「ファンキー・ジャズ」の完成形
今を去ること40年余。ジャズを聴き始めた頃から、ホレス・シルヴァーのピアノが好きである。ファンクネスだだ漏れのスッと切れ味の良いピアノ。加えて、シルヴァーの書く曲がこれまたファンキーで良い。とにかく、シルヴァーのピアノは判り易い。どこから聴いても「ファンキー・ジャズ」なのだ。
そんなホレス・シルヴァー、ブルーノート・レーベルの「ハウス・ピアニスト」として、25年の間、契約を維持した。1956年以降、リーダーとして毎年アルバムをブルーノートで吹き込みながら、シルヴァーのポップなオリジナル曲は数々のヒット作となり、ブルーノート・レーベルを経営難から救っている。
そんなファンキー・ジャズの雄、ホレス・シルヴァーの「ファンキー・ジャズ」の完成形のひとつがこの盤であると思っている。Horace Silver『In Pursuit of the 27th Man』(写真左)。1972年10月6日、11月10日の録音。ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Randy Brecker (tp, flh), Michael Brecker (ts), David Friedman (vib), Bob Cranshaw (el-b), Mickey Roker (ds)。
シルヴァーのピアノ、クランショウのエレベ、ローカーのドラムをベースに、1つのセッションは、ブレッカー兄弟のフロントで、もう1つのセッションは、フリードマンのヴァイブをフロントに、シルヴァーのファンキー・ジャズが繰り広げられる。今から振り返ると、凄いメンバーが揃っている。特に、若きマイケル&ランディのブレッカー・ブラザースが溌剌とファンキーテナー&トランペットを吹きまくっている。
バイオレンス感の漂うファンキー・バップなタイトル曲「In Pursuit Of The 27th Man」、Moacir Santos作のアーバンでアダルトなジャズ・ナンバー「Kathy」、Weldon Irvine作のラテン・タッチの「Liberated Brother」など、スピリチュアル・ジャズな要素が楽しい演奏も興味を惹く。そんなスピリチュアルな音世界の中でも、シルヴァーのピアノはとりわけファンキーに響いている。
シルヴァーのピアノが躍動している。演奏全体の雰囲気が明るくてポップでハッピー。聴いて楽しい、独特のフレーズと音色を持ったシルヴァーのピアノ。ホント、躍動感が溢れ、活き活きとしたファンキー・ジャズである。演奏の内容もテクニックも上々で、しっかりまとまっている。安心して繰り返し聴ける「ファンキー・ジャズ」の完成形である。
東日本大震災から8年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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