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2019年8月19日 (月曜日)

ウォルドロンの「黒い情念」

Enja(エンヤ)・レーベルの看板ピアニストは数人いるが、僕が一番、衝撃を受けたピアニストは「マル・ウォルドロン(Mal Waldron)」。タッチは深く、それでいて流麗。右手の奏でるフレーズの基本はマイナーでブルージー。その左手は印象的な重低音のビートを叩き続ける。つけられたニックネームが「黒い情念」。右手のマイナーフレーズ+左手の重低音ビートが「黒い情念」の核。

ENJA2004番の Mal Waldron『Black Glory』(写真左)と、ENJA2002番の Mal Waldron『Plays the Blues』(写真左)。この2枚は、どちらも、1971年6月29日、ドイツはミュンヘンの「Domicile」でのライブ録音。1971年に2枚のLP盤に分けてリリースされている。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (p), Jimmy Woode (b), Pierre Favre (ds)。

ウォルドロンとウッデは米国ジャズマンの欧州移住組。ファヴレはスイス出身のドラマー。いかにも欧州レーベルらしいパーソネル。ピアノ・トリオ構成であるが、冒頭から出てくるウォルドロンの左手、そして、ウッデのアコベ。それぞれの奏でる重低音が、このピアノ・トリオは「耳当たりの良い、カクテル・ピアノなトリオ演奏」では全く無いことを予兆させる。この重低音のお陰で、聴く方にも嫌が応にも緊張感が高まる。
 
 
Live-at-the-domicile
 
 
ウォルドロンのピアノは、現代音楽を想起させる、ちょっと取っ付き難い、硬い頑強なピアノ。底に流れるブルージーな雰囲気が、明確に「ジャズ」を感じさせてくれる。そして、左手の重低音ビートが独特の個性。少なくとも、スタンダード曲を耳当たり良く聴かせてくれる「カクテル・ピアノなトリオ演奏」では絶対に無いことを、ウォルドロンのピアノ・タッチを聴いて確信する。
 
このウォルドロンの左手の重低音ビートとの相性抜群なのが、ウッデの思いっ切り太くてブンブン響くアコースティック・ベース。この2人の奏でる重低音が、このトリオ演奏を唯一無二のものにしている。そんな中、ドラムのピエール・ファーヴルは「健闘」している。一生懸命叩いている。決して耳障りでは無い。演奏全体の雰囲気はブルージーではあるがファンクネスは希薄。欧州ジャズらしい、切れ味と重心の低い響きに満ちたトリオ演奏である。
 
もともとEnjaレーベルを立ち上げたホルストとマティアスは、このウォルドロンのアルバムを自分達の手で作りたいと考えて、レーベルを立ち上げたとか。その念願が叶った最初の成果がこの『Black Glory』。聴けばそのホルストとマティアスの想いがよく理解出来る。このウォルドロンのピアノ・トリオは唯一無二。確かに、絶対に記録に残しておきたい、と強く思わせてくれる強烈な個性である。
 
 
 
東日本大震災から8年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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