ジャズ喫茶で流したい・144
欧州ジャズは、ECM、Steeplechase、Enjaの三大レーベルがメインで発展した来た様に思う。他の欧州のマイナー・レーベルの貢献もあろうかと思うが、米国、そして日本という欧州以外のリージョンについては、やはりこの三大レーベルを介して、欧州ジャズを体験していった様に思う。
地域的にはコペンハーゲンを中心とする北欧ジャズと欧州に移り住んだ米国ジャズメン達のジャズが大半だったという思い出が強い。しかし、この10年間のうちに欧州ジャズの出身地が急速に拡がってきている。第一にイタリア、そして英国、ドイツのジャズが我が国にもやってきて、最近ではイスラエル、そしてポーランドのジャズが流行になってきている。
Simple Acoustic Trio『Habanera』(写真左)。2000年のリリース。ちなみにパーソネルは、Marcin Wasilewski (p), Sławomir Kurkiewicz (b), Michał Miśkiewicz (ds)。Simple Acoustic Trioとは、ポーランド・ジャズ界を代表するピアニスト、マルチン・ボシレフスキを中心とする、純ポーランドなピアノ・トリオである。
ベタなトリオ名からして、大スタンダード曲中心のカクテル・ピアノっぽいトリオ演奏かしら、と訝しく思いながら、聴き始めると「あらビックリ」。俗っぽさなど微塵も無い。欧州ジャズらしい流麗なメロディ、透明感溢れるサウンド。北欧ジャズとの違いは哀愁感溢れるマイナーでエコーたっぷりな響きが希薄なところ。意外と質実剛健なところが見え隠れする、ロマンチックなピアノ・トリオ演奏。
欧州ジャズの共通項としてロマンティックではある。が、意外と硬派で質実剛健なところを加味した音が、ポーランド・ジャズの個性だろうと感じている。最初はロマンに流されるか、と心配になるが、そこにコーンとドラムが入り、ブンブンとベースが引き締めれば、グッと硬派なエッジの立った、上質で流麗な、明確で一本筋の通ったタッチが清々しいピアノの響きが現れる。
静的なフレーズが全体を覆うのだが、適度なテンションを保ったインタープレイとニュー・ジャズ特有のファンクネス希薄で自由度の高いビートが意外とホットで、飽きるどころか、聴けば聴くほどに奥の深い演奏に思わず聴き入ってしまう。ジャケットも思いっきり欧州ジャズ風で趣味の良いもの。これは絶対にジャズ喫茶でかけたい盤である。
東日本大震災から8年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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