クラリネット・ジャズのお勧め盤
ジャズは西洋音楽で使用される楽器であれば、ほとんど誰かが使っている。クラリネットもそんな1つ。そんなに多くはないのだが、ジャズの中では現在でも楽器として使用するジャズメンは存在する。が、しかし少数派なのは否めない。決してジャズの中ではメジャーな楽器ではないなあ。ホンワカ優しい音色は魅力なんだが、この「優しい」ところが引っ掛かるのかなあ。
Buddy De Franco『Cooking The Blues』(写真左)。1955年、1956年の録音。ちなみにパーソネルは、Buddy De Franco (cl), Tal Farlow (g), Sonny Clark (p, org), Gene Wright (b), Bobby White (ds)。タル・ファーロウがギターで参加、通常はピアニストのソニー・クラークがオルガンを弾いている。
Buddy De Franco(バディ・デ・フランコ)は生粋のクラリネット奏者。ジャズでは、スイング期にはクラリネットはまずまずポピュラーな楽器だったみたいだが、ハードバップ期に入って、奏者の数はグッと減っている。そんな中、バディ・デ・フランコは、クラリネットという楽器をビ・バップに使用して活躍した。豊かな音色と叙情溢れる演奏に定評がある。
この盤でのバディ・デ・フランコのクラリネットは素晴らしいの一言。柔らかではあるが、しっかりと芯のある、意外と硬派なクラリネットの音が頼もしい。クラリネットの音色は丸くて優しいので、硬派なフレーズには向かないのでは、と危惧するのだが、デ・フランコのクラリネットは意外と硬派で心配は杞憂に終わる。
クラリネットの名手といえばベニー・グッドマンと感じてしまうのだが、この盤でのバディ・デ・フランコは、グッドマンよりモダンで先進的なフレーズ聴かせてくれる。テクニックは優れたもので、特にアドリブ部でのフレーズの流麗さには耳を奪われる。ちなみに、ソニー・クラークのオルガンについては、特筆すべきものは何も無い。逆に、ピアノについては流石やなあと感心します。
演奏の内容はスイング期の王道を引き継いだオーソドックスなもの。モードなどの挑戦的な展開は皆無。逆に安心してゆったりと楽しめる「大人のジャズ」と言って良い。この盤、クラリネット・ジャズのお勧め盤です。女性がメインのジャケットも味があって良し。
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