最先端の現代ジャズの1つである
トランペッターは何時の時代も「イノベーター(改革者)」が多い様な気がする。代表例が「ディジー・ガレスピー」「クリフォード・ブラウン」「ウィントン・マルサリス」そして「マイルス・デイヴィス」。最近、僕はこの人のトランペットにずっと注目している。Christian Scott(クリスチャン・スコット)である。ルイジアナ出身のジャズ・トランぺッター。特に2015年の『Stretch Music』は今でも愛聴盤である。
この10年の間、最も注目すべきアーティストの一人として成長したトランぺッター、クリスチャン・スコット。マッコイ・タイナー、プリンス、マーカス・ミラー、エディー・パルミエリ、モス・デフ、トム・ヨーク、ソランジュなど、個性的な、癖のあるミュージシャンとの共演を重ねてきた。そのせいか、スコットの音世界は、どこか革新的で唯一無二。
黄昏時の少しくすんだ輝きの様な、抒情的な、それでいて、重心低く力感溢れる音世界。特に、インディアンの家系に生まれた自身のルーツでを取り入れたフォーキーで土着的なリズム&ビートの響きは独特の個性。従来のジャズへのリスペクトを保持しつつ、創造する音はポストロックや現代音楽のような先鋭的な音であり、ブラックミュージック特有のうねるようなグルーヴが心地良い。
Christian Scott『Ancestral Recall』(写真左)。今年の新盤である。ちなみにパーソネルを列記すると、Christian Scott (tp, horns), Saul Williams, Mike Larry Draw (spoken word), Elena Pinderhughes (fl), Logan Richardson (sax), Chris Turner (ds) etc. いやはや、この新盤が、クリスチャン・スコットらしい、素晴らしく革新的な内容なのだ。
冒頭1曲目「Her Arrival」から、いきなり仰け反る様な、思わず嬉しくなる様な、フォーキーで土着的なリズム&ビートの響き。手拍子とパーカッションの力強いポリリズム。ジャズの重要な要素の1つはリズム&ビートである。その重要な要素の際先鋭な音の1つがここにある。スイングでもなければ、4ビートでも無い、8ビートでも無い。そんな先鋭的なリズム&ビートに乗って、土着的な色彩の鮮やかなフレーズが展開される。
本作は西アフリカやインド音楽の強烈なリズムのサンプリングとスタジオでのドラミングをミックスしたとのことで、「聴く」よりも「体感する」、躍動感溢れる官能的なリズム&ビートが全編に渡って流れて、そこにスコットのトランペットが切れ込み、流れ、浮遊する。ビ・バップでも無い、ハードバップでも無い、モードでも無い。でも、これは立派なジャズである。これは現代の最先端のジャズである。
東日本大震災から8年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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