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2019年4月23日 (火曜日)

こんなアルバムあったんや・113

ジャズはこの約100年間、絶え間なく進化・深化してきた。しかし、進化・深化するだけがジャズでは無い。ある時代の演奏トレンドに戻って、現代でそれを再現するというアプローチもある。ある時代のトレンド、例えば「ハードバップ」時代の演奏の雰囲気を現代の環境で再現する、という企画型アプローチもあるのだ。
 
これはこれで意味のあることで、現代の現時点でのジャズを踏まえてハードバップをやるので、当然、1950年代のハードバップとは全く違った音世界になる。それでも、音の底には1950年代のハードバップのエッセンスがしっかり宿っている。いわゆる「温故知新」なジャズ演奏である。
 
リーダーのジェームス・サッグスは変わったキャリアを持っている。16歳からプロとして活動し、グレン・ミラーやトミー・ドーシーのオーケストラで活躍。その後、アルゼンチンのブエノスアイレスへ渡り、同地で8年間プレイ。現在は米国に舞い戻ってフロリダ州St. Petersburgにて活動しているという。とにかく、我が国ではほとんど無名のトランペッターである。
 
 
Youre-gonna-hear-from-me-james-suggs

 
James Suggs『You're Gonna Hear from Me』(写真左)。2018年12月のリリース。ちなみにパーソネルは、James Suggs (tp), Houston Person (ts), Lafaette Harris (p), Peter Washington (b), Lewis Nash (ds) 。パーソネルを見ると、大御所テナーのヒューストン・パーソンを迎えた2管フロントのクインテット。ベテランの味のあるドラマー、ルイス・ナッシュもいる。
 
まず、ジェームス・サッグスのトランペットの音が凄く良い。すぅ〜っと伸びた淀みの無いブリリアントな音。揺らぎの無い、破綻の無い、ちょっとレトロな雰囲気(これが粋なのだ)の節回し。ハードバップなトランペットである。そして、バックの演奏も明らかに惑うこと無い「ハードバップ」。それぞれの楽器の音が、どらもがハードバップな音を出している。硬派でバップな演奏がズラリと12曲が並ぶ。
 
1950年代の明快で明るいハードバップがここにある。バップな吹きっぷりの中に、出てくるアドリブ・フレーズは仄かにブルージーであり仄かにジャジー。これが実に粋な雰囲気なのだ。今の時代にこんな徹頭徹尾、ハードバップな演奏がてんこ盛りのアルバムがリリースされようとは。ジャズって面白い。
 
 
 
東日本大震災から8年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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コメント

ジャズって、進化しなくちゃいけないんですか?って感じです。
マイルスが電化したとき、大論争があって、ああだこうだ。
一言でいうと、「俺は嫌いだ。」こんなもの聴きたいんじゃない。
一般的な日本人が大好きなジャズは何かという問題はもう答えがでてます。お酒を飲みに行ったとき、くるくる寿司や焼肉屋やカレー屋やラーメン屋やらで有線でかかってるのが、ジャズですよ。(笑)

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