最近のトラックバック

« 2018年10月 | トップページ | 2018年12月 »

2018年11月の記事

2018年11月30日 (金曜日)

スピリチュアル・ジャズの先駆者

現代のスピリチュアル・ジャズを興味深く聴いていると、昔のスピリチュアル・ジャズやフリー・ジャズを振り返ってみたくなる。1960年代後半から1970年代までの間のスピリチュアル・ジャズ。最初は「オーネット・コールマン」。そして、続くのは「ジョン・コルトレーン」。このコルトレーンが当時のスピリチュアル・ジャズ、フリー・ジャズを牽引する。

このコルトレーンが亡き後、雨後の竹の子の様にスピリチュアル・ジャズやフリー・ジャズを得意技とするジャズメンが出現した。1960年代の終わりから1970年代がピークだっただろうか。本能の赴くままに楽器を吹きまくるフリー・ジャズ、自由度が相当に高く印象的なフレーズを吹くことで精神に訴求するスピリチュアル・ジャズ。特に、年を経る毎にスピリチュアル・ジャズが幅を利かせてくる。

Dave Liebman『1st Visit』(写真・ジャケ違い)。1973年6月20-21日の録音。ちなみにパーソネルは、Dave Liebman (ts, ss,fl), Richie Beirach (p), Dave Holland (b), Jack De Johnette (ds)。リーダーのリーブマンは1946年生まれ、NY出身のサックス奏者。1970年代にエレ・マイルス・バンドのメンバーとして先鋭的なジャズを創造し「ポスト・コルトレーン」と呼ばれる一人である。そんなリーブマンがマイルスに帯同して来日した時に製作された初リーダー作。
 

1st_visit_dave_liebman  

 
リーブマンはスピリチュアル・ジャズの先駆者。本能の赴くままに楽器を吹きまくるというよりは、モーダルなブロウで自由度が相当に高く印象的なフレーズを繰り出すところがスピリチュアル・ジャズたる所以。この初リーダー作でも、リーブマンのテナー、ソプラノ、そしてフルートは印象的であり官能的である。どのフレーズも聴き手の心に訴求するスピリチュアルなもの。

この盤で、リーブマンは本当に良い音でアドリブ・フレーズを吹き上げている。バックもふるっていて、相性の良いバイラークのピアノとディブ・ホランドのベースは言うまでも無く、特に、ジャック・デジョネットのドラムがエグい。ハイテンションでクールなポリリズムを叩き出して、リーブマンのスピリチュアルなブログを際立たせている。

この盤、リーブマンの初リーダー作として、一度、聴いてみたいと思っていたのだが、ジャズを聴き始めた1970年後半以降、まずLPでは見たことが無かった。今回、ジャズ盤のダウンロード・サイトで偶然見つけたもの。テンションが高い印象的なフレーズは、明らかに現代のスピリチュアル・ジャズの先駆。リーブマンのテナーとフルートがとても良い音で鳴っている。
 
 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月29日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・135

21世紀も既に20年が経とうとしている。21世紀に入ってもジャズは深化している。そして、最近ではスピリチュアル・ジャズが気になっている。昔はフリー・ジャズとスピリチュアル・ジャズはイコールだと思っていた。しかし、今は違う。最低限の決め事の中で、感情とテクニックの赴くままに吹きまくるのがフリー・ジャズ。フレーズに印象的なものは「まず無い」。

スピリチュアル・ジャズはしっかりとした決め事に則って、限りなく自由度の高い演奏の中で、フレーズが印象的で官能的。しっかりとした決め事のメインは「モード」、ところどころでアブストラクトに陥るが、決してフリー・ジャズに帰結することは無い。穏やかでモーダルな「印象的フレーズ」で聴く者に訴求する。

そんな中、なかなか素敵な「現代のスピリチュアル・ジャズ」の好盤に出会った。Mats Gustafsson & Otomo Yoshihide's New Jazz Quintet 『ONJQ Live In Lisbon』(写真左)。大友良英ニュー・ジャズ・クインテット(以降ONJQ)のライブ盤。2004年リスボンで行われた、現時点でONJQの最後になるライブ演奏を捉えたもの。ちなみに「Lisbon」は国内の喫茶店の名前。ポルトガルの首都では無い(笑)。
 

Onjq_live_in_lisbon  

 
ちなみにパーソネルは、大友良英 (g), マツ・グスタフソン (ts, bs), 津上研太 (ts, ss), 水谷浩章 (b), 芳垣安洋 (ds, tp)。基本はモード。限りなく自由度の高いモーダルなアドリブ・フレーズが美しい。そこにアブストラクトな展開が入ってくるが、決して、そのままフリーに走ることは無い。再び、自由度の高いモーダルな演奏に立ち戻り、そのフレーズは印象的であり官能的である。

つまりは「耳に馴染む」のだ。自由度が高いのでフリーの様に聴くに疲れるフレーズがやってくるのか、と構えていると、モーダルだが耳に馴染む、どこか感傷的な、どこかエモーショナルなアドリブ・フレーズが流麗に流れ込む。リズム・セクションも力任せに自由に叩きまくることは無く、調性豊かにワイルドでありながら、ほど良くラフに整えられたリズム&ビートを効果的に供給する。

そして、大友良英のギターとグスタフソンのサックスがスピリチュアルな雰囲気を増幅する。これだけ自由度の高い演奏でありながら、耳に馴染み、心に印象的に響く。現代のスピリチュアル・ジャズの演奏の良好な先駆的演奏がここにある。2004年にもう既に新しいタイプのスピチュアル・ジャズが展開されていたとは。目から鱗、いや、耳から鱗とはこのことである(笑)。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月28日 (水曜日)

ジャズ大衆化のアンチテーゼ

確かにこの人のテナーはユニークやなあ、と思う。良い音をさせて正統なテナーを吹く。しかもフルートはクラシックの教育を正式に受けている。しかし、ジャジーではあるがファンクネスは希薄。フレーズのそこかしこに中近東のオリエンタルなフレーズが顔を見せ、エキゾチックな雰囲気を漂わせる。欧州から中央アジアまでのフレーズをごちゃ混ぜにしたジャズ。

Yusef Lateef『The Centaur and the Phoenix』(写真左)。1960年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Yusef Lateef (ts, flute, arghul, oboe), Richard Williams (tp), Clark Terry (flh, tp), Curtis Fuller (tb), Josea Taylor (bassoon). Tate Houston (bs), Joe Zawinul (p), Ben Tucker (b), Lex Humphries (ds)。新旧の癖のあるジャズメン大集合という感じのノネット編成。

基本はモード、時々アバンギャルド。それでも、フルートを吹く時は、まるでクラシックの様な端正で確かな純ジャズ。ファンクネスが希薄で、リズム&ビートもポリリズミックで複雑なので、決して「ハードバップ」には聴こえない。モードをベースに吹き上げるテナーは明らかに自由度は高いが、フレーズのそこかしこにオリエンタルなフレーズが織り込まれて、通常のジャズの音では無い、ワールド・ミュージックを融合した、唯一無二のユセフ・ラティーフ独特の音世界。
 

The_centaur_the_phoenix  

 
そんなラティーフ独特の音世界を支える、バックのユニークなジャズメン。まず、ピアノに後のウェザー・リポートの双頭リーダーの一人、ジョー・ザヴィヌル。もともとザヴィヌルはワールド・ミュージック志向なところがある。この盤でも結構エキゾチックなフレーズをさりげなく弾いている。ジョシア・テイラーのバズーンとテイト・ハウストンのバリトン・サックスが思いっきり効いている。エキゾチックな低音を振り撒いて、怪しげな雰囲気を醸し出す。

逆にトランペット2本+トロンボーンの金管楽器隊は、正統なハードバップ風の輝かしい音で、エキゾチックに傾く音世界から、正統な純ジャズっぽい音世界に連れ戻す。良い音するトランペットやなあ、と名前を見れば、リチャード・ウィリアムスとクラーク・テリー。味のあるトロンボーンやなあ、と名前を見れば、カーティス・フラーではないか。ハードバップど真ん中な金管楽器隊がラティーフと共演している。不思議と言えば不思議。

エキゾチックでスピリチュアルな演奏とクラシックの様に端正でヨーロピアンな演奏とごちゃ混ぜになっている中に、オリエンタルなフレーズが見え隠れする。そこが実にユニークで、一度ハマったら、結構、病みつきになる。ハードバップでは無い、エキゾチックな雰囲気が見え隠れするモードな「ニュー・ジャズ」の走り。1960年、ジャズが大衆化する中、アンチテーゼの様なアルバム。アーティスティックである。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月27日 (火曜日)

楽器が鳴るということは重要

ジャズにおいて「楽器が鳴る」ということは重要なことである。「楽器が良く鳴る」ということは、フレーズが乱れること無く、割れること無く、揺らぐこと無く、しっかりスッと通る。ストレートにフレーズのニュアンスが伝わる。加えて「楽器が鳴る」ということは、それだけの優れたテクニックがあるということだ。

Charles Sullivan『Re-Entry』(写真左)。1976年8月17日の録音。ちなみにパーソネルは、Charles Sullivan (tp), Rene Mclean (as, ts), Kenny Barron (p), Buster Williams (b), Billy Hart (ds)。トランペッターのチャールズ・サリヴァンがリーダーのクインテット構成。我が国のトリオ・レコードのスタッフがニューヨークで録音した盤である。

サリヴァンのトランペットが良く鳴っている。ブラスのブリリアントな響きが実に魅力的だ。この良く鳴るトランペットがこのアルバムの最大の聴きどころ。速いフレーズのバップ曲、ゆったりとスローなバラード曲、思わず体が動くスインギーな曲、それぞれに「良く鳴るトランペット」が映える。ほんと、良い音で鳴るトランペットである。この盤、楽器が良く鳴っているのは、サリヴァンだけでは無い。
 

Reentry  

 
若かりしケニー・バロンのピアノも良く鳴っている。バロンがこれだけダイナミックでドライブ感のあるバップ・ピアノを弾きまくっていたとは。バスター・ウィリアムスのベースも良く鳴っている。重心の低い、しなりのあるベース音は官能的ですらある。ビリー・ハートのドラムもよく鳴っている。趣味の良いポリリズムがバンド全体を鼓舞する。おっと、サックスのレーン・マクリーン(ジャッキー・マクリーンの息子)は健闘している。ちょっとしんどそうなところがあるが「健闘」している。

この盤が録音された1976年、ジャズ界はフュージョン・ジャズが興隆を極め始めた頃。そんな中、こういう硬派な純ジャズ盤がリリースされていたとは知らなかったなあ。いや〜、ジャズは奥が深い。しかもこの盤、日本のレーベルからのリリースなんだが、日本のレーベル主導の「企画もの」臭さが無い。好盤です。

チャールズ・サリヴァンは、1944年11月8日、米国NY生まれ。今年で74歳になる。これだけ良い音、良いテクニックなトランペットなのにリーダー作は3作ほどしかない。Tolliver、Hannibal、Shawと並ぶ70年代を代表するトランペッターとして忘れてはならない存在と言われるが、どうにも過小評価なトランペッターである。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月26日 (月曜日)

マクブライドの「新しいジャズ」

このところ、新しいタイプのスピリチュアル・ジャズが流行っている。今までのスピリチュアル・ジャズの印象は、感情のおもむくままに楽器を吹き鳴らし、精神性の部分を強調したフリー・ジャズのバリエーション、ということ。その激しいアブストラクトな吹奏は、時に「馬の嘶き」にも匹敵し、音楽鑑賞という行為の中では、かなりの苦行を強いられる。つまり、一般的に敬遠されがちなジャンルではあった。

しかし、最近、そのスピリチュアル・ジャズの印象がガラッと変わる、新しいタイプのスピリチュアル・ジャズが現れ出でつつある。穏やかでモーダルな「印象的フレーズ」を展開しながら、時にフリーに傾くが、それは演奏の中のアクセントとしてアレンジされ、音の響きとフレーズから「スピリチュアル」な面を増幅させ、聴く者に訴求する、という、新しいアプローチ。これがなかなか良い感じなのだ。

『Christian McBride's New Jawn』(写真左)。今年10月のリリース。現代のファーストコール・ベーシストの一人、クリスチャン・マクブライドの新グループ「New Jawn」によるファースト盤である。「Jawn」とは、マクブライドの故郷フィラデルフィアのスラングで「=place, or thing」の意味らしい。つまり「新しい場所・事柄」=「新しいジャズ」と僕は解釈している。何が新しいのか。この盤に詰まっている演奏の全てが「モード」による演奏みたいなのだ。バンドを構成する楽器も、コード楽器を排したカルテット構成。
 

New_jawn  

 
ちなみにパーソネルは、Christian Mcbride (b), Josh Evans (tp), Marcus Strickland (ts, bcl), Nasheet Waits (ds)。まあ、簡単に言ってしまうと、ピアノ、もしくはギターという、コード楽器が無い編成である。演奏がコードに縛られる、アドリブ展開がコードに影響されるということが排除されることがメリットで、フリー・ジャズでは無いが、限りなく自由度の高い展開が期待出来る。確かに、このマクブライドの新盤では、そんな「限りなく自由度の高い」演奏が展開されていて見事だ。

限りなく自由度の高い演奏をベースにした、モーダルな演奏。その音世界は「スピリチュアルな」雰囲気が濃厚。この盤の演奏、これはマクブライドの考える「スピリチュアル・ジャズ」なのではないか。マーカス・ストリックランドのテーナーと、ジョシュ・エヴァンスのトランペットが織りなす複雑なアンサンブルとハーモニーが実にスピリチュアルなのだ。そして、マクブライドのベースとナシート・ウェイツのドラムが硬軟自在、痴漢自在な自由度の高いリズム&ビートが、その「スピリチュアルな要素」を増幅する。

実にユニークなメインストリーム・ジャズである。フリーフォームからハード・スウィングまで、モーダルな演奏の粋を尽くした展開が見事。今までに聴いたことの無い響きが面白い。ジャケットがアメリカン・コミック風のデザインなので、何かコミカルな内容なのか、と勘違いしそうなんだが、どうして、この盤に詰まっている音は、明らかに現代の「純ジャズ」の最先端である。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月23日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・134

ジャズ・ヴァイブのレジェンドと言えば、まずは「ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)」。ジャジーでブルージーなヴァイブが身上で、テクニックは優秀、ファンクネス溢れるアドリブ・フレーズが最大の個性。伝説のカルテット、Modern Jazz Quartet(MJQ)の一員でも有名で、アーティステックでブルージーなヴァイブはMJQ、ファンクネス溢れる流麗なヴァイブはソロで、というのが定番。どちらが優秀ということでは無い。どちらもミルトの個性である。

そんなミルトの個性がふんだんに発揮された隠れ好盤がある。Milt Jackson & Ray Charles『Soul Brothers』(写真左)と『Soul Meeting』(写真右)。ソウル・ミュージックの大御所シンガー、レイ・チャールズとのコラボ盤である。『Soul Brothers』が1958年、『Soul Meeting』が1961年のリリースになる。このコラボ盤、ミルト・ジャクソンのヴァイブの個性を最大限に引き出しているのだ。

ソウル・ミュージックの大御所シンガーのレイは、ピアノとアルト・サックスでの参戦がメイン。1958年の『Soul Brothers』では正にアコピとエレピ、そしてアルト・サックスでの参戦でボーカルは全く無い。いわゆる、ジャズメン、レイ・チャールズとして、ジャズ・ヴァイブのレジェンドであるミルトと対峙している。で、これがまた絶品で、レイのジャズメンとしての才能も類い希なものがあったのだ。
 

Milt_jackson_ray_charles  

 
1961年の『Soul Meeting』では、レイはアコピとボーカルでの参戦だが、ボーカルは全く控えめ。レイはピアニストとして、ミルトのヴァイブに対峙する。これがまた相性抜群で、二人の楽器演奏の底に流れる「ジャジー・ブルージー・ファンクネス」が共通の個性として共鳴し、増幅されるのだろう。2枚とも演奏される曲はブルースがメイン。こってこてファンキーでブルージーな演奏ばかりで思わずウットリ聴き惚れる。

そんな音環境での演奏である。ミルトのヴァイブもファンクネス全開。ソロ演奏での最大の個性である「ファンクネス溢れる流麗なヴァイブ」が炸裂している。決して、前に出るような派手なパフォーマンスでは無いんだが、クールに熱気溢れるアドリブ展開で、レイのブルージーなピアノに完全フィットするのだ。この二人、よほど相性が良かったんだろうなあ。聴いていてどこかウキウキしてくる。

バックのジャズメンも燻し銀のジャズ職人揃い。ギターにケニー・バレル、ドラムにコニー・ケイ、ベースにオスカー・ペティフォード。このギターメインのリズム・セクションが実に渋い。特に、ケニー・バレルの漆黒なファンキー・ギターは絶品。ミルトとレイの「ジャジー・ブルージー・ファンクネス」な個性に、しっかりと追従していて素晴らしい。この2枚、我が国ではあまり採り上げられませんが、お勧めの好盤です。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月22日 (木曜日)

チェスナットのピアノ万華鏡

お気に入りのピアニストの一人に「サイラス・チェスナット(Cyrus Chestnut)」がいる。ゴスペル・フィーリングを湛えた温かさと、スウィンギーなリズム、王道を行く流麗なバップ・フレーズ、ハッピーでポジティヴなタッチが素敵なピアニスト。1963年1月、メリーランド州ボルチモアの生まれ。今年で55歳。脂の乗り切ったベテラン・ジャズメンである。

そんなチェスナットがユニークな内容のピアノ・トリオ盤をリリースした。Cyrus Chestnut『Kaleidoscope』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Cyrus Chestnut (p), Eric Wheeler (b), Chris Beck (ds)。2018年4月29日、NYでの録音。収録された曲名を見れば良く判るが、クラシックの名曲やスタンダード等、様々な音楽をジャズ・アレンジしたピアノ・トリオ作品である。

冒頭の「Golliwog’s Cakewalk」には、思わずニンマリ。ドビュッシーの「子供の領分」から、第6曲 「ゴリウォーグのケークウォーク」で、このコミカルでジャジーな旋律は有名なもの。専門的に言えば、西洋音楽とアフリカの黒人音楽の接触の初期の例。チェスナットはジャジーにスインギーに弾き回す。これが冒頭の1曲である。後が大いに期待出来る。
 

Kaleidoscope_cyrus_chestnut

 
チェスナットは過去のアルバムで、クラシックの名品やポップスの有名曲のカバーを収録しているが、この盤では、相当に気合いをいれて、カヴァーする曲を選曲している。目を惹くのが、サティの有名曲「Gymnopedie No. 1& No.3(ジムノペディ)」「Gnossienne No.1 (グノシエンヌ)」、モーツアルトの「Turkish  Rondo(トルコ行進曲)」など、こんなクラシック曲をジャズ化するの、とちょっと不安になるような選曲。これらをスカッとしたアレンジでジャズ化。

9曲目の演奏には思わず声を上げて「あははっ」。曲名は「Smoke on the Water」。そう、伝説のハードロック・バンド、ディープ・パープルの人気曲である。前奏のリフが超有名で、その「チャッチャッチャー、チャッチャッチャチャー、チャッチャッチャー、チャチャー」をピアノで忠実にカヴァー。これがシンプルで実に良い。実際、昨年のオーストラリア公演で、聴衆の反応がとても良かったらしい。

とにかく、どの曲も素敵にアレンジされていて、聴いていて楽しい。何処かで聴いたことのあるフレーズが、あちらこちらに出てきて、思わずニンマリ、ニヤニヤ。あまりに優れたカヴァー曲ばかりなので、ちょっぴり「キワモノっぽい」香りもするが、そんな危惧も吹き飛ばしてしまう、チェスナットのドライブ感溢れるバップ・ピアノが素晴らしい。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月21日 (水曜日)

ECMの音に対する許容量

ECMレーベルは「ニュー・ジャズ」の宝庫。欧州ジャズの雰囲気濃厚な、ファンクネス皆無のニュー・ジャズなアルバムが満載。ファンクネス溢れるハードバップなアルバムは殆ど、というか、まず「無い」。創立者マンフレート・アイヒャー自らの監修・判断による強烈な「美意識」がメインなのだが、この「美意識」には幅があるようで、意外と「こんなアルバムあったんや」とビックリする様な盤が、そこかしこに転がっている。

Terje Rypdal『Whenever I Seem To Be Far Away』(写真左)。1974年の作品。ちなみにパーソネルは、Terje Rypdal (g), Sveinung Hovensjø (b), Pete Knutsen (mellotron, el-p), Odd Ulleberg (French horn), Jon Christensen (ds, Perc), Südfunk Symphony Orchestra conducted by Mladen Gutesha。リーダーのテリエ・リピダルをはじめ、ノルウェー出身のメンバーがメインの構成である。

ノルウェーの硬派な「捻れエレギ」の使い手、テリエ・リピダルが大活躍のアルバムであるが、パーソネルを見渡すと面白い事に気がつく。キーボード担当のピート・ナッツセン(Pete Knutsen)がメロトロンを弾いている。メロトロンとは「アナログ再生式(磁気テープを媒体とする)のサンプル音声再生楽器」、いわゆる「テープ音源のオルガン」である。このメロトロンは、1960年代後半から1970年代前半に隆盛を極めた「プログレッシブ・ロック」によく活用された。ここでは、エレクトリック・ジャズの世界でメロトロンがメインで採用されている。
 

Whenever_i_seem_to_be_far_away_1  

 
冒頭の「Silver Bird is Heading for the Sun」からしてメロトロン全開。そこに捻れてくすんで暴力的なリピダルのエレギが入ってきたら、その音世界はまるっきり「プログレッシブ・ロック」。もともと欧州ではジャズとプログレッシブ・ロックの境目が曖昧なのだが、ノルウェーでもそうなんやなあ〜、とこの盤を聴いて妙に感心したのを覚えている。

メロトロンが唸りを上げつつ、暴力的であるが切れ味の良いリピダルのエレギが活躍するところは、なんか「キング・クリムゾン」を想起させる。しかし、スヴェイヌング・ホーヴェンシェー(Sveinung Hovensjø)のベースとヨン・クリステンセン(Jon Christensen)のドラム&パーカッションが醸し出すリズム&ビートが明確に「ジャズ」しているので、この演奏は辛うじて「ジャズ」のジャンルに軸足を残している。

3曲目の「Whenever I seem to be far away」でのクラリネットやオーボエ、弦楽アンサンブルが絡むところは幻想的で、明らかにECMらしい雰囲気ではあるが、どこかプログレ風の雰囲気が漂う。しかし、プログレ風の音世界がECMのアルバムに展開されるとはなあ。ECMの総帥、マンフレート・アイヒャーの音に対する許容量は計り知れないものがある。だからこそ、ECMレーベルは「ニュー・ジャズ」の宝庫たり得たのだろう。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月20日 (火曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・65

晩秋の晴れた日の昼下がり。外はちょっとヒンヤリした空気。部屋の窓からは晩秋の陽射しが降り注ぐ。部屋の中はちょっと暖か。そんな暖かな部屋の中で飲むコーヒーは格別なものがある。昼ご飯を食べた後の昼下がり。お腹も一杯、ちょっと眠気がやってきて、うつうつ微睡む。これが気持ち良い。

この気持ちの良い微睡みの中、耳を傾けるジャズがこれまた気持ち良い。刺激的なジャズはいけない。といって、微睡みを増幅させる温和なジャズもいけない。この心地良い微睡み状態を続けながら、耳に良好なジャズの心地良い刺激を与える、そんな小粋で芯のあるジャズが良い。

Gigi Gryce Quintet『The Hap'nin's』(写真左)。1960年5月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Gigi Gryce (as), Richard Williams (tp), Richard Wyands (p), Julian Euell (b), Mickey Roker (ds)。Prestige Recordsの傍系レーベル「New Jazz」からのリリース。Prestigeだからといって、パーソネルに疑義をかけるなかれ。この盤のパーソネルは実に興味深い。

ジジ・グライスはフロリダ州出身の1925年11月の生まれ。1983年3月、57歳でこの世を去っている。活動は1950年代がメイン。1960年代初頭までにジャズ界から身を引いた。後にNYで教鞭を執るに至り、晩年には教育者としてその名を残している、変わり種ジャズメンの一人である。
 

The_hapnins_gigi  

 
まず、このリーダーのアルト奏者、ジジ・グライスが渋い。小粋で渋い、聴き応えのあるアルト・サックスを吹く。アドリブ・フレーズは端正かつ流麗。小唄を唄う様に爽快に吹き上げる。こういうアルトには旋律の美しいスタンダード曲が良く似合う。ジジ・グライスが吹くスタンダード曲はとても聴いていて心地良い。

トランペットはリチャード・ウィリアムス。知る人ぞ知る、玄人好みの燻し銀トランペッターである。音が大きくブリリアント。ブラスの響きと音の輝きが素敵なトランペット。アドリブ・フレーズは溌剌としてスインギー。聴いていて思わず体が動く。そして、ミッキー・ローカーのドラムが演奏全体に効いている。ちょっとモーダルに傾くハードバップな演奏を実に上手く鼓舞しコントロールしている。

1960年の録音からして、やや古いスタイルのワイアンズのピアノはちょっと平凡。ビ・バップ基調で軽やかにパラパラ弾き回し過ぎる嫌いはあるが、一生懸命弾いていて好感が持てる。逆にジュリアン・ユエルのベースは重心低く安定の一言。ローカーのドラムと呼応して演奏全体を鼓舞し、コントロールする。

こういうジャズ盤って、ジャズ盤紹介本にはまずそのタイトルが挙がることは無いが、昼下がりのジャズ喫茶で聴くのに最適。心地良い微睡み状態を続けながら、耳に良好なジャズの心地良い刺激を与える、そんな小粋で芯のあるジャズ。このジジ・グライスのアルバムにはそんなジャズが詰まっている。
 
 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月19日 (月曜日)

テイトの素敵なボーカル盤です

ひょんな事から、Half Note Recordsのカタログを入手した。Half Note Recordsは、N.Y.の名門ジャズクラブ「ブルーノート・ニューヨーク」が設立したレコード・レーベル。カタログを見渡すと、なかなか渋い渋い純ジャズ盤がズラリと並んでいる。しかも、リーダーを張るジャズメンは、これまた渋い職人肌の中堅どころばかり。悪かろう筈が無い。

Grady Tate『From the Heart - Songs Sung Live At the Blue Note』(写真左)。2006年10月のリリース。ちなみにパーソネルは、Jay Leonhardt (b), Dennis Mackrel (ds), Bill Charlap (p), Bill Easley (sax, fl), Glen Drews (tp), Grady Tate (vo)。リーダーのグラディ・テイト(Grady Tate)は、もともとはドラマー。1932年生まれ、惜しくも2017年10月逝去している。

そのドラミングは堅実で味のあるもので、小粋な純ジャズ盤に、よくグラディ・テイトの名前を見ていた様な気がする。そんなグラディ・テイトが歌い出したのは何時からなんだろう。僕がグラディ・テイトのボーカルを初めて聴いたのが『All Love - Grady Tate Sings』。Eighty-Eight'sレーベルから、2003年のリリース。正統派で味のあるボーカルで、聴いてビックリしたのを覚えている。
 

From_the_heart  

 
さて、このライブ盤『From the Heart』は、グラディ・テイトが亡くなる4年前のリリース。凄く渋い正統派な男性ボーカルを聴かせてくれる。ドラマーの余芸というレベルでは無い。声質も実に魅力的で、男性ボーカルの第一人者、フランク・シナトラのボーカルと並べてもひけをとらないレベル。それが証拠に、このライブ盤では、ドラムをデニス・マックレルに任せて、ボーカルに専念している。

バックのリズム・セクションもふるっている。ピアノがビル・チャーラップ。現代の「ネオ・ビ・バップ」なピアノの第一人者。歌伴もバッチリで、素晴らしいバッキングを披露している。ジェイ・レオンハートのベースが骨太でソリッドで印象的。グラディ・テイトのボーカルをしっかりと支え、鼓舞する。良い雰囲気だ。

このライブ盤、もちろん、収録場所は「ブルーノート・ニューヨーク」。ライブ感溢れる、ライブハウスの適度な音の広がりがバッチリと収録されていて、とても魅力的なボーカル・ライブ盤に仕上がっている。Half Note Records自体が我が国ではマイナーな存在なのか、この素敵なライブ盤が埋もれてしまっているのが残念だ。純ジャズ・ボーカルとして好盤の一枚です。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月18日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・133

ジャズ・ギターについてはムーディーでソフトなギターより、パッキパキ、ピッキピキの硬質なギターが好きである。ムーディーでソフトなギターは、どうも聴き続けていると眠くなる。不謹慎ではあるが仕方が無い。硬質なギターの方がアドリブ・フレーズの詳細を追い易い気がするし、演奏の強弱、メリハリを感じやすい様な気がする。

『The Swinging Guitar of Tal Farlow』(写真左)。1956年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Tal Farlow (g), Eddie Costa (p), Vinnie Burke (b)。ドラムレスのギター・トリオ編成。僕はこのアルバムに出会って、ギタリストのタル・ファーロウ(Tal Farlow)がお気に入りになった。なんせ、このパッキパキ、ピッキピキの硬質ギターが実に良い。もう快感の域である。

タル・ファーロウは米国ノースカロライナ州出身のギタリスト。1954年に初リーダー作を発表後、1958年まで活動。何枚かの好盤をリリースしたが、結婚を機に地元に戻り、演奏活動からは退く。しかし、その10年後、1968年のニューポート・ジャズ・フェスティバルで復帰。その後は地道に活動を継続し、1998年7月、NYにて逝去している。
 

The_swinging_guitar

 
タル・ファーロウのリーダー作に凡作は無い。どのアルバムを聴いても、タル・ファーロウの硬質ギターを堪能することが出来る。この盤も例に漏れず、タル・ファーロウの硬質ギターが素晴らしい。まず、テクニックが優秀。どの演奏を取ってみても、流麗かつダイナミック。しかもアドリブ・フレーズが印象的。ファンクネスを適度に押さえ、それでいて、アーバンでジャジーな硬質ギターは特筆もの。

が、この『スウィンギング・ギター』は他のどのリーダー作よりも、タル・ファーロウのギターを楽しむ事が出来る。というのも、ピアノのエディ・コスタのピアノが、タルに負けずに硬質で、パッキパキ、ピッキピキのピアノなのだ。このコスタのピアノがタルの硬質ギターとの相性抜群で、タルの硬質ギターがコスタの硬質ピアノのバッキングで増幅されて、とても心地良く響くのだ。

この『スウィンギング・ギター』については、タル・ファーロウのギターの素晴らしさはもとより、このエディ・コスタのピアノも素晴らしい。実によくドライブする硬質ギターが軸となって、アルバム全体にスウィンギーな演奏がギッシリ詰まっている。アドリブ・フレーズは流麗にして難解。難解なんだがあまりに流麗なので、簡単なフレーズを弾き回している、と勘違いしてしまうほど。ジャズ・ギターの入門盤としても最適でしょう。好盤です。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月17日 (土曜日)

これが日本人女子の音とはなあ

日本のジャズについては、若手有望株というと「女子」がメイン。女子の若手有望株ばかりが目立って、男子の若手有望株は片手に余る印象である。もうこの「印象」が長く続いて久しい。21世紀のなった頃からずっと、女性上位の傾向が続いている。まあ、自分については「男尊女卑」の傾向は全く無いので、女子だろうが男子だろうが、内容のある「若手有望株」が多数出てきた、ということは実に喜ばしいことである。

この人のキーボードについては初めて聴いた時、思わず仰け反った。これってプログレやん。オルガンの響き、シンセの響き、どこを聴いても「キース・エマーソン」。伝説のプログレ・バンド「Emerson, Lake & Parlmar(EL&P)。」のキーボード奏者がキース・エマーソン。この人のキーボードの音が思いっきり「キース・エマーソン」しているのだ。これは僕の大好物。コレって誰だ、と焦って調べ始めた。

大高清美。このキーボード奏者の名前である。名前を初めて見た時はまだ男子だと思っていた。しかも、僕と同じ世代やな、と踏んでいた。しかし、ネットでバイオグラフィーと写真を見た時、ビックリした。女子である。1966年10月生まれなので、今年で52歳。僕とは8歳違いなので、EL&Pをリアルタイムで体験している世代では無い。そして、この大高清美、現在はあの「CASIOPEA 3rd」のキーボード担当でもあるのだ。
 

Trick_or_treat_1  

 
KIYO*SEN『Trick or Treat』(写真左)。昨年のリリース。「KIYO*SEN(キヨセン)」とは、キーボードの大高清美の「KIYO」に、ドラムの川口千里の「SEN」を合わせたユニット名。このユニットがとんでも無い実力の持ち主で、とんでも無い演奏をするのだ。聴けば判るのだが、基本は「プログレ」。演奏の展開が「即興演奏」をメインにしているので、コンテンポラリーなジャズ演奏だが、キーボードの音は明らかに「プログレ」している。

大高のキーボードはテクニック豊かで、展開にメリハリがあって大仕掛け。これはもう「プログレッシブ・ロック」のキーボードの代表的傾向なのだが、大高のキーボードはこれを踏襲している。これが痛快。逆に、川口千里のドラムは明らかに「フュージョン・ジャズ」。切れ味良く、ファンクネス皆無な爽快感溢れるドラミングは「フュージョン」。この川口のドラムが、この盤の全体雰囲気を決定付けている。そうそう、川口千里は1997年1月生まれの今年21歳のバリバリ若手のドラマーです。

とにかく聴いていて楽しい。1970年代が全盛の「プログレ者」の我々からすると、キーボードがフロントのフュージョン・ジャズとして楽しめ、音の響きとしては、テクニックがずば抜けて素晴らしい「プログレッシブ・ロック」としても楽しめる、1枚で2度美味しい盤である。しかし、これが日本人女子の音とはなあ。脱帽である。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月16日 (金曜日)

ジャズの「異国性」と「正統性」

ジャズの「異国性」を追求し続けた、マルチ・リード奏者にしてエキゾチックな音世界をジャズにもたらした第一人者ユセフ・ラティーフ(写真右)。コルトレーンに東洋思想をはじめとする多大な影響を与えたと言われる。そんなラティーフのアルバムをしっかり聴き直し始めた。もともとアルバムが入手し難い時期が長かったということもあって、今までしっかり聴いたことが無かった。

Yusef Lateef『Eastern Sounds』(写真左)。1961年9月5日の録音。プレスティッジ・レーベルの傍系レーベルMoodsvilleからのリリース。ちなみにパーソネルは、Yusef Lateef (fl, oboe, ts, xun), Barry Harris (p), Ernie Farrow (b, Rabaab), Lex Humphries (ds)。xun=Chinese globular fluteや、Rabaab=Rabat という聴き馴れない楽器を操っていて、この得体の知れない楽器が中近東風の音世界の表現に一役買っている。

リズムについてはアフリカ、音階については中近東からインドの複雑な音階を巧みに取り入れている。タイトルは和訳すると「当方のサウンド」になるが、中国や日本などの「極東」までは及んでいない。あくまで、中近東のイスラム圏、そしてインド止まり。それでも、その複雑な音階は独特の響きで、聴けば直ぐに判るほど。これが、ユセフ・ラティーフの最大の個性である。
 
 
Eastern_sounds  
 
 
フルートにせよオーボエにせよ、彼はオーケストラのマエストロの門を叩いてアカデミックな音楽教育のなかで演奏技術を習得しているとのこと。これが素晴らしい。当時、まだまだジャズの演奏家は我流が多く、楽器のテクニック的には僅かながらも、押し並べて問題を抱えていたかと思う。ラティーフについてはこれが無い。フルートなど端正かつ堅実。採用する音階はユニークだが、それを演奏する楽器テクニックは確かなもの。 

しかし、ラティーフはエキゾチックな音世界だけが「売り」では無い。4曲目の「Don't Blame Me」、5曲目の「Love Theme from Spartacus"」などのスタンダード曲でのラティーフのテナーは正統派なもの。エキゾチックな響きはモーダルな奏法からくるもので、あくまで伝統的でメインストリームな「骨太テナー」が素晴らしい。

「異国性」と「正統派」を両立させているラティーフの演奏は実にユニーク。実はこの盤、さすがプレスティッジ・レーベルといえるもので、パーソネルのジャズメンの名前を見れば、ラティーフを取り巻くバックのジャズメンに統一感が希薄。このセッションが意外とプレスティッジお得意の「寄せ集め」セッションであることが良く判る。そんななか、ハードバップなピアノのハリスとドラムのハンフリーまでもが「異国情緒豊かな」演奏に染まっているのが面白い。
 
 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月15日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・106

ジャズはシンプルなアレンジが良い。シンプルなアレンジは即興演奏を際立たせる。人工的なアレンジがゴテゴテしたジャズは、ジャズの本質である即興演奏が際立たない。シンプルなアレンジだからこそ、それぞれのジャズメンの楽器プレイが良く聴き取れ、その特徴が手に取るように判る。そういう意味で、即興演奏を楽しむには、シンプルなアレンジが良い。

Booker Ervin『The Book Cooks』(写真左)。1960年4月6日の録音。ちなみにパーソネルは、Booker Ervin (ts), Zoot Sims (ts), Tommy Turrentine (tp), Tommy Flanagan (p), George Tucker (b), Dannie Richmond (ds)。ベツレヘム・レーベルからのリリース。このなかなか興味深い組合せは期待が膨らむ。リーダーのブッカー・アーヴィンのテナーに、ズート・シムズのテナーがパートナー。

ジョージ・タッカーのベースとダニー・リッチモンドのドラムが意外とプログレッシブ。冒頭の「The Blue Book」を聴けばそれが良く判る。冒頭、いきなりタッカーのベース・ソロから始まる。このベース・ソロのラインが斬新。このベース・ソロに導かれるように、フロントのサックス2本のユニゾンがドーンと迫ってくる。バックでリッチモンドのドラムがシンプルに絡む。アレンジなど、殆ど施されていない。最低限の決め事だけで、この即興性の高さ。
 

The_book_cooks

 
アドリブ部に入って、トミフラのピアノが絶品。ハードバップの時の流麗で小粋なフレーズは全く聴くことが出来ない。アドリブ・フレーズはかなりプログレッシブ。これがトミフラのピアノか、と思わず感心する。さすが燻し銀のジャズ・ピアノ職人。何時になくモーダルな展開で新しい響きが魅力的。このプログレッシブなトミフラのピアノを受けて、トミタレのトランペットも何時になくモーダルに傾く。これがまた良い。冒頭の「The Blue Book」1曲で、この盤の魅力を十分に確認することが出来る。

主役のテナー2本のパフォーマンスは申し分無い。どちらのテナーもそれぞれの個性をふんだんに振り撒いていて、聴いていてとても楽しい。この盤には、特にリーダーのアーヴィンの個性が実に良く出ている。太くてブルージーで大らかなテナー。それでいて、ややアブストラクトでモーダルで予測不能なフレーズの飛び方が実にユニーク。そこに、オーソドックスなテナーのズートが絡む。アーヴィンとズートの対比。これが、この盤の最大の聴きどころ。

ベツレヘム・レーベルって不思議なレーベルで、録音された演奏は垢抜けないところが残るのだが、演奏自体は意外とプログレッシブなものが多い。この「垢抜けない」ところがこのレーベルの特徴だと思っていて、他のレーベルの様な、強烈なプロデュース力は感じられない。それでも、音はしっかりと太く、ジャジーなところが不思議。あまり人手に頼らず、自然でシンプルな演奏を基本とするところが良い結果を生んでいるのだろう。ジャズにオーバー・プロデュースは御法度である。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月14日 (水曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・64

ジャズのアルバムって「出会い」だよな、と思うことがある。ジャズを聴き始めた頃は、ジャズ本紹介本やジャズ雑誌のジャズ盤紹介記事を頼りにアルバムを入手していくのだが、それにも限りが出てくる。今度はジャズ・レーベルのカタログを見渡しながら、そのパーソネルを吟味して「これは」という盤を入手する。これが当たったときは、思いっきり嬉しくなる。

James Clay『A Double Dose of Soul』(写真)。1960年10月11日の録音。リバーサイド・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、James Clay (ts, fl), Nat Adderley (cor), Victor Feldman (vib), Gene Harris (p), Sam Jones (b), Louis Hayes (ds)。パーソネルを見渡して、リバーサイド盤とくれば、これはきっと良いジャズが聴けるのでは、と期待感が膨らむ。

この盤は、ジャズ・レーベルのカタログを見渡しながら、そのパーソネルを吟味して選んだ盤になる。まず、ジャズ本紹介本やジャズ雑誌のジャズ盤紹介記事にこの盤のタイトルが挙がることは無い。それでも、このパーソネル、いわゆる東西混合の名うての名手揃いで、どんな音が出てくるのか、聴く前からワクワクする。
 

A_double_dose_of_soul  

 
こういう盤は1曲目から裏切られることは無い。1曲目の「New Delhi」、渋い渋い演奏。リーダーのクレイのフルートがむっちゃジャジー。ああ、ええ音やなあ、と溜息が出る。1曲目がこれだけジャジーだと残りの曲は決して期待を裏切らない。続く「Remember you」のクレイのスインギーなフルートとフェルドマンのヴァイブとの絡みは絶品。3曲目の「Come Rain or Come Shine」のクレイの黒いテナーもグッド。バックを司る、ハリスのピアノ、ジョーンズのベース、ヘイズのドラム、渋い渋いリズム・セクションも良い音出してます。

ハリスのピアノはソウルフルでリズミック。クレイのテキサス・テナー&フルートとの相性はバッチリ。過度に粘らず、ファンクネスも適度、フロント楽器が結構黒いので、このリズム・セクションの堅実な軽快さは実にバランスが良い。そうそう忘れてはならない、ナットのコルネットも良い味出してます。クレイのテナーとの対比、クレイのフルートとの相性が良い方向に出ていて、コルネットでの参加が正解。

ジェームス・クレイは、1935年ダラスの生まれなので、いわゆる「テキサス・テナー」の遣い手。ハードにブロウするイメージだが、持ち替えたフルートも絶品。この盤を聴くまで、その存在を全く知らなかった。この盤を聴き直して、ジャズのアルバムって「出会い」だよな、とつくづく思います。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月13日 (火曜日)

今の時代の個性派な純ジャズ

以前から「ジャズは死んだ」とか「ジャズの進化は止まった」とか喧しいのだが、どうして、21世紀になっても、新しいジャズメンがどんどんとデビューしてくる。それも、旧来のジャズのコピーでは無く、今までに無い「新しい何か」を織り込んで、新しい雰囲気のジャズを聴かせてくれる。「ジャズは死んだ」なんてとんでもない(笑)。

Gerald Clayton『Tributary Tales』(写真左)。2017年の作品。ちなみにパーソネルは、Gerald Clayton (p), Ben Wendel (ts), Logan Richardson (as), Dayna Stephens (bs), Joe Sanders (b), Ben Wendel (bassoon), Justin Brown (ds), Henry Cole, Post Production (perc)。ほとんど知らない名前ばかりが並ぶが、テクニック優秀、将来有望な若手ジャズメンが中心。

リーダーのジェラルド・クレイトン(Gerald Clayton)はオランダの出身。1984年生まれ。2006年のセロニアス・モンク・ジャズ・ピアノ・コンペティションでは堂々の2位。クラーク・テリー、ラッセル・マローン、ロイ・ハーグローブなどと共演。ピアニストであり、アレンジャー&プロデューサーでもある、多彩な才能を持つ、今年で34歳の若手有望株である。
 

Tributary_tales1  

 
この『Tributary Tales』を聴けば、そのマルチなタレントを実感出来る。ピアノはリリカルで耽美的、系統としては「エヴァンス派」もしくは「メルドー派」。バズーンの音を活かした、ちょっとユニークなブラスのユニゾン&ハーモニーが聴きもの。この美しいアレンジとそれをバックにしたリリカルなピアノという構図は、ハービーの『Speak Like A Child』を彷彿とさせる。

基本は流麗なモード・ジャズ。そこにボーカルやコーラスを活かした「スピリチュアル」な雰囲気がユニーク。若干フリー・ジャズに走りそうになるところもスリリングで良い。演奏のスタイルは実にオーソドックスなもの。伝統的でメインストリームなジャズ。そこに時折「優しいスピリチュアルな響き」。耳に優しいニュートラルな響き。

ジェラルド・クレイトン4年ぶりの新作。聴きどころ満載。シンプルで自然な演奏が心地良い。決して思いっきり印象に残る個性では無いが、僕はクレイトンのアレンジャー&プロデューサーに魅力を感じた。自らのアレンジで自らのピアノをより美しく表現する。自作自演のピアニスト。寡作の人、であるが、次作が今から楽しむ。どんな「深化」を辿っていくのだろう。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月12日 (月曜日)

ながら聴きのジャズも良い・34

1930年代から1940年代初めにかけて大流行した「スイング・ジャズ」という演奏スタイルがある。スイング・ジャズは、スウィングのリズムを含んだ軽快なダンス・ミュージックで、ジャズの根幹である「即興演奏」よりも、アレンジがメインのアンサンブルが重視された。グレン・ミラー楽団やベニー・グッドマン楽団が代表的存在。

1930年代から1940年代初めにかけて大流行した、というからには、スイング・ジャズは現代では演奏されないのか、と問えば、実はそうでもなく、細々とスイング・ジャズは生息している。それぞれの時代で、必ず幾つかのスイング・ジャズをやるバンドが存在している。現代の成熟した楽器、成熟した録音技術を駆使して演奏されるスイング・ジャズは新しい響きを宿していて、意外と聴き応えがある。

でも、僕は「スイング・ジャズ」については、そのアルバムに対峙するような形で、集中して音を鑑賞することは無い。スイング・ジャズはあくまでダンス・ミュージックである、という頭があるので、僕は「スイング・ジャズ」のアルバムについては、ながら聴きをする。アレンジ優秀、アンサンブルの精度が高い、ビートの効いたダンス・ミュージックなので、何かをしながら、の鑑賞に実にフィットする。
 

A_swingin_affair  

 
Danny Moss & Buddha's Gamblers『A Swingin' Affair』(写真左)。2016年7月のリリース。1960年代のイギリスで巻き起こったニューオーリンズ〜スウィング・ジャズ・ブームで脚光を浴びたのがサックス奏者ダニー・モス(Danny Moss・写真右)。そのダニー・モスが、トラッドな「スイング・ジャズ」と、現代の「モダン・ジャズ」の要素をバランス良くブレンドした、明るく、聴いて楽しいトラッドな雰囲気濃厚なジャズ盤をリリースした。

現代の「スイング・ジャズ」という佇まいが実に良い。ブッダズ・ギャンブラーズ(Buddha's Gamblers)は、人気スイング・バンド。明るく楽しいスイング・ジャズ・バンドの演奏をバックに、ダニー・モスがスイング・ジャズなスタイルのテナーを吹きまくる。演奏自体はしっかりアレンジされ、リハーサルされたものだということは雰囲気で判る。それでも、この盤に詰まっている演奏は「ジャズ」。

とにかく聴いていてハッピーな気分になる。ビートがしっかり効いているので、聴いていて耳に心地良い。これが「ながら聴き」にジャスト・フィットするのだ。破綻の無い、整然と小粋に鳴り響くアンサンブル。聴き心地が実に良い。流れる様なスイング感に「ながら」の作業が一層はかどる。現代の「スイング・ジャズ」。この盤は隅に置けない。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月11日 (日曜日)

ブレイク前夜のメッセンジャーズ

この金曜日の夜から急遽、里芋と柚の収穫に行ってきました。故に、金・土曜日の2日間、当ブログをお休みしました。今日から再開です。よろしくお願いします。 

ジャズ盤の紹介本とかジャズの歴史本の記事を読んでいて、結構、誤解を招く表現があるよな、と昔から思っている。例えば、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズについては、ブレイキーとシルバーが袂を分かって以降、ベニー・ゴルソンが音楽監督に就いて、かのヒット曲「モーニン」が売れるまで低迷期が続いたとある。

そういう評価の下、1958年のArt Blakey And The Jazz Messengers『Moanin' 』まで、ジャズ・メッセンジャーズのアルバムは聴く価値なし、とバッサリ切り捨てたりするんだが、いやいや、聴いてみてから切り捨てて欲しいんだよな〜。確かに、この頃のブレイキーって、アル中だったとかで素行が悪かったらしいが、スタジオ録音盤はなかなか内容は充実しているのだ。

例えば、Art Blakey and The Jazz Messengers『Hard Bop』。1956年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Bill Hardman (tp), Jackie McLean (as), Sam Dockery (p), Spanky DeBrest (b)。
 

Hard_bop  

 
メンバーはアルトのマクリーン以外、あまり見かけない名前が並びますが、意外と元気溌剌なハードバップが展開されています。ジャズ・メッセンジャーズって、若き有望なジャズメンの登竜門的バンドという定説がありますが、この盤では、若き日のジャキー・マクリーンがとっても良いアルトを吹いています。トランペットのビル・ハードマンも頑張ってます。マクリーンのアルトとの双頭フロントが良い感じ。

僕は全く知らない名前なんですが、ピアノのサム・ドッカリーも健闘しています。座長のアート・ブレイキーのドラミングは好調です。ナイアガラ・ロールと形容されるローリングや、フロントを鼓舞する時のお決まりの「カカカカカ」というスティックでスネアの縁を叩く音など、ブレイキーの十八番が素敵。アルバム全体の演奏の雰囲気、ちょっとしたミストーンなど気にしない、って感じの「勢いあるハードバップ」が魅力。

この盤の演奏内容を「低迷期だから聴く価値なし」と切り捨てるには勿体ない内容だと僕は思います。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズが、バンドなりのハードバップを成熟させていく過程を聴いているようで、この、ブレイキーとシルバーが袂を分かって以降、ベニー・ゴルソンが音楽監督に就いて、ヒット曲「モーニン」が売れるまで、の時期のアルバムは意外と聴きものだと感じています。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月 7日 (水曜日)

目立ちたがり屋が目立たない時

トランペットのフレディー・ハバード、根っからの「目立ちたがり屋」で、どんなセッションでも、とにかく目立ちたがる。大きな音で、テクニック豊かに吹きまくる、飛ばしまくる。それ故、グループ・サウンドのバランスが崩れることがほとんどで、1960年代のハバードのリーダー作は「いまいち」な感が強い。しかし、あるケースではそうはならずに、意外と好盤に仕上がっている盤もあるのだ。

Freddie Hubbard『The Hub of Hubbard』(写真左)。1969年12月9日の録音。ちなみにパーソネルは、 Freddie Hubbard (tp), Eddie Daniels (ts), Roland Hanna (p), Richard Davis (b), Louis Hayes (ds)。このパーソネルがこの盤の「肝」になる。この「一国一城の主」的イメージのジャズメンがハバードの「目立ちたがり屋」根性を抑制するのだ。

そのパーソネルを見渡すと、先ず目を惹くのは、ジャズクラリネットの大家、エディ・ダニエルズがテナー・サックスで参加。次いでバックのリズム・セクションは、卓抜したテクニックと強烈なスイング感が武器のローランド・ハナのピアノ、骨太重低音ベースのリチャード・ディヴィス、そして、ファンキー&スピリチュアルなドラマー、ルイス・ヘイズ。この盤、リーダーのハバードのバックに錚々たるメンバーがズラリ。しかも曲者ばっかり。

ハバードはいつもの様に「目立ちたがり」トランペットを早々に吹きまくるのだが、バックの4人、ハバードに負けず劣らず、テクニックに優れ、楽器をよく響かせた大きな音で吹きまくり、弾きまくり、叩きまくるのだ。
 

The_hub_of_hubbard

 
目立ちたがりのハバードが目立たない位にガンガンにやるのだから、リーダーのハバードも何時もと違う面持ちで、トランペットを吹いている。どうにもこうにも「お山の大将」の様に自分だけが目立つことが叶わない。これがハバードによっては良い方向に作用するのだ。

ダニエルズのテナーは、コルトレーンを少し聴きやすくした感じ。テクニックに優れ、大きな音で吹きまくる。これが結構凄い。ハバードの大きな音のトランペットが霞むくらいなのだ。さらにデイヴィスのベースはブンブンと重低音を轟かせ、ルイス・ヘイズのドラムはフロントを煽りまくる様に叩きまくっている。これだけ他のメンバーがガンガンにやっているのだ。

ハバードも自らがこれ以上大きな音を出すと、グループ・サウンドのバランスが崩れることは判っている。さすがの「目立ちたがり屋」もこの盤では観念しているようだ。他のメンバーの大きな音とテクニック溢れる展開に対抗すること無く、逆に殊勝に溶け込み、しっかりと良好なグループ・サウンドを成立させている。他のメンバーとのバランスが取れた中で、速い展開と大きな音でガンガンにハードバップをやっている。

こういうケースは数少ないのだが、ハードバップの中で良きトランペッターとして君臨するのは、この「他のメンバーが、目立ちたがりのハバードが目立たない位にガンガンにやる」ケース。この数少ないケースをハバードの参加セッションから探し出すのも、ジャズ盤コレクションの楽しみのひとつである。

 
 

東日本大震災から7年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月 6日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・132

最近よく聴くお気に入りのギタリスト、カート・ローゼンウィンケルはサイドマンでのプレイにも光るものがある。基本的に彼のギターは純ジャズ志向なので、結構、他の純ジャズ・セッションに呼ばれることがあるようなのだ。ネットで調べてみたら出てくる出てくる。かなりの数、他流試合に出ているのだ。

Mark Turner『Yam Yam』(写真左)。1994年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Mark Turner (ts), Kurt Rosenwinkel (g), Brad Mehldau (p), Larry Grenadier (b), Jorge Rossy (ds)。7曲目の「Zurich」のみ、Seamus Blake, Terence Dean (ts) が加わる。マーク・ターナーの記念すべき初リーダー作。パーソネルを見渡すと、いや〜錚々たるメンバーではないか。現代のネオ・ハードバップの中心ジャズ面がズラリと並んでいる。

このパーソネルを見れば、ジャズ盤のコレクターであれば、思わず触手が伸びる。まず、ギターにカート・ローゼンウィンケル、ピアノにブラッド・メルドー、ベースにラリー・グレナディア、ドラムにホルヘ・ロッシ。メルドーのトリオにローゼンウィンケルがギターで加わる。むっちゃ豪華なバック・メンバーですね。テナーのマーク・ターナーのプレイに期待が集まります。
 

Yam_yam

 
マーク・ターナーのテナーは「クール・テナー」。芯のある浮遊感と繊細で知的なニュアンス。ブラッド・メルドーの弁を借りると「マーク・ターナーのホーンのサウンドは見紛いようがない。暖かく、深い優しさをたたえ、甘たるくなく、まさにこれぞ誘惑の味がする」。それまでのジャズ・テナーの印象である「たくましい、豪快といった男性的なイメージ」を覆す、クール・スタイルのテナーが清々しい。

当アルバム中、唯一のスタンダード曲、コルトレーンの「Moment's Notice」を聴けば、マーク・ターナーのクール・スタイルのテナーとこの途方も無いバック・バンドの新鮮な音世界が体感出来る。コルトレーンのオリジナルとは全く異なったアレンジとアドリブ・アプローチが斬新。確かにコルトレーンの「Moment's Notice」なんだが、音の響きと展開は明らかに「21世紀のネオ・ハードバップ」。

今までに無いハードバップな音と響きが素晴らしい。こういう音を聴くと「やっぱりジャズは深化しているなあ」と心から感じるのだ。今から24年も前の音とは思えない。今の音と言っても十分に通用するほど、新しい響きに満ちたネオ・ハードバップ。聴きどころ満載である。

 
 

東日本大震災から7年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月 5日 (月曜日)

久々に「今日のスタート」受け

「クール・ジャズ(Cool Jazz)」というものがある。「クール・ジャズ」とは、ビバップの反動として1940年代後半に生まれた、白人寄りの傾向をもつジャズのジャンル(Wikipediaより)。洗練された控えめなテクニックとリズム。アンサンブルを始めとするアレンジの妙とそのアレンジを実現する楽器編成の妙。つまりは、喧噪に近い位に躍動的で、奔放なテクニックを旨とした「ビ・バップ」に対するアンチテーゼ。

テクニックの限りを尽くし、躍動感溢れるアドリブを旨とする「ビ・バップ」は、演奏家の閃きによるアドリブ展開が特徴で、時に単調になったり、マンネリに陥ったりした。加えて、喧噪に近い位の躍動感が故に、アクロバットとして楽しむのは良いが、演奏をじっくりと愛でるにはちょっと辛い面があった。そういう「ビ・バップ」のマイナス面を補うべく考案されたのが「クール・ジャズ」である。

クール・ジャズは、ピアニストのレニー・トリスターノを中心とした「トリスターノ派」と呼ばれる集団が牽引した。トリスターノの確立した音楽様式を基に「クール・ジャズ」なアルバムを発表していくのだが、代表的ジャズメンとしては、ウォーン・マーシュ(写真右)、リー・コニッツ、ジェリー・マリガン、ジョージ・シアリングなどの名前が挙がる。
 

Jazz_of_two_cities

 
Warne Marsh『Jazz of Two Cities』(写真左)。1956年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Warne Marsh. Ted Brown (ts), Ronnie Ball (p), Ben Tucker (b), Jeff Morton (ds)。この盤を聴けば「クール・ジャズ」の雰囲気が良く判る。トリスターノ派の主要メンバー、ウォーン・マーシュとテッド・ブラウンの2本のテナーの存在がポイント。「クール・ジャズ」を表現するのに、このテナー2管が大活躍する。

テナー2管でのユニゾンによるテーマ提示は一糸乱れぬもの。鑑賞に耐える「クール・ジャズ」ならではのアレンジのたまもの。アドリブ部ではテクニックを駆使するが、旋律は極力、流麗で耳に優しいもの。耳に刺激は全く無い。心地良く丸く、アドリブ・ソロが耳に入っていく。バックのピアノ・トリオは、ビ・バップと同じくリズム・キープがメインだが、フロントを支える音は流麗。

アルバム全編を聴き通して、やっていること、表現したいことは「クール・ジャズ」も「ビ・バップ」も同じ。しかし、その表現方法とアプローチは正反対。「ビ・バップ」は黒人中心に展開されたが「クール・ジャズ」は白人中心。「クール・ジャズ」によって、白人でもジャズが出来ることとなる。「クール・ジャズ」は、ジャズの裾野を一気に拡げた演奏トレンドであった。

 
 

東日本大震災から7年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月 4日 (日曜日)

こんなアルバムあったんや・105

最近はジャズ・ギターもよく聴く様になった。もともとジャズ・ギターは苦手であった。レジェンド級の伝統的なジャズ・ギターは、どうにも僕の耳には音が細く感じて、演奏に乗りきれない。ジャズを聴き始めた頃、何度もチャレンジしたのがどうにもいけない。熟慮の上、他の楽器を優先して、ギターは後回しにした。ということで、本格的にジャズ・ギターのアルバムをしっかりと聴き始めたのは、ジャズを聴き初めて20年位経った、21世紀に入った頃である。

ジャズ・ギターについては、純ジャズ系についてもコンテンポラリー系についても、1970年代のフュージョン・ジャズ以降に活躍したジャズ・ギタリストがお気に入りである。どうしても、1950年代、ハードバップ期に活躍したジャズ・ギタリストについては、前述の「音の細さ」が耳に付くので、どうしても敬遠気味になる。音の傾向は純ジャズからフリーからフュージョンまで、何でもOK。ジャズ・ギターもしっかり聴き始めると、なかなか面白くて、最近はハマリ気味である。

Arthur Adams『Midnight Serenade』(写真)。1977年のリリース。クルセイダーズのギタリストだったアーサー・アダムスのソロ3作目。プロデュースは同じくクルセイダーズの仲間でトロンボーン奏者のウェイン・ヘンダーソン。主だったパーソネルは、Arthur Adams, Steve Beckmeier, Steve Hines (g), Hillary Hamburg (key), Ronnie Green (b), Robert Griffin (ds) etc.。フュージョン畑のメンバーでは無く、ジャズ・ファンク系のメンバーチョイスかな。
 

Midnight_serenade

 
アルバム全体の雰囲気は一言で言うと「ブルージーなエレギによるアーバンなフュージョン・ファンク」。アダムスのギターはリーダーなので当然、前面に出て目立っていますが、この盤はファンク度が高く、ドラムスの活躍が耳につきます。冒頭の「When I'm Away From You」は、イントロ部の倍打ちのスリリングなハイハットが堪らない。そこに、アダムスの哀愁溢れるギターが乗ってくる。大人のファンクネス濃厚って感じが堪らない。

ホーン隊によるブラスの響きも芳しい。バック・コーラスと相まって、ファンク度濃厚。しかし、アダムスのギターを筆頭として、各楽器の演奏テクニックがかなり高く、フュージョン・ジャズの音の傾向はしっかり押さえられている。ディスコ・ミュージックというよりは、鑑賞にも耐えるフュージョン・ファンクといった音世界だと感じます。6曲目の「Love And Peace」などは夕暮れ時に聴きたくなる様な心地良い演奏で、ソフト&メロウ度満点。

フュージョン・ジャズについては、当時売れに売れた有名盤も良いのですが、この『Midnight Serenade』などの様に、有名盤に隠れた、知る人ぞ知る好盤も沢山あります。ネットの情報やフュージョン・ジャズの紹介本などを丁寧に調べながら、こういう「隠れ好盤」を入手し鑑賞するのはとても楽しい。ジャズのアルバム・コレクションの醍醐味の1つだと思います。

 
 

東日本大震災から7年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月 3日 (土曜日)

ローゼンウィンケルのデビュー盤

ジャズ・ギタリストの好みとしては、1950年代のハードバップ時代に大活躍した、伝統的なレジェンド級のギタリストよりは、1980年代以降にデビューした、正統派ジャズ・ギタリストの方が好みである。恐らく、1970年代以降、電気楽器としてのギターの環境は飛躍的に発展して、フロント楽器として、管楽器に引けを取らない音が出せるようになったからだろう。1950年代から60年代のジャズ・ギターについては、まだまだ出てくる音がチープだった。

Kurt Rosenwinkel『East Coast Love Affair』(写真左)。1996年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Kurt Rosenwinkel (g), Avishai Cohen (b), Jorge Rossy (ds)。ピアノも管も無しの質実剛健なギター・トリオ。デビュー盤であれば、フロントに管を入れたりして、ギターの音の薄さをカバーしたりするのだが、そういうお節介は一切無し。ローゼンウィンケルのギター一本で勝負のデビュー盤。

さて、この盤はカート・ローゼンウィンケルのデビュー盤である。ローゼンウィンケル(長い名前やなあ)は、米国フィラデルフィア出身、1970年10月生まれなので、今年で48歳になる。1996年のデビュー時は26歳。ちょっと遅咲きのギタリストである。バークリー音楽大学在籍時に、ゲイリー・バートンに見出される。この辺はパット・メセニーと同じやなあ。1990年代半ばの頃、ジャズクラブ「スモールズ(smalls)」を拠点に演奏をしており、この盤もこのクラブにおけるライヴ録音である。
 

East_coast_love_affair

 
ローゼンウィンケルのギターの音は「ジャズ・ギターの正統派」な音。音の響きは「ジム・ホール〜パット・メセニー」の系列であり、パットのギターの音よりも鋭角に切れ込み、音の太さも少し太め。パッと聴いた時は「パットかな」と思うんだが、2〜3分聴き続けていると「これは違うぞ、誰だこれは」ということになる。アドリブ・フレーズの展開などは、明らかに伝統的なハードバップの展開を基本としていて、聴いていて不思議と安心感が漂う。

このデビュー盤の収録曲を見渡してみても、「Pannonica」「’Round About Midnight」とセロニアス・モンクの曲が2曲選択されていて、その演奏を聴くと、ローゼンウィンケルのテクニックの確かさが良く判る。また、収録曲それぞれのアレンジもなかなかのもので、とてもデビュー盤とは思えない。ローゼンウィンケルの自作曲も2曲収録されていて、その出来も良好。ローゼンウィンケルって、ギタリストとしての才だけでなく、アレンジや作曲の才にも長けている。

バックのリズム&ビートを司るアヴィシャイ・コーエンのベース、ホルヘ・ロッシのドラムスもプログレッシブな響きを宿したローゼンウィンケルのギターをしっかりとサポートしていて、聴き応えがある。オーソドックスな純ジャズなアプローチをベースとして、ところどころにロックやソウルっぽい響きも見え隠れして、1970年代のロックやソウルをリアルタイムで体験してきた僕にとって、実に興味深く、楽しめる内容になっている。

 
 

東日本大震災から7年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月 2日 (金曜日)

ウッディ・ショウを思い出した

ジャズを聴き始めた頃から、その名前は知っていた。しかし、そのジャズメンのリーダー作は日本ではほとんど見なかった。その後、ジャズ喫茶で、そのジャズメンのリーダー作を聴かせて貰った。テクニック優秀、流麗でブリリアント、吹きすぎず、吹かなさすぎず、丁度良い塩梅の手数のトランペット。そのトランペットの名前は「ウッディ・ショウ(Woody Shaw)」。

ウッディ・ショウは1944年生まれ。米国はニュージャージー州ニューアーク出身。1962年18歳で初レコーディング。ハード・バップからアバンギャルドまで、様々な演奏スタイルに適応するテクニックを持つ。1960年代後半以降から1970年代にかけてフレディ・ハバードと並ぶ実力派のトランペッターとされた。しかし、何故か人気が無い。

はしたないまでに吹きすぎるハバードがそこそこの人気を得ていたのに比べて、ショウのトランペットは人気が無かったなあ。恐らく、1970年代、クロスオーバーからフュージョン・ジャズのブームの中、ハバードはジャズロックへ上手く転身して人気を得たが、ショウは伝統的なスタイルを踏襲し、フュージョン・ブームの中にその名は無かった。この辺がショウの人気の無さの原因だと僕は思っている。
 

Woody_shaw_live_in_bremen

 
しかし、今回、このライブ盤を聴いて、やっぱりショウのトランペットって凄いなあと思った。Woody Shaw Quartet『Live in Bremen, 1983』(写真左)。1983年1月のブレーメンでのライヴ演奏を収録したアルバム。ちなみにパーソネルは、Woody Shaw (tp, flh), Mulgrew Miller (p), Stafford James (b), Tony Reedus (ds)。ピアノにお気に入りのピアニスト、マルグリュー・ミラーが参加している。

ウッディ・ショウのトランペットは申し分無い。アグレッシヴで覇気に満ちていて流麗。何と言っても、ショウは吹きすぎないところが良い。高いテクニックの持ち主ながら、それをひけらかすことも無い。とても趣味の良い、ブリリアントなトランペットを披露してくれている。このトランペットについては「何故人気が無いのか」。不思議でたまらない。

ショウは、1989年、ブルックリンで地下鉄のホームから転落し左腕を切断。その後、同年5月に死去している。44歳。早過ぎる死であった。1970年代はクロスオーバーからフュージョン・ジャズの時代。伝統的なスタイルを踏襲したショウのリーダー作はあまり多く無い。が、この際である。改めて、ショウのリーダー作を順に聴き直してみようと思った。

 
 

東日本大震災から7年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月 1日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・132

最近、Dusko Goykovich(ダスコ・ゴイコヴィッチ)の新作を聴いて、無性に彼のトランペットが聴きたくなった。そう言えば、しばらく聴いてなかったんなや〜。好きなトランペッターなんですよ、ゴイコヴィッチって。初めて聴いたリーダー作が『After Hours』(1971年の録音)。ジャズを聴き初めて15年くらい経ってからかなあ。

ダスコ・ゴイコヴィッチは、旧ユーゴスラヴィア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)ヤイツェの出身。1931年生まれなので、今年で87歳になります。この旧ユーゴスラビア出身というところがポイント。ユーゴスラビアとは「南のスラブ民族の国」という意味で、彼のトラペットって、どこかスラブの民俗音楽の響きが漂うんですね。これが僕には堪らない。

Dusko Goykovich『Slavic Mood』(写真左)。1974年、イタリアでの録音。ちなみにパーソネルは、Dusko Goykovich (tp),  Bert Thompson (b), Joe Nay (ds), Vince Benedetti (p), Andy Scherrer (ts, ss)。タイトルのとおり東欧(スラブ)を素材にしたモーダルな作品。ゴイコヴィッチの初リーダー作が1966年なので、彼のキャリアの中ではまだまだ初期の頃の傑作です。
 

Slavic_mood

 
1974年ながら録音の悪さがちょっと気になりますが、スラブ民族の民俗音楽の旋律を宿した様な、独特のマイナー調で哀愁溢れるゴイコヴィッチのフレーズが実に芳しい。特にこの盤はタイトルが「スラブのムード」というくらいなので、このスラブ民族の民俗音楽の旋律を宿したフレーズがてんこ盛りです。しかもところどころ、中近東を想起させるフレーズも織り込まれて、なかなかに聴き応えがある。

「東欧のエキゾチックな哀感感」が独特で、この盤を思いっきり個性的なものにしているのですが、もともとゴイコヴィッチのトランペットは正統なハードバッパー。コードもモードも両方こなし、テクニックは優秀、端正かつ歌心溢れるアドリブ・フレーズは米国の一流トランペッターと比較してもひけを取らない。「東欧のエキゾチックな哀感感」だけで、この盤を好盤に押し上げているのでは無い。

ゴイコヴィッチのデビュー盤である『Swinging Macedonia』を彷彿とさせる、哀愁に哀愁を帯びたメロディーがユニーク。さすが欧州ジャズだけあって、ファンクネスは皆無、リズム&ビートは粘ること無く、ソリッドでシャープなもの。全編に渡って、これぞ欧州ジャズ、これぞ東欧ジャズっていう雰囲気が堪らない。

 
 

東日本大震災から7年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 2018年10月 | トップページ | 2018年12月 »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ