« モダンなスイング・テナーが良い | トップページ | 幻のコルトレーン・フォロワー »

2019年9月26日 (木曜日)

コルトレーン・テナーへの挑戦

ジャズの世界で、テナー・サックスをやる者にとって、ジョン・コルトレーンは避けて通れない。この21世紀の世の中になっても、若手テナー・マンの中で、ジョン・コルトレーンのテナー・サックスに挑戦する者は後を絶たない。ただ、一時の様に「猫も杓子もコルトレーン」ということは無くなった。それでも、コルトレーンのテナー・サックスは大きな目標であることは確かである。

Sam Dillon『Force Field』(写真左)。2019年5月のリリース。ちなみにパーソネルは、Sam Dillon (ts), Theo Hill (p, fender rhodes), David Wong (b), Anwar Marshall (ds), Max Darche (tp), Andrew Gould (as), Michael Dease (tb)。ニューヨークで活躍している気鋭の若手テナーマン、サム・ディロンの好盤である。

ディロンのテナー、ヒルのピアノ、ロングのベース、マーシャルのドラムのカルテットをベースに、曲によりマックス・ダルケ(tp)、アンドリュー・グールド(as)、マイケル・ディーズ(tb)が、参加したセクステット&セプテットによる演奏を収録。バラエティに富んだ編成から、ストレート・アヘッドな「ネオ・ハードバップ」な演奏が魅力的である。
 
 
Force-field-sam-dillon  
 
 
サム・ディロンのテナー・サックスは「コルトレーン」ライクなもの。アブストラクトに展開するところも、ストレートに伸びるテナーのブロウも、速いパッセージでは、まるで「シーツ・オブ・サウンド」の如く、ハイ・テクニックでメカニカルな音出し。この盤の様々な演奏を聴いていると、ジャズ・テナーの王道、コルトレーン・テナーに果敢に挑んでいる様がよく判る。

選曲もなかなか「ふるっている」。さすが、現代の若手のホープの選曲である。彼のオリジナルのほか、チック・コリア、ハリー・ウィッテッカー、ラーシュ・ヤンソン、チャーリー・パーカーのナンバーを選曲している。この選曲が今までのテナー・マンと違うところ。現代の若手テナー・マンの新しい感覚を感じる。しかも、これらの目新しい曲でテナー・サックスが充分に映えるのだ。

「猫も杓子もコルトレーン」な時代もあった。テナー・マンによっては、テクニックが伴わず、歌心が不足して、コルトレーン・テナーに挑みはするのだが、全く退屈な演奏に終始する盤もあるなど、玉石混交な時代もあった。が、このサム・ディロンの様に、テクニックを伴った、気鋭の若手テナー・マンが、コルトレーン・テナーへチャレンジする様は頼もしい限り。いい音してます。
 
 
 
東日本大震災から8年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« モダンなスイング・テナーが良い | トップページ | 幻のコルトレーン・フォロワー »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« モダンなスイング・テナーが良い | トップページ | 幻のコルトレーン・フォロワー »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2023年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー