主役と仕掛け人が手柄の好盤 『Bashin’』
ジャズ・オルガンの第一人者と言えば「ジミー・スミス(Jimmy Smith)」。ブルーノート・レーベルの総帥、アルフレッド・ライオンに見出され、ブルーノート・レーベルで様々な好盤をリリースした。ジミー・スミスの素晴らしいところは、このブルーノート・レーベルでのリーダー作の中で「駄盤」が全く無いこと。どれもがジャズ・オルガンとして優れたアルバムばかりである。
そんなジミー・スミスが、1962年、ヴァーヴ・レーベルに移籍する。そのヴァーヴ・レーベル移籍第一弾がこのアルバムになる。Jimmy Smith『Bashin' : The Unpredictable Jimmy Smith』(写真左)。1962年3月の録音。オリバー・ネルソンのアレンジ&指揮によるビッグバンドをバックにした、豪華な内容のアルバムである。
ビッグバンドをバックにしたジャズ・オルガン。音の大きさ、迫力面でオルガンの方が圧倒的に不利なのでは、と思うのだが、ジミー・スミスの場合、そうはならない。ジミー・スミスのオルガンは迫力満点。ダイナミックな音出し、派手なアドリブ展開、攻撃的な速攻フレーズ。ビッグバンドと十分に対抗できる、ジミー・スミスのオルガンである。
このヴァーヴ移籍第一弾のアルバム、さすがにオリバー・ネルソンのアレンジが秀逸。あくまでビッグバンドは、ジミー・スミスのオルガンの惹き立て役であり、決して前へ出ることは無い。逆に、ジミー・スミスのオルガンが前面に出て、しっかりと目立つように出来ている。そんなビッグバンドのサポートを得て、ジミー・スミスが本当に気持ちよさそうにオルガンを弾きまくる。
「Unpredictable=予測不可能な」を含むのタイトル通り、この盤でのジミー・スミスのアドリブ展開はイマージネーション豊かで、良い意味で意外性の溢れる優れたもの。もともとジミー・スミスは自己顕示欲が強く、目立ちたがり屋だったそうで、そういう面ではこのビッグバンドをバックにした「独壇場」な展開は、ジミー・スミスにとって満足いくものだったのかもしれない。
この盤のプロデューサーは、かの「クリード・テイラー」。後にヴァーヴから独立し、CTI Recordsを設立し、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズの先鞭を付ける敏腕プロデューサーです。ジミー・スミスとビッグ・バンドを組合せ、オリヴァー・ネルソンをアレンジャーとした、その慧眼にはつくづく感心する。テイラー&ネルソンのお陰で、ジミー・スミスのオルガンだけがくっきり浮かび上がる。「仕掛け人」が手柄の好盤です。
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