現代の「エレ・マイルス」です。
1960年代の終わり、突然にマイルスが始めた「エレクトリック・ジャズ」。ハービー、チック、ザヴィヌルと、その担い手は拡がっていって、電気楽器を活用しているとは言っても、クロスオーバー・ジャズやフュージョン・ジャズとは一線を画した、あくまで旧来のジャズを踏襲した、硬派なメインストリーム・ジャズのエレクトリック版。
そんな「エレクトリック・ジャズ」は、1970年代から発展の一途をたどり、21世紀の今に至っても、まだまだ深化を続けている。演奏に活用しているのが電気楽器だけあって、トーンにバリエーションが豊かで、50年以上経った今でも、演奏される音の雰囲気はまだまだユニーク性を保っている。そして、今でも新しいバンド、新しい音が出現している。
Butcher Brown『Camden Session』(写真左)。2018年11月のリリース。「Butcher Brown」とは、ヴァージニア州のリッチモンドを拠点に活動する新進気鋭のバンドとのこと。Nicholas Paytonの2014年の作品『Numbers』に抜擢されたことでも話題となったバンドである(思い出した!)。ちなみにパーソネルは、DJ Harrison (key), Corey Fonville (ds), Andrew Randazzo (b), Marcus Tenney (tp,sax), Morgan Burrs (g)。
冒頭からの2曲目「Fiat」を聴いて、思わず「おおっ」と歓声をあげたくなる。これって「エレ・マイルス」やん。シンプルでストレートなファンクネス溢れる、ビートの効いたエレクトリック・ジャズ。3曲目のミッドテンポの「Street Pharmacy」のちょっとダルでユルユルな、それでいて、思わず体が動く魅惑的なグルーヴ感。う〜ん、やっぱ「エレ・マイルス」やなあ、僕にとっては。
しかし、単に「エレ・マイルス」の雰囲気を踏襲している訳では無い。現代の新しいエレクトリック・ジャズの音をそこかしこに散りばめていて、明らかに「今」の音がする。これが良い。特にリズム&ビートが「新しい」。この盤を聴くと、なるほど、と思う。エレクトリック・ジャズの深化のポイントの1つは「リズム&ビート」である。
たまたま、ネットを徘徊していて出会った新盤なんだが、これが大当たり。まるっきし、現代の最先端を行く「エレ・マイルス」という感じの音世界は、とにかく魅力的。Butcher Brownというバンド名も初めて知ったが、早々に彼らの他のアルバムも聴いてみたいと思った。エレクトリック・ジャズ者の方々については、広くお勧めである。
東日本大震災から8年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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