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2019年7月の記事

2019年7月31日 (水曜日)

今のジャズ演奏のレベルの高さ

長年の間に、ジャズについてはテクニックは過去に比べてレベルが高くなっている。また、演奏内容も深化していて、特に1980年代半ば、純ジャズ復古のムーヴメントが起こって以降、飛躍的に純ジャズの演奏レベルは上がった、と感じている。もう今では独学でジャズのプロ・ミュージシャンに成り上がった人はいないのではないか。

Eric Reed『Everybody Gets the Blues』(写真左)。2018年11月6日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Eric Reed (p & fender rhodes), Tim Green (as, ss), Mike Gurrola (b), McClenty Hunter (ds)。ティム・グリーンのサックスがフロントのカルテット編成。本盤はリーダーのピアニスト、リードが影響を受けた様々なアーティストの曲を選曲し、新しいアレンジで演奏している。

エリック・リードのピアノは「端正」。マッコイ・タイナーの様にハンマー打法よろしくガンゴン鍵盤を叩く様に弾きまくる力強さと、優しく柔らかなロマンチシズム溢れる旋律を弾きこなす繊細さとが同居する。粘りは無く、良く手が回る。ファンキーな要素はほとんど感じない程、ピアノの音質は「ドライ」。切れ味が良いというよりは粒だちが良いピアノ。彼のピアノを聴いていると「今のジャズピアノ」を感じる。
 
 
Everybody-gets-the-blues-eric-read
 
 
冒頭のリード作の「Everybody Gets the Blues」の演奏を聴いて、ジャズの演奏ってレベル高くなったなあ、とつくづく思った。モーダルな演奏ではあるが、ゆったりと余裕綽々の演奏。リードのピアノは耽美的で流麗。サイドメンの演奏レベルも高い。ベースは堅実で胴鳴りが魅力的、ドラムは丁々発止と柔軟なビートを供給し、そこにストレートで濁りの無いサックスがスッと入ってくる。実に素晴らしい高度な演奏。

「今のジャズ演奏」のレベルの高さをビンビンに感じる。カヴァー曲については優れたアレンジ力を感じる。スティーヴィー・ワンダーの「Don’t You Worry ‘bout a Thing」、レノン=マッカートニーの「Yesterday」のアレンジには思わずニンマリ。コルトレーンの「Naima」でのフェンダー・ローズの音は素晴らしいの一言に尽きる。その優れたアレンジに応えるリードのピアノは、これまた素晴らしい。

実にレベルの高いカルテット演奏である。恐らくこの演奏のレベルが、現代の純ジャズの演奏レベルの「1つの基準」なのだろう。ジャズはアートだ、と言われて久しいが、確かにこの盤のカルテットの演奏を聴いていると至極納得である。クラシックと対極にある「即興演奏」が旨の音楽なのだが、ここまで演奏の極みを高められるとは。好盤です。
 
 
 
東日本大震災から8年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年7月30日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・154

メインストリーム・ジャズ。いわゆる「純ジャズ」というやつである。奏法はいろいろあるが主流は「ハードバップ」。21世紀となった現代では「ネオ・ハードバップ」として、まだまだ現役、まだまだ深化している。そして、僕のお気に入りは「モード」。マイルスが大々的に始めた奏法であるが、これが実に良い。現代でも、このモード奏法をメインとしたジャズ演奏は多々存在する。

モード奏法にはちゃんとした「理論」があるが、この「理論」を読んだとして、楽理を経験した人は判るが、楽理に縁遠い人は全く判らないだろう。モード奏法は聴いた方が、聴いたフィーリングで理解した方が早い。聴けば判るが、ハードバップとは全く異なる旋律と音の響き。旋律の浮遊感、旋律の拡がり、旋律の自由度の高さ。モード奏法は聴いていて、とても楽しい。

Richie Beirach 『Romantic Rhapsody』(写真左)。2000年11月、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Richie Beirach (p), George Mraz (b), Billy Hart (ds)。あの好き嫌いの分かれるヴィーナス・レコードからのリリース。ヴィーナス盤って「エロ・ジャケット」で有名なんだが、この盤は違う。ロゴタイプも秀逸。この盤には「正統で硬派な純ジャズ」の臭いがプンプンする。
 

Romantic-rhapsody-richie-beirach

 
冒頭の「Flamenco Sketches」から「Spring Is Here」「Blue In Green」「Old Folks」「Young And Foolish」と、怒濤の「モード映え」する楽曲のオンパレード。ゆったりと余裕のあるテンポで奏でられるモードな旋律。特にリーダーのバイラークのピアノが印象的なモーダルなフレーズを撒き散らす。耽美的で柔軟度の高いモードな響き。じっくり聴きこめる、素敵な旋律の数々。

ベースのムラーツは、テクニック優秀、ピッチはバッチリ合って、骨太なアコースティック・ベース。ブンブン、ゴリゴリなアコベでモーダルなベースラインを弾きまくる。フリーの様でフリーで無い。しっかりとベースラインを押さえつつ、これだけ伸び縮みする伸縮自在な、柔軟度の高いベース・ラインはそうそう聴けない。モーダルなベース・ラインって、このことを言うのか、と感心する。

ビリー・ハートのドラミングも自由度の高い優れもの。モーダルな旋律に相対するドラミングはこういうものなんだろう。バイラークとムラーツのモーダルな旋律にぴったり寄り添うが如く、彩りを添えるが如く、リズム&ビートを供給する。いや〜良いトリオ盤ですね〜。全編にモード・ジャズが蔓延する。モード・ジャズを「今風の音」で、しっかりと聴くことが出来る好盤である。
 
 
 
東日本大震災から8年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年7月29日 (月曜日)

ありそうでなかなか無い顔合せ

ジャズを聴き始めて四半世紀、25年目位でこのアルバムに出会った。逆にジャズを聴き始めて25年目くらいで出会って良かった。若い頃にこの盤に出会っても、この盤の良さは半分くらいしか、判らなかったと思う。ジャズの演奏トレンドの特徴、ジャズマンのそれぞれの歴史と個性を認識していないと、この盤の内容の凄さが判らない。

そのアルバムとは『Diz & Getz』(写真左)。1953年12月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Gillespie (tp), Stan Getz (ts), Herb Ellis (g), Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Max Roach (ds)。6曲目の「One Alone」だけが、何故かパーソネルが、Dizzy Gillespie (tp), Hank Mobley (ts), Wade Legge (p), Lou Hackney (b), Charli Persip (ds)。

ディジー・ガレスピー&スタン・ゲッツのありそうでなかなか無い顔合わせ。録音時、ガレスピーは36歳、ゲッツは26歳。10歳の年齢差。プロの世界なら「大人と子供」。ビ・バップの祖の一人、キレ味良く、テクニック良く、ブラスが震える低音から輝かしいハイトーンまで、縦横無尽に吹きまくるガレスピーと、テクニック優秀で芯のあるジェントルでクールなブロウのゲッツ。
 
 
Diz-stan-getz
 
 
硬と軟、ホットとクール、このガレスピーとゲッツとの「対比」がこの盤の肝。しかし、この盤の一番の凄さは「ガレスピー」。ガレスピーのトランペットが凄い。こんなに吹きまくるガレスピーはそうそう無い。ビ・バップの時から更にグレードアップしたかの様な、イマージネーションとバリエーション溢れる、大胆で切れ味の良いかつ細心なトランペット。思わず聴き惚れる。

ゲッツのテナーも健闘している。ガレスピーがバリバリと吹きまくっている分、一歩引いた感じでクールで温和なフレーズを吹きまくる。温和な分、ちょっと損をしているがテクニック的には全く遜色ない。意外と芯のある硬派な音でガレスピーに対抗する。ガレスピーとの対比が良好で、この好対照なフロントは魅力満載。

当時28歳の若き超絶技巧ピアノのピーターソンの伴奏上手、リズム&ビートをしっかりと支えるをブラウンのベースとエリスのギター。そして、重厚で多弁なローチの扇動的なドラミング。ビ・バップの雰囲気を宿しつつ、ハードバップとして新しい音のするリズム・セクションがフロントの二人を盛り立て、しっかりと支える。ハードバップ初期の好盤である。
 
 
 
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2019年7月28日 (日曜日)

ハーシュの曲作りとピアノの個性

このピアニストの名前を覚えたのは、実は最近のことである。Fred Hersch(フレッド・ハーシュ)。ネットでその名を紐解けば「ビル・エヴァンスのリリシズムを継承し、ブラッド・メルドーなど数々の後進からもリスペクトを受ける名匠」とあるんだが、僕は21世紀になるまで知らなかった。

1955年生まれだから今年で64歳。ベテランの域に入った年頃で、耽美的で端正で流麗なピアノを聴かせてくれる。「凛とした」爽やかなタッチのピアノ、とでも形容したら良いだろうか。かといって、耳当たりの良い、イージーリスニング風のピアノかと思いきや、結構、硬派で辛口なアドリブ・パフォーマンスを展開したりして、これが好感度抜群なのだ。

Fred Hersch & The WDR Big Band『Begen Again』(写真左)。そんなフレッド・ハーシュが、WDR( 西ドイツ放送= Westdeutschen Rundfunks)Big Bandとの共演を果たしたアルバムである。アレンジャー & コンダクターには、才人ヴィンス・メンドーサを迎えており、聴く前から、その内容が期待出来る。
  
 
Begen-again-fred-hersch  
 
 
全9曲すべてフレッド・ハーシュのオリジナルをヴィンスがアレンジ。「Begin Again」から始まり、近年のナンバーを中心としつつ、十八番の「Rain Waltz」や、「SongWithout Words:Ballads」「Pastorale」など、ハーシュの曲作りの個性とピアノの個性が明確に出る曲が選ばれていて、「フレッド・ハーシュ再発見」な趣のある内容。

面白いのは、スウィンギーでブルージーな展開を見せる「The Big Easy」や、ラテンの旋律の哀愁感とパッションがほど良く出た「Havana」など、「耽美的で端正で流麗な」枠では捉えられない、ハーシュの作曲の個性とメンドーサのアレンジの才が強く感じれられる曲が織り込まれていること。そして、ラストの「The Orb (For Scott)」は至高のバラード。

この盤は、WDR Big Bandのバッキングとメンドーサのアレンジの協力を得て、ハーシュのハーシュの曲作りの個性とピアノの個性を再認識出来る好盤である。特にハーシュの耽美的で端正で流麗なピアノが心ゆくまで堪能出来、WDR Big Bandのダイナミックで端正なビッグバンド演奏が楽しめる。「一粒で二度美味しい」なかなかの盤です。
 
 
 
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2019年7月27日 (土曜日)

ゲッツ初期の充実内容のライブ盤

スタン・ゲッツはスタジオ録音よりもライブ録音の方が、個性と真価を発揮する。もともとアドリブ・フレーズのイマージネーションの豊かさが身上なので、演奏の仕直しが出来るスタジオ録音より、一発勝負のライブ録音の方が、ゲッツのアドリブ・フレーズのイマージネーションの豊かさをより感じることが出来るのだ。

『Stan Getz At the Shrine』(写真)。1954年11月、ロサンゼルスの「Shrine Auditorium」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Stan Getz (ts), John Williams (p), Bill Anthony (b), Bob Brookmeyer (Valve-tb), Art Mardigan [#1-8], Frank Isola [#9-10] (ds)。フロントのパートナーに、バルブ・トロンボーンのボブ・ブルックマイヤー。優しく柔らかな吹き味の二人の共演である。

スタン・ゲッツについては、彼のキャリアの初期の頃、ビ・バップからハード・バップへの移行期の頃のゲッツのテナーは魅力的、というが、このライブ盤はちょうどその期間の最後の時代。テクニック的にも、演奏の展開のトレンドとしても、ほぼ成熟した感じのブロウがとても素敵である。加えて、この時期のゲッツは意外と「力強い」。そんな「クールで繊細で流麗で力強い」スタン・ゲッツがこのライブ盤に充満している。
 
 
At-the-shrine-stan-getz
 
 
素敵な内容のライブ盤で、ゲッツを始め、メンバー全員がノリノリで演奏している雰囲気が伝わってきます。まずは主役のゲッツのテナーが良いですね〜。アドリブ・フレーズの展開は流麗で個性的。ライブならではの適度なテンションが良い方向に作用しているなあ、と感じる。ゲッツのインプロバイザーとしての優れた資質が聴いて取れます。

また、このライブ盤で特筆すべきは、ゲッツとブルックマイヤーの絡み。「Pernod」での無伴奏のイントロの2管同時ソロに思わずニンマリし、「I'll remember april」での説妙な二人の絡みに喝采し、ブルックマイヤーの名曲「Open County」では、2人の絡みによるフレーズが印象的で、この曲のベストテイク的な内容に仕上がっている。

ノりまくっていて、名曲ぞろいのこのアルバム、ライブ録音がLPレコード1.5枚分あったのですが、どの演奏も削るに惜しい内容。ということで、急遽、翌日にスタジオ録音追加して、LP2枚分のボリュームにしたとか。その翌日追加のスタジオ録音も内容が良く、前日のライブと合わせて、当時の米国西海岸ジャズの充実度を強く感じる、良い内容のライブ盤です。ゲッツ盤の聴き直しにはマスト・アイテムですね。
 
 
 
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2019年7月26日 (金曜日)

「Dear Old Stockholm」決定打

スタン・ゲッツについては、彼のキャリアの初期の頃、ビ・バップからハード・バップへの移行期の頃のゲッツのテナーは魅力的である。この時期のゲッツは意外と「力強い」。そんな「クールで繊細で流麗で力強い」スタン・ゲッツを聴くなら、この盤は外せんなあ、という盤がある。

それは、Stan Getz『The Sound』(写真左)。1950年〜51年のセッションを集めた盤である。ちなみにパーソネルは、Stan Getz (ts)、Al Haig, Bengt Hallberg, Horace Silver (p)、Tommy Potter, Joe Calloway, Gunnar Johnson (b)、Roy Haynes, Walter Bolden, Jack Noren, Kenneth Fagerlund (ds)。パーソネルを見ると、3つのセッションから成っている。

最初に言っておくが、この盤の音質は余り良く無い。ピュア・オーディオ志向で「音の良さが命」なジャズ者の方は避けた方が良いかもしれない。しかし、そんな音が良くない盤でも、ゲッツのテナーは素晴らしいことが良く判る。特に「クールで繊細で流麗で力強い」ゲッツのテナーを愛でるには「ルースト・レーベル」盤が最適、と言われているが、この『The Sound』という盤もルースト・レーベルからのリリースである。
 
 
The-sound-stan-getz
 
 
バラード演奏が美しい。「Yesterdays」や「Gone with the Wind」では、クールで繊細で流麗で力強いゲッツのバラード演奏が聴ける。クールであるが芯はホット。限りなくクールなブロウと言えば「Dear Old Stockholm」や、エリントンの「Prelude to a Kiss」が実に見事だ。録音の悪さが気にならないほど、ゲッツのテナーはいい音を出している。

特に「Dear Old Stockholm」は、ゲッツのテナーの音色がピッタリの名曲。ゲッツの「クールで繊細で流麗で力強い」テナーが実に映える。元々スウェーデンに伝わる民謡で、ゲッツがこの盤を録音する際、スウェーデンの現地で発掘したものらしい。3分足らずの演奏であるが、ゲッツのテナーの良いところの全てが入っている様に思う。惚れ惚れするほどの流麗さである。

ゲッツの若い時期のテナーが堪能できる一枚。とにかく「クールで繊細で流麗で力強い」テナーである。音の輪郭が丸いので錯覚し易いが、アドリブ・フレーズの切れ味は良い。録音状態が良くないので、ジャズ者万民にはお勧めし難いが、ゲッツのテナーを極めるには避けて通れない「マスト盤」である。音質については「我慢我慢」である。
 
 
 
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2019年7月25日 (木曜日)

ゲッツのリラックスした時の凄み

スタン・ゲッツはジャズ・テナーのレジェンド。クールで繊細で流麗で力強いテナーが身上。柔らかで優しいブロウも個性。スピーカーに対峙して、じっくり聴くよりは、リラックスして気軽に聴くほうがゲッツのテナーは良い感じ。涼しい部屋で、本でも読みながらの「ながら聴き」にも実に合う。

そんなスタン・ゲッツ、そう言えば、今までまとまってじっくりと聴き直したことが無いことに気がついた。特に、僕が思うに、スタン・ゲッツのテナーは夏に合う。スタン・ゲッツを聴き直すには「今」でしょ、ということで、ゲッツのリーダー作を集め直して、先週より聴き直し始めた。

『Stan Getz in Stockholm』(写真左)。1955年12月、スウェーデンはストックホルムでの録音。SAS(スカンジナビア航空)機に颯爽と乗り込む雰囲気の、スタン・ゲッツの写真をあしらったジャケットが印象的。4年振りに訪れた、スウェーデンのストックホルムで現地のミュージシャンらと繰り広げたワン・ホーン・セッションの傑作盤である。
 
 
Stan-getz-in-stockholm-1955
 
 
ちなみにパーソネルは、Stan Getz (ts), Bengt Hallberg (p), Gunnar Johnson (b), Anders Burman (ds)。現地のバックのリズム・セクションもなかなか健闘している。基本に忠実で、決して冒険をしない、安全運転のリズム・セクション。そんなリズム・セクションをバックに、思いっきりリラックスした雰囲気で、スタン・ゲッツが柔らかで優しい、それでいて芯のある流麗なテナーを吹き回していく。

ゲッツはこういったリラックス・ムードの中で吹く時が、一番、凄みがある。ちょっと聴けば優しい柔らかな音色だなあ、なんておもうのだが、出てくるフレーズは意外に「硬派」で芯がある。アドリブ・フレーズの展開もイマージネーション豊かで、ポジティブな閃きが詰まっている。全編に渡って、決して飽きが来ないし、逆に次はどんなフレーズが来るのか、とワクワクする。

インタープレイを目指したハードバップでは無く、あくまで、リーダーのゲッツのテナーを前面に押し出した、ゲッツのテナーを聴くアルバムなので、バックのリズム・セクションとのバランスはこれがベストなのだろう。スタン・ゲッツのリラックスした時のブロウの凄みを感じることの出来る好盤です。
 
 
 
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2019年7月24日 (水曜日)

ラテン・グルーヴなピアニスト

とにかく現代ジャズは裾野が広い。世界レベルで見て、かなりの数のプロのジャズマンがいる。それぞれの国の中で、それぞれのジャズマンが食っていけてるのだろうか、と心配になるのだが、どうなんだろう。アルバムの数も毎月毎月、相当数リリースされている。需要があるんだろうか、と心配になるのだが、どうなんだろう(笑)。

ジャズ雑誌やダウンロード・サイトで、毎月毎月、新盤を確認しているんだが、今現在、活躍しているジャズマンである。こんな人いたんや、とか、聞いたことある名前やけど、はっきり言ってアルバム、ほとんど聴いたこと無いなあ、なんて思いながら、新盤を確認することになる。今回のこの盤のリーダーもそういう類のピアニストである。

Bill O'Connell『Rhapsody in Blue』(写真左)。2009年2月の録音。リイシュー盤である。ちなみにパーソネルは、Bill O’Connell (p), Luques Curtis, David Finck (b), Steve Berrios (ds), Steve Slagle (sax), Richie Flores (perc), Dave Samuels (vib), Conrad Herwig (tb)。リーダーのピアニストは、ビル・オコンネル。
 
  
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オコンネルは1953年生まれ。今年で66歳。大ベテラン・ピアニストである。生粋のニューヨーカー。ラテン・グルーヴ溢れるピアノが個性。ラテン・ジャズ界の大御所のバンドへの参加や、ジャズ界の巨匠との共演歴があり、そういった経験が、ラテン・グルーヴを育んだと思われる。ボーッと聴いていると、チック・コリアのラテン・フュージョンのピアノかな、と感じたりする。

その最たる例が、3曲目のタイトル曲「Rhapsody in Blue」。ガーシュイン作の有名なクラシック曲。もともとこの曲、ジャジーな音の要素を旋律に含んでいるので、ジャズでは結構カヴァーされている。このオコンネルのバージョンは、こってこて「ラテン・グルーヴ」溢れるアレンジが施されている。ラテン・グルーヴの「Rhapsody in Blue」。実にユニークである。

ラテン・グルーヴの強い演奏がズラリと並ぶが、その内容は至極真っ当なもの。決して「キワモノ」では無い。オコンネルのピアノは端正で明確なタッチ。テクニックは優秀で全くブレが無い。演奏全体も統制が取れていて、切れ味も良く、聴いていて清々しい気分になる。伝統的なジャズとラテン・グルーヴとを融合したジャズはユニークで、聴いていて楽しい。
 
 
 
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2019年7月23日 (火曜日)

クールで流麗で力強いゲッツ

スタン・ゲッツ(Stan Getz)はレジェンド級のテナー奏者なのだが、印象としては「ボサノバ・ジャズのオッチャン」のイメージが強い。なんか、ボサノバ・ジャズの流行に乗って稼ぎまくったテナー奏者というイメージがあって、あんまり良い印象は無かった。『Getz/Gilberto』や『Jazz Samba』は好きだが、ボサノバを聴くなら、本場のボサノバに耳を傾けるべきで、ゲッツの真髄を聴くには、ボサノバ・ジャズは相応しくない。

Stan Getz『Split Kick』(写真左)。別名『The Complete Roost Session, Vol. 2』。俗名『牛乳瓶のゲッツ』。ルースト・レーベルに吹き込まれた1951年~52年の名演集です。1951年3月、1951年8月、1952年12月の3つのセッションからの選曲。ゲッツのRoost盤の中で一番聴き易いのがこの盤。スタジオ録音で、音質がまずまず良いのが一番の理由。

パーソネルについては、録音時期から見て、ビ・バップからハードバップへの移行期辺りで、ドラムとベースについてはリズム・キープがメインなので、後のメジャーな名前はありません。ピアノは、Horace Silver(1951年セッション)、Duke Jordan(1952年セッション)を使い分け。ギターにジミー・レイニーが入ります(1951年8月と1952年12月)。
 
 
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この盤でのゲッツは素晴らしい。速い演奏には、ビ・バップ仕込みのテクニック優秀、天才の閃きを感じる印象的なアドリブ・フレーズを、ゆったりとしたバラードチックな演奏では、ほど良く抑制された、ふくよかで流麗なアドリブ・フレーズを聴くことが出来る。加えて、後のゲッツのテナーはクールで繊細なイメージが見え隠れする印象があるのだが、この時期のゲッツは意外と何処までも力強い。

それも耳に付く力強さでは無く、耳に印象的なクールな力強さである。タイトル曲の「Split Kick」がまずもって格好良い。「It Might as Well Be Spring」もグッドだ。ボサノバ・ジャズのゲッツから入った僕の耳には、このルースト・レーベルでのクールで力強いゲッツのブロウは、全くの別物に響きます。アドリブ・フレーズもイマージネーション豊かで、飽きることが全くありません。

実は僕はこの盤の演奏を聴いて、椅子から落ちる位にビックリして「この人のテナーってもしからしたら凄いかも」と感じて、思わず、スタン・ゲッツのテナーのファンになりました。「Autumn Leaves(枯葉)」のブロウは筆舌に尽くしがたく、ここまでクールで繊細で流麗で力強い「枯葉」は他に無い。思わず、スタン・ゲッツを見直し、スタン・ゲッツの盤を順番に聴き進めていくことになる切っ掛けとなった盤『Split Kick』。今の耳で聴いても感動ものです。
 
 
 
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2019年7月22日 (月曜日)

ヤロン・ヘルマンのトリオ盤

この週末からとにかく湿度が高い。今日などは朝からもう霧雨が軽く振っている状態で体感湿度は100%。もともと湿度の高いのは大の苦手である。もうこの3日間、体は怠いし機嫌は麗しくなく、いろいろやる気が起きない。それでも音楽は聴くんだから、やっぱり音楽が好きなんでしょうね。なんて、つまらないことを考えたりする。この湿気、なんとかならんか(笑)。

Yaron Herman Trio『Songs of the Degrees』(写真左)。今年2月のリリースの新盤である。イスラエル出身のピアニスト、ヤロン・ヘルマンの通算8作目、ブルーノート3作目。ピアノの音が凄く美しい。タッチも硬質ではあるが耳に付かない。ちなみにパーソネルは、Yaron Herman (p), Sam Minaie (b), Ziv Ravitz (ds)。

リーダーのピアニスト、ヤロン・ヘルマンは、在フランス在住のフランス系イスラエルのジャズ・ピアニスト。1981年生まれだから、今年で38歳になる。若手から中堅に差し掛かる、テクニック的にも精神的にも充実してくる年頃。ヘルマンのピアノは、端正で耽美的で自由度が高い。キース・ジャレットやブラッド・メルドーらの流れを汲んだスタイルである。
 
 
Songs-of-the-degrees-1
 
 
しかし、出てくるフレーズがちょっとユニークで、北欧的でありながら、どこかエスニックでどこか中東風な響きがする。自由度が高く、エコー豊かなアコースティック・ピアノの響きは、まるで「ECMレーベル」のようでもある。とはいえ、さすがイスラエル・ジャズ、決してコピーでは無く、今までのジャズの中でありそうで無い「個性的なピアノ」である。
 
このアルバムは「コンセプト・アルバム」。ヤロン・ヘルマンいわく、この盤って「リスナーに全11トラックを通して聴いてもらって、ヤロンのこれまでの人生を感じてほしいというオートバイオグラフィー的作品」だそうだ。まあ作者がそう言っているのだから、そうなんだろう。しかし、そんなことは関係無しに、このピアノ・トリオ盤は楽しめる。

最初、この盤を聴いた時は、ジャケット・デザインとも相まって、北欧ジャズかと思った。が、北欧ジャズは伝統的に響きの基本は同じなのだが、この盤は少し北欧ジャズの音とは違うなあ、と思いたち、エスニックでどこか中東風な響きに出会って、どこのジャズなのか、全く判らなくなった。解説を読んでみると、イスラエル出身のヤロン・ヘルマンのリーダー作の由、至極納得である。

 
 
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2019年7月21日 (日曜日)

普遍的なジャズの良さが満載

最近、ニュー・ジャズ系の盤や昨年リリースの新盤を多く聞いている。これらの盤でのジャズ演奏のスタイルは「モード・ジャズ」もしくは「スピリチュアル・ジャズ」。ハードバップ風の演奏もどこか今風のトレンドが見え隠れする「ネオ・ハードバップ」。どれもが21世紀に入った現代の先端を行く音世界。と、ふと古き良き時代のハードバップが聴きたくなる。

それもドップリとハードバップした盤が良い。何が良いかな〜と選盤していたら、ふと「ヴァーヴ・レーベルの名盤たち」という特集を目にした。ヴァーヴ・レーベルかあ。プロデュース面でちょっとコマーシャルなところはあるが、内容的には「こってこてのハードバップ」がメイン。それも1950年代前半の「ハードバップ初期から中期」の盤がノスタルジックで良い。

『Lester Young With The Oscar Peterson Trio』(写真)。1952年11月の録音。ちなみにパーソネルは、 Lester Young (ts, vo), Oscar Peterson (p), Barney Kessel (g), Ray Brown (b), J. C. Heard (ds)。テナーサックス奏者のプレジデント(代表)という意味のニックネーム「プレス(Pres )」こと、レスター・ヤングのリーダー作である。全く久し振りに「プレス」のテナー・サックスを聴いたのだが、これが実に良い。
 
 
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もっとオールド・スタイルしていて、聴いていてちょっと耳がくすぐったい感じかなあ、と思っていたのだが、どうして意外と「モダン」なテナーにちょっとビックリした。ビブラートもあまりかかっていなくて、耳に付かない。実に味のある吹き回しで、特にバラードの印象的な吹きっぷりは素晴らしい。時代を越えて「普遍的な感動」に値する。バックのオスカー・ピーターソン・トリオ+ギターの伴奏も実に良い味を出している。

リズム&ビートを担うドラムの J. C. ハードがスイング風だが、逆にギターのケッセルがモダンなリズム&ビートを繰り出していて、しっかりとバランスを取っている。ピーターソンのピアノはとにかく味があって上手い。レイ・ブラウンのベースは躍動感とベースラインが当時として目新しく、演奏全体の雰囲気を「モダン」な雰囲気に引っ張り上げている。レスター・ヤングは「Two To Tango」では渋いボーカルも披露している。

これがまた「小粋なハードバップ」な雰囲気を醸し出していて、とっても良い雰囲気なのだ。この盤、プレスの深いニュアンスを持った演奏&歌声が確実に印象に残る。高速テクニックとは全く無縁の余裕のある、ゆったりとした演奏なのだが、これが「良い」。この盤に詰まっている音が、何時の時代にも愛でることが出来る「普遍的なジャズの良さ」では無いか、と思わず思ってしまう。
 
 
 
東日本大震災から8年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年7月20日 (土曜日)

「24丁目バンド」のデビュー盤

僕がジャズを聴き始めた頃は、フュージョン・ジャズ全盛時代。純ジャズは片隅に押しやられて、ジャズ喫茶でリクエストされる盤は「フュージョン・ジャズ」盤が中心。老舗のジャズ雑誌も、フュージョン・ジャズの評論が結構目立って、フュージョン・ジャズ専門の雑誌があった位だ。もともとプログレッシブ・ロックからジャズに転身した身。電気楽器中心の8ビートは親近感があった。

という環境である。行きつけの喫茶店で聴くジャズは「フュージョン・ジャズ」。僕達を含め、常連客の学生達は流したいフュージョン・ジャズ盤をカセットにダビングして持ち込んでいた。とにかく当時流行っていたフュージョン・ジャズの好盤がことごとく流れていた。専門雑誌「ADLIB(アドリブ)」で扱われていた盤はほぼ網羅していた。

『The 24th Street Band』(写真左)。「24丁目バンド」のデビュー盤である。1980年のリリース。ちなみにメンバーは、Hiram Bullock (g), Clifford Carter (key), Will Lee (b), Steve Jordan (ds)。NYの超絶技巧を誇るフュージョン・バンド4人組である。リーダーのギタリスト、ハイラム・ブロックは大阪府堺市の出身。
 
  
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ライヴ・ステージをそのまま、スタジオ録音で再現しようという意図で作られたようで、オーバーダブなど無縁のシンプルでライブ感溢れる演奏の数々は、その「ノリ」がダイレクトに伝わってくる。ボーカル入りのナンバーがほとんどで、適度にポップで、ファンクネスもそこはかとなく漂い、要所要所でロックのテイストが織り込まれていて、とても聴き易く取っ付き易いフュージョン・ジャズ盤に仕上がっている。

当時、他のフュージョン・ジャズ盤に結構溢れていた「ソフト&メロウ」な雰囲気は意外と薄い。それよりも、R&B系のファンクネスやロック・テイストな8ビートを前面に押し出していて、聴いていて、とにかくシンプルでとにかく「ノリが良い」。そして、聴いていてふと憧れる「これだけギターが弾けたらなあ」。とにかく各楽器、テクニックが凄い。聴いていて清々しさすら感じる超絶技巧。

米国のフュージョン・ジャズの様に「ソフト&メロウ」な面が過度に強調されることなく、適度にポップでテクニックに優れるところが、日本人ジャズ者の我々にしっかり訴求する。日本人好みの、ファンクネス控えめの洗練されたフュージョン・ファンク。当時、結構、ヘビロテ盤として重宝しました。今回、やっと高品質CDでリイシューされた様で「メデタシめでたし」。
 
 
 
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2019年7月19日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・153

このアルバムを聴いた時、ジャズってまだまだ演奏のバリエーションが豊やなあ、と感心した。音の雰囲気的には、ちょっと聴くと「これもヒーリング・ジャズなのか」と思うのだが、聴き進めると、実に硬派で実直な「コンテンポラリーな純ジャズ」であることが判る。切れ味鋭く、演奏の展開はモードだろう。疾走感溢れる、自由度の高いモード・ジャズをエレクトリック&アコースティック交えて、バリバリに演奏している。

James Francies『Flight』(写真左)。2018年10月のリリース。ブルーノートの大型新人ピアニスト「ジェイムズ・フランシーズ」のデビュー・アルバム。ちなみにパーソネルは、James Francies (p), Chris Potter (sax), Mike Moreno (g), Joel Ross (vib), Burniss Travis (b), Jeremy Dutton, Mike Mitchell (ds)。 現代のコンテンポラリーな純ジャズを担う若手の精鋭部隊である。

この盤の音世界には「癒し」は無い。真摯で実直なコンテンポラリーな純ジャズが展開されている。迫力満点、切れ味満点、テクニック優秀ではあるが、それが耳に付かない、流麗なモード・ジャズ。エレクトリック&アコースティックが混ざった、無機質なファンクネスが独特のリズム&ビートが分厚い、ダイナミズムが心地良いコンテンポラリーな純ジャズの演奏の数々。
 
 
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特にフランシーズのエレピの音が印象的。様々なシチュエーションで、様々な音や様々な響きが耳に飛び込んでくる。ニューヨーク・タイムズ紙で「タッチに液体のようなダイナミズムのあるピアニスト」と形容されているが、それも納得。今までのピアニストに無い、独特の音世界がこのフランシーズにはある。この盤の演奏は聴き流すタイプの音では無い。しっかりと対峙して聴き耳を立てる、そして、その音の先進性を感じる。そんなタイプの音である。

全曲オリジナルで3人の歌手がゲスト参加。このボーカルとボイスの使い方は「楽器」としての使い方。無調のフリー・ジャズの展開の中で響き渡るボーカルとボイス。演奏のメインはモードが中心のネオ・ハードバップの発展形、そして、そこに「ネオ・フリージャズ」な展開が華麗である。現代の最先端を行く、コンテンポラリーな「ネオ・フリー」な展開に思わず「刮目ならぬ刮耳」する。

グラスパーの弟分的位置づけの現代ニュー・ジャズの新進ピアニスト。このデビュー盤では、その実験精神も十分な成果を収めており、ますますこれからが楽しみな、新しいタイプのジャズ・ピアニストである。プロデュースはデリック・ホッジ。フランシーズのピアノ&キーボードの個性を十分に引き出していて立派だ。今から次作がとても楽しみである。これからどう「変化」していくのだろう。
 
 
 
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2019年7月18日 (木曜日)

これも「ヒーリング・ジャズ」

「聴く者に精神的に訴求する、心を揺さぶる」スピリチュアル・ジャズとは違って、聴く者を気持ち良くさせ、心地良くさせ、心を癒す「ヒーリング・ジャズ」。一昨日、そのヒーリング・ジャズの好盤、ベン・ウェンデルの『Seasons』を聴いていて、Aaron Parks (p) の名前を見つけた。そう、彼もヒーリング・ジャズなアルバムをリリースしていたなあ。

Aaron Parks『Little Big』(写真左)。2018年10月のリリース。ちなみにパーソネルは、Aaron Parks (p, key), Greg Tuohey (g), David Ginyard (b), Tommy Crane (ds)。 ジャケット・イメージからも、ホットに燃えるジャズでは無く、クールに燃えるジャズであろうと、また旧来のハードバップでは無い、新しい響きの「ニュー・ジャズ」系の盤であろうと事前に想像がつく。

出てくる音は、クールで印象的な、それでいてウォームなエレクトリック・ジャズである。何処までも穏やかでクール。しかし、バックで支えるリズム&ビートは、柔らかではあるが躍動的。聴いているととても心地良い。思わずフーッと溜息が漏れる。この盤に詰まっている音世界は、聴く者を気持ち良くさせ、心地良くさせ、心を癒す「ヒーリング・ジャズ」である。
 
 
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現代のエレクトリック・ジャズである。1970年代のECMレーベルでの「ニュー・ジャズ」に通じるコンセプト。でも、あの頃の「ニュー・ジャズ」は旧来のハードバップから脱皮して、それまでに無い、新しい響き、展開、イメージのジャズをやる。それについて「チャレンジ」するスピリットが前面に押し出ていた。少し手探りと少しの思索が見え隠れしつつ、大胆にチャレンジする。その雰囲気に我々聴き手は共感し同調した。

しかし、このアーロン・パークスの主宰する「ヒーリング・ジャズ」は確信に満ちている。確信に満ち、揺るぎの無いスタンスで展開する、現代の「ニュー・ジャズ」。従来のハードバップやフリー・ジャズのイメージの微塵も無い、クロスオーバーやフュージョン、民俗音楽や米国ルーツ音楽などを融合した、ファンクネス皆無の新しい現代ジャズの音世界。これが聴いていてとても心地良い。

ヒーリング・ジャズというコンセプトの中で、展開するエレクトリック・ジャズは癒しに満ちている。パークスのリーダー作であるが故、パークスのピアノ、キーボードがとても印象的に響く。思わず、イージーリスニングに傾くかと身構えるが、バックのリズム&ビートがしっかりジャジーな響きを宿している分、決してそうはならない。極上の「ヒーリング・ジャズ」盤である。
 
 
 
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2019年7月17日 (水曜日)

「音の多国籍性とぶ厚さ」が魅力

エレクトリック・ジャズも順調に深化している。バリエーションも豊かになっている。思えば、1960年代後半、マイルス・ディヴィスにてその扉を開いたエレクトリック・ジャズ。1970年代のクロスオーバーからフュージョン・ジャズを経て、純ジャズ復古の1980年代にも、数は限定されてはいたが、その傍らでエレクトリック・ジャズは深化し、21世紀に至っている。

Snarky Puppy『Immigrance』(写真左)。今年2019年3月のリリース。(クロスオーバー+ファンク+ダンス+フュージョン)を融合したエレクトリック・ジャズ。(ファンク+ダンス)の要素が演奏全体に渡って、効果的に効いていて、ぼ〜っと聴いていると、ライトでポップさを前面に押し出した「マイルスのエレクトリック・ジャズ」のような音世界。リズム&ビートがしっかりと効いていて、実にダンサフル。

「スナーキー・パピー(Snarky Puppy)」。バンドというかグループ名である。ネットの情報によると「2004年結成。ツアーやセッションによって40人以上のメンバーが流動的に入れ替わる大所帯編成で、ノラ・ジョーンズも輩出した名門北テキサス大学の出身」とある。つまりは流動的にメンバーが入れ替わるバンドだそうだ。
 
 
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ジャズ+ファンク+ダンス+フュージョンを融合した造語「Jafunkadansion」サウンドがウリだそうで、思わず納得である。この新盤では、そこに民族音楽的な音の要素がふんだんに散りばめられいる。アラブやアフリカ、トルコやモロッコの音楽の要素が見え隠れして、聴いていてとても楽しい。多国籍な音の要素をふんだんに含んだエレクトリック・ジャズ。

そこはかとなくファンキーなリズム&ビートと相まって、インターナショナルなエレクトリック・ジャズに仕上がっている。しかも、自由度溢れるアドリブ・フレーズは実にキャッチャー。耳当たりが良く、耳に心地良い、印象的なフレーズが連続して耳に届く。聴いていてかなり気持ちがポジティヴになる。しかも、よく聴き耳を立てると、その演奏テクニックは卓越したものがある。

そんな優れたテクニックがあるからこそ、全編約1時間弱、全く飽きることが無い。しかも今回の盤は、一発録りでは無く「オーヴァーダビングもしているし、エディットもしている」。些細な部分までしっかりと行き届いた音作りがなされていて、聴き心地満点。スナーキー・パピーの「音の多国籍性とぶ厚さ」が最大の魅力である。いや〜、いい音詰まってる、現代のエレクトリック・ジャズ。好盤です。
 
 
 
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2019年7月16日 (火曜日)

「ヒーリング・ジャズ」の12ヶ月

激情に走らず、穏やかでモーダルな「印象的フレーズ」を展開しながら、時にフリーに傾くが、それは演奏の中のアクセントとしてアレンジされ、音の響きとフレーズからスピリチュアルな面を増幅させ「聴く者に訴求する」という最近のスピリチュアル・ジャズ。その「聴く者に精神的に訴求する、心を揺さぶる」スピリチュアル・ジャズとは違って、聴く者を気持ち良くさせ、心地良くさせ、心を癒す「ヒーリング・ジャズ」なるものも存在する。

Ben Wendel『Seasons』(写真左)。2018年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Ben Wendel (ts, ss, Bassoon), Aaron Parks (p), Gilad Hekselman (g), Matt Brewer (b), Eric Harland (ds)。リーダーのベン・ウェンデルはサックス奏者。テクニック良く、ブラスの輝きを振り撒きながら、透明感のある音でしっかりとサックスを鳴らす。ECMレーベルの御用達、ヤン・ガルバレクのサックスの音階を低くした様な音。

収録された曲名を見ると1月から12月まで、それぞれの月の名前を命名した曲が12曲続く。ベン・ウェンデルはカナダ出身、米国ニューヨーク在住なので、日本の様に明確に四季があって、その月毎に個性的な気候がある訳では無い。12の月の名前の曲それぞれに明確な違いがあるわけでは無いのだが、それはご愛嬌。「1月」から「12月」まで、一貫して、聴く者を気持ち良くさせ、心地良くさせ、心を癒す「ヒーリング・ジャズ」が展開されている。
 
 
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エリック・ハーランドのドラム、マット・ブリューワーのベース、それにアーロン・パークスのピアノ。このバックを司るリズム・セクションが良い。フロントのテナーとギターの様々なニュアンスに繊細に反応するリズム・セクション。見事である。しなやかで流麗な、それでいて様々なニュアンスに即興で反応する、実にジャズらしい自由な音空間が「ヒーリング効果」を醸し出す。とにかく聴いていて心地良いのだ。「ながら聴き」に最適である。

ウェンデルのサックスの官能的で心を心地良く揺さぶる音が良い。キレ味良く透明感豊か。様々な音の表情が豊かで、強めなリバーブをかけた幻想的なサウンドはヒーリング効果抜群の音。ギターのギラッド・ヘクセルマンもいい音出している。ウェンデルのサックスとの相性抜群で、ちょっとくすんだ拡がりのある個性的な音はウェンデルのサックスの音の傾向とは正反対。この正反対な音同士がフロントで絶妙なユニゾン&ハーモニーを奏でるのだ。堪らない。

資料にはチャイコフスキーの「四季」にインスパイアされた、とある。確かにコンセプトは同じ。チャイコフスキーは四季、ウェンデルは12ヶ月。コンテンポラリーなジャズ・サウンドで月々のそれぞれの「月の個性」を表現する。明確にそれぞれの「月の個性」が強く表現されているとは言い難い部分はあるが、1年の月の流れをトータルな「ヒーリング・ジャズ」として表現するという企画は一応の成功を収めている、と評価して良いのではないかと思います。
 
 
 
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2019年7月15日 (月曜日)

現代のジャズ・トロンボーンです

ここ千葉県北西部地方、今年の梅雨は天気がかなり悪い。先月末からほとんど曇りか雨。晴れたのは1日程度ではないかしら。この3連休も結構まとまった雨が降って、今日、昼間少しだけ日が射しただけ。精神的にもちょっと参ってきた。でも、気温は低めで、昨年のように、連日猛暑という状態では無いことだけが救い。
 
さて、そんな鬱陶しい日が続く千葉県北西部地方、我がバーチャル音楽喫茶『松和』で聴くジャズ盤の志向も確実に変わった。とにかく聴き易い、聴き心地の良いジャズが良い。爽快感溢れるフュージョン・ジャズ、そして、純ジャズなら耳当たりの良い楽器、ピアノやオルガン、トロンボーンがメインのものをよく選盤する。

Steve Davis『Correlations』(写真左)。2018年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Steve Davis (tb), Joshua Bruneau (tp), Wayne Escoffery (ts), Xavier Davis (p), Dezron Douglas (b), Jonathan Barber (ds), Cyro Baptista (per on 3曲目「Batista’s Revenge」のみ)。リーダーのトロンボーン奏者、スティーヴ・ディヴィス以外、知らないメンバーばかり。
 
 
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スティーヴ・ディヴィスは、1967年4月生まれなので、今年で52歳。ジャズ界での優れた中堅メンバーの一人。 ジャズ・メッセンジャーズや One For Allへの参加で名前だけは知っていたが、リーダー作についてはつい最近まで聴く機会に恵まれなかった。というか、トロンボーン奏者として、我が国では結構マイナーな存在である。しかし、彼のプレイは堅実。トロンボーンという楽器を実に正確に端正にプレイすることが出来る。
 
とても内容の濃いネオ・ハードバップな演奏が詰まったアルバムである。取り巻くバック・ミュージシャンは僕にとっては無名だが、演奏を聴くとかなり優れた名うてのメンバーが揃っていると感じる。どの曲でも、端正で躍動的なプレイで、リーダーのスティーヴ・ディヴィスのトロンボーンを始めとするフロント3管を盛り立てる。
 
スティーヴ・ディヴィスのトロンボーンは端正かつ正確。ピッチもバッチリ合っていて、速いフレーズも緩むことは無い。トロンボーンでありながらファンクネスは控えめ。切れ味の良い、緩みの無いフレーズが心地良い。これだけ端正なトロンボーンはなかなか無い。現代のジャズ・トロンボーンの第一人者として相応しいプレイはなんとも清々しい。
 
 
 
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2019年7月14日 (日曜日)

ショウの素晴らしい未発表音源

我が国においてのジャズ盤の評価は絶対では無い。それは米国でも欧州のジャズ先進国でも言えることで、それぞれの国で好みが大きく分かれるジャズメンがいる。米国で評価の高いジャズメンが日本ではそれでも無かったり、日本で評価が高いのに欧州ではそうでも無かったり、国によって、リージョンによって好みが分かれることがある。

例えば「Woody Shaw(ウッディ・ショウ)」。ハード・バップからアバンギャルドまで一歩進んだ演奏スタイルで、1960年代後半以降から70年代にかけてフレディ・ハバードと並ぶ実力派のトランペッターとして注目された。ところが日本ではショウの人気はイマイチだった。ハバードの後に出てきたトランペットのテクニシャンだったからかなあ。ハバードの二番煎じという評価だったとしたら、それは違うだろう。

Woody Shaw『Basel 1980』(写真左)。ウディ・ショウの未発表演奏集。1980年1月、スイスのベイゼルと、ボーナストラックの1曲だけ、1981年6月、オーストリアのルステナウでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Woody Shaw (tp, flh), Carter Jefferson (ts, ss), Larry Willis (p), Stafford James (b), Victor Lewis (ds)。サックスのカーター・ジェファーソンとショウは、70年代前半にアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズで同僚だった間柄。
 
 
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未発表音源だといって侮ってはならない。冒頭の「Invitation」から、テクニック抜群、歌心抜群、緩急自在、変幻自在のトラペットが鳴り響く。この「Invitation」という曲、曲が長く、同じコードが続いたり、転調が多かったりの難曲である。この難曲をいとも容易く、吹き上げていくショウのトランペット。誤解を恐れず言うと、ハバードの先進性はハードバップ寄り、ショウの先進性はニュー・ジャズ寄り。ショウのトランペットの方が先を行っていた、と感じている。
 
Disc2の1曲目「Love Dance」と2曲目の「‘Round Midnight」も白眉の出来。ショウの凄さはスローテンポの吹きっぷりにある。スローテンポなフレーズの中に漲る異様なテンションと、テクニックの高い者だけが出来る安定のブレの無い流麗なフレーズの吹き回し。収録されたどの曲でも聴くことが出来るが、過去のどの演奏にも聴くことが出来ないショウの独創的なフレーズ。 
 
以前から、我が国でのショウの評価の低さが理解出来なかった。活躍を始めた時代が1970年代という、米国&日本で純ジャズの影が薄かった時代であったこと、ショウが「充実の中堅」の領域の入りつつあった、純ジャズ復古の成った1980年代の終わり、1989年にこの世を去ったこと。この2点が、我が国でのショウの適正な評価を阻害したのかもしれない。ショウのリーダー作を聴き直せば良く判る。ショウのトランペットは素晴らしい。
 
 
 
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2019年7月13日 (土曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・71

我らが千葉県北西部地方、今年の梅雨はいかにも梅雨らしい。6月の終わりに台風が房総半島を掠め去った後、梅雨前線が北上し、それ以来、ほとんど晴れた日が無い。今日で7月も13日。もう2週間以上、ほとんど晴れた日を体験していない。それでも、昨年に比べると気温は低めで、湿気は多くて閉口するが、暑くて我慢できない、ってことは今年は今の所、ほとんど無いのはありがたい。

こういう梅雨の湿気が多くて蒸し暑い気候では、難しいものはいけない。何でもシンプルなものが良い。ジャズでもシンプルなものが良い。加えて、爽快なものが良い。そういう観点からすると、シンプルなハードバップ、ネオ・ハードバップが判り易くてシンプルで爽快感が高い。そう言えば確かに、梅雨時はハードバップ系のあんまり難しく考えなくても、スッと聴き耳をたてることが出来る、シンプルなジャズを好んでかける傾向がある。

『Bud Shank Plays Tenor』(写真左)。1957年11月29日の録音。ちなみにパーソネルは、 Bud Shank (ts), Claude Williamson (p), Don Prell (b), Chuck Flores (ds)。バド・シャンクと言えば、米国西海岸ジャズのアルト・サックスの使い手。アート・ペッパーと並んで、「西海岸アルト・サックス」の代表的存在である。そんなシャンクが全編テナー・サックスを吹いた異色盤。
 
 
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収録された全8曲はスタンダード曲がメイン。シャンクのテナー・サックスは中高音が中心。シャンクがテナー・サックスを持って吹いている、ということを知らなければ、意外とこのブロウが「テナー・サックス」のものとは思わず、ちょっとだけ低めの音がメインのアルト・サックスだと思うだろう。しかし、このシャンクのテナー、流麗でシンプルで、耳に心地良い音はとても印象的。
 
バックのクロード・ウィリアムソンのピアノを中心とするリズム・セクションは堅実。個性的な展開は全く無く、どちらかと言えば、シンプルに正確にリズム&ビートを供給する事に徹していて、どちらかと言えば、1世代前の「ビ・バップ」のリズム・セクション風。しかし、これが良くて、バックの演奏がシンプルで判り易い分、シャンクのテナーのフレーズがほど良く、クッキリスッキリと聴ける。
 
アルト・サックスと同様に、流麗で明確でポジティブなテナー・サックスのアドリブ・フレーズを、ふんだんに聴くことが出来る。これだけ流麗な、流れる様なフレーズの連発、爽快感が半端ないです。乾いた雰囲気が米国西海岸ジャズらしくて、この梅雨の季節には良い感じで耳に響きます。明るい雰囲気のブロウなので、ジャズ喫茶の昼下がりに流すのに最適かと。好盤です。
 
 
 
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2019年7月12日 (金曜日)

この盤に詰まった「北欧の音」

正統なネオ・ハードバップやモード・ジャズを聴き続けていると、ふとECMレーベルの「ニュー・ジャズ」が聴きたくなる。もともと、19歳の頃、ジャズを本格的に聴いていこう、と決めた切っ掛けの1つが「ECMレーベルのアルバム」。それが原因なのか、ECMレーベルの音が無性に聴きたくなることがある。

Edward Vesala『Satu』(写真左)。1976年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Edward Vesala (ds), Tomasz Stańko (tp), Juhani Aaltonen (ss, ts, fl), Tomasz Szukalski (ss, ts), Knut Riisnæs (fl, ts), Palle Mikkelborg (flh, tp), Torbjørn Sunde (tb), Rolf Malm (b-cl), Terje Rypdal (g), Palle Danielsson (b)。総勢10名。いずれもECMレーベル御用達のジャズ・ミュージシャン達である。エンジニアはJan Erik Kongshaug。

リーダーはフィンランドのドラマー「エドワード・ヴェサラ」。この盤に詰まっている音は「北欧の音」。北欧の凛とした大地をイメージするような音世界。明らかに米国のジャズとは違う。ファンクネスは皆無、明確なオフビートも無い。緩急自在、変幻自在、無調のモード・ジャズ、そしてフリー・ジャズ。
 
 
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リーダーだから当たり前と言えば当たり前なんだが、ヴェサラのドラムが良い。スケールが大きく、明確で力感のあるドラミング。ドラムの音が美しい。ドラムの表現力がダイナミックかつ繊細、そしてバリエーション豊か。連続して叩き出される緩急自在、変幻自在のドラミングは典雅ですらある。

そんなヴェサラの緩急自在でスリリングなドラムに、幽玄かつ伸びのあるエレギが絡み(これは聴けばリピダルだと直ぐに判る)、幻想的で感応的なフルートが絡む。ソリッドで堅実なベースが演奏の底をガッチリ支える。実にファンタスチックで柔軟なスピリチュアル・ジャズ。

大編成ならではの分厚い音ではあるが、耳に感じるのはクールな躍動感。民族音楽的なメロディや牧歌的な雰囲気も見え隠れして「北欧感」抜群。大音量でブワーッといくことは全く無く、繊細な音やきめ細かい音、印象的な音、官能的な音を絡ませ、組み合わせ、混ぜ合わせることで、独特の音世界を現出しています。好盤です。
 
 
 
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2019年7月11日 (木曜日)

スピリチュアルな新しい響き

新しいタイプのスピリチュアル・ジャズがほぼ定着したのでは無いかと思う。激情に走らず、穏やかでモーダルな「印象的フレーズ」を展開しながら、時にフリーに傾くが、それは演奏の中のアクセントとしてアレンジされ、音の響きとフレーズから「スピリチュアル」な面を増幅させ、聴く者に訴求する、という、新しいアプローチ。

僕はこの人がこの「新しいタイプのスピリチュアル・ジャズ」に手を染めるとは想像出来なかった。確かにこのピアニストの懐は深く、様々な表現の引き出しを持っている、とは思っていた。が、ここまでのアプローチをするとは思わなかった。そう言えば、メルドーって、マルチ・キーボード奏者としての才能も確かだったことを思い出した。

Brad Mehldau『Finding Gabriel』(写真左)。今年5月のリリース。ちなみにメインは、Brad Mehldau (ac-p, syn, key), Mark Guiliana (ds) の二人。そこに、Ambrose Akinmusire (tp), Michael Thomas (fl, as), Charles Pillow (ss, as), Sara Caswell (vln), Joel Frahm (ts), Kurt Elling (vo). Gabriel Kahane (vo), Becca Stevens (vo) などがゲスト参加。
 
 
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聖書からインスピレーションを得たというアルバムのタイトルからして「スピリチュアル・ジャズ」の香りがプンプン漂う。出てくる音は、現代のエレクトリック・ジャズ。ビートに乗った印象的なフレーズの洪水。冒頭の「The Garden」を聴いて、思わずぶっ飛ぶ。ファンクネスは皆無だが、かなりハイレベルなエレ・ジャズ。

そこに、疾走するビートに乗って、印象的な各種サックスの咆哮、フルートの響き、印象的に切れ込んでくるトランペット。ボイス、ボーカルも効果的かつ印象的な響きに貢献する。主役のメルドーはアコピは当然、OB-6 Polyphonic synthesizer、Moog Little Phatty synthesizeなど、印象的な音の出るシンセを駆使、Fender Rhodesも活用。とてもスピリチュアルで印象的なフレーズを連発する。マルチ・キーボード奏者の面目躍如。

ジュリアナのドラミングも新しい響き。マシン・ビートに血を通わせたような、人間的な温もりのある疾走感溢れるビートを叩き出し、撒き散らす。新しい響きの、新しいアプローチのエレクトリック・ジャズ。音の表現としては「新しいタイプのスピリチュアル・ジャズ」。まだ聴き始めたばかりの盤だが、これは「只者」ではない。暫く、折につけ、耳を傾けるつもり。新しいジャズのアプローチは腹に落ちるのに時間がかかる。
 
 
 
東日本大震災から8年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年7月10日 (水曜日)

モード・ジャズが判り易い盤

モード・ジャズというのは、純ジャズの基本スタイルの1つ。現代の純ジャズを聴いていると、かなりの確率でモード・ジャズに遭遇する。で、このモード・ジャズであるが、言葉で表すと「コード進行よりもモード (旋法)を用いて演奏されるジャズ」(Wikipediaより)。古い教会音楽の音階を応用して展開するジャズで、ちょっと神秘的で、都会的で、とても現代的な響きがする。と書いても、恐らく読んでいる方は何のこっちゃ判らんだろう。
 
モード・ジャズは言葉で表しても良く判らない。実際に聴いた方が早い。よく紹介されるのが、Miles Davis『Kind of Blue』なんだが、確かにこの盤、モード・ジャズなんだが、モード・ジャズ独特の特徴が判り難い。モード・ジャズの初期の演奏なので、演奏者全員がモードに対する理解度が高い訳では無かった。メンバーによってはモードに対する理解度がイマイチが故に、ところどころコード演奏に立ち戻っていたりするので、ちょっと判り難いところがある。ちなみにマイルスはモードについての理解度が高いですね。
 
Carla Bley『Song with Legs』(写真左)。1994年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Carla Bley (p), Andy Sheppard (ts, ss), Steve Swallow (b)。ドラムレスの変則トリオの演奏。ピアノは打楽器と旋律楽器の両方の役割を担えるので、ドラムが無くてもリズム&ビートは供給されるので問題無い。3人共に、ECMレーベルで活躍した経験のあるミュージシャンで、ジャズの基本は「ニュー・ジャズ」。ハードバップやファンクネスとは無関係。
 
 
Song-with-legs-carla-bley  
 
 
冒頭の「Real Life Hits」を聴くと、これはモード・ジャズの演奏だなあ、と直ぐに判る。各コード間に一定のスケール(音階)を設定して、そのスケールの構成音でアドリブをする。確かにこれはモード・ジャズである。ピアノのカーラもサックスのシェパードもベースのスワローも揺るぎない確信を持ってモード・ジャズを演奏している。
 
マイルスがモード・ジャズを演奏したのは1958年。それから36年。モード・ジャズはその方法論を含めて、ジャズ演奏の基本スタイルとして確立されていた。この『Song with Legs』には、モード・ジャズの演奏が溢れている。ちょっと神秘的で、都会的で、現代的な響き。カーラのピアノの個性、癖が無くて硬質でクールなタッチがモード・ジャズに適していることが良く判る。
 
もちろん、テナーのシェパードもモード・ジャズに精通している。コルトレーンの時代よりも遙かに余裕のあるアドリブ展開には、やはり経年によるジャズの成熟を感じる。そして、思わず耳を傾けてしまうのが、スワローのベース。ベースによるモーダルな演奏って、こういうのを言うんだなあ、と感心。ハードバップとは全く異なる、モード・ジャズ独特の音世界を体感できる盤として、この『Song with Legs』は重宝しています。
 
 
 
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2019年7月 9日 (火曜日)

ビリー・ジョエルのカヴァー盤

最近、ジャズの新盤のタイトルを見ていると、何だか「トリビュート」ものが多い様な気がする。僕だけかなあ。様々なトリビュート盤が毎月、コンスタントに1〜2枚はリリースされている。旧来のスタンダード曲からの脱皮を図った「新スタンダード曲」の発掘というチャレンジが流行った時期があったが、そんな時期よりも、今の「トリビュート」ものを聴いた方が、「新スタンダード曲」について、新しい発見が多くある。
 
今回、感心したのは、Massimo Farao Trio『Scenes from an Italian Restaurant(Tribute to Billy Joel in Jazz)』(写真左)。2017年のリリース。手元に情報が不足しているので、パーソネルの詳細が判らぬが、2017年のマッシモ・ファラオ・トリオなので、Massimo Farao (p), Nicola Barbon (b), Roberto "Bobo" Facchinetti (ds) だと思われる。

イタリアの人気の巨漢ピアニスト、マッシモ・ファラオはカヴァーが好きみたいで、様々なロック曲やR&B曲のカヴァー&ジャズ化をしているようだ。この盤はタイトル通り、1970年代から80年代を代表する米国のSSW(Singer Song Writer)、「ピアノ・マン」= ビリー・ジョエルのトリビュート盤である。収録曲を並べてみると以下の通り。括弧の中は収録されたビリー・ジョエルのアルバム名。
 
 
Scenes-from-an-italian-restaurant
 
 
1. Scenes from an Italian Restaurant(The Stranger)
2. Just the Way You Are(The Stranger)
3. Piano Man(Piano Man)
4. The Stranger(The Stranger)
5. Only the Good Die Young(The Stranger)
6. 52nd Street(52nd Street)
7. Vienna(The Stranger)
8. She's Always a Woman(The Stranger)
9. Rosalinda's Eyes(52nd Street)
10. Until the Night(52nd Street)

 
『Piano Man』から1曲、『The Stranger』から6曲、『52nd Street』から3曲が選曲されている。で、どれもがマッシモ・ファラオ・トリオによって、しっかりとジャズ化されているのには感心した。つまりはビリー・ジョエルの曲は「新スタンダード曲」化について、高いポテンシャルを有しているということである。マッシモのアレンジはちょっと短めで物足りない部分もあるが、アドリブの展開などは、しっかりとネオ・ハードバップしていて、聴き応えがある。
 
特に「Scenes from an Italian Restaurant」「Just the Way You Are」「Only the Good Die Young」「Until the Night」などはしっかりとジャズ化されていて、このまま「新スタンダード化」しても良いと思われるほど。このマッシモ・ファラオの「ビリー・ジョエルのトリビュート盤」、新スタンダード化の可能性がまだまだ残されていることを教えてくれた。全編32分とちょっと短めだが、聴き応えは十分にあります。
 
 
 
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2019年7月 8日 (月曜日)

日本人によるジャズ・ファンク

「吉田次郎」ってギタリストだったよな、と思う。どこかで聴いた、と思う。どの盤だろう。結構、硬派でハードなギターを弾くおじさんだった覚えがある。ということで、自作のCDデータベースに頼る。おおっ、ケイコ・リーの『愛の奇蹟(Wonder of Love)』のハードでファンキーなギターがそうだったか。マリーンがボーカルのユニット「THREESOME」のギタリストもそうだった。
 
吉田次郎は1958年生まれ。今年で61歳。NY在住。1984年にバークリー音楽院に留学。修了後は1年半程、同学院の講師を務めている。ハードコアなジャズからポップ・アーティストのツアー・サポートまでこなす「セッション・ギタリスト」である。ハードでファンキーなエレギから切れ味の良いアコギまで、そつなくこなす。とにかく上手い。そして、味があるギターである。

吉田次郎『Red Line』(写真左)。そんな吉田次郎の4年ぶりのソロ・アルバム。ちなみにパーソネルは、吉田次郎 (g), マーロン・サンダース (vo), カール・カーター (b), ヴァーナ・ギリッグ (p), 川口千里 (ds)、guest : マリーン (vo)。サンダースのR&系のボーカルが肝、リズム隊はスティーヴ・ガッドばりの「縦ノリ・スイング」なドラミングが個性の川口千里の参加が目を惹く。
 
 
Red-line-jiro-yoshida  
 
 
冒頭のモンゴ・サンタマリアの「アフロ・ブルー」がむっちゃファンキー。サンダースのボーカルが思いっきり効いている。最初は誰がこのファンキーなギターを弾いているのか判らなかった。よく聴いているとギターのストロークから醸し出されるファンクネスが乾いているのに気がつく。これは米国ジャズのギタリストでは無い。リズム感が端正で乱れが無い。これって日本人のギターなの、と思ってパーソネルを見たら「吉田次郎」でした。
 
ウェイン・ショーターの「フットプリンツ」、チャールズ・ミンガスの「グッドバイ・ポークパイ・ハット」といったミュージシャンズ・チューンズが渋い。しっかりとジャズ・ファンクなアレンジが施されているので、もうノリノリである。ハードロックの名曲、ディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」も硬派でハードなジャズ・ファンクな演奏。
 
ギターソロのフランシス・レイの「男と女」とジョン・レノンの「イマジン」以外のジャズ・ファンクな演奏が実に良い。乾いたファンクネスを振り撒いて、端正でストイックなジャズ・ファンク。良い味出してます。ボーカル曲もボーカリストがファンキーで優秀なので、違和感無く聴くことが出来る。これが日本人ギタリストがリーダーのジャズとは。21世紀に入って、日本人ジャズは急速に充実してきた。もはや「日本人ジャズならではの違和感」は全く無い。好盤である。
 
 
 
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2019年7月 7日 (日曜日)

アコースティック・バンドの再始動

最近、チックの活動はちょっと活発。チック・コリアは1941年生まれなので、今年で78歳。健康にだけは留意して欲しいと思うばかり。僕は既に40年以上、チック・コリアのマニアなので、最近のコンスタントにアルバムをリリースする状況はとても嬉しい。しかも、そのタッチは衰え知らずなので、ファンとしては喜ばしい限りである。

Chick Corea Akoustic Band『Live』(写真左)。改めてパーソネルは、Chick Corea (p), John Patitucci (b), Dave Weckl (ds)。伝説のトリオの再始動を捉えたCD2枚組ライヴ盤。2018年1月13日、米・フロリア州セントピーターズバーグのSPCミュージック・ホールでの公演を収録したもの。1989年発表の第1弾『スタンダーズ&モア』はグラミー賞2部門受賞、全米ジャズ・チャートNo.1を記録。この3人でのアルバムは『ラウンド・ミッドナイト (原題:Alive)』(1991年発表)以来、28年振り3枚目。
 
僕はチック・コリアはエレもアコも大好きなので、今回の再始動ライブ盤は手放しで大歓迎。30年前、第1弾の『スタンダーズ&モア』が出た時は、テクニック優先で情緒に欠ける、ダイナミックな演奏が過ぎて情緒に欠ける、またアコースティック・トリオに戻って訳分からん、とか、当時の年配のジャズ評論家の方々の評価はイマイチだったなあ。
 
 
Live-ccab  
 
 
でも、今の耳で聴いても、かなり優秀な、時代の先端を行くピアノ・トリオだったと思います。今回のライブ盤、3人とも約30年振りなので、当然ながら30歳、歳を取った訳だ。当初のアコースティック・バンドの切れ味とダイナミズムはそのままに、成熟さと流麗さが加わって、現代のピアノ・トリオとして十分通用する内容になっている。この現代のピアノ・トリオとして通用する、という部分が凄い。決して「懐メロ」になっていないことが、とりわけ素晴らしい。
 
馴染みの深い曲がメインとなっているので、とても楽しい。もともとリズム感やタイム感が完璧な3人による再会セッションなので、「決め」の部分などがバッチリ決まっている。ライブでこれだけ完成度の高い演奏を繰り広げるのは流石である。というか、現代のジャズ・シーンの中でもそうそうはいない。初めて聴く人は、このトリオの演奏に「スリリングさ」を結構感じてくれるのではないか、と思っている。
 
コリアの曲とスタンダード曲と半々くらいの収録だが、スタンダード曲がなかなかマニアックで良い選曲だ。このスタンダード曲の演奏でよりこのアコースティック・バンドの真髄を感じることが出来る。録音も良く、それぞれの楽器が最高のバランスで録れている。しかし、チックにパティトゥッチのベースとウェックルのドラムはバッチリ合うなあ。30年前のチックの慧眼には感服する。
 
 
 
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2019年7月 6日 (土曜日)

ビアンキのオルガンは個性的

ジャズの新盤については、毎月コンスタントに世界各国でリリースされている。名前が知れ渡ったベテラン〜中堅ジャズメンのみの演奏だけならず、新しい顔を発掘したり、新しい響きを発見があったり。21世紀に入ってからは、全くの若手新人はともかくとして、未だ我が国ではあまりその名が知られていないジャズメンの新盤の内容が一定の水準を維持していたりする。これだから、ジャズの新盤チェックは欠かせない。
 
Pat Bianchi『In the Moment』(写真左)。2016年8〜9月にかけての録音。ちなみにパーソネルは、Pat Bianchi (org), Paul Bollenback (g), Byron Landham (ds), guest : Peter Bernstein(g)(2), Carmen Intorre jr. (ds)(1,4,9,10), Joe Lock (vib)(1,9,10), Kevin Mahogany (vo)(8), Pat Martino(g) (4)。リーダーのパット・ビアンキのオルガンがメインの、所謂「ジャズ・オルガン」盤。 
 
ジャズ・オルガンの系譜としては、まずは「ジミー・スミス(Jimmy Smith)が筆頭。この人が早々のジャズ・オルガンの最終形の1つを提示。その後、ジミー・スミスのフォロワーの道は避けて、ジミー・スミスとは異なる音の「第2群」のオルガニスト、Baby Face Willetteや、Jack McDuff, Dr. Lonnie Smithが現れたが、ロックやフュージョンの波に押され、ジャズ・オルガンは徐々に衰退。現代ではちょっと盛り返して、Joey DeFrancesco、そして、Sam Yahel、Larry Goldings の名が挙げられる。
 
 
In-the-moment-pat-bianchi
 
 
そんな、ちょっと「絶滅危惧種」のレベルになってきたオルガン・ジャズの範疇に、新しい名前として出てきたのが、この「Pat Bianchi(パット・ビアンキ)」。音的にはジミー・スミスのフォロワーでは無い。といって、「第2群」の音とも異なる。どちらかというと、ファンクネス控えめ、堅実なタッチをベースに端正な音が特徴で、現代では「サム・ヤヘル(Sam Yahel)」のオルガンの音に近いかな。いずれにせよ、スッキリとした切れ味の良い端正なオルガンの音は聴いていて清々しい。
 
収録の全10曲については、自身のオリジナル2曲に他の作曲による8曲。この他の作曲による8曲の作曲者を見渡すと面白い。ビアンキのオルガンの個性が良く判る。チック・コリア、レオン・ラッセル、ステービー・ワンダー、マイルス・デイビス、ウィリー・ネルソン、ビリー・エクスタイン、ウェイン・ショーター、セロニアス・モンクが選ばれている。この選曲、オルガンでやるにはちょっと異色の選曲ですね。
 
「ソウルフル&ファンクネス」のキーワードとはちょっと無縁な、ジャズ・オルガンとしては「ストイックな」オルガンは個性的。ファンクネスが希薄で、切れ味良く躍動感のあるオルガン。ビアンキは1975年ニューヨーク生まれ。今年で44歳になる。ジャズマンとして脂がのりきったベテランの域に入りつつある年齢。これから、この端正なオルガンに円熟味が加わっていく訳で、これからの活動が楽しみだ。
 
 
 
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2019年7月 5日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・152

ジャズの新盤を聴いていると、これは、という素敵なアルバムに遭遇することがある。それも、これ誰だ、という感じの全く知らない名前のジャズマンが多い。確かにジャズの裾野は広い。長年、既に40年以上、ジャズを聴き続けているが、それでも「これ誰だ」という素敵なジャズメンに遭遇することがまだまだある。
 
Scott Robinson『Tenormore』(写真左)。2018年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Scott Robinson (ts), Helen Sung (p, org), Martin Wind (b), Dennic Mackrel (ds)。パーソネルを見渡してみて、誰一人として旧知のジャズ・ミュージシャンはいない。う〜ん、ジャケットも押しの強いテナー・マンのおっさんのアップ。最初はかなり「ひいた」。しかし、こういう強面顔のミュージシャンって、味のある、職人肌の人が多い。ちょっとだけ期待して「聴いてみた」。
 
冒頭の「And I Love Her」。これって、レノン&マッカートニーの名曲のカヴァーやん、と思っていたら、ゆったりおもいっきり、エモーショナルで情感たっぷりなテナー・ソロがブワーッと出てくる。これ素晴らしいやん。思わず、ジャケットの強面顔をまじまじと見直す。このテナーマンのおじさん、凄いんやないか。で、2曲目「Tenor Eleven」、ドラムとベースとピアノが入って、正統派な純ジャズなカルテット演奏。ダンディズム溢れるテナーサックスが凄く心地良く響き渡る。
 
 
Tenormore-scott
 
 
良い。これは良い。これは素晴らしく官能的で躍動的で耽美的なテナー・サックスである。ブラスの響きも芳しく、テナー・サックスのブロウを心ゆくまで堪能出来る。7曲目の「Rainy River」や9曲目の「The Nearness Of You」ではオルガンが入って、これまたジャジーでファンキーな雰囲気が蔓延し、そんな中をロビンソンのテナーが官能的に練り歩く。
 
ロビンソンのテナー・サックスは、その表現について幅が広い。伝統的なハードバップなブロウから、モードも充実。いきなりフリーキーに吹き上げることも出来る。速いパッセージもイケるし、バラードな表現力も抜きんでている。収録されたどの曲もロビンソンのテナーの魅力が溢れている。今まで、どうしてこんな素敵なテナーマンを知らなかったんだろうか。逆に、今回、出会えて良かった。生きていて良かった。
 
このロビンソンの新盤、ロビンソンは様々な種類のサックス吹き判ることが出来る名手なんだが、今回は「一番得意なサックスはこれだ」ということで、テナー・サックスだけに絞り込んで録音した盤とのこと。気合い十分なのが聴いてとれる。この盤、ほんと好盤です。ジャズ・テナーを堪能するのに最適なアルバム。特にテナー・サックス好きのジャズ者の方々には絶対のお勧め。いや〜良い盤に出会えました。
 
 
 
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2019年7月 4日 (木曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・46

最近、ビッグバンド・ジャズの好盤が多い。特に目に付くのは、Jazz Orchestra of the Concertgebouw と WDR Big Band(WDR=西ドイツ放送= Westdeutschen Rundfunks) 。なかなかの内容の好盤をコンスタントにリリースしているには感心する。それから、最近、ビッグバンドとの共演も目にするようになった。ひとつの「流行」みたいなものなのかなあ。

Michel Camilo『Essence』(写真左)。今年4月のリリース。最近、やっとリーダー作が入手し易くなって喜ばしい、ドミニカ共和国サントドミンゴ出身のジャズピアニストの新盤である。ミッシェル・カミロはもともと好きなピアニストで、ちょっとラテンっぽい、それでいて、こてこてにマイナーにならない、ちょっと爽やかで流麗なラテン調。しかも超絶技巧。この個性、僕の耳には「とても良い」。
 
そんなミッシェル・カミロの新盤であるが、冒頭の「And Sammy Walked In」を聴いて「おおっ」と思う。なんとビッグバンドとの共演盤ではないか。約25年ぶりのスタジオ録音によるビッグバンドとの共演とのこと。カミロのピアノはタッチが明快で深い。しっかりと音が出る。ビッグバンドと共演しても、カミロのピアノのフレーズがビッグバンドの演奏に紛れ込むことは無い。カミロのピアノの個性をよりハッキリ表現する、という狙いからもビッグバンドとの共演は良いのでは、と期待する。
 
 
Essence-camilo
 
 
カミロのピアノはビッグバンドと共演しようとしまいと、全く変わることは無い。ドミニカ出身のピアニストらしく、爽快で流麗なラテン調の展開が心地良い。それより、この共演盤、どの曲もアレンジが実に行き届いている様に感じる。非常に端正でダイナミック、そして繊細。ビッグバンドの良さをしっかりと引き出しつつ、カミロ自身のピアノの個性がしっかり前面に浮かび出てくる。そんなアレンジが実に良い。
 
バックのビッグバンドは腕利き揃いの「テンポラリー」なビッグバンドですが、なかなかの内容です。ほんのたまに、ユニゾン&ハーモニーの着地が少しだけズレたりするんですが、個々の楽器担当のテクニックが実に確かで、テンポラリーのビッグバンドでありながら、ダイナミズムまで供給してくれる。特にソロ・パートが充実していて、カミロのピアノをより惹き立てせている。
 
アレンジが良いのだな。カミロは編曲家でもあり、編曲の才はなかなかのもの。このビッグバンド共演盤でその才を遺憾なく発揮している。そして、ビッグバンドに新しい響きをもたらしている。決して、懐古趣味なビッグバンドの音では無い。現代の先端を行くビッグバンドの音。そこに、カリビアンなピアノが爽やかに流麗に超絶技巧に乱舞する。なかなかの好盤である。
 
 
 
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2019年7月 3日 (水曜日)

今時の日本人ジャズは「良い」

さて、今日も日本人ジャズの新盤を。僕はこのサックス奏者のデビュー盤からずっと見守ってきた。アルバム・デビューは2010年6月の『NORTH BIRD』。デビュー当時は現役の女子高生。雑誌やネットでの紹介文の触れ込みとしては「山下洋輔、渡辺貞夫、日野皓正など、数々の巨匠との共演を誇る話題の天才少女」。僕の印象は「器用で上手い」。ただ「上手い」。これからどう成長していくのか、楽しみに思った。

しかし、それからレコード会社の思惑に乗って、何枚かアルバムを出して、そのまま何処かに行ってしまうかなあ、と不安に思っていたが、彼女はそうでは無かった。2011年、日本人初のプレジデント・フルスカラーシップ(授業料、寮費免除)を獲得し、アメリカのバークリー音楽大学に留学。2015年に同音大を卒業し、活動の拠点をNYに移す。それまで、2枚ほどアルバムを出すが、単身、NYで活動を続け、アルト・サックスについて研鑽を重ねる。

寺久保エレナ『Absolutely Live!』(写真左)。今年4月のリリース。2019年1月14日、新宿ピットインでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、寺久保エレナ (as), 片倉真由子 (p), 金森もとい (b), 高橋信之介 (ds)。純日本人カルテット。最新アルバム『リトル・ガール・パワー』収録曲を中心に、彼女のオリジナル曲からスタンダード・ナンバーまで、彼女の「今」を感じるに十分な内容である。
 
 
Absulutely-live-terakubo  
 
 
このライブ盤を聴けば、彼女がデビュー当時から米国に渡って、NYで活動するに至るまで、アルト・サックスについて、ジャズについて、研鑽に研鑽を重ねてきたことがとても良く判る。「器用で上手い」アルト・サックスは、ジャジーで個性溢れる、プロフェッショナルなアルト・サックスに変わっていた。このライブ盤を聴き進めるにつけ、嬉しさがこみ上げてくる。個性もしっかり確立され、明らかにジャズなアルト・サックスが鳴り響く。
 
モーダルな展開も、フリーキーな咆哮も、メロディアスで耽美的なバラードも、いずれもしっかりとした、地に足着いたブロウを展開する。いや〜大きくなったなあ。もう立派なプロのジャズ・ウーマンだ。頼もしい寺久保エレナがこのライブ盤にいる。そうそう、バックのリズム・セクション(レギュラー・カルテット)も実に良い音を出している。特にピアノの片倉真由子。ちょっと線の細かったピアニストが、なかなかに骨太で歌心溢れるバップ・ピアニストに変身している。
 
デビュー当時から、自らの才能に浮かれること無く、日々研鑽を重ねて、個性をしっかりと確立して、ジャズのプロフェッショナルとして地に足着いたパフォーマンスを繰り広げる寺久保エレナと片倉真由子。この二人の成長とジャズ・ウーマンとしての個性の確立を確認出来る、素晴らしい内容のライブ盤である。選曲も今を活躍する若手らしいものでこれも十分楽しめる。好盤です。今時の日本人ジャズ、なかなかやるなあ。
 
 
 
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2019年7月 2日 (火曜日)

Japanese Jazz Messengers

昨日に続いて、今日も日本人ジャズの新盤を。最近、日本人ジャズの新盤がコンスタントにリリースされている。最近は米国ジャズや欧州ジャズの新盤も比較的容易く入手することが出来る様になった。それでは日本人のジャズは日本人の手で創り出して、日本でいち早くリリースしようではないか、となったのかどうかは判らないが、内容の濃い、聴き応えのある新盤がコンスタントにリリースされている。
 
小林陽一 & J,Messengers『Niagara Shuffle』(写真左)。今年3月のリリース。バンド名を見ただけで、多くのジャズ者の方々は「Art Blakey & The Jazz Messengers」を想起する。この盤、それもそのはず。この盤はアート・ブレイキー生誕100周年記念盤。「日本のアート・ブレイキー」こと小林陽一によるアート・ブレイキーに捧げるトリビュート・アルバムである。
 
J,Messengersは「ジャパニーズ・ジャズ・メッセンジャーズ」の意。ちなみにパーソネルは、Yoichi Kobayashi (ds), Philip Harper (tp), Robin Eubanks (tb), Vincent Harring (as), Essiet Essiet (b), David Kikoski (p)。アルト・サックスのビンセント・ハーリング、トランペットのフィリップ・ハーパー、トロンボーンのロビン・ユーバンクスは実際にジャズ・メッセンジャーズのメンバーとして活躍したジャズメン達である。
 
 
Niagara-shuffle-kobayashi

 
冒頭の「Niagara Shuffle」を聴けば思わずニンマリする。この盤は現代の「ネオ・ハードバップ」である。ハーパーのトランペットはまるで「リー・モーガン」。ハーリングのアルト・サックスはまるで「ベニー・ゴルソン」。キコスキーのピアノはまるで「ボビー・ティモンズ」。ジャズ・メッセンジャース全盛時代のメンバーの陰が、それぞれの楽器の音に見え隠れする。といって、皆、物真似では無い。しっかりとそれぞれの個性を発揮している前提でのニュアンスである。
 
といって、小林のドラミングは小林独特のもの。躍動感溢れ、ダイナミックかつ繊細なニュアンスは小林の唯一無二なもの。聴いていて「惚れ惚れ」するくらい、気持ち良いドラムの音。2曲目の「Along Came Betty」、そして「Moanin’ 」はメッセンジャーズの様でメッセンジャーズの音では無い。「ジャパニーズ・ジャズ・メッセンジャーズ」の音。これが良い感じなのだ。
 
3曲目の「Ping Pong」では、ユーバンクスのトロンボーンをフィーチャーして、3管フロント時代の「メッセンジャーズ」が再現される。ユーバンクスも大活躍。それでもこの盤のリーダーは日本人の小林陽一。ファンクネスは控えめで乾いている。そんな日本人によるファンキー・ジャズの雰囲気をしっかりと醸し出して、素晴らしい「ネオ・ハードバップ」の好盤に仕上がっている。見事。好盤である。
 
 
 
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2019年7月 1日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・151

21世紀に入って、優秀な日本人のジャズ・ギタリストが幾人か出てきた。まずは「小沼ようすけ(おぬま、と読む)」。秋田県能代市出身のジャズ・ギタリスト。エッジの丸いマイルドな音色。それもそのはず。ピックを使わないフィンガー・ピッカーとのこと。それでいて硬質な切れ味の良い音。聞けば、ギブソン・ES-275を愛用しているとのこと。納得。
 
1974年生まれ。今年で45歳になる。ジャズの世界でいけば「中堅ジャズマン」。心身共々やっと落ち着いて、自らの個性を最大限発揮出来る年代である。僕は2年ほど前、『Jam Ka Deux』を聴いている。コンテンポラリーなフュージョン系ジャズで、ギターの音が「しっかり芯は入っているが、マイルドで心地良い」。乾いたライトなファンクネス。日本人のジャズがそこにあった。

小沼ようすけ『Jam Ka 2.5 The Tokyo Session』(写真左)。そんな「小沼ようすけ」の最新盤。2017年ツアー最終日の直後にスタジオに入りライブ感覚で一発録りしたアルバムとのこと。ちなみにパーソネルは「小沼ようすけによる"Jam Ka"プロジェクト」、Yosuke Onuma (g), Gregory Privat (p), Reggie Washington (b), Arnaud Dolmen (dr), Olivier Juste (ka)。 
 
 
Jam-ka-2  
 
 
バンドはカルテットの編成だが、このアルバムでは、小沼のギターの可能性が無限に拡がるような様々なフォーメーションでの録音が楽しい。カルテットの演奏もあれば、デュオの演奏もある。そして「Ka」。「Ka」とは、カリブ海の島グアドループの民族音楽「グオッカ・ドラム」のことで、この「Ka」がパーカッシヴな独特な音を出す。これが実にユニーク。この「Ka」の音、どうも癖になる(笑)。打楽器好きには堪らない。
 
4曲目の「Gradation Part 4」を聴けばそれが良く判る。アーノウとオリヴィエの二人の「Ka」奏者と小沼の完全即興演奏。これが「即興の極み」な演奏でジャズを強く感じる。3曲目の「Beyond the Sea / Le Bonheur」のメドレーは、中米マルティニーク出身のピアニスト、グレゴリー・プリヴァとのデュオ。美しいピアノの響きとマイルドで清冽な小沼のギターのユニゾン&ハーモニー。
 
カルテットの演奏では、ベースのレジー・ワシントンがバンド全体の即興演奏のボトムをガッチリと支えている。レジーのグルーヴ感溢れるベースがバンドの即興演奏に、鼓舞するのでは無い、しっかりと背中を押すような、心地良い推進力を与えている。日本人ジャズの優れた成果がこの盤に詰まっています。良いアルバムです。
 
 
 
東日本大震災から8年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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