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2019年5月の記事

2019年5月31日 (金曜日)

いかにも日本人らしいトリオ盤

日本の純ジャズは1960年代から、そのレベルは高い。とにかく勉強熱心な国民性をしている。ジャズについても、日夜、研究に研究を重ね、実地訓練(セッション)を重ね、遂には、バークリー音楽院に留学してしまう。この熱心さが故、日本の純ジャズのレベルは1960年代後半から飛躍的に向上する。そして、1980年代の純ジャズ復古の動き以降、日本の純ジャズは高いレベルを維持したまま、何時の時代も一定数の優れたジャズ・ミュージシャンを輩出し続けている。

特に、日本女子のジャズ演奏家の台頭が目覚ましい。1990年代以降、優れた若手ジャズ演奏家と言えば、ほぼ決まって「女子」である。理由はよく判らないがそれが事実。これは日本だけの傾向みたいで、この20年間を振り返ると、日本人女子の優れたジャズ演奏家が大勢出た。しかも、現代においてもしっかりと残っているメンバーが10人以上いる。これって素晴らしいこと。

三輪洋子『Pathways』(写真左)。2017年の作品。ちなみにパーソネルは、Yoko Miwa (p), Will Slater (b), Scott Goulding (ds)。神戸出身ボストン在住の女流ジャズ・ピアニスト、三輪洋子がリーダーのトリオ盤である。ジャズ・ピアニストの王道路線ともいうべきピアノ・トリオ盤、しかも、自主制作という骨太な盤。女性らしからぬ力強い、ゴスペル風のゆったりとしたファンクネス漂う端正なタッチ。
 
 
Pathways-miwa
 
 
僕はこの三輪のピアノが大のお気に入り。初リーダー作からずっと聴いてきた。米国ルーツ音楽の雰囲気が色濃く漂うタッチ。特に、ライトで爽快なゴスペル風のフレーズを弾き回すのが実に上手い。ちょっと初期のキース・ジャレットに似ているが、三輪の方が女性であるが故、ライトで爽快な雰囲気が、耳に心地良く馴染む感じが実に良い。
 
Joni Mitchell, The Beatles, Marc Johnson らの楽曲カヴァー(アレンジ能力に優れた証明)に加え、自身のオリジナルを配して、アルバム全体の選曲も良い感じ。逆に有名スタンダード曲を一切排除しているところに好感が持てる。特に、カヴァー曲が良い出来。三輪のタッチの個性が十分に映える。さすが日本人のジャズだけあって、ファンクネスは希薄、軽快なオフビートで、良い意味であっさりとしたスイング感を醸し出す。これがとても良い方向に作用している。
 
日本人によるピアノ・トリオ盤。リズムパターンやコード進行にもきめ細やかな工夫を施して、いかにも日本人らしい。聴いているとそれを強く実感する。日本人らしいハーモニー感覚とメロディー感覚の中で、ライトで爽快なゴスペル風のフレーズ。そんなに強烈な印象を残す個性では無いのに、この合わない様でしっかりとバランスの取れた三輪独特のフレーズは癖になる。
 
 
 
日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年5月30日 (木曜日)

日本の伝説のジャズ・ロック

日本のジャズはレベルが高い。純ジャズは1960年代から米国ジャズと比肩するくらいのレベル。フリー・ジャズなどは欧州で十分通用するレベルの高さ。そして、日本のクロスオーバー〜フュージョン・ジャズも実はそのレベルは高い。やはり、米国本場のフュージョンよりある面、超えている部分があるのではないか。ファンクネスはほとんど無く、あっさりとしたオフビート。テクニックが高く、爽快感、キレ味が抜群。そんな日本のクロスオーバー〜フュージョン・ジャズである。
  
深町 純『六喩』(写真左)。1975年のリリース。深町 純と21stセンチュリー・バンドのアルバムになる。ちなみにパーソネルは、深町 純 (p, key, syn), 村岡 健 (sax), 村上 "ポンタ" 秀一 (ds), 大村 憲司 (g), 小原 礼 (b), 浜口 茂外也 (per)。今の目で見て、このパーソネル、なんなんだ。錚々たるメンバー。日本のクロスオーバー〜フュージョン・ジャズ畑のレジェンドがズラリと並ぶ。
 
その演奏はというと、冒頭の「迷宮(Meikyu)」で思わず仰け反る(笑)。この面子で出す音は凄まじいものがある。イントロ演奏のテクニックの高さだけで「うわっ、これ凄」って感じになる。明らかに「クロスオーバー・ジャズ」の音であり、部分的には「ジャズ・ロック」の音。トーキング・モジュレーターの音なぞ、思いっきりレトロな雰囲気であるが、これが今の耳で聴くと、その時代の音であり、その時代のトレンドとして十分評価出来るのだから面白い。
 
 
Rikuyu-jun-fukamachi
 
 
しかし、小原のベース、ポンタのドラム、そして、浜口のパーカッションが押し出す「リズム&ビート」が強烈。この彼らが紡ぎ出す「リズム&ビート」が、ファンクネスはほとんど無く、あっさりとした端正なオフビートであるところが「日本のジャズロックやなあ」と思って感じ入る。ポンタの変則ビートな千手観音ドラミングは個性満載、小原の骨太なエレベは重量感溢れ、チョッパまで繰り出す。それにしても、凄まじいレベルのリズム・セクションである。

深町の様々なキーボードを駆使した演奏も凄まじく、特にアナログ・シンセの音がレトロで懐かしくて味がある。深町独特の手癖も十分に楽しめる。そんな深町の効果的に絡むのが、大村のエレギ。これがまた凄まじい。切れ味鋭く適度に歪んで歌心満載。ファンクネスは排除してストイックにして爽快。米国ジャズロックには絶対に無いエレギ。深町のキーボードとの相性抜群。 
 
テンションは適度に高く、疾走感抜群の日本のクロスオーバー・ジャズであり、ジャズロックである。1975年当時、日本人がこれだけ高いレベルのクロスオーバー・ジャズをやっていたなんて、ちょっとビックリした。いやこれ、凄く高い演奏レベルなんですよ。米国の「テクニックの高さ」とは質の違う、全く別物の「テクニックの高さ」。クロスオーバー・ジャズ者の方々には絶対のお勧め。
 
 
 
日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年5月29日 (水曜日)

ルーさんのジャズ・ファンク

ブルーノート・レーベルの4300番台は、とにかく「ジャズのポップス化」がメイン。様々な中堅ジャズマンが、この「ジャズのポップス化」の洗礼を浴びている。しかし、ブルーノート・レーベルのポップス化されたジャズの音は、意外と「シュッと」していて、切れ味が良く、演奏内容は濃い。ただただ売れんが為のポップス化で無いところが「隅に置けない」。
 
ジャケットだってそうだ。ブルーノート・レーベルといえば、そのジャケットのデザイン・センスは芸術の域。しかし、この4300番台のジャケットは「芸術」な側面はどこへやら。思いっきり俗っぽいデザインばかり。しかし、当時のサイケデリックやフラワー・ムーヴメントを意識したデザインが多くあって、今の目で振り返ると、意外と「イケて」たりするから面白い。

Lou Donaldson『Hot Dog』(写真左)。1969年4月25日の録音。ブルーノートの4318番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as, vo), Ed Williams (tp), Charles Earland (org), Melvin Sparks (g), Leo Morris (ds)。この時、ルーさんは43歳。ジャズマンとして脂の乗り切った中堅。オルガンのアーランドは28歳。ギターのスパークスは23歳。ドラムのモリスは30歳。
 
 
Hot-dog-lou  
 
 
ルーさんは一回りも年下のメンバーと組んで、真剣に「ジャズのポップス化」に取り組んでいる。決して適当にやっているのではない。ルーさんのアルト・サックスの音は、ハードバップ時代そのままの艶やかでブリリアント。とても魅力的で訴求力抜群。キレ味良く、躍動感に満ちている。ブルーノート・レーベルの音の矜持をしっかりと維持しているところが素晴らしい。
 
バックの若手メンバーも良い演奏をしている。特にアーランドのオルガンが良い雰囲気。いやいや、モリスのドラミングのグルーヴ感も侮れない。スパークスのギターの適度に緩んだキレ味も捨てがたい。ルーさんとの相性はバッチリ。ライトですっきりファンキーなグルーヴ感が良い。爽快すっきりなジャズ・ファンク。
 
しかし、この盤のジャケットの凄いこと(笑)。ホットドックを持って笑う女性。雰囲気はフラワー・ムーヴメント濃厚。このジャケット、以前はとても評判が悪かったんですよね。ついでに演奏内容も硬派なジャズ者の方々からは散々な評価でした。でも、最近ではライトなジャズ・ファンクとしてしっかりと再評価され、このケバいジャケットもフラワー・ムーヴメント時代のアートとして再評価されています。目出度し目出度し。
 
 
 
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2019年5月28日 (火曜日)

ライトで緩やかジャズ・ファンク

先週の金曜日、24日から故あって、故郷に帰っていました。帰阪した途端に真夏日に突入。とにかく暑い。もともと暑い土地柄なんだけど、やっぱり日差しの強さも含めて、とにかく暑い。まだ湿度が真夏に比べて低かったので、何とかやり過ごしましたが、いや〜暑かったですね。ホテルでも今年初めての冷房をかけて寝ました。そして、昨日、こちら千葉県北西部地方に帰り着いた次第でございます。
 
これだけ暑くなると、いわゆる「日中」は、純ジャズというよりは、聴いた時の爽快感が抜群のジャズを聴きたくなる。逆に、難しいジャズや感情の赴くままに吹きまくるフリー・ジャズは絶対に敬遠である。聴いていて苦にならない、爽快感溢れるクロスオーバー・ジャズやフュージョン・ジャズが良い。夕方から夜になって気温が下がったら「純ジャズ」の出番。

Reuben Wilson『Love Bug』(写真左)。ブルーノートの4317番。1969年3月21日の録音。ちなみにパーソネルは、Reuben Wilson (org), Lee Morgan (tp), George Coleman (ts), Grant Green (g), Leo Morris (ds)。緩くファンキーなジャズ・オルガン奏者、リューベン・ウィルソンのリーダー作。アルバムの内容を一言で言うと、緩やかでソウルフルなジャズ・ファンク。
 
 
Love-bug-ruben-willson
 
 
爽快感豊かな、適度に緩やかで、適度にスッカスでソウルフルなジャズ・ファンク。ケバケバしくなく、サイケデリックに傾くことなく、適度にユルユルだけど、しっかり適度なテンション張って、適度にソウルフルなジャズ・ファンク。ライトで端正なグルーヴ感が個性的。気がつけば不思議としっかり耳を傾け、ウィルソンのオルガンを追っている。
 
グラント・グリーンのギターが決まっている。このグリーンのギターが「ライトで端正なグルーヴ感」を増幅。ウィルソンのオルガンとの相性抜群である。新主流派の中堅テナー奏者、ジョージ・コールマンが参加しているが、そのテナーの音は、しっかりとリーダーのウィルソンの標榜する音世界を理解し、早速、できる限り早く、適度にソウルフルでライトで端正なグルーヴ感に馴染んでいる。これにはちょっとビックリした。
 
リー・モーガンのトランペットも同じく、ウィルソンの標榜する音世界を理解し、早速、ライトでソウルフルな、ジャズ・ファンク風トランペットを吹いているのは凄い。サイドメンは皆、ウィルソンを惹き立ててはいるものの、決して前へ出て目立とうとせず、しっかりと「適度にスッカスで緩やかでソウルフルなジャズ・ファンク」を一丸となって演奏している様子には少なからず感心した。
 
 
 
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2019年5月23日 (木曜日)

ブランフォードの最新作は良い

1980年代後半、純ジャズ復古のムーブメントに乗じて台頭した「新伝承派」。その中心にいたのが、マルサリス一派。特に、次男坊のウィントン・マルサリスが最右翼。兄貴のブランフォードは、弟とはちょっと距離を置いた。純ジャズは良いが、フュージョンも良い。ロックにサイドマンとして参画するのも良い。
 
いわゆるブランフォード・マルサリスはマルチ・タレント。弟ウィントンは純ジャズ一辺倒。一辺倒過ぎて「疎まれ」気味。兄貴は「いい加減」と映るか「柔軟性大」と映るか。僕は「柔軟性大」と感じた。ブランフォードはマルチ・タレント。様々な方向にその才能を発揮してきた。しかし、最近は活動が落ち着いていた。

Branford Marsalis Quartet『The Secret Between the Shadow and the Soul』(写真左)。ブランフォードの3年振りのリーダー作になる。ちなみにパーソネルは、Branford Marsalis (ts, ss), Joey Calderazzo (p), Eric Revis (b), Justin Faulkner (ds)。パーソネルを見渡すと「選んでいるなあ」と思う。これは久し振りに、バリバリのメインストリーム・ジャズではないか、という期待感。
 
 
The-secret-between-the-shadow-and-the-so  
 
 
冒頭の「Dance Of The Evil Toys 」を聴くと、思わず「おおっ」と声を上げたくなる。フリー・ジャズではないか。うむむ、このところ、久し振りに硬派な骨太なフリー・ジャズを聴いた。ブランフォードのテナーは徹底的にモーダルなフレーズを吹きまくり、自由度抜群の節回し。カルデラッツォのピアノがこんなにフリーに傾倒するなんて驚き。クールで静かに熱い、現代のフリー・ジャズがここにある。
 
続く「Conversation Among The Ruins」は静的なバラード。ファンクネスを排除した、クールで耽美的なバラード。くすんだ単色のグラデーションの様な音色。欧州ジャズの様な静謐感。それでいて、演奏の底にしっかりとしたテンションを張っていて、叙情的に流されること無く、緩むところは全く無い。
 
ラストの「The Windup」は、キース・ジャレットの作。1974年のヨーロピアン・カルテットでの『Belonging』の中の1曲。限りなく自由度の高い、ほとんどフリーな演奏がスリリングであり、切れ味良く美しい。このブランフォードの最新作、最近のメインストリーム・ジャズ盤の中でも屈指の出来の良さ。聴き応え十分である。
 
 
 
東日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年5月22日 (水曜日)

ライトでポップなハードバップ盤

ブルーノート・レーベルの4300番台には、アルフレッド・ライオンがお蔵入りにした音源をアルバム化したものが幾枚かある。先にご紹介した、84310番のGrant Green『Goin' West』、4311番のDon Cherry『Where Is Brooklyn?』がそうだった。そして、この盤もそんな「お蔵入り発掘盤」の一枚である。
 
Lee Morgan『Charisma』(写真左)。ブルーノート・レーベルの4312番。1966年9月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Jackie McLean (as), Hank Mobley (ts), Cedar Walton (p), Paul Chambers (b), Billy Higgins (ds)。ちなみに録音時のプロデューサーは「フランシス・ウルフ」。

モーガン、マクリーン、モブレーのトランペット+アルト・サックス+テナー・サックスの3管フロント。リズム・セクションは、ウォルトンのピアノに、チェンバースのベース、そして、ヒギンスのドラム。粋で洒落たリズム・セクション。出てくる音は成熟したハードバップそのものである。いわゆる「corney(コーニー)」な出来の曲が多く、ライトでポップなジャズがお気に入りの向きにはなかなかの内容ではないだろうか。
 
 
Charisma-lee-morgan
 
 
録音年の1966年からして、この盤の演奏内容そのものは「流行遅れ」である。ただ、この3管フロントがジャズをやると、やっぱり自然と「1950年代のハードバップ」になってしまうのだろう。メンバー全員、とても自由にとても楽しそうにハードバップをやっている。発売当時からすると「懐かしいハードバップ」で、今の耳からすると「上質のハードバップ」である。
 
ファンキー・ジャズと呼ぶには、演奏の底に漂うファンクネスは「軽く」、アドリブ・フレーズも平易で聴き易い。ウォルトンのピアノも流麗で美しい。1曲目の「Hey Chico」の様にラテン風ジャズロックあり、モーガンのリーダー作の中では、一番ポップな雰囲気に仕上がっている。恐らく、演奏内容そのものが「流行遅れ」で、過度な「ライトでポップな雰囲気」がお蔵入りになった理由だろうと思料。
 
それでも、時代を越えて聴き直すと、上質のハードバップであり、モーガンのリーダー作としても出来は上位にランクされるのではないか、と思われる。ジャケットが古いイラスト調で、従来のブルーノート・レーベルらしからぬところが「玉に瑕」。それでも、モーガンのリーダー作として十分に楽しめる内容になっている。
 
 
 
東日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年5月20日 (月曜日)

BN-LAの「ジャズ・ファンク」

4300番台とは違って、ブルーノート・レーベルのBN-LAシリーズは、新作アルバムの製作ポリシーに一貫性がある。1972年から1977年辺りまでのリリースは、クロスオーバー・ジャズからジャズ・ファンク、そして、フュージョン・ジャズまでのトレンドを網羅した、いわゆる「フュージョンの時代」を背景に、新作については一貫した製作ポリシーを貫いた。
 
新作については、と注釈をつけているのは、このBN-LAシリーズには、有名ジャズマンのベスト盤や、お蔵入り盤音源のリリースが入り乱れており、カタログとしてはかなり雑然としているのだ。それでもこのBN-LAシリーズ、新作については上質のクロスオーバー・ジャズあり、上質のジャズファンクあり。数は少ないが、フュージョン・ジャズな盤についても、なかなかの出来を誇る。
 
Alphonse Mouzon『Funky Snakefoot』(写真左)。1973年12月の録音。BN-LAの222番。 ファンクネス溢れる8ビートなクロスオーバー・ジャズが、限りなき疾走感のもとに展開される。口ずさんで踊れる圧倒的ジャズ・ファンク。音の雰囲気はうっすらとしたエコーを含め、明らかにブルーノート・レーベルの音で成り立っていて、この盤は「ブルーノート・レーベルが考えるジャズ・ファンク」といった内容。
 
 
Funky-snakefoot-alphonse-mouzon  
 
 
ちなみにパーソネルは、Alphonse Mouzon (ds, vo, syn, tack piano), Randy Brecker (tp), Barry Rogers (tb), Andy Gadsden (ts), Harry Whitaker (p, clavinet), Leon Pendarvis (el-p, org), Richie Resnicoff (g), Mark Harowitz (steel-g, banjo), Gary King (el-b), Ray Armando (conga, bongo), Angel Allende, Steve Berrios (perc)。ファンクな演奏やる分、リズム・セクションが充実している。楽器はエレクトリックが中心。
 
こってこてのファンクネスが実に芳しい。冒頭の「I've Given You My Love」で、ダンス・ジャズ・ファンクが幕を開け、ドラム・ブレイクが格好良い2曲目の「You Don't Know How Much I Love You」、シンセによるソフト&メロウな郷愁を帯びたメロディーが心地良い4曲目の「My Life Is So Blue」など、ソウルフルなジャズ・ファンクが炸裂、である。キレ味も良く、聴き応え十分である。
 
ウェザー・リポートの初代ドラマーであったアルフォンソ・ムザーン。 ウェザー・リポート後の、ブルーノート・レーベルからのソロ盤第2弾。ランディ・ブレッカーなどのフュージョン・ジャズの人気者達をバックに招聘した、とても素敵な「ジャズ・ファンク」盤。これがBN-LAシリーズの1つの製作ポリシー、いわゆる「ジャズ・ファンク」。聴き応え十分。聴いて楽しい「ジャズ・ファンク」。
 
 
 
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2019年5月19日 (日曜日)

4300番台のドン・チェリー

ブルーノートの4300番台は一貫性が薄い。とにかく売りたい、売上を上げないとレーベルとして存続出来ない、という危機感の表れだと思っている。ポップさを最優先にしたアルバムがあると思えば、当時、コルトレーンを中心として流行だったフリー・ジャズなアルバムもあったりして、とにかく一貫性が薄い。
 
Don Cherry『Where Is Brooklyn?』(写真左)。1966年11月11日の録音。1969年のリリース。ブルノートの4311番。ちなみにパーソネルは、Don Cherry (cor), Pharoah Sanders (ts, piccolo), Henry Grimes (b), Edward Blackwell (ds)。明らかに、当時流行のフリー・ジャズ。コルトレーン一派のフリー・ジャズである。
 
冒頭の「Awake Nu」を聴くと、これはドン・チェリーだと直ぐに判る音である。ただし、1969年のリリースにしては、フリー・ジャズの音がちょっと古い。1969年、コルトレーン亡き後のトレンド、激情型&魂の咆哮的なフリー・ジャズでは無い。伝統的なハードバップを無理矢理フリーに転身した様な、初期のフリー・ジャズ的な音世界。
 
 
Where-is-brooklyn-don-cherry
 
 
この盤、リリースは1969年。ブルーノート・レーベルの総帥、アルフレッド・ライオンが引退したのが1967年8月。この盤は、録音年が1966年。アルフレッド・ライオンのプロデュースである。ライオンのブルーノートは、ジャズの最先端を行くレーベルである。確かにこのアルバムの音は、当時として、メインのフリー・ジャズである。最先端では無い。
 
恐らく、ライオンはそこが気になって、録音当時、リリースを見送ったのでは無いか。とにかく、パーソネルの顔ぶれを見れば、この顔ぶれで、当時メインの、誰もがやっているコルトレーン流のフリー・ジャズをやっているのは、ちょっと物足りないなあ。ライオンの慧眼、恐るべし。であるが、1969年になって、ライオンの意志に反して、この盤は世に出たことになる。
 
しかし、この盤の名誉の為に言っておくと、当時メインの、誰もがやっているコルトレーン流のフリー・ジャズとは言え、内容は充実している。ブルーノート・レーベルでなければ、アルフレッド・ライオンでなければ、録音即リリースである。確かにフリー・ジャズは当時の流行ではある。しかし、このお蔵入り盤をリリースする必要があったかどうかは疑問である。
 
 
 
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2019年5月18日 (土曜日)

グラント・グリーンってブレない

何度も書いて申し訳ないが、ブルーノート・レーベルの4300番台のアルバムは、聴き易さ、ポップさを最優先にしたプロデュースが意識されていたように思う。ジャズらしい尖った要素は基本的に横に置いておいて、とにかく聴き易さ優先。この時代には、アルフレッド・ライオンが積み上げたブルーノート・レーベルとしての硬派な矜持はどこへやら、な状態であった。

Grant Green『Goin' West』(写真左)。1962年11月30日の録音。リリースは1969年。ブルーノートの4310番。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Herbie Hancock (p), Reggie Workman (b), Billy Higgins (ds)。 グリーンのギター1本だけがフロントを張り、バックは、ハンコックをピアノに据えた新主流派なリズム・セクション。さぞかしジャズの先端をいく、モーダルな音世界が展開されると思いきや、この盤、タイトルからも判る通り、ブルーノート・レーベルには珍しい「企画盤」。
 
収録曲を見渡しても判る様に「米国西海岸の西部劇の世界」をイメージする曲が選曲されている。つまりは、グラント・グリーンのパッキパキのシングルトーンが個性のブルージーでファンキーなギターでC&W(カントリー&ウエスタン)系の曲をやった訳。「I Can't Stop Loving You(愛さずにはいられない)」「Red River Valley(赤い河の谷間)」、それにロリンズの『Way Out West』での名演で勇名になった「Wagon Wheels(ワゴン・ホィール)」など、耳に馴染みのある曲がズラリと並ぶ。
 
 
Goin-west  
 
 
しかしながら、グラント・グリーンって全くブレない人で、何をやらせても、結局は「パッキパキのシングルトーンが個性のブルージーでファンキーな」演奏に仕上がってしまうのだ。この盤でも、「米国西海岸の西部劇の世界」をイメージする、ポピュラーな曲が選択されているのだから、もっとポップでもっと聴き易くなっても良いのになあ、と思うのだが、これが意外と硬派な純ジャズ風な内容に仕上がっているのだから、聴きながら思わず、苦笑い、である。
 
まあ、こういう完璧職人肌のギタリストに、ポップで聴き易い演奏をやれっていうほうが野暮だ。グラントはアルバムの最初から終わりまで、一貫して、ファンクネスを湛えたパッキパキのブルージーなギターを弾きまくっている。原曲は「米国西海岸の西部劇の世界」をイメージするポップな曲ばかりなのになあ(笑)。「Red River Valley(赤い河の谷間)」なんて違和感の塊である。しかしこの「違和感」が意外と面白い。
 
1967年8月以降、プロデュースをしていないライオンが何故この盤のプロデュースをしているのか。クレジットを見て不思議に思っていたが、録音してからお蔵入りになっていたんですね。この盤のリリースはライオンの意志ではなかったのかな。確かに企画盤としての狙いは外しているが、グラントのブレの無いファンクネスを湛えたパッキパキのブルージーなギターを愛でることが出来るんだから、この盤はこの盤で存在意義があるのでは、と思います。
 
 
 
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2019年5月17日 (金曜日)

東欧~中東的旋律が更に濃厚

現代のNYのジャズのトレンドの1つに「イスラエル出身のジャズ・ミュージシャンの台頭」がある。イスラエル・ジャズは、老舗本国の米国、欧州について、新たなジャズの聖地になる位の勢いでメジャーな存在になってきている。もはや、イスラエル発のジャズは無視出来ない存在になってきている。
 
イスラエル・ジャズの特徴はと言えば、ネットを紐解くと「イスラエル、ジューイッシュ(ユダヤ)の哀愁を帯びたフレーズやメロディ、または近隣アラブ諸国〜北アフリカ地域の音楽的要素なども取り入れられており、結果生成された今までにないハイブリッドなジャズ・サウンドが特徴」とある。

Omer Avital『Qantar』(写真左)。昨年8月のリリース。ちなみにパーソネルは、Omer Avital (b), Eden Ladin (p, key), Ofri Nehemya (ds), Alexander Levin (ts), Asaf Yuria (ss, ts)。アヴィシャイ・コーエンと並びイスラエル出身2大ベーシストと称されるオメル・アヴィタルの最新作。同郷の盟友たちで結成された新ユニット「オメル・アヴィタル・カンター」のお披露目盤である。
 
 
Qantar-omer-avital  
 
 
2管フロントが映える、冒頭の「One Man’s Light Is Another Man’s Night」の疾走感。旋律の美しさが際立つ5曲目の「Beauty and the Beast」。アヴィタルの必殺ウォーキング・ベースが炸裂する、ラストの「Know What I Mean?!」。バンドメンバー、それぞれの演奏が抜群に上手い。その充実度合いは、聴き始めたら最後まで一気に聴き通してしまう位。
 
中でも、やはり、リーダーのアヴィタルのベースが素晴らしい。伝統を踏まえた、胴鳴りを伴った、鋼がしなるが如く響く弦の重低音。安定したビート。安定したピッチ。見事なジャズ・ベースである。このアヴィタルのベースが東欧~中東的旋律にグルーヴ感を与えている。エキゾチックなグルーヴ感。イスラエル・ジャズの面目躍如。
 
東欧~中東的旋律については更に濃厚になっている。全編、東欧~中東的旋律で埋められている、と言っても過言では無い内容。東欧から中東的旋律が好きなジャズ者にとっては堪らない内容になっている。いわゆる「中近東的エキゾチックな雰囲気」満載な好盤。イスラエル・ジャズ以外、他にありそうでない「東欧~中東的旋律が満載」のコンテンポラリーな純ジャズ。良いアルバムです。
 
 
 
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2019年5月16日 (木曜日)

ECMのジョージ・アダムスです

以前より、フリー・ジャズ系のテナー・マンとして、ジョージ・アダムス(George Adams)がお気に入り。手元には意外にリーダー盤の枚数がある。しっかりと聴き始めたのは21世紀に入ってから。プライベートでジャズをしっかりと聴く時間が取れ始めた頃である。特に、iPodの出現が大きい。イヤフォーンを工夫するだけで、結構、良い音で聴けたから堪らない。ジョージ・アダムスのアルバムは電車通勤の中で良く聴いたなあ。
 
George Adams『Sound Suggestions』(写真左)。1979年5月の録音。ちなみにパーソネルは、George Adams (ts, vo), Kenny Wheeler (tp), Heinz Sauer (ts), Richard Beirach (p), Dave Holland (b), Jack DeJohnette (ds)。トランペットにホイーラーがいて、ピアノにバイラークが座る。ホランドのベースにデジョネットのドラム。これって、ECM的布陣やん、と思って見たら、確かにECMレーベルからのリリースである。
 
欧州ジャズの老舗、ECMレーベルにジョージ・アダムス。違和感満載である。アダムスは米国ジョージア州出身のジャズテナー・サックス、フルート奏者。黒光りするようなテナーの咆吼をモットーとする、いわゆる純粋米国フリー・ジャズマンである。しかし、欧州は米国よりもずっとフリー・ジャズに理解が深い。意外と填まるのでは無いか、と密かに期待する。
 
 
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これが見事に填まっている。純粋米国フリーなサックスが、ECMレーベルの耽美的で限りなく静謐で豊かなエコーを湛えた音世界に身を投ずるのだ。アダムスのテナーが入ってきた瞬間は水と油というか、違和感満載なんだが、演奏が進むにつれ、不思議とECMサウンドに統一されていく。アダムスがECMの音世界に合わせて吹いているのでは無い。アダムスはアダムスのままに吹いているんだが、不思議とECMサウンドに落ち着いているのだ。
 
といって、バックの他のメンバーはあくまでECM的な演奏内容。アダムスが入ってくるまでは明らかにECMの音世界。アダムスがアダムスらしく吹く、ECMのモーダルでフリーなジャズの音世界。見事である。ECMの音世界の懐の深さと柔軟性を感じる。ECMのお抱えトランペッター、ホイーラーとアダムスとの、フリーなインプロビゼーションでの相性が抜群に良い。

4曲目「Got Somethin' Good for You」はブルース曲なんですが、これがまあアダムスが唄います。ボーカル絶叫、そしてテナー吹きまくり。それでも、バックはしっかりとECMサウンドを貫き通し、ブルースを絶叫するアダムスが浮くことはなく、違和感無くECMサウンドとして、しっかり聴くことが出来るのだから不思議。ECMの総帥、アイヒャーのプロデュース力おそるべし、である。
 
 
 
東日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年5月15日 (水曜日)

ブルックマイヤーの決定盤です

我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、この初夏の季節はトロンボーン・ジャズの季節である。5月のGWが終わって、グッと気温が上がって湿度が上がってきたら、毎年、なんだかトロンボーン・ジャズが聴きたくなってくる。不思議なことだが、決まって毎年である。あのトロンボーンのホンワカ、ホノボノととした音色が、僕の中ではこの初夏の季節にぴったりフィットするのかもしれない。
 
トロンボーン・ジャズの名手と言えば、J.J.ジョンソン、そして、カーティス・フラー。僕の中ではこの2人が圧倒的な存在。そして、続くは「ボブ・ブルックマイヤー(Bob Brookmeyer)」かな。1929年、カンザスシティー生まれ。2011年に鬼籍に入っている。1954年にデビュー作をリリースしてから、毎年一枚のペースでリーダー作をリリース。しかし、1965年から1977年までブランクがある。
 
西海岸でスタジオ・ミュージシャンになり、アルコール依存症に陥っていた。しかし、この依存症を見事克服し、NYに戻っている。復活を遂げた時点での素晴らしいライブ録音がある。『The Bob Brookmeyer Small Band』(写真左)。1978年7月、Sandy's Jazz Revivalでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Bob Brookmeyer (tb), Jack Wilkins (g), Michael Moore (b), Joe LaBarbera (ds)。
 
 
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マサチューセッツ州ビバリーのナイトクラブでのライブ録音。このライブ盤は、リリース当時LP2枚組。トータル時間約2時間弱のボリューム。スモール・バンドといっても、編成はギター・トリオをバックにした、ブルックマイヤーのワンホーン編成。ブルックマイヤーのトロンボーンの技と力量を心ゆくまで堪能出来る。ソロ、デュオ、トリオ、ワンホーン・カルテット。様々な編成の演奏が楽しめる。

バックのリズム・セクションの演奏レベルも高い。ドラムのラバーベラの音が素晴らしい。ベースのムーアの音も良い。味のあるウィルキンスのギターも捨てがたい。いずれの楽器もブルックマイヤーのトロンボーンとの相性はとても良い。よくこれだけの人選をしたもんだ。ブルックマイヤーのトロンボーンの良さを惹き立てる。
 
J.J.ジョンソンほどでは無いが、ブルックマイヤーも相当に上手い。硬軟自在、緩急自在、強弱自在。しかも、演奏自体のアレンジがまた良い。とりわけブルックマイヤーの歌心が最大限に表現されている。トータル時間2時間弱が全く飽きない。このLP2枚組のライブ盤で、ブルックマイヤーのトロンボーンの全てが理解出来る。そんなライブ好盤である。
 
 
 
東日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年5月14日 (火曜日)

ブルーノート流クロスオーバー

ブルーノートのBN-LAシリーズは、ほぼ1970年代を網羅しているシリーズである。その時代ならではの内容のアルバムが多くを占めており、その時代の流行の音世界でありながら、その底にしっかりとブルーノート色を色濃く保持しているところが実にニクい。ジャズロックやクロスオーバー、フュージョンなジャズが嫌いな人は仕方ないが、そうでなければ、このBN-LAシリーズは是非とも聴いて欲しいシリーズである。
 
このBN-LAシリーズは、4300番台と同様、ポップス化に走ったものもある。例えば、Ronnie Foster『Sweet Revival』(写真左)。1972年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Ronnie Foster (org), Garnett Brown (tb), Seldon Powell (ts), Ernie Hayes (el-p), David Spinozza, John Tropea (el-g), Wilbur Bascomb Jr. (el-b), Bernard Purdie (ds)。ロニー・フォスターのオルガンをメインに、トロンボーンとテナーの2管、バックのリズム・セクションはオール電化(ドラム以外)。
 
フェンダーローズからエレキ・ギターといった電子楽器を大々的に取り入れたアルバムである。いわゆる典型的な「クロスオーバー・ジャズ」。しかし、演奏の底にはしっかりと純ジャズの雰囲気が残っていて、決して、イージーリスニング・ジャズにはならないし、チープなジャズロックにもならない。意外と硬派な「クロスオーバー・ジャズ」な内容に、聴いていて思わず「ドキッ」とする。
 
 
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選曲も、Gilbert O'Sullivan「Alone Again (Naturally)」や、Stevie Wonder「Superwoman」、Crusaders 「Sweet Revival 」など、当時のSSWやR&Bのヒット曲をいち早くカヴァーしている。しかし、当時のポップス系のヒット曲のカヴァーである。さぞかし、ポップでイージーリスニング風なんだろうなあ、とあんまり期待せずに聴くと、意外とジャジーで、コンテンポラリーな純ジャズ風な演奏に、思わず「おおっ」と思う。

イージーにポップ化しないところに、ブルーノートの矜持を感じる。そして、それぞれの演奏に独特のグルーヴ感が漂い、思わず体が動く。そうこのアルバム、意外とグルーヴ感を感じる内容で、ラストの「Inot」など、硬派で良質なレア・グルーヴ・トラックである。硬質でくすんだ響きのエレピのソロが格好良き、電気楽器中心に刻む8ビートはキレ味抜群。
 
参加者の名前は不明なんですが、女性コーラスやストリングスも活躍しているんですが、意外と俗っぽくなっていないところも「良い」。収録曲だけ見ると、ポップでイージーリスニング風なジャズをオルガン中心にやってるんだろうなあ、なんて思うんですが、聴いてみると「とんでもない」。ブルーノート・レーベルの矜持を織り込んだクロスオーバー・ジャズがこの盤に詰まっています。意外と好盤。
 
 
 
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2019年5月13日 (月曜日)

見た目で判断したら駄目です。

ブルーノート・レーベルの4300番台は、1968年〜1972年の間のリリースなので、ジャズのポップス化の影響をモロに受けた時代。よって、4300番台のアルバムは、聴き易さ、ポップさを前面に押し出したプロデュースがなされていたように思う。ジャズらしい尖った要素は基本的に横に置いておいて、とにかく聴き易さ優先。

Horace Silver『You Gotta Take a Little Love』(写真左)。1969年1月の録音。ブルーノート・レーベルの4309番。ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Randy Brecker (tp, flh), Bennie Maupin (ts, fl), John Williams (b), Billy Cobham (ds)。往年のフロントである、Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts) は既にいない。
 
今の目で見ると、凄いフロントである。かのブレッカー・ブラザースで一世を風靡するランディ・ブレッカーのトランペットに、マイルスやハンコックのバンドで活躍したベニー・モウピンのテナー。そこに、なんとドラムに、クロスオーバー・ジャズの雄、千手観音ドラミングで勇名を馳せたビリー・コブハム。これだけのサイドメンであれば、尖ったクロスオーバー・ジャズが炸裂しそうだが、この盤ではそうならない。
  
 
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なんせリーダーが、ファンキー・ジャズの親玉、ホレス・シルバーである。尖ったクロスオーバー・ジャズなぞ、とんでもない。明らかに明確な、シルバー節満載のファンキー・ジャズが展開されている。ランディもモウピンもポジティブに神妙にファンキー・ジャズをやっている。しかし、これが「味があって良い」。やはり、ジャズの基本はハードバップなんやなあ、と妙に感心させられる。
 
コブハムのドラミングも千手観音ドラミングを封印して、オーソドックスなファンキー・ドラミングをやっており、これがまた、しっかりとファンキー・ジャズに「はまっている」。上手いんだなあ、これが。ということで、ブルーノートのホレス・シルバーらしいファンキー・ジャズ盤に仕上がっている。しかも、かなりポップな仕上がりになっているところが、時代背景を反映しているようで面白い。
 
しかしなあ、このアルバム・ジャケットだけがなあ。およそ従来のブルーノートの仕事とは思えない、思いっきりイラっとさせるジャケット・ワーク。これがまた、ブルーノートの4300番台の仕業でもある。でも、この盤のシルバー節満載のファンキー・ジャズは良い感じ。このギャップもまたブルーノートの4300番台の仕業でもある。いわゆる「見た目で判断したら駄目」な盤が多いので要注意である。
 
 
 
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2019年5月12日 (日曜日)

キャノンボールのエレ・ファンク

やっと5月らしい気温に落ち着いた。湿度も低く、長袖のラガーシャツでウォーキングしても汗ばまず、清々しい気分。思い返せば、日本の一年間の中で、数少ない「過ごしやすい時期」である。これだけ過ごしやすい気候になれば、日頃、耳にすることが疎遠になったジャズマンのアルバムを聴き直したくなる。
 
キャノンボール・アダレイが気になってきた。そういえば暫く疎遠になっている。ファンクネスこってこてのファンキー・ジャズ〜ジャズ・ファンクがメインのアルト・サックスのレジェンドである。ビートとメリハリの効いた「オーバー・ファンク」な演奏はとにかく熱い。本格的な夏が来る前に聴き直さないと、また半年後辺りに繰り延べになる。
 
ということで、キャノンボール・アダレイである。僕はキャノンボールの「ジャズ・ファンク」が大好きである。電気楽器をバリバリに取り入れ、ソウル・ミュージックのエッセンスを大々的に取り入れ、こってこてファンキーでダンサフルなジャズ。明らかに時代の流行に迎合している、と「ファンクの商人」などと揶揄されたりするが気にしない。良い音楽は良い。
 
 
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Cannonball Adderley『Inside Straight』(写真左・右はLP時代)。1973年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cor), Hal Galper (el-p), Walter Booker (b), Roy McCurdy (ds), King Errisson (perc)。Fantasy Studioで行ったスタジオ・ライブの録音盤になる。ライブならではの「一発録り」のテンションが心地良い。
 
1973年の録音であるが、内容はフュージョン・ジャズを先取りした様な、こってこてファンキーでダンサフルではあるが、どこか「ソフト&メロウ」な雰囲気漂うジャズ・ファンクである。一時よりも落ち着いたリズム&ビートが、この頃のキャノンボール・クインテットの雰囲気をバッチリ「キメている」。
 
1975年8月、キャノンボールは急逝するから、逝去2年前の晩年のパフォーマンスがこの盤に詰まっていることになる。「ファンクの商人」と揶揄されようが、あくまでポップス音楽としてのジャズを追求した、キャノンボールのジャズ・ファンク。今の耳にもさほど古さは感じず、聴いて楽しいキャノンボールのエレ・ファンク。さて、キャノンボールのリーダー作をここから遡ってみるとするか。
 
 
 
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2019年5月11日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・114

ジャズでは今でも毎月、結構な数の新盤がリリースされている。クラシック音楽の教育が充実している国には決まって、何らかのその国独特のジャズが存在する確率が高いので、全世界で見ると結構な数の新盤がリリースされていても不思議では無い。特に、インターネットが発達し、全世界レベルで情報の共有がやりやすくなり、世界各国でリリースされたジャズ盤の情報が潤沢に入手出来る様になった。
 
毎月、ジャズの新盤を追いかけていると、ジャズの「今」のトレンドが良く判る。日本には無い、ジャズメンに対する人気の度合いの傾向の違いが良く判る。我が国の場合、その内容の如何に関わらず、ジャズ盤販売がビジネスならない盤やその盤のリーダーであるジャズマンを紹介することは少ない。つまり、内容が良くても、我が国で売れる可能性が低ければ、一般のジャズ者の方々にその盤の情報が渡ることは先ず無い。
 
Ingrid Jensen & Steve Treseler『Invisible Sounds : For Kenny Wheeler』(写真左)。2018年10月のリリース。ちなみにパーソネルは、Ingrid Jensen (tp), Steve Treseler (ts, cl, b-cl), Geoffrey Keezer (p), Martin Wind (b), Jon Wikan (ds), Katie Jacobson (vo), Christine Jensen (soprano)。 カナダ出身の女性トランぺッターであるイングリッド・ジェンセンとサックス奏者スティーヴ・トレセラーの双頭リーダーの作品。ネット上でもほとんど紹介されていないが、この盤、なかなかの内容なのだ。
 
 
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サブ・タイトル「For Kenny Wheeler」からも判る様に、2014年に亡くなった、ECMの「お抱えトランペッター」Kenny Wheelerへのトリビュート・アルバムである。ケニー・ホイーラーがトリビュートされるなんて、思ってもみなかった。我が国では、キース・ジャレットがサイドマンを務めたということで注目された『Gnu High』(ECM 1975年)が扱われる位だ。恐らく、双頭リーダーの一人、イングリッド・ジェンセンがカナダ出身のトランペッターということで、同じ国出身の先輩トランペッター、ホイーラーの存在は大きかったのだろう。
 
この盤の音世界は明らかに「ケニー・ホイーラー」の音世界。ファンクネス皆無、限りなく自由度の高い、即興中心の演奏形態。音に広がりがあって、なんとなく薄い霧がかかったような、ちょっとくすんだような音の響き。そんなケニー・ホイーラーの音世界を上手く再現している。それでも、ケニー・ホイーラーの音世界よりは、アップテンポで躍動感あふれる曲が多いかな。エコーの深さや切れ味の良い深みのある音は、ECMレーベルの音世界を彷彿とさせてくれる。
 
毎月リリースされるジャズの新盤。その全てを聴くことなど全く不可能で、ジャズの新盤を毎月毎月追いかけるのは並大抵のことでは無い。それでもできる限り、ジャズの新盤を追いかけるようには心がけている。現在でもジャズは深化し続けている訳で、新盤を追いかけていかなければ、ジャズの「今」が判らなくなる。「今」が判らなくなると、自分の中でジャズは「クラシック音楽」の一部になる。逆に「今」を押さえていけば、自分の中でジャズは「ポップス音楽」の一部として存在し続けることになる。
 
 
 
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2019年5月10日 (金曜日)

ジャズ・トロンボーンの第一人者

初夏の季節にジャズ・トロンボーンの音が良く似合う。ということで、この初夏の季節にジャズ・トロンボーン盤を聴きまくっている私こと「松和のマスター」。ホンワカ、ホノボノなトロンボーンの音色。それでいて、速いアドリブ・フレーズもいける。しかも魅惑的な低音の響きが堪らない。
 
そんなジャズ・トロンボーン、ジャズ入門書やジャズ盤紹介本で真っ先に出てくるジャズマンの名前が「J.J.Johnson(略してJ.J.)」。ジャズ・トロンボーンと言えば「J.J.ジョンソン」が最高のトロンボーン奏者と言うのが定番。J.J.は1924年生まれ。2001年に77歳で他界。スイング時代から頭角を現し、特に1950年代、ビ・バップ〜ハードバップ期に活躍。その「光速フレージング」がJ.J.の代名詞で、わざわざジャケット上に「バルブトロンボーンに非ず」との注記まで付けられた位である。
 
活動期間は1966年から77年までの11年間のブランクを挟んで、大きく前後半の2つに分かれる。しかし、前後半どちらの活動時期でも、J.J.のブロウ・スタイルは「ビ・バップ」。速いフレーズも緩やかなフレーズも、どちらも明かな「ビ・バップ」の音色がする。J.J.はバップなトロンボーンから発展することも、変化することも無かった。J.J.は、バップなトロボーンを深く深く掘り下げた。そして、トロボーン奏者の第一人者となった。
 
 
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J.J.Johnson『Quintergy』(写真左)。1988年7月、NYのVillage Vanguardでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、J. J. Johnson (tb), Ralph Moore (ts), Stanley Cowell (p), Rufus Reid (b), Victor Lewis (ds)。20年以上も西海岸でスタジオ・ワークに勤しんでいたJ.J.が、久々にVillage Vanguardに出演、本格的なジャズ活動を再開した瞬間を捉えたライブ盤である。
 
J.J.のトロンボーンとムーアのテナーの2管フロント。バックはカウエルのピアノにリードのベース、ルイスのドラムという、ネオ・ハードバップの音色が芳しい、職人芸なリズム・セクション。J.J.以外はネオ・ハードバップ期に現れた、次世代を担うであろう若手ジャズメンで、そんな新しい響きのするリズム・セクションを従えながら、J.J.は明らかに「バップ」なトロンボーンを吹きまくっている。
 
このジャズ・トロンボーン盤はアレンジやアンサンブルを楽しむものでは無く、明らかにJ.J.のトロボーンだけを可能な限り堪能することがメインの「J.J.のJ.J.によるJ.J.の為の」ライブ盤である。マイルスのモードな名曲「Nefertiti」などもピックアップ、モーダルな音色にチャレンジしている。当時64歳とは思えない、新しい感覚のジャズ・トロンボーンにも取り組んでいて立派だ。
 
 
 
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2019年5月 9日 (木曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・69

いろいろと異論はあるだろうが、私、松和のマスターにとっては、ジャズ・トロンボーンを愛でるのは、この初夏の季節が一番である。初夏の心地良く暖かな気候の中で聴く、ホンワカ、ホノボノなトロンボーンの音色。かなり心地良く耳に響いて、心が晴れ晴れ。スカッとストレス解消と相成る。
 
ということで、最近、トロンボーンが主役のアルバムを聴きまくっている。ジャズ・トロンボーンの奏者って、数が少ないのだけれど、ジャズの歴史を振り返って、結構、好盤の率が高い。トロンボーンの音色って、ホンワカ、ホノボノしているので、なかなか単体だと印象が薄くなる。そこでアレンジの出番。トロンボーンがメインのジャズ盤って、押し並べて、アレンジが優れている。

『3 Bones And A Quill』(写真左)。1958年の録音。ちなみにパーソネルは、Frank Rehak, Jim Dahl, Jimmy Cleveland (tb), Gene Quill (as), Whitey Mitchell (b), Charlie Persip (ds), Hank Jones, Nat Pierce (p)。リーダー格で、フロントを担当するのが、アルト・サックスのジーン・クイル(写真右)。フィル・ウッズと結成した、2アルト・サックス・ユニット「フィル&クイル」での活動が有名。
 
 
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そして、もう一方のフロントを担当するのが、なんとなんと、ジミー・クリーブランド、ジム・ダール、フランク・リハクという当時最高のトロンボーン奏者3人がフロントを張っているのだ。このトロンボーン3本による、豊かで趣味の良いアンサンブルが、チャーリー・パーカー直系のクイルのアルト・サックスを際立たせている。

演奏自体はハードバップだが、とにかく、トロンボーン3本のユニゾン&ハーモニーのアレンジがとても優れている。加えて、トロンボーン3本それぞれのアドリブ・ソロも端正で流麗。しっかりとフレーズを立たせていて、聴いていてワクワクする。フロントのアルト・サックス、そしてトロンボーン、それぞれの音色はファンキー際立つジャジーな雰囲気が濃厚。
 
選曲も捻りが効いていて、聴いていて楽しい。トロンボーン3管の特徴を生かしたユニークな演奏。癒し系のトロンボーンとクイルの超高速アルトのアンサンブル&チェイスが印象的。演奏自体もアレンジが良く効いていて聴き易い。この初夏の季節、ジャズ喫茶の昼下がりにピッタリの好盤です。
 
 
 
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2019年5月 8日 (水曜日)

現代の「エレ・マイルス」です。

1960年代の終わり、突然にマイルスが始めた「エレクトリック・ジャズ」。ハービー、チック、ザヴィヌルと、その担い手は拡がっていって、電気楽器を活用しているとは言っても、クロスオーバー・ジャズやフュージョン・ジャズとは一線を画した、あくまで旧来のジャズを踏襲した、硬派なメインストリーム・ジャズのエレクトリック版。
 
そんな「エレクトリック・ジャズ」は、1970年代から発展の一途をたどり、21世紀の今に至っても、まだまだ深化を続けている。演奏に活用しているのが電気楽器だけあって、トーンにバリエーションが豊かで、50年以上経った今でも、演奏される音の雰囲気はまだまだユニーク性を保っている。そして、今でも新しいバンド、新しい音が出現している。

Butcher Brown『Camden Session』(写真左)。2018年11月のリリース。「Butcher Brown」とは、ヴァージニア州のリッチモンドを拠点に活動する新進気鋭のバンドとのこと。Nicholas Paytonの2014年の作品『Numbers』に抜擢されたことでも話題となったバンドである(思い出した!)。ちなみにパーソネルは、DJ Harrison (key), Corey Fonville (ds), Andrew Randazzo (b), Marcus Tenney (tp,sax), Morgan Burrs (g)。
 
 
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冒頭からの2曲目「Fiat」を聴いて、思わず「おおっ」と歓声をあげたくなる。これって「エレ・マイルス」やん。シンプルでストレートなファンクネス溢れる、ビートの効いたエレクトリック・ジャズ。3曲目のミッドテンポの「Street Pharmacy」のちょっとダルでユルユルな、それでいて、思わず体が動く魅惑的なグルーヴ感。う〜ん、やっぱ「エレ・マイルス」やなあ、僕にとっては。
 
しかし、単に「エレ・マイルス」の雰囲気を踏襲している訳では無い。現代の新しいエレクトリック・ジャズの音をそこかしこに散りばめていて、明らかに「今」の音がする。これが良い。特にリズム&ビートが「新しい」。この盤を聴くと、なるほど、と思う。エレクトリック・ジャズの深化のポイントの1つは「リズム&ビート」である。
 
たまたま、ネットを徘徊していて出会った新盤なんだが、これが大当たり。まるっきし、現代の最先端を行く「エレ・マイルス」という感じの音世界は、とにかく魅力的。Butcher Brownというバンド名も初めて知ったが、早々に彼らの他のアルバムも聴いてみたいと思った。エレクトリック・ジャズ者の方々については、広くお勧めである。
 
 
 
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2019年5月 7日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・147

ジャズって歴史が長い分、時に「え〜何、この盤」と歓声を上げてしまうくらいの「幻の名盤」が突然、リイシューされることがある。恐らく、突然マスターテープが発見されたり、突然リイシューの企画が持ち上がったりするのだろう。それでも「幻の名盤」クラスのリイシューである。いったいどれだけの需要があるのだろう。謎である。

今回出会ったリイシュー盤は、Richard "Groove" Holmes『Swedish Lullaby』(写真左)。ジミー・スミス、ジミー・マクグリフなどと並ぶジャズ・オルガンの巨人リチャード・グルーヴ・ホームズがスウェーデンのレーベル〈SISON MUSIC〉に遺したアルバム。オルガン・ジャズ好きには堪らないアルバムのリイシューである。
 
1984年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Richard "Groove" Holmes (org), Edward Lee Layman (ds), Willie Pettis Jr. (g), Willie Akins (ts)。オルガン・ジャズの定番の組合せ、オルガン+ドラムス+テナーサックスにギターが加わった変則カルテット。ギターが入っている分、オルガン・ジャズとしての音世界の幅が拡がっている。
 
 
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典型的なオルガン・ジャズ。ファンクネスは適度、すっきりコテコテで耳にもたれない、趣味の良いファンクネス。端正なフレーズ、淡々とシンプルに弾き進める小粋なマナーが素敵である。結構、軽快で疾走感のあるオルガンで、爽快感のあるソウルフルなアドリブ・フレーズを展開する。加えて、この盤に漂うリラックスな雰囲気が、ホームズのオルガンの妙技を際立たせる。
 
冒頭の「Just one of those things」から「Groove's Groove」、そして「One hundred ways」と続く3曲には思わず聴き惚れてしまう。スタンダードから、ミュージシャンズ・チューンズ、そしてソウルフルでフュージョン・ファンクな音世界がとても芳しい。端正で小粋なグルーブ感がホームズのオルガンの「味」。

この盤のプロデューサーであるシグヴァードソンいわく、当時、ホームズはこの盤が自分の全レコーディング中で最大のお気に入りだったそうだ。さもありなん。しかし、それでもこの盤、1984年のリリース時は、スウェーデンで数百枚とリチャード本人が数百枚販売したのみで広く世界には流通しなかった。良い盤が売れるとは限らない。そんな状態の代表的な例がこの『Swedish Lullaby』である。
 
 
 
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2019年5月 6日 (月曜日)

エレ鍵盤楽器好きには堪らない

1970年代に入って、電子楽器は急激に発達した。僕達はリアルタイムにその「発達」を体験して来た年代なんだが、特にビックリしたのが「シンセサイザー」の登場。初めてその音を聴いたのは、プログレ・トリオ、Emerson, Lake & Palmerの『展覧会の絵』だったが、何の音だか全く判らず、とにかく「これは面白い」と何回も繰り返し聴き込んだのを覚えている。
 
ジャズ界においても、1970年代に入って、電子キーボード、代表的なものとしては、フェンダー・ローズ、シンセサイザー、電子ピアノ(エレピ)などがジャズにも入り込んできた。アコースティック・ピアノ(アコピ)と同じ鍵盤楽器なので、アコピの名手はエレピの名手の思いがちなのだが、これが同じ鍵盤楽器ながら全く扱いが異なるもので、アコピの名手が必ずしもエレピの名手では無い、という事象が発生した。
 
1980年代に入ると、デジタル機材が出現し、キーボードもその例に漏れず、デジタル化に染まっていった。これがまた、アナログ・キーボードと音の性質が全く異なり、デジタル・キーボードに対しても、それなりのノウハウとテクニックが必要であることが判った。しかし、聴く方としては、音の種類の裾野がグッと広がって、キーボードがメインのコンテンポラリーなジャズを聴くのが楽しみになっていった。そして、21世紀に入り、今年は2019年。
 
 
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Otmaro Ruiz, Jimmy Branly & Jimmy Haslip『Elemental』(写真左)。2018年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、Otmaro Ruiz (ac-p,el-p,syn), Jimmy Branly (ds), Jimmy Haslip (b) 。オトマロ・ルイーズ(写真右)のキーボードをメインに据えた、トリオ編成である。オトマロ・ルイーズは、1964年、ベネズエラ、カラカス生まれ。実に理知的でセンスの良いキーボード奏者である。
 
アルバムの前半は、シンセサイザーとか電子ピアノとか、エレ・キーボードがメインの演奏。実に趣味の良い典雅なフレーズをエレピやシンセで弾き進めるので、実に聴いていて心地良い。雰囲気的にはチック・コリアとハービー・ハンコックの「ええとこ取り」。それぞれのキーボードの特性を良く把握しているのであろう、とても良い音でエレピやシンセが鳴る。エレピを駆使してのフレーズの弾き回しも印象的。
  
後半に進むに従って、エレピの使用の割合が多くなる。ルイーズはアコピについても、その弾きっぷりは「第一級」でアコピとエレピの対比が実に印象的。この盤、本当にジャズ・キーボード好きには堪らない内容に仕上がっていて、思わず「こんなアルバムあったんや」と唸ってしまった。当然、現在、バーチャル音楽喫茶『松和』ではヘビロテ状態である。
 
 
 
東日本大震災から8年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年5月 5日 (日曜日)

パティトゥッチのベースが凄い

ジャズの新盤を追いかけていると、お気に入りのジャズマンの成長の様が良く判る。まずはデビュー盤で、これは、と思って追いかけ始め、リーダー作の枚数を重ねる毎に、その成長の様を確認することは「ジャズ者冥利」に尽きる。逆にデビュー作を重ねること無く、消えていくジャズマンもいる。演奏する方も聴く方も「悲喜こもごも」である。
 
John Patitucci『Soul of the Bass』(写真左)。今回はこの天才ベーシストの一人、パティトゥッチの新作である。今年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、John Patitucci (elb,b), Nate Smith (ds), Greisun (vo), Isabella Patitucci, Sachi Patitucci (cello)。1987年の初リーダー作以来、既に10枚以上のリーダー作を数える。特にリーダー作は圧巻だった。6弦ベースの高音域での高速フレーズはギターのソロと肩を並べるほどだった。とにかく速弾きに優れる。
 
フュージョンからストレート・アヘッドなジャズまで幅広くこなすが故に、器用貧乏なイメージが付きまとうのだが、サイドメンに回ると、それはそれは優れたバッキングを披露する。つまり、パティトゥッチのベースは、テクニック優先なものでは無く、バランスの取れた優れたジャズ・ベーシストの一人なのだ。
 
 
Soul-of-the-bass-john-patitucci  
 
 
今回の新作は、そんな「バランスの取れた、優れたジャズ・ベーシスト」にスポットを当てた、というか、トータル・バランスの取れたジャズ・ベーシストのパフォーマンスがギッシリと詰まった、ベーシストの、ベーシストによる、ベーシストの為のリーダー作に仕上がっている。冒頭のタイトル曲「Soul of the Bass」を聴けば、パティトゥッチのベース・ソロのただならぬテンションに、思わず座り直してしまう。
 
とにかく、パティトゥッチのベースソロの楽曲が白眉の出来。これだけ、音色豊かでフレーズの拡がりが幅広のベースソロはそうそう無い。ベースソロというのものは、大体が単調で飽きるのだが、このパティトゥッチのベースソロは飽きない。ついつい聴き耳を立てて聴き入ってしまう。最近目立ってきた若手ドラマー、ネイト・スミスを加えた演奏でもパティトゥッチのベースの存在感は抜群。リズムキープから解放された分、ソロの自由度はただならぬものがある。
 
ベーシストがリーダーのアルバムって、特にベーシストのテクニックや弾きっぷりに焦点を当てたものは、もともとベースの音って単調で変化が乏しく、途中で飽きが来てしまうものが多い。しかし、このパティトゥッチの新作は違う。パティトゥッチの「音色豊かでフレーズの拡がりが幅広のベース」は、その天才的なテクニックも相まって飽きが来ない。好盤である。
 
 
 
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2019年5月 4日 (土曜日)

聴いて楽しいモード・ジャズ

大型連休である。先月末から昨日まで、栃木路に逗留していた。栃木路に逗留している間は、基本的に音楽は聴かない。自然の中で、自然の音を聴いてノンビリ過ごしている。さすがに3日も音楽を聴かずにいると禁断症状が出てくる。断食みたいなものなので、今日、久し振りに聴いたジャズは、どこか新鮮な響きがしている様に感じる。
 
ブルーノートの4300番台である。今日の盤は、McCoy Tyner『Time For Tyner』(写真左)。1968年5月17日の録音。ブルーノートの4307番。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Bobby Hutcherson (vib), Herbie Lewis (b), Freddie Waits (ds)。 コルトレーン亡き後、タイナーのピアノ・トリオ+ヴァイブのカルテット編成で、コルトレーン・ライクなモード・ジャズを展開している。
 
Elvin Jones『The Ultimate』をご紹介した時に、エルヴィンは「インパルス・レーベルに移籍したばかりの頃のコルトレーン・カルテットの音世界が一番良かったと思っていたのではないか。あの頃の演奏が、一番やりたかった演奏ではないのか」と想像した。今回、このマッコイ・タイナーのアルバムを聴くと、やはりタイナーもエルヴィンと同じ事を考えていたのではないか、と思うのだ。
 
 
Time-for-tyner-mccoy  
 
 
この『Time For Tyner』に詰まっている演奏は、どれもが「モード・ジャズ」。ピアノを担当するタイナーは、明らかに「インパルス・レーベルに移籍したばかりの頃のコルトレーン・カルテット」の時のタイナーのピアノそのもの。演奏のアレンジ自体もコルトレーン・カルテットのモード・ジャズのアレンジの雰囲気を忠実に踏襲している。
 
タイナーのピアノ・トリオをリズム・セクションとしてフロントを張るハッチャーソンのヴァイブがこれまたコルトレーンの雰囲気を踏襲している。ヴァイブの速弾きによる「シーツ・オブ・サウンド」、アドリブ・フレーズの「モーダルな展開」、いずれもコルトレーンか、と思ってしまう。実際、ヴァイブの音をテナーの音に置き換えたら、コルトレーンになるだろう、と強く感じるのだ。
 
タイナーのモード・ジャズは、コルトレーンよりもコルトレーンらしい響きに満ちていて、コルトレーンが目指したモード・ジャズの最終形の1つがこの盤に集約されている様に感じる。モード・ジャズの好盤としてお勧めである。しかし、ブルーノートの4300番台のジャケットで酷いジャケットが多いなあ。タイトルからのイメージがこの「時計の文字盤の真ん中にタイナーの顔」。デザインセンスがなさ過ぎである。
 
 
 
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