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2019年4月29日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・146

ジャズは難しいとか、古いとか、おじん臭いとか言われて久しいが、まだまだ音楽の主要なジャンルとしての地位を維持している。しかも、ネット社会が拡がったおかげだろう、ジャズ・ミュージシャンの出身国も多岐に渡るようになった。ジャズはまだまだ、新しい才能を発掘し続けている。

今回、ご紹介するのは、ハンガリーの俊英ピアニストAron Talas(アーロン・タラス)。ブダペストの生まれ。フランツ・リスト音楽アカデミーで学び、2013年、ハンガリーの国内コンペで「最優秀ジャズ・コンボ賞」、2015年、モントルー・ジャズ・ピアノ・コンペのファイナリストの一人。東欧出身の新進気鋭のピアニストである。

2015年に録音された前作『Floating Island』が好評で、今回のこの盤が待望の新作ピアノ・トリオ作品。Aron Talas Trio『Little Beggar』(写真左)。2017年8月の録音。2018年3月のリリース。ちなみにパーソネルは、Aron Talas (p), Jozsef Barcza Horvath (b), Attila Gyarfas (ds)。ベーシストもドラマーもブタペスト出身、オール・ハンガリーなピアノ・トリオである。
 
 
Little-beggar-aron-talas
 
 
聴いた瞬間「これは」と思った。明らかに正統派、メインストリーム系のピアノ・トリオ。といって、米国ジャズの様なファンクネスは皆無。欧州ジャズらしい、クラシック・ピアノに通じる様な、流麗で洗練されたタッチ。クリスタルな抒情性。加えて、東欧ジャズの特質になるであろう、ちょっとくすんだ様なアーシー感が癖になる。
 
「東欧のビル・エヴァンス」とでも形容したくなるようなリリシズム。卓越したテクニックと表現力で聴き応え抜群のアドリブ・フレーズ。そこに堅実重厚な、これまた正統派アコベのヨーゼフが続き、自由度の高い、ポリリズミックなアッティラのドラムが堅実、確実なリズム&ビートを供給する。実にハイレベルなピアノ・トリオの演奏に思わず聴き入ってしまう。
 
アーロンは20歳台後半、将来を嘱望されつつあるアーロンが、持てる力をフルに発揮。最先端をいく静的な「モーダルでスピリチュアル」な響きを前面に押し出しつつ、その演奏の底にある伝統的なスイング感とのバランスが良好。欧州ならでは、東欧ならではの響きが芳しい。今から次作が期待出来る好盤です。
 
 
 
東日本大震災から8年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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