ECMのジョージ・アダムスです
以前より、フリー・ジャズ系のテナー・マンとして、ジョージ・アダムス(George Adams)がお気に入り。手元には意外にリーダー盤の枚数がある。しっかりと聴き始めたのは21世紀に入ってから。プライベートでジャズをしっかりと聴く時間が取れ始めた頃である。特に、iPodの出現が大きい。イヤフォーンを工夫するだけで、結構、良い音で聴けたから堪らない。ジョージ・アダムスのアルバムは電車通勤の中で良く聴いたなあ。
George Adams『Sound Suggestions』(写真左)。1979年5月の録音。ちなみにパーソネルは、George Adams (ts, vo), Kenny Wheeler (tp), Heinz Sauer (ts), Richard Beirach (p), Dave Holland (b), Jack DeJohnette (ds)。トランペットにホイーラーがいて、ピアノにバイラークが座る。ホランドのベースにデジョネットのドラム。これって、ECM的布陣やん、と思って見たら、確かにECMレーベルからのリリースである。
欧州ジャズの老舗、ECMレーベルにジョージ・アダムス。違和感満載である。アダムスは米国ジョージア州出身のジャズテナー・サックス、フルート奏者。黒光りするようなテナーの咆吼をモットーとする、いわゆる純粋米国フリー・ジャズマンである。しかし、欧州は米国よりもずっとフリー・ジャズに理解が深い。意外と填まるのでは無いか、と密かに期待する。
これが見事に填まっている。純粋米国フリーなサックスが、ECMレーベルの耽美的で限りなく静謐で豊かなエコーを湛えた音世界に身を投ずるのだ。アダムスのテナーが入ってきた瞬間は水と油というか、違和感満載なんだが、演奏が進むにつれ、不思議とECMサウンドに統一されていく。アダムスがECMの音世界に合わせて吹いているのでは無い。アダムスはアダムスのままに吹いているんだが、不思議とECMサウンドに落ち着いているのだ。
といって、バックの他のメンバーはあくまでECM的な演奏内容。アダムスが入ってくるまでは明らかにECMの音世界。アダムスがアダムスらしく吹く、ECMのモーダルでフリーなジャズの音世界。見事である。ECMの音世界の懐の深さと柔軟性を感じる。ECMのお抱えトランペッター、ホイーラーとアダムスとの、フリーなインプロビゼーションでの相性が抜群に良い。
4曲目「Got Somethin' Good for You」はブルース曲なんですが、これがまあアダムスが唄います。ボーカル絶叫、そしてテナー吹きまくり。それでも、バックはしっかりとECMサウンドを貫き通し、ブルースを絶叫するアダムスが浮くことはなく、違和感無くECMサウンドとして、しっかり聴くことが出来るのだから不思議。ECMの総帥、アイヒャーのプロデュース力おそるべし、である。
東日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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