ビリー・ジョエルのカヴァー盤
最近、ジャズの新盤のタイトルを見ていると、何だか「トリビュート」ものが多い様な気がする。僕だけかなあ。様々なトリビュート盤が毎月、コンスタントに1〜2枚はリリースされている。旧来のスタンダード曲からの脱皮を図った「新スタンダード曲」の発掘というチャレンジが流行った時期があったが、そんな時期よりも、今の「トリビュート」ものを聴いた方が、「新スタンダード曲」について、新しい発見が多くある。
今回、感心したのは、Massimo Farao Trio『Scenes from an Italian Restaurant(Tribute to Billy Joel in Jazz)』(写真左)。2017年のリリース。手元に情報が不足しているので、パーソネルの詳細が判らぬが、2017年のマッシモ・ファラオ・トリオなので、Massimo Farao (p), Nicola Barbon (b), Roberto "Bobo" Facchinetti (ds) だと思われる。
イタリアの人気の巨漢ピアニスト、マッシモ・ファラオはカヴァーが好きみたいで、様々なロック曲やR&B曲のカヴァー&ジャズ化をしているようだ。この盤はタイトル通り、1970年代から80年代を代表する米国のSSW(Singer Song Writer)、「ピアノ・マン」= ビリー・ジョエルのトリビュート盤である。収録曲を並べてみると以下の通り。括弧の中は収録されたビリー・ジョエルのアルバム名。
1. Scenes from an Italian Restaurant(The Stranger)
2. Just the Way You Are(The Stranger)
3. Piano Man(Piano Man)
4. The Stranger(The Stranger)
5. Only the Good Die Young(The Stranger)
6. 52nd Street(52nd Street)
7. Vienna(The Stranger)
8. She's Always a Woman(The Stranger)
9. Rosalinda's Eyes(52nd Street)
10. Until the Night(52nd Street)
『Piano Man』から1曲、『The Stranger』から6曲、『52nd Street』から3曲が選曲されている。で、どれもがマッシモ・ファラオ・トリオによって、しっかりとジャズ化されているのには感心した。つまりはビリー・ジョエルの曲は「新スタンダード曲」化について、高いポテンシャルを有しているということである。マッシモのアレンジはちょっと短めで物足りない部分もあるが、アドリブの展開などは、しっかりとネオ・ハードバップしていて、聴き応えがある。
特に「Scenes from an Italian Restaurant」「Just the Way You Are」「Only the Good Die Young」「Until the Night」などはしっかりとジャズ化されていて、このまま「新スタンダード化」しても良いと思われるほど。このマッシモ・ファラオの「ビリー・ジョエルのトリビュート盤」、新スタンダード化の可能性がまだまだ残されていることを教えてくれた。全編32分とちょっと短めだが、聴き応えは十分にあります。
東日本大震災から8年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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