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2019年3月23日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・143

久し振りに良い雰囲気のジャズ・ギターを聴いた気がする。Gilad Hekselman(ギラッド・ヘクセルマン)。ヘクセルマンはイスラエル出身のジャズギタリスト。今、NYで最も注目される若手ギタリストの一人。情緒豊かでネイチャー風、少し捻れていてエキゾチック。今までの米国のジャズ・ギターには無い個性である。
  
現代のNYのジャズのトレンドの1つに「イスラエル出身のジャズ・ミュージシャンの台頭」がある。アヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)、オマー・アヴィタル(Omer Avital)、エリ・デジブリ(Eli Degibri)、オズ・ノイ(Oz Noy)、サム・ヤエル(Sam Yahel)等々、優れた新しい個性のジャズメンがどんどん出てきた。今回のギラッド・ヘクセルマンもそんな中の一人である。
  
Gilad Hekselman『Ask for Chaos』(写真左)。昨年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Gilad Hekselman (g)をメインに、Rick Rosato (b), Jonathan Pinson (ds) ="gHex Trio"と、Aaron Parks (p,keys), Kush Abadeyb (ds, pads)="ZuperOctave" の2つのユニットを曲によって使い分けている。
  
 
Ask-for-chaos-1

  
ヘクセルマンが自分のレーベルを立ち上げ、リリースした意欲作、3年振り、6作目のリーダー盤である。この最新盤は自らのレーベルからのリリースである。自分の表現したいジャズを存分に展開している様に感じる。彼のエレギの音を聴いての印象は「パット・メセニーとジョンスコを足して2で割った様な」個性に、端正なアドリブ・フレーズとほんのり明るく「くすんだ」トーン。
  
2つのユニットの使い分けが功を奏している。"gHex Trio"の演奏はシンプルで瑞々しく豊かな色彩感と情緒豊かでネイチャー風。心地良い透明感溢れる演奏は明らかに新しいイメージ。"ZuperOctave"での演奏は先鋭的な、現代ジャズの最先端な切れ味の良い演奏が展開される。ヘクセルマンは切れ味良く、少し捻れた浮遊感溢れるギターを弾きまくる。しかし、この2つの全く異なる個性的な演奏をヘクセルマンのギターがしっかりと統括する。 
 
2つのユニットの混在でありながら、アルバム全体に溢れる統一感。ECMレーベルの音世界に通じるものはあるが、欧州ジャズのウェット感は皆無で、乾いたクリスタルなトーンは新しい米国のコンテンポラリー・ジャズの音世界を感じる。ヘクセルマンのお陰で、久し振りに新しいジャズ・ギターに出会った気分。現在、僕がカート・ローゼンウィンケルと併せて、興味を持って聴いている、お気に入りのギタリストです。
 
 
 
東日本大震災から8年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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