グリーンの隠れた代表作です。
マイケル・カスクーナによって発掘されたブルーノートの未発表音源シリーズ「Blue Note Classic LT series」。こんな音源があったんや、とか、こんな演奏が残ってたのか、なんて、聴いてビックリすることもしばしば。どうしてお蔵入りになったのか不思議なくらいな良質セッションがズラリと並ぶ。
Grant Green『Nigeria』(写真)。LT-1032番。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Sonny Clark (p), Sam Jones (b), Art Blakey (ds)。いや〜、魅力的なパーソネルですね〜。4人とも、僕の大好きなジャズメンばかり。収録された曲は全て1962年1月13日の録音。つまり、1枚のアルバム全ての音源がお蔵入りになった、ということになる。
しかし、興味深い盤である。1962年という、ハードバップからファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズ、フリー・ジャズと、ジャズが多様化していった、ジャズがポップス化していった時代に、コッテコテ硬派なハードバップなジャズメンで固めた「スタンダード曲集」。リーダーのギタリスト、グラント・グリーンがピアノのソニー・クラークをフィーチュア、ロリンズの名曲「Airegin」やおなじみのスタンダードを演奏している。
スタンダード曲集なので、イージーリスニング風な演奏内容なのかと思いきや、めっちゃ硬派ですっきりファンキーなハードバップな内容にビックリする。グリーンのパッキパキ硬質なシングルトーンが、なかなか小粋で渋いスタンダード曲の旋律を弾き進めていく。そして、アドリブ部に突入すれば、自由度高く、イマージネーション豊かに展開する。スタンダード曲を硬派にストイックにアレンジして、硬質なシングルトーンで決める。これが格好良い。
意外とストレートアヘッドなジャズが展開されていて、思わず聴き入ってしまう。冒頭の「Airegin」や「It Ain't Necessarily So」が、むっちゃ格好良い。そして、どの曲でもドラムのブレイキーの好演が耳を惹く。グリーンのギターとクラークのピアノが、ブレイキーのドラムに鼓舞された、徐々にノリ良く、白熱している様子が聴いていてよく判ります。
この音源がアルバム一枚分まるごとお蔵入りとはなあ。意味分からん(笑)。スタンダード曲をあまりに硬派にストイックにハードバップし過ぎたのでしょうか。確かに、この盤の演奏の数々、スタンダード曲がメインなんですが意外と骨太な演奏で、ながら聴きには全く向きません。聴き始めると思わず耳を峙たせて、思わず聴き入ってしまいます。グリーンの隠れた代表作と言って良い好盤です。
東日本大震災から7年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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