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2019年2月20日 (水曜日)

アフロ・キューバン侮り難し

チューチョ・ヴァルデスの新盤を聴いていて、彼がリーダーとして活躍している「イラケレ」というバンドを思い出した。「イラケレ」は伝説のキューバン・ジャズのグループになる。明らかにアフロ・キューバンなクロスオーバー・ジャズであり、ジャズの要素に中米のリズムを基調としたラテンジャズな雰囲気が個性。

その「イラケレ」の中で、これまた実にアフロ・キューバンなアルト・サックスを吹く輩がいる。パキート・デリヴェラである。アルト・サックスとクラリネットの名手で、場面場面によって、アルト・サックスとクラリネットのサウンドを巧みに使い分けるところが彼の個性。特に、アルト・サックスは人間の肉声に近い音程を持った楽器で、デリヴェラのアルト・サックスは「唄うが如く」である。

パキート・デリヴェラは、1948年6月生まれ。今年で71歳になる。殆どレジェンドの位置づけのアルト・サックス&クラリネット奏者である。アフロ・キューバンな響きを漂わせながら、ハードバップに吹き上げるアルト・サックスが個性。テクニックも高いが、そのテクニックをひけらかすことは無く、アフロ・キューバンなラテンな響きを漂わせながら、流麗に力強くアルト・サックスを吹き上げる。
 

En_finlandia_paquito_drivera  

 
Paquito D'rivera『En Finlandia』(写真左)。1976年9月の録音。 今から40年以上前にリリースされた、そんなパキート・デリヴェラの好盤。僕はつい最近まで、この盤を知らなかった。我が国では、どうもアフロ・キューバン・ジャズにちょっと冷たいところがあって、イラケレについてもそうなんだが、アフロ・キューバンの本場、キューバ・ジャズについての評価が定まっていない。が、この盤でのデリヴェラのアルト・サックスは見事だ

アルト・サックスのブラスが煌めく様に鳴る。そこに、アフロ・キューバンがメインのラテン風な響きとフレーズが加わり、その音は硬派で芯があって力強く、かつ緻密。雰囲気的には最近のジャズのトレンドである、穏やかではあるが芯があって力強いスピリチュアル・ジャズの雰囲気を先取りしている感じがして、意外と今の耳に馴染む。ジャズ+キューバン+ラテンと、ジャズをベースとしたキューバ+ラテンな雰囲気とフレーズの融合音楽的演奏が実に心地良い。

純ジャズでは無いが、アフロ・キューバンなジャズ、ワールド・ミュージック的要素を取り入れた、コンテンポラリーな純ジャズな演奏が実に骨太であり硬派である。我が国ではあまり正統な評価はされていない印象ですが、このところ来日していたりで、やっと再評価されるつつあるのでしょうか。演奏が基本的にポジティヴなんで、聴いていて楽しいですし、何だかウキウキしてきます。「アフロ・キューバン侮り難し」である。

 
 
東日本大震災から7年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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