシューされた。『Concerts: Bregenz/Munchen』である。このCD3枚組のリイシューによって、プレゲンツからミュンヘンまでのオリジナル音源が再現されたことになる。しかし、2000年のブレゲンツ単体のCDを持っている者としては、プレゲンツだけだぶるんですよね。ECMのリイシューってたまにこういうことをするから、困ったものである。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月11日 (月曜日)

西海岸ジャズの「ビ・バップ」

米国西海岸ジャズの好盤の聴き直しを進めている。もともと、我が国では米国西海岸ジャズはマイナーな存在で、1980年代までは、ほぼ忘れ去られた状態になっていた。ほんの少しだけ、米国西海岸ジャズの超有名盤がジャズ盤紹介本に載るだけ。アート・ペッパー、シェリー・マン、ジェリー・マリガンくらいが、僕たち、ジャズ者初心者が知っていた米国西海岸ジャズのジャズマンの名前である。

『The Gerald Wiggins Trio』(写真左)。1956年10月、Holly Woodでの録音。ちなみにパーソネルは、Gerald Wiggins (p), Joe Comfort (b), Bill Douglas (ds)。米国西海岸ジャズの人気ピアニスト、ジェラルド・ウィギンスがリーダーのピアノ・トリオ編成。日本では全く名が知られていないジェラルド・ウィギンス。僕はこの盤で、ウィギンスを知った。
 
このトリオ盤でのウィギンスのピアノは、米国西海岸ジャズの個性の本流からは外れている。米国西海岸ジャズの個性は「ほど良くアレンジされた、お洒落で粋、メロディアスで聴き心地の良いジャズ」。しかし、この盤の演奏は「ビ・バップ」。超絶技巧なテクニックで高速フレーズを繰り出す、東海岸でのモダン・ジャズの発祥と言われる「ビ・バップ」。それがここにある。
 
 
The-gerald-wiggins-trio  
 
 
ビ・バップといっても、1940年代後半から1950年代初頭の東海岸でのビ・バップとはちょっと雰囲気が異なる。東海岸のビ・バップは、超絶技巧なテクニックを全面に押しだした、そのテクニックの粋を尽くした「力業」の競い合い。フレーズの流れより、閃きによるフレーズのユニークさが優先。しかし、このウィギンスの、この米国西海岸のビ・バップは少し趣きが異なる。
 
東海岸のビ・バップとの大きな違いは「整っている」こと。閃きによるフレーズのユニークさよりも流れる様な、滑らかで、テクニックだけに耳を傾ける事が出来る、そんな「練られた」アドリブ・フレーズ。閃きによる「バラツキ」とは全く無縁の、即興ではあるが、恐らく事前にしっかりイメージされたアドリブ・フレーズ。そして、再び聴きたくなるような、小粋で印象的なフレーズの数々。よく考えられた、鑑賞に耐えうる「印象に残る」フレーズ。
 
録音年は1956年。演奏としては「ハードバップ」を選択しそうなものだが、ここでウィギンスは敢えて「ビ・バップ」を選択している。この盤を聴いて判るのは、西海岸ジャズだって、東海岸と比べて遜色の無いビ・バップは出来るんだ、ということ。そういう面からも、東海岸と西海岸はその実力において拮抗していたことが判る。日本の東海岸ジャズ偏重の傾向に「もの申す」、痛快なビ・バップ風のピアノ・トリオ盤である。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月10日 (日曜日)

カーンの新作に心地良い爽快感

我が国では人気がイマイチだったが、僕はスティーヴ・カーンのギターがお気に入り。超絶技巧に弾きまくる訳では無いが、実はテクニック優秀。印象的にフレーズを弾き回すので明快で判り易い。ギターの音色とフレーズがロック・テイストなのが良い。Steve Khan(スティーヴ・カーン)。1947年4月、LA生まれ。今年で72歳。もはやレジェンドの域に達したカーンであるが、この人のフュージョン・ギターは、ずっとお気に入り。

Steve Khan『Patchwork』(写真)。今年の8月、そんなステーィヴ・カーンが新しいリーダー作をリリースした。2019年3月17 and 18日の録音。ちなみにパーソネルは、 Steve Khan (g), Ruben Rodoriguez (b), Dennis Chambers (ds), Marc Quinones (per), Bobby Allends (conga), Rob Mounsey (key), Randy Brecker (flh), Bob Mintzer (ts), Tatiana Parra (vo), Jorge Estrada (key)。

収録曲を見渡すと、1曲目の「Epistrophy」はセロニアス・モンク作。2曲目「C.&D.」と7曲目「T.&T.」がオーネット・コールマン作。3曲目「Bouquet」はボビー・ハッチャーソン作。5曲目「A Shade Of Jade」はジョー・ヘンダーソン作。8曲目「The Journey Home」はキース・ジャレット作。9曲目の「Huracan Clare」のみが、スティーヴ・カーン作。
 
 
Patchwork-steve-khan
 
 
冒頭のセロニアス・モンクの「Epistrophy」、モンクの「癖のある」曲。大体、凡百なジャズメンだとモンク色に染まって、自らの個性を明け渡してしまうところだが、スティーヴ・カーンのギターはそうはならない。曲のコンセプトは踏襲しつつ、演奏の雰囲気は明らかにスティーヴ・カーンの個性に染まっている。冒頭のモンクの曲はそういう雰囲気なので、他の「癖のある」曲もしっかりとスティーヴ・カーンの個性に染まっている。

端正でロック・テイストでちょっと浮遊感のあるスティーヴ・カーンのエレギのフレーズ。ちょっとクロスオーバー・ジャズ寄りの硬派なギター・フュージョン。そんなクールでアグレッシヴなティーヴ・カーンのギターの個性が映える。アレンジも優秀。スティーヴ・カーンのギターが映える様、「癖のある」曲たちに絶妙なアレンジを施している。

完全復調したデニス・チェンバースが久しぶりに参加。リズム&ビートに変化と彩りが加わって、良い効果を生んでいる。ルーベン・ロドリゲスのベースもカーンとの相性は抜群。ロブ・マウンジーのシンセがなかなか良い味出している。こういったバックにも恵まれて、今回のカーンの新作はなかなかの内容に仕上がっている。聴き終わった後、心地良い爽快感が残る。好盤である。
 
 
 
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月 9日 (土曜日)

リヴァースのモードへの対応力

このアルバムを聴けば、当時、サム・リヴァース(Sam Rivers)のモード・ジャズにおける先進性が良く判る。モード奏法はモードに基づく旋律による進行に変更したもので、演奏の自由度が飛躍的に高い。リヴァースのモーダルなテナーは、クールでメロディアスでバリエーション豊かなもの。特に、この「クールでメロディアス」な部分。リヴァースはこの部分に秀でていた。

アドリブ部に入った途端、このモードに基づく旋律による進行に乗って、アドリブを展開することになる。しかも自由度が飛躍的に高い。演奏する側は自らの閃きを基にアドリブを展開する。閃いたフレーズを一気に吹くので、大体が気合いの入った音になる。逆にそんなにバリエーション豊かに閃きがある訳ではないので、アドリブの手癖・展開がマンネリ化、パターン化する恐れがある。
 
リヴァースは閃いたフレーズをクールに吹き、アドリブの手癖・展開のバリエーションが豊かなのだ。そんなリヴァースが良く判るアルバムが、リーダー作第2弾の Sam Rivers『Contours』(写真左)。1965年5月21日の録音。ちなみにパーソネルは、Sam Rivers (ts, ss, fl), Freddie Hubbard (tp), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Joe Chambers (ds)。
 
  
Contours  
 
 
バックのリズム・セクションについては、当時、若手の新主流派の精鋭揃い。バックの不手際に引き摺られて、モードな演奏の精度や内容を損なわれることは無い。逆にフロントのソロイストの「モードに対する対応力」をしっかりと見極めることが出来る。フロントはリーダーのリヴァースのテナーと、ハバードのトランペット。既にハバードはモードへの対応力に定評がある。
 
しかし、リヴァースのテナーが明らかに素晴らしい。クールでメロディアスでバリエーション豊かな「モーダルなソロ」が展開される。逆にハバードは、吹きすぎる、パターン化した、ちょっと平凡な「モーダルなソロ」に終始している。特にリヴァースのソロがクール。そして、モーダルなアドリブのバリエーションが豊か。新主流派の「新しい風」を感じる。
 
サム・リヴァースのモードに対する対応力の高さを再認識できる優れたリーダー作である。ハバードの存在のお陰であるが、逆にリヴァースのワンホーンでも良かったのでは、と思う。それだけ、リヴァースのモーダルな演奏は、それまでのモードを得意とするジャズマンとは一線を画するものだったと思う。しかし、それが即、人気の高さに繋がらないのがジャズの不思議。
 
 
 
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月 8日 (金曜日)

異端なキースの初ソロ・ピアノ盤

先日、キースのソロ・ピアノ盤を久し振りに聴いて、思わず、キースのソロ・ピアノ盤の聴き直しを再開した。ピアノ・ソロ盤は鑑賞するのがちょっと面倒。強弱のメリハリが付いたピアノ・ソロをリスニングするので、家で聴くにはある程度のボリュームが必要になる。このボリュームが問題で、大きな音の部分にピークを合わせると、弱いタッチの部分が聞こえないし、弱いタッチに合わせると、大きな音の部分が耳に突き刺さる。ボリュームの微妙な調整が鍵になる。

野外で聴く時は、イヤホンの性能が大切になる。密閉度が高いと弱いタッチもよく聴こえるが、周囲の音が全く聴こえないので、とにかく危険だ。と言って、密閉度が低いとソロ・ピアノの細かいニュアンスが全く判らなくなる。それと聴く場所も選ぶ。僕は電車の中、朝夕早めに並んで、席に座って、ジャズを聴く。意外と電車の中って静かなんですよ。しかも最近のイヤホンの音も凄くよくなったので、通勤の往き帰りでもソロ・ピアの盤が聴ける様になった。

Keith Jarrett『Facing You』(写真左)。1971年11月10日の録音。キース初のソロ・ピアノ盤。ECMの1017番。オンマイクのデッドな音が、このキース初のソロ盤の前衛性を際立たせる。リズム&ビートが明確にゴスペルチックでジャジー。右手のフレーズは米国フォーキーなルーツ・ミュージックの響き。マイルス・デイビス・セプテットでのコンサート公演の翌日での録音。この音世界がキースの本質だと感じている。
 
 
Facing-you-keith-jarrett  
 
 
冒頭の「In Front」が強烈な印象。不規則に旋律に絡むリズム、仄かにゴスペルチックなビート、そして、無調が基本ではあるが、決して難解さを感じさせない、アーシーで浪漫溢れるフォーキーな旋律。クラシックの様に調性が取れた部分は殆ど無い。無調で前衛を感じる。左手のビートが無調の展開に「規律」をもたらす。そういう意味で、このピアノ・ソロは明らかにジャズ。

そして、半ば辺りで出てくる、キースの「唸り声」。既に初ソロ・ピアノ盤の冒頭の1曲で「唸っている」。但し、唸りのボリュームはできる限り絞り込まれている(笑)。この盤はまだ完全な即興演奏では無い。曲毎にしっかりとした起承転結がある。しかし、そこが良い。そこが聴き易い。そう言う意味で、このキースの初ソロ・ピアノ盤は、後のキースのソロ・ピアノ盤とは一線を画する盤ではある。

ECMレーベルの総帥、マンフレッド・アイヒャーの野望を感じる。欧州ジャズの前衛の担い手、ECMレーベルに必要なもの。他のレーベルに無い、ECMならではの演奏フォーマット。キースのソロ・ピアノは、ECM独特のエコーの映える。ECMにしか出来ないキースのソロ・ピアノ。アイヒャーとキースのコラボがとても良い形で音になっている。キースのソロ・ピアノとしては異端ではあるが、この初ソロ・ピアノ盤、僕の大のお気に入り盤である。
 
 
 
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月 7日 (木曜日)

キースの2016年のソロライブ盤

キース・ジャレットのアルバムはずっと、ほぼリアルタイムで聴いてきた。熱狂的な大ファンでは無いのだが、キースのピアノはやはり「隅に置けない」。新作がリリースされるとやはり気になる。気になるとやはり手に入れて聴きたくなる。そして、1990年代まではCDショップに走ってゲットである。2000年代になると、ネット・ショップで「ポチッ」とな、である(笑)。

Keith Jarrett『Munich 2016』(写真左)。今回のキースの新作。ピアノ・ソロの蔵出しである。タイトル通り、2016年7月16日にミュンヘンで行ったソロ・コンサートのライヴ録音2枚組。プロデュースはキース自身。ECMの本拠地ミュンヘンでのコンサートで、聴衆の反応もとても良い。キースのソロ・ライブ盤としても、その収録された雰囲気は上位に位置するもの。

キースは、2017年2月15日、NYカーネギーホールで一夜限りのコンサートを行って以降、一切コンサートを行っていない。CDのリリースは、2014年のソロ・コンサート・ツアーの演奏を再構成した『Creation』が最後。スタンダード・トリオについても、2014年11月30日のニュージャージー・パフォーミング・アーツ・センターでのライブ演奏が最後に活動を休止している。
 
 
Munich-2016  
 
 
この『Munich 2016』は、その『Creation』の約1年後、ミュンヘンでのコンサートの再現。現時点で、アルバムとして聴ける一番新しいキースのピアノ演奏で、今回のリリースは貴重である。コンサートの再現だけに、収録されたソロ演奏には、その雰囲気、その展開に一貫性があって、当時のキースのソロの状態がとても良く判る。

前衛音楽の様なフリーキーな即興演奏から、アーシーなリズム&ビートを伴ったアメリカン・フォーキーな演奏、モーダルで限りなく自由なスタンダード演奏まで、なかなかバリエーションに富んだ内容が聴いていて楽しい。「ソロ・コンサートは、私が作り上げたものではない独自のルールを持つ別世界のようなもの」とキースは言うが、この盤に詰まっている音は、キースの意志による、キースのソロ演奏そのもの。

誰が聴いてもキースである。こういう即興をベースとした、ジャズの要素とクラシックの要素、そして、現代音楽の要素をミックスしたソロ・ピアノは、キースの専売特許。というか、キースしか、こういうソロ・ピアノをやらない。その演奏の内容とトレンド、そして演奏の展開や取り回しはキースの個性そのもので、この新盤もキースの個性が全開。現在、キースは病気療養のために活動を休止している。早期の復帰、復活を望みたい。
 
 
 
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月 6日 (水曜日)

山中千尋の聴き心地良好な新盤

「今」の日本女子ジャズ奏者の草分けの一人が「山中千尋」。デビュー盤『Living Without Friday』が2001年のリリース。あれから18年。この18年間、山中千尋は日本女子ジャズ奏者の先頭集団をずっとキープしてきた。美形ではあるが、山中の場合、彼女のピアノが素晴らしい。そしてアレンジが素晴らしい。それだけで充分、評価出来るし、その音を楽しめる。山中の場合、外見は全くジャズの評価とは無関係だと感じている。

山中千尋『Prima Del Tramonto』(写真)。2019年5月、NYブルックリンのBoomtown Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、山中 千尋 (p, Fender Rhodes, Hammond B-3 Organ), Yoshi Waki (ac-b, el-b #1,2,3,4,5,7,10), Vicente Archer (ac-b, el-b #6,8,9,10), John Davis (ds #1,2,3,4,5,7,10)。そして、収録曲は以下の通り。
 

1 ジェンナリーノ Gennarino (Chihiro Yamanaka)
2 パソリーニ Pasolini (Aldo Romano)
3 シンキング・オブ・ユー Thinking Of You (Chihiro Yamanaka)
4 ネヴァー Never (Chihiro Yamanaka)
5 チェロキー Cherokee (Ray Noble)
6 スイート・ラヴ・オブ・マイン Sweet Love Of Mine (Woody Shaw)
7 ルッキング・アップ Looking up (Micheal Petrucciani)
8 ブルー・マイナー Blue Minor (Sonny Clark)
9 ソリチュード〜C・ジャム・ブルーズ
 Solitude〜C jam blues (Chihiro Yamanaka / Duke Ellington)
10 プリマ・デル・トラモント Prima Del Tramonto (Chihiro Yamanaka)
 
 
Prima-del-tramonto  
 
 
1曲目の「Gennarino」は山中の自作曲でウォーミングアップ的な演奏。2曲目の「c」を聴いて「おおっ」と思う。僕の大好きなミシェル・ペトルチアーニ(Michel Petrucciani)の得意曲ではないか。ペト(ペトルシアーニの愛称)の初期の好盤『Estate』の冒頭の名曲である。それから、7曲目の「Looking up」は、これまたペトの名曲。これは確か、ペトがブルーノートに残した好盤『Misic』の冒頭の名曲である。

この盤については、盤の紹介文に「ブルーノート80周年を記念しソニー・クラークなどブルーノートの名曲をカバー。さらに天性疾患による障害を克服し、フランス最高のジャズ・ピアニストと評価されるミシェル・ペトルチアーニの没後20年にもフォーカスした作品を収録」とある。なるほど。しかし、山中のペトの名演曲のカヴァー、実に優れている。ペトの雰囲気を模しながら、山中のピアノの個性をしっかり織り込んでいる。

そして、山中のブルーノート・レーベルの名曲のカヴァーについても、アレンジも含めて優れている。山中とブルーノート・レーベルの名演名曲とは相性が良く、どのカヴァーも内容があって立派だ。自作曲も良好な内容で、この盤は、山中千尋のジャズ・キーボードの「今」を、リラックスして聴かせてくれる好盤である。この盤での山中のピアノは実にリラックスしていて聴き心地が良い。良い音とは絶対に「聴き心地が良い」ものである。
 
 
 
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月 5日 (火曜日)

西海岸ジャズの入門盤の一枚

米国西海岸ジャズでは、ジャズ・ギターの活躍の場が多いような気がする。西海岸ジャズは演奏全体がしっかりアレンジされていて、そのアレンジの中で洒脱でアーバンな雰囲気を創り出す際、ギターの音色が欠かせないのではないか、と睨んでいる。そんな西海岸ジャズの代表的なギタリストと言えば「バーニー・ケッセル(Barney Kessel)」。

西海岸ジャズのアルバムを聴いていて「洒脱でクールで端正」なハイテク・ギターが出てきたら、ほぼ間違い無く「バーニー・ケッセル」である。トーンも明瞭で耳当たりの良いエッジの立ち具合。ウォームではあるが、音の芯はしっかりと聴き取れる、王道を行くギターの音色。西海岸ジャズの中では、バーニー・ケッセルが「ファースト・コール」なギタリストである。

Barney Kessel『Easy Like』(写真)。1953年は11月14日と12月19日、1956年は2月23日の録音。ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g), Buddy Collette, Bud Shank (as, fl), Arnold Ross, Claude Williamson (p), Harry Babasin, Red Mitchell (b), Shelly Manne (ds)。こうやって、パーソネルの顔ぶれを見ると、西海岸ジャズの名手達、大集合である。
 
 
Easy-like-barney-kessel  
  
 
バーニー・ケッセルは米国西海岸ジャズを代表するギタリストの一人。洒脱でクールで端正。演奏全体がしっかりアレンジされていて気持ち良く聴けるが、決してイージーリスニングには陥らない。ケッセルはこの盤で、一躍有名になった。小粋な西海岸ジャズ・ギターというキャッチがバッチリ合う、お洒落でウォームで和みのあるギターの音。人気が出て然るべき、である。

この盤に詰まっている演奏自体が「米国西海岸ジャズ」。言い換えると「ウエストコースト・ジャズ」。ジャズ・ギターの小気味良いフレーズ、爽やかに典雅に響くフルート、お洒落にアレンジされ聴き心地抜群な、ギターとアルト・サックスとピアノのユニゾン&ハーモニー。控えめではあるがしっかりと骨太なベース。洒脱なテクニックで「聴かせてくれる」ドラム。出て来る音は明らかに「西海岸ジャズ」。

バーニー・ケッセルは1947〜1960年までの間、各ジャズ雑誌の年間最優秀ジャズ・ギタリストに幾度も選出されている。この雰囲気のギターである。人気が出るのも頷ける。そんなケッセルのリーダー作の中でも、この『Easy Like』は出色の出来。この盤は『Gerry Mulligan Quartet Vol.1』と同様、どこから聴いても「米国西海岸ジャズ」。米国西海岸ジャズの入門盤の一枚である。
 
 
 
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月 4日 (月曜日)

西海岸の女性ボーカルの好盤

今でもあまり知られていないが、米国西海岸ジャズのボーカルものはお洒落なものばかり。といって、我が国で有名なものは殆ど無い。ジャズ・ボーカルのレジェンド、エラとかサラとかカーメンとかとは全く異なる。ジャズ歴を十年ほど積み、更に十年ほど積み込んだ「ジャズ者」のみが理解できる、というかできそうな、お洒落でシンプルでポップな味わい。

Pinky Winters『Pinky』(写真左)。1954年の録音。彼女(ピンキー・ウィンターズ)のデビュー盤。ちなみにパーソネルは、Pinky Winters (vo), Bud Lavin (p), Jim Wolf (b), Stan Levey (ds)。シンプルに、ピアノ・トリオをバックにピンキーのボーカルのみ。ジャケットからして、あまりにシンプル過ぎて、このジャケットだけみたら、このボーカル盤は絶対に見過ごすだろう。

彼女は1931年、米国インディアナ州生まれ。ミシガンシティーでラジオやTVで活躍した後、1954年, ロスへ進出。すぐにVANTAGEレコードのボブ・アンドリュースに認められてズート・シムズと共にレコーディング。そして、このデビュー盤『Pinky』をVANTAGEレコードにて録音する。当時のリリースは10inchのLP。全8曲で24分程度の短さだが、内容が充実しているので余り気にならない。
 
 
Pinky-first  
 
 
淡い雰囲気のアンニュイな女性ヴォーカル。おさえた低い声でささやくように情緒をこめて歌う、いわゆるクルーナーである。渋く甘くちょっぴりキュートな表情が見え隠れするところがなんとも可愛い。ネットの解説を見ていると「ホワイト・サラ。サラ・ボーンのアクを抜いてサラリと軽くしたような感じ」とありますが、けだし名言。良く判ります。

とにかく素直でスマートな味わい。スウィンギーにスローに、若々しい柔らかな躍動感とベテランの如く切々とした情感。歌に気持ちをこめて歌うタイプで、シンプルな歌唱であるにもかかわらず、聴く者の心にしみ込んでくる。クールでシンプルが故に歌唱のテクニックと想いがダイレクトに伝わってくる。米国西海岸ジャズの個性がボーカルにも反映されているんですね。

バックの伴奏もシンプルだけど味がある。アレンジが良いのだろう。この「ほどよく」アレンジされた伴奏と共に、西海岸ジャズの女性ボーカルのサンプルの様な盤。「瑞々しい若さと老成した味わい」の両方を持ったお洒落でシンプルなボーカル。こんなボーカルは米国東海岸ジャズには見当たらない。僕はこの盤、このボーカル、お気に入りです。
 
 
 
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月 3日 (日曜日)

秋は「米国西海岸ジャズ」が良い

秋には「米国西海岸ジャズ」が映える。アレンジ良好、テクニック良好、クールで「聴かれる」ことに重きを置いた「ポップなジャズ」。それが「米国西海岸ジャズ」。我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、ジャズを聴くのに最適なシーズンである秋に、毎年「米国西海岸ジャズ」祭がいきなり始まる。今年も先日から「米国西海岸ジャズ」祭が始まっている。

1980年代まで、我が国は、どちらかと言えば「米国東海岸ジャズ」偏重だったので、「米国西海岸ジャズ」は見向きもされない時期が続いた。が、「スイング・ジャーナル・プレゼンツ/ザ・ウエスト・コースト・ジャズ」が1991年にリリースされ、スイング・ジャーナルで特集記事が組まれたことを切っ掛けに、再び市民権を得て現代に至っている。

米国西海岸ジャズを語る上で、このジェリー・マリガンの名前は外せない。ファンクネス控えめ、ほど良くアレンジされた端正でクールな響きのジャズ。白人メインのジャズの音の基本。そして、味のある、クールなバリサク。マリガンのリーダー作はどこから聴いても「米国西海岸ジャズ」。確かに、ジャズ盤紹介本でもジャズ雑誌でも、「米国西海岸ジャズ」の紹介の中で、マリガンのこの盤は絶対といって良いほど顔を出す。
 
 
Gerry-mulligan-quartet-volume-1  
 
 
『Gerry Mulligan Quartet Vol.1』(写真左)。1952年8月と10月の録音。ちなみにパーソネルは、Gerry Mulligan (bs), Chet Baker (tp), Jimmy Rowles (p), Joe Mondragon, Carson Smith, Bob Whitlock (b), Larry Bunker, Chico Hamilton (ds)。メンバーを見渡すと、米国西海岸ジャズを代表するジャズマンばかりがズラッと並ぶ。基本はピアノレスのカルテット編成。

この盤に詰まっている音は「アレンジ良好、テクニック良好、クールで「聴かれる」ことに重きを置いたポップなジャズ」。米国西海岸ジャズの特徴そのものである。録音時期は1952年。この盤以前に「米国西海岸ジャズ」の特徴を色濃く反映したアルバムは基本的に無いので、この盤が米国西海岸ジャズの萌芽、米国西海岸ジャズの発祥とされる。確かに、この盤の内容は米国西海岸ジャズの特徴そのものをしっかりと音にしている。

マリガンのバリサクとチェットのトランペットの音が実にクールに響く。決して熱くならない。熱くなっても「クールに熱く」。演奏テクニックが優秀なので、演奏展開に破綻は無い。聴く者にとって決して耳触りにならない、整然とした破綻の無い演奏。アレンジが優秀で、その優秀なアレンジが故に、演奏全体が良い意味で「抑制」されている。確かに当時の「米国東海岸ジャズ」とは対照的なジャズ。しかし、これも立派なジャズである。
 
 
 
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月 2日 (土曜日)

桑原あいの真っ先に聴くべき盤

最近、ジャズにおいて、日本ジャズの女子力は留まることを知らない、と書いた。未だ、第一線で活躍している日本人女子のジャズ奏者は多い。この「ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログ」でも、様々な女性ジャズ奏者を紹介してきた。そんな女性ジャズ奏者の中で、再度、当ブログでご紹介し直したい女性ジャズ・ピアニストがいる。「桑原あい」である。

「桑原あい」は、1991年9月生まれ。今年で28歳。ジャズ界ではまだまだ若手も若手。洗足学園高等学校音楽科ジャズピアノ専攻を卒業。2010年からプロとして活動。ピアニスト&作曲家として、前衛的・革新的なサウンドが身上。コンテンポラリーな純ジャズではあるが、ちょっと一筋縄ではいかない、ちょっと前衛的な香りのするフレーズが個性。この部分が気に入るか入らないかで、彼女の評価は変わるだろう。

桑原あい Trio Project『from here to there』(写真左)。2012年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、桑原あい (p), 森田悠介 (el-b), 今井義頼 (ds), 神田リョウ (ds), 鈴木 "Soopy" 智久 (ds)。ピアノの桑原あい、とエレベの森田悠介は固定、ドラムを三人使い分けているが、基本はピアノ・トリオ。自作曲もアレンジも今までに無い響きで、その内容は「ユニーク」。
 
 
From-here-to-there-ai-kuwabara  
 
 
桑原のピアノは、今までの日本人女性ピアニストの一聴すると「もしかすると男性ピアニストか?」と感じるダイナミックなタッチは無い。聴くと判るが、このピアノは確実に女性のピアノ。ガーンゴーンというダイナミックなタッチでは無い、良い意味でしっかりと芯はあるが「線の細い」、ちょっと繊細でライトなタッチと流れる様な弾き回し。女性のジャズ・ピアノの特質を全面に押しだしている。

しかし、そのテクニックは優秀で、その自作曲は聴いていて「気持ちの良い」もの。モーダルなフレーズの響きは心地良く、ところどころ前衛の響きが混ざって、そのピアノは個性的。モンクの様に幾何学的なフレーズが散りばめられているが、モンクの様な「間」は無い。ぎっきり敷き詰められた音符。多弁な右手の幾何学的なフレーズ。それが繊細でライトなタッチで奏でられる。

桑原あい、の個性は今までのジャズには無いもの。この『from here to there』はデビュー盤なので、抑制が効きすぎて、ちょっと「温和しめ」なんだが、それでも、この飛んだり跳ねたりしつつ、流麗に展開する幾何学的フレーズは、ジャズを聴く耳には「気持ちが良い」もの。ジャズ奏者のデビュー盤には、そのジャズ奏者の個性が詰まっている、というが、この盤はその例に漏れない。「桑原あい」を聴くには、真っ先に聴くべき初リーダー作だろう。
 
 
 
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年11月 1日 (金曜日)

サム・リヴァースの初リーダー作

昨日、デイビット・サンチェスのサックスを聴いていて、突如として「サム・リヴァース(Sam Rivers)」を聴きたくなった。サム・リヴァースのサックスを初めて聴いたのは、マイルスの『ライヴ・イン・トーキョー』。1964年のライブ録音であるが、黄金のクインテットにまだウェイン・ショーターが参加していない時期。そこにサックスとして参加したのが「サム・リヴァース」。

このマイルスの『ライヴ・イン・トーキョー』でのリヴァースのサックスを聴くと、ショーターのサックスよりも、凛としてシュッとしたサックス。ショーターのサックスはちょっとウネウネしているところがある。意外とリヴァースの方がマイルス・クインテットに合ったりして、と思っていたら、どうもマイルスも留まるようオファーしたらしい。それをリヴァースは断った。

Sam Rivers『Fuchsia Swing Song』(写真左)。1964年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Sam Rivers (ts), Jaki Byard (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。先ほどのマイルスの『ライヴ・イン・トーキョー』の5ヶ月後の録音。リズム・セクションのうち、ベースとドラムは、マイルス・クインテットと同じメンバー。ピアノだけはハービー・ハンコックでは無い、当時、新進気鋭のジャキ・バイヤード。
 
 
Fuchsia-swing-song-sam-rivers
 
 
このブルーノート・レーベルの4184番は、サム・リヴァースの初リーダー作。リヴァースのテナーが実に魅力的。端正でスッと伸びのある、切れ味の良いテナー。モーダルなフレーズで、限りなく自由なフレーズを吹き上げていくが、決して絶対にフリーに傾かない。どこか節度のある、どこか理知的な響きの宿ったフレーズ。モードのフレーズなので難解そうだが、意外とシンプル。適度な隙間があって聴き易い。

バックのリズム・セクションでは、ピアノのバイヤードが個性的。ハンコックのモーダルなピアノより、フレーズの輪郭がクッキリしていて、適度にエッジが立っている。速いフレーズではスピード感が豊かで、モーダルなフレーズは幾何学的な展開がユニーク。もちろん、ベースのロン、ドラムのトニーは当然、素晴らしいパフォーマンスを聴かせてくれる。

ブルーノートの「新主流派のモーダルなテナー」のアルバムの中でも屈指の出来だと思います。変に急いでフリーに走らず、限りなく自由度の高いモーダルな吹きっぷりに、リヴァースの「受け狙い」では無い、我が道を往く「矜持」を感じます。本能、直感で勝負しない、理論派テナーマンの面目躍如です。僕はそんなリヴァースのテナーが「隅に置けない」。
 
 
 
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 2019年10月 | トップページ | 2019年12月 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、 ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で、不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 青春のかけら達(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでのジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で、不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。         
2019年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

カテゴリー