猫のジャケットがとても可愛い
いよいよ今年もあと一日。今年もジャズは深化し続けている。従来の好盤のリイシューも一段落の感があって、CDについては特筆する様なアルバムは無かったような気がする。しかし、ストリーミングの世界は、ジャズ盤についてはどんどん充実している感がある。CDでは入手困難な音源が音楽のダウンロード・サイトにあったりする。ジャズ盤鑑賞の世界はどんどん拡がっている。
師走の朝。今日は厳寒。こういう日は外出することが憚られる。こういう日は暖かい室内でジャズ盤鑑賞である。この5年ほど、イタリア・ジャズに興味を持って、様々なジャズメンのリーダー作を聴き漁っている。イタリア・ジャズは、本場の米国よりも硬派で実直な「ネオ・ハードバップ」が定着〜深化しているように感じる。硬派な純ジャズを聴きたいときは、以外と「イタリア・ジャズ盤」を選択している。
Enrico Rava『Bella』(写真左)。1990年のリリース。ちなみにパーソネルは、Enrico Rava (tp), Enrico Pieranunzi (p), Enzo Pietropaoli (b), Roberto Gatto (ds)。 当時のイタリア・ジャズの精鋭部隊。エンリコ・ラヴァのトランペットがワンヒーンのカルテット構成。伊の純ジャズ。タイトルの「Bella」は、女性への「美しい」という褒め言葉らしい。
エンリコ・ラヴァとエンリコ・ピエラヌンツィの「ダブル・エンリコ」が集結した好盤。ラヴァのトランペットの音が流麗。艶やかで明るくきらびやかな音。センチメンタルな雰囲気の中に、一本筋の通った明確で切れ味の良いフレーズが柔らかく切れ込んでくる。リリカルかつスリリングなアドリブ展開が素晴らしい。これだけ端正で流麗なトランペットはなかなかいない。聴き応え満点である。
バックのピアノのピエラヌンツィ率いるトリオは柔軟で端正なリズム隊。ネオ・ハードバップあり、軽いフリーな展開ありの硬派な純ジャズ演奏。もともとピエラヌンツィの奏でるアコピのフレーズは「美メロの宝庫」。それでも演奏全体の雰囲気は明るく、フロント・ワンホーンのラヴァのトランペットをしっかりと支え、鼓舞する。
イタリア・ジャズの歴史を揺るがすような「歴史的な名盤」では無いが、個人的には繰り返し聴いても飽きの来ない「長年のヘビロテ盤」です。猫のジャケットがとっても可愛い。このジャケットを見ているだけでも、ホンワカ幸せな気分に浸れます。師走の厳冬の日に暖かい室内で聴く、トランペットがワンホーン・カルテット盤。好盤です。
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