ジャケットで損をしているなあ
ジャズの老舗レーベルであるブルーノートも、4300番台になると、そのポテンシャルも落ちてくる。まず、ジャケットのデザイン。フランシス・ウルフによる象徴的な写真と、リード・マイルズによる画期的なタイポグラフィがガッチリと組み合わさって、ブルーノート独特の、見るだけでブルーノートと判る独特のデザインを提供してきた。
しかし、リード・マイルスは、ブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンがブルーノートの親会社のリバティを去る時期と前後して、1967年にブルーノートを離れている。ブルーノートの4300番台は1968年辺りから始まっている。つまり、ジャケット・デザインは、もはや統一感は無く、デザイン的にも問題のあるものが多い。どう考えても、ジャズのジャケットとは思えないものが多々ある。
つまりは、ブルーノートの4300番台って、この酷いジャケット・デザインで損をしているアルバムが結構あると思っている。例えば、今日聴いた、Stanley Turrentine『Another Story』(写真)。1969年3月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Thad Jones (flh), Cedar Walton (p), Buster Williams (b), Mickey Roker (ds)。
パーソネルを見れば、ハードバップ時代からの猛者揃い。特に、一ひねりも二捻りもある「曲者」揃い。このメンバーだと、この盤、なかなかの内容なのでは、と思うのだが、ジャケットが酷い。このジャケットをみれば、まずブルーノートの盤だとは思わないだろう。このジャケットではまず触手が伸びない。よって、この盤、ジャズ盤紹介本で扱われているのは見たことが無い。
ですが。この盤、なかなかの内容です。成熟したハードバップが聴ける、なかなかの優れものです。タレンタインのテナーは少しライトに流麗に、耳に優しい響きが魅力的。フリューゲルホーンのサド・ジョーンズは久々の登場ですが、味のあるブリリアントで流麗な音色を聴かせてくれる。この2人のフロント楽器が実に良い雰囲気で、成熟したハードバップなフレーズを心ゆくまで聴かせてくれる。
バックのリズム・セクションも「曲者」揃い。ウォルトンのピアノは和音の響きが新しく、ウィリアムスのベースは重心低く流れる様にベースラインを弾きまくる。ローカーのドラムは気持ちの良いポリリズム。上質のハードバップな演奏が詰まっている。この盤が全く人気が無いのが残念だ。このジャケットだ、無理も無い。でも、この盤、探してでも、一度聴いてみる価値はある。タレンタインとサドのフロント2管がとても素敵である。
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