こんなアルバムあったんや・117
Original BLUE NOTE LT series というシリーズがある。UNITED ARTISTS傘下でリリースされたBLUE NOTEの未発表音源シリーズである。マイケル・カスクーナが、出会ったミュージシャンからロスト・テープの話を聞きつけ、その情報を基に、ブルーノートの倉庫から未発表音源を「発掘」。しかし、この「発掘」がすんなりとは行かない。それもそのはず、録音音源のテープは残ってはいるが、それぞれのセッションに関して、ほとんどまとまった記録が無い。
そこで、カスクーナは記憶と資料と知識を駆使し、とブラインド・フォールドを自ら実施、そして、当時のジャズメンに粘り強くヒヤリング。そのような「気が遠くなるような」努力の末に、録音日、参加ミュージシャン、曲名等をセッション毎にまとめ、この未発表音源をそれぞれアルバムとしてリリース。そういう意味では、この「Original BLUE NOTE LT series」はジャズの歴史にとって、相当に貴重な「発掘」の成果なのだ。
Joe Pass『Joy Spring』(写真左)。ブルーノートのLT1103番。1964年2月6日、ロサンゼルスのEncore Theatreでのライブ録音。パーソネルは、Joe Pass (g), Mike Wofford (p), Jim Hughart (b), Colin Bailey (ds)。米国西海岸ジャズの中堅どころをメンバーに招聘しているのだろう。僕はリーダーの情・ジャズ以外、他のジャズメンをしらに。ちなみにこの盤は、1964年にパシフィック・ジャズからリリースされた音源(ジャケットは写真右)を、ブルーノートから1981年にリイシューされたもの。
パシフィック・ジャズは米国西海岸のジャズ・レーベル。1957年にリバティ・レコードに買収され、最終的には、リバティとそのレーベル会社はEMIが買収し所有権を持つ。現在はEMIの傘下であるブルーノートがカタログを保有している訳だが、恐らく、リバティが買収された後、EMIが音源を所有する中に、このライブ音源があって、ブルーノートからリイシューされたのだろう。
ブルーノートの未発表音源にジョー・パスのリーダー作があったんや、と色めきましたが、未発表音源でも無ければ、ブルーノートの音源も無かったことになります。それでも、このライブ盤の内容、なかなか聴きどころ満載です。特に、リーダーのジョー・パスのシングルトーンがメインのギターが実に心地良い。クールに燃えるギターと形容できる、知的で流麗なフレーズ中にどこかアグレッシブで硬派な要素が見え隠れする。そんなジョー・パスのギターが素晴らしい。
速いフレーズはビ・パップ時代の様に、緩やかなバラードは知的な響きと展開が芳しく、力感が豊かで実に流麗。バックのピアノ・トリオの演奏も良好で、ジョー・パスのギターを愛でるには実に良好なライブ音源です。LTシリーズの一部としてリイシューしたかった気持ちが良く判ります。なんかブルーノートにジョー・パスって実に異質な組合せなんですが、これがまあ、素敵なライブ音源なんで、これはこれで良いのかと。意外と隠れ好盤です。
東日本大震災から8年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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