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2019年1月25日 (金曜日)

ゴルソンのテナーとアレンジ

誰が書いたのか「ベニー・ゴルソンのテナーはヘタだ」。僕がまだジャズ者初心者駆け出しの頃である。Art Blakey & The Jazz Messengers『Moanin』で、ゴルソンの茫洋としたテナーを聴いていて、これが「下手なテナー」と勘違いした。よって、ゴルソンのリーダー作は長い間、敬遠し続けた。勿体ない話である。

ゴルソンのテナーは下手では無い。それを体感したのは『ターミナル』という映画でのこと。ラストでジャズの演奏シーンが出てくるのだが、ここでテナーを吹いていたのが、ベニー・ゴルソン。確かにテクニック溢れるものでは無く、ちょっと茫洋な響きだが、力感溢れる骨太なテナーを吹いていて、そのアドリブ・フレーズはなかなかのもの。ゴルソンのテナーって良いな、と思った。

それからである。ゴルソンのリーダー作に手を伸ばし始めたのは。ゴルソンはもう一つ、優れた技術を持っている。「アレンジ技術」である。彼のアレンジは、そのユニゾン&ハーモニーの響きと音の重ね方に独特の個性があって、「ゴルソン・ハーモニー」と呼ばれている。ジャジーでファンキーで哀愁溢れる響きを宿した「ゴルソン・ハーモニー」も聴きどころである。
 

The_modern_touch

 
Benny Golson『The Modern Touch』(写真左)。1957年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Benny Golson (ts), Kenny Dorham (tp), J. J. Johnson (tb), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Max Roach (ds)。ゴルソンのテナーを愛でるに相応しい盤である。ゴルソン・ハーモニーを引き立てる「ラウンドなエッジで芯がしっかり入ったホンワカ流麗な音」が得意のトランペッターとトロンボーンを選んでいる。

この盤では、ケニー・ドーハムのトランペットの個性がかなり良く判る。ラウンドなエッジでホンワカ流麗なフレーズ。しかも、この盤では珍しく力感溢れブリリアント。これだけ煌びやかな音で吹き上げるドーハムのトランペットは他ではなかなか聴けない。それとテクニックは、ですね「ちょっと危ない」。たまにミストーンがあって「オヨヨ」となるのだが、決定的な破綻には至らない。何とか持ちこたえて、適度に緩やかなでユルユル丸いフレーズを連発する。明らかにドーハムのトランペットである。

それぞれのメンバーの演奏を聴かせることを第一にしている様で、この盤での「ゴルソン・ハーモニー」は控えめ。それでも「ゴルソン・ハーモニー」の特徴である、ジャジーでファンキーで哀愁溢れる響きを宿した音は、この盤のそこかしこに聴くことが出来る。アレンジャー、リーダー、テナー奏者と、ゴルソンの実力がフルに発揮された好盤です。
 
 
 

東日本大震災から7年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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