BNLTシリーズのモーガンは無敵
1970年代中盤から1980年代にかけて、マイケル・カスクーナによって発掘されたブルーノートの未発表音源シリーズが「Blue Note Classic LT series」。略称は「BNLT」。ジャケットは、統一感のある当時のUSA盤LPが基本(写真右)。どうしてお蔵入りになったのか不思議なくらいな良質セッションがズラリと並ぶ。
Lee Morgan『Sonic Boom』(写真)。LT-987番。1967年4月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), David Newman (ts), Cedar Walton (p), Ron Carter (b), Billy Higgins (ds)。当時はお蔵入り。ノリノリでソウルフルでハードにバリバリ吹きまくるモーガン。どこがお蔵入りなのかが判らない。天才モーガン、ここにあり。
1967年4月の録音だから、その3ヶ月後、ジャズ界ではジョン・コルトレーンが逝去。ジャズ界はポップなソウル・ジャズや相対するフリー・ジャズが「ない交ぜ」になって混沌とした時代。そんな時代に、こんなコッテコテのモーダルなハードバップな演奏があったとは。ハードバップ初期から大活躍してきたリー・モーガンが新主流派の音にしっかりと馴染んでいる。
1967年のリー・モーガンのリーダー作と言えば『The Sixth Sense』(BN4335番)が正式にリリースされただけ。他の録音は全てお蔵入り。そのお蔵入り音源の1つがこの『Sonic Boom』。この『Sonic Boom』の出来を聴けば、他の録音の内容も推して知るべし。なぜこれだけ優れた内容の「ファンキー+モード・ジャズ」が軒並みお蔵入りになったのか。謎は深まるばかりです。
モーガンにとって、テナーのデヴィッド・ニューマンの参加が良い刺激となっているようだ。ニューマンのテナーは典型的な「テキサス・テナー」。骨太でスピード感豊かに大らかにスケールの大きいテナーを吹き上げる。ノリノリ元気印のヒギンスのドラミングはフロント楽器を思いっきり鼓舞する。
そこにバイタルでソウルフルでハードなモーガンのトランペットが思いっきり絡んでくる。もうノリノリのモーガン。この盤でのモーガンは無敵である。ファンキーでソウルフルなトランペットがモーダルに舞い、モーダルに飛翔する。BNLTシリーズのモーガンは捨て曲無し。しかし・・・。当時、何故お蔵入りになったのか。やはり「謎」である。
東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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