ブルーノート流ボサノバ・ジャズ
ブルーノート・レーベルは「1500番台と4000〜4300番台」と呼ばれる有名なシリーズの他に、その後を継ぐ、幾つかのカタログが存在する。BN-LAシリーズもその1つで、1967年、経営不振からリバティにレーベルを売却、総帥アルフレッド・ライオンが引退し、後を継いだフランシス・ウルフが1971年に亡くなった後、ジョージ・バトラーが拠点をロス(LA)に移し、ブルーノートの再起を図ったシリーズである。
このシリーズ、ブルーノート・レーベルを電化〜フュージョン化して、純ジャズの世界をポップスに身売りしたと軽視されがちなシリーズであり、ベテラン・ジャズ者の方々からは、鬼っ子のように忌み嫌われてるシリーズでもある。我が国の場合、ブルーノート・レーベルの「1500番台と4000〜4300番台」をあまりに高く評価し過ぎな傾向になって、それ意外は「聴く価値なし」と評価する、ベテラン・ジャズ者の方々も多いと聞く。
しかし、聴いてみると判るんだが、意外と真っ当メインストリーム・ジャズなアルバムが多い。ほぼ1970年代を網羅しているシリーズであるが、その時代ならではのアルバムが多くを占めており、それらは全てブルーノート色を色濃く保持しているところが実にニクい。ジャズロックやクロスオーバー、フュージョンなジャズが嫌いな人は仕方ないが、そうでなければ、このBN-LAシリーズは是非とも聴いて欲しいシリーズである。
Duke Pearson『It Could Only Happen With You』(写真左)。1970年の2月と4月の録音。1974年のリリース。ちなみに、Duke Pearson (ac-p, el-p), Burt Collins, Joe Shepley (tp), Kenny Rupp (tb), Hermeto Pascoal (f, g, b), Jerry Dodgion, Al Gibbons (as, alto-flute), Frank Foster (ts), Lew Tabackin (ts, fl), Bob Cranshaw, Ron Carter (b), Mickey Roker (ds), Flora Purim (vo)。新旧混成のメンバー編成。
しかし、そんな取り留めの無いメンバー編成ではあるが、アルバムの中身は「上質でライト感覚なボサノバ盤」という印象が強い。特にピアソンのエレピが端正で軽快、フローラ・ピュリムのボーカルが清々しく爽やかだ。フロントのテナーやトランペット、トロンボーンの音は意外と旧来のハードバップを踏襲していて、演奏の全体的な雰囲気は、ライトで軽妙なボサノバ・ジャズなんだが、フロントのテナーやトランペットについては意外と硬派で、ソフト&メロウ面はほどんと聴くこと出来ない。
意外と硬派なボサノバ・ジャズな内容で、リーダーのピアソンについては、特にエレピの弾きっぷりが見事。ボサノバ・ジャズという新しくかつ俗っぽいジャズの演奏の中で、大いに目立っている。硬派なボサノバ・ジャズとして、この盤は完成されており、内容は意外と濃い。適度なテンションも心地良く、この盤で聴かれる「ブルーノート流ボサノバ・ジャズの在り方」に関して、実に興味深い内容となっている。
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