WRのビッグバンド・アレンジ
唐突ではあるが、僕は「Weather Report」(以降WRと略す)というバンドが大好きである。ジャズを聴く切っ掛けを作ってくれた大学時代の友人宅で、『Heavy Weather』を聴かせて貰って「おったまげた」。それまでロック一辺倒だった僕が、まずはフュージョン・ジャズに目覚めた瞬間であった。演奏テクニックといい、演奏の迫力といい、これは凄いぞ、と思った。
そのWRのリーダーは「ジョー・ザヴィヌル」と「ウェイン・ショーター」。僕はキーボードが好きなので、ジョー・ザヴィヌルがお気に入り。もともとザヴィヌルはワールド・ミュージック系の音がお気に入りらしく、WRの中期、1973年の『Sweetnighter』辺りから、ちょくちょく、ビートの効いたワールド・ミュージック系の音が入ってくる。特に、WR解散後、ソロになってからはその傾向がより強くなった。
Joe Zawinul with WDR Big Band Koln『Brown Street』(写真左)。地元ウイーンのザヴィヌル自身のライヴスポット「Birdland」での2005年10月のライヴ演奏を収録。ちなみにパーソネルは、Joe Zawinul (kb,vocorder), Alex Acuna (perc), Victor Bailey (b), Nathaniel Townsley (ds) 。このザヴィヌルのカルテットに、WDR Big Band Kolnが共演する。収録曲を見渡すと、WRの楽曲をメインに演奏している。
WRの楽曲はビッグバンドに向く。WRにおけるザヴィヌルのキーボードは「ひとりビッグバンド」と言われるほど、音の重ね方が重厚かつダイナミック。そのザヴィヌルの「ひとりビックバンド」の部分を、WDR Big Band Kolnが受け持って、WRの楽曲をビッグバンド・アレンジで演奏しているのだ。これが絶品。躍動感溢れ、メロディアスで「爽快感+疾走感」が抜群。
加えて、選択されたWRの楽曲が、ワールド・ミュージック系で固められており、これがまた聴いていて心地良い。ワールド・ミュージック系の曲とビートって、ビッグバンド・アレンジにとっても合うのだ。これは初めての体験。ビッグバンドの躍動感がプラスの方向に作用し、爽快感+疾走感が洗練された雰囲気を醸し出し、アーバンでシュッとしたワールド・ミュージックを聴かせてくれる。
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初めまして。素晴らしいプログを拝見して、コメント入れさせてもらいます。
私もブログネームをzawinilとする位で、大のWRファンであり、zawinul信奉者であります。辺境者だからこそジャズのポテンシャルを広げることができたと思います。マスターのWRに関する鋭い考察、大いに勉強になります。
ちょくちょく寄らせていただきます。「松和」で流していただきたいアルバムも紹介しておりますので、良かったら覗いてやってください。今後ともよろしくお願いします。
投稿: bleyasa | 2020年5月16日 (土曜日) 19時46分