ジミー・スミスのグルーヴ感 『Organ Grinder Swing』
ヴァーヴ時代のジミー・スミスは、ビッグバンドをバックにした「大仕掛け」な盤が多い。これはこれで、スミスのオルガンの個性が良く判って聴き応えがある。が、ジミー・スミスのオルガンをより中心に聴き込みたい時は、やはり、トリオ編成くらいの盤が良い。
しかも、資金力のあるヴァーヴ・レコードである。しっかりリハを積み、一流どころを調達したトリオ編成盤が何枚かある。Jimmy Smith『Organ Grinder Swing』(写真左)。1965年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Kenny Burrell (g), Grady Tate (ds)。漆黒のアーバン・ギターのケニー・バレル、叩いて唄えるソウルフル・ドラマーのグラディ・テイト。
そんなトリオ編成のアルバム。大衆向きな、大衆受けするアルバム作りが得意なヴァーヴにしては硬派なオルガン・ジャズ盤に仕上がっている。ジミー・スミスは目立ちたがり屋で自己中心型だったらしく、オルガン・ジャズの相棒としてポピュラーな「ギター&ドラム」については意外と無関心で、黙ってリズム&ビートを供給して貰えば、と割り切っていた節がある。
この盤では、ギターもドラムもしっかりとプロデューサーが選定したらしく、スミスのオルガンは当然のこととして、他の楽器、ギター&ドラムもその演奏についてもしっかりとソロ・スペースを与え、しっかりと演奏させていく。所謂「スミスの為のリズム・セクション」では無く、そのレベルは相当に高い。
この盤でのスミスのオルガンは「アグレッシブで激しい」。これはブルーノート時代と変わらないが、スケールが大きくなっている。しかもダンサフルな面がブルーノート時代と比べて前面に押し出されていて、硬派ではあるがポップな味付けがされている。そして、この頃からであるが、グルーヴ感が半端ない。
この『Organ Grinder Swing』では、このグルーヴ感が硬派かつストイックに表現されている。バレルのギターとテイトのドラムが、もともとスミスのオルガンの個性のひとつの「グルーヴ感」を増幅する。そう、この盤は、ジミー・スミスのオルガンの「硬派かつストイックなグルーヴ感」を愛でる為の盤である。好盤です。
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