印象的なデュオ演奏が良い。
スティープルチェイス・レーベルは「欧州のブルーノート・レーベル」と呼ばれる。カタログを見れば、その喩えが良く判る。まず、ビ・バップ時代やハードバップ時代から活躍しているジャズメンの録音が沢山ある。決してトレンドに流されない。1970年代からの活動ではあるが、クロスオーバー〜フュージョンには一切手を出さない。
あるのは純ジャズばかり。誠に硬派なジャズ・レーベルである。純ジャズを専門に、編成はソロからデュオ、トリオ、カルテット、クインテットが殆どで、小規模構成のジャズがメインである。ビッグバンドなど大編成のジャズは無い。恐らく、予算の問題があったのではないか、と思っている。しかし、この小規模編成のそれぞれの演奏が実に見事に録音されている。
Lee Konitz & Red Mitchell『I Concentrate On You』(写真)。SteeplechaseのSCS1018番。1974年7月30日、デンマークはコペンハーゲンの録音拠点「Rosenberg Studio」での録音。 ちなみにパーソネルは、この盤はデュオ演奏なので、Lee Konitz (as), Red Mitchell (b, p)の2人。コニッツは録音時は44歳。ミッチェルは47歳。油ののった中堅である。
ビ・バップ時代のクール派でならしたリー・、コニッツがデュオ演奏にチャレンジしているところがミソ。コニッツは、1950年代、クール派のアルト・サックス奏者である。どれだけクールなブロウを聴かせてくれるのかと思いきや、結構ホットに吹いている。ハードバップ風のメリハリのある「味のあるブロウ」で、淡々と数々のスタンダード曲を吹き上げていく。
そして、この盤を聴いて、ちょっとビックリするのが、レッド・ミッチェルのベース。デュオなので、淡々とアルト・サックスのバックに回って、ウォーキング・ベースを弾き続けるのかな、と思ったら「とんでもない」。非常にイマージネーション豊かに唄うが如く、旋律に抑揚、緩急を効果的に付けつつ、コニッツのアルトに「リズム&ビート」を供給する。
大向こう張った、大仕掛けの吹き回しは全く無いが、淡々と適度にテンションを張りつつ、印象的なデュオ演奏を繰り広げる。このデュオ盤、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で紹介されているのを見たことが無い。しかし、とても良い内容のデュオである。コニッツのアルトの個性、ミッチェルのベースの個性、それぞれ良く表現されていて、意外とこの盤「買い」である。スティープルチェイス・レーベル侮り難し、である。
東日本大震災から8年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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