ベイシー楽団の懐の深さを感じる
カウント・ベイシー楽団と言えば、この盤も良い。実は、ジャズを聴き始めて1年位経った頃、ビッグバンドも聴かないとなあ、というノリで、この盤を手に入れた。原子爆弾のキノコ雲のジャケットがなんとも無神経ではあったが、それが米国である。仕方が無い。しかし、である。僕は当時、この盤の良さがさっぱり判らなかった。
Count Basie and His Orchestra『The Atomic Mr. Basie』(写真左)。1957年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Count Basie (p), Freddie Green (g), Eddie Jones (b), Sonny Payne (ds), Snooky Young, Thad Jones, Wendell Cully, Joe Newman (tp),Al Grey, Henry Coker, Benny Powell (tb), Frank Foster, Eddie "Lockjaw" Davis (ts), Marshal Royal, Frank Wess (as), Charlie Fawlkes (bs), Joe Williams (vo)。
錚々たるメンバー。これだけのメンバーである。出てくる音は凄い。カウント・ベイシー楽団の一番良いところがギッシリと詰まった盤である。でも、この盤の良さが判る様になったのは、ジャズを聴き始めてから20年くらい経った頃である。買ったばかりの頃、ジャズを聴き始めて1年位経った頃、録音の古さと当時のステレオセットのチープさが相まって、モコモコで薄いビッグバンドの音に思いっ切り落胆したことを覚えている。
やはり、ビッグバンドは「そこそこ〜まあまあ」以上のステレオセットで、「そこそこ〜まあまあ」以上の音量で聴くべきである。冒頭の「Kid from Red Bank」のダイナミズム。バンド全体を支配する「圧倒的なスイング感と躍動的なグルーヴ感」。パンチのあるフロント管のユニゾン&ハーモニー。切れ味良く重心の低い、タイトなリズム・セクション。
2曲目の「Duet」のゆったりしたユーモラスなビッグバンドの「掛け合い」。3曲目の「After Supper」での、ベイシーの単音のシンプルなピアノ、そして繊細なビッグバンドのフレーズ。この盤では、カウント・ベイシー楽団の「圧倒的なスイング感と躍動的なグルーヴ感」だけではない、繊細な表現やユーモラスな表現も織り交ぜて、ビッグバンドの最高峰の演奏を聴かせてくれる。
様々なニュアンス、様々な音の楽曲がズラッと並んでいて、聴いていて全く飽きが来ない。何回、聴き直しても全く飽きが来ない。この盤を繰り返し聴くにつけ、カウント・ベイシー楽団の懐の深さ、演奏のバリエーションの裾野の広さを強く感じる。僕はこの盤をジャズを聴き始めてから20年くらい経った頃に聴いて、やっとビッグバンドのポテンシャルに感じ入った次第。しかし、ビッグバンドが判って良かった。
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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