久し振りに敦賀明子のリーダー盤
現代の日本人ジャズは完全な「女性上位」。もう、かれこれ25年になるのかな。最初のマドンナは「大西順子」。デビュー盤『WOW』は大人気。今から思えば、この大西順子の登場が、現代の日本人ジャズの「女性上位」の最初の第一歩だったんやなあ。この時、女性だからといった「浮いた人気」では無く、一人のジャズマンとしての力量を認められての「本当の人気」だった。
それから、国府弘子、山中千尋、松居慶子、木住野佳子、上原ひろみ、小林香織、寺久保エレナ、纐纈歩美、市原ひかり、桑原あい、と若手ジャズ奏者が頭角を現し、気がつけば、ほとんどが「女性ばかり」(笑)。なんでこんなに女性ばかりが、と戸惑った時期もあったなあ。そして、日本人ジャズとして珍しい楽器のひとつ、オルガンを弾きこなす女性新人が出てきた。「敦賀明子」である。
日本人ジャズ・オルガニスト、敦賀明子。2004年『Harlem Dreams』でデビュー。その後、『St. Louis Blues』『Sweet and Funky』『NYC Serenade』『Oriental Express』『Sakura』と立て続けに好盤を出し続け、2015年に結婚。結婚して落ち着いたところで、2017年にこれまた佳作の『So Cute, So Bad』をリリース。
こうやって、敦賀明子のリーダー作を振り返ってみると、好盤づくし、なのが手に取るようにわかる。そして、今年リリースした最新盤がこれ。敦賀明子『Equal Time』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Akiko Tsuruga (org), Jeff Hamilton (ds), Graham Dechter (g)。ギターの入ったオーソドックスなオルガン・トリオ。敦賀のオルガンはあくまで「日本人」のジャズ・オルガンなのだ。
アルバムに収録されている、どの曲も日本人ジャズ演奏者の特有の「ファンクネスが希薄で、端正で温もりのある」音が全編に渡って「てんこ盛り」である。敦賀のオルガンを聴いて感心するのが、決して、意図的にファンキーなオルガンを弾くのでは無く、自然に弾きまわすと、結果「日本人のジャズの個性」になっているところ。ポップで聴き易い、それでいて十分にジャジーなオルガン。良い感じだ。
サイドメンの好演も光る。グラハム・デクターのギターはちょっとくすんで切れ味抜群。敦賀のオルガンの音の対極にいて、メリハリの効いたアドリブ展開には、思わず「聴き惚れる」。リズム&ビートをキープするのは、ベテラン・ドラマー、ジェフ・ハミルトン。日本人らしい「ライトなスウィングとグルーヴ」。このオルガン・ジャズ盤は「聴きもの」である。
東日本大震災から8年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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