ながら聴きのジャズも良い・34
1930年代から1940年代初めにかけて大流行した「スイング・ジャズ」という演奏スタイルがある。スイング・ジャズは、スウィングのリズムを含んだ軽快なダンス・ミュージックで、ジャズの根幹である「即興演奏」よりも、アレンジがメインのアンサンブルが重視された。グレン・ミラー楽団やベニー・グッドマン楽団が代表的存在。
1930年代から1940年代初めにかけて大流行した、というからには、スイング・ジャズは現代では演奏されないのか、と問えば、実はそうでもなく、細々とスイング・ジャズは生息している。それぞれの時代で、必ず幾つかのスイング・ジャズをやるバンドが存在している。現代の成熟した楽器、成熟した録音技術を駆使して演奏されるスイング・ジャズは新しい響きを宿していて、意外と聴き応えがある。
でも、僕は「スイング・ジャズ」については、そのアルバムに対峙するような形で、集中して音を鑑賞することは無い。スイング・ジャズはあくまでダンス・ミュージックである、という頭があるので、僕は「スイング・ジャズ」のアルバムについては、ながら聴きをする。アレンジ優秀、アンサンブルの精度が高い、ビートの効いたダンス・ミュージックなので、何かをしながら、の鑑賞に実にフィットする。
Danny Moss & Buddha's Gamblers『A Swingin' Affair』(写真左)。2016年7月のリリース。1960年代のイギリスで巻き起こったニューオーリンズ〜スウィング・ジャズ・ブームで脚光を浴びたのがサックス奏者ダニー・モス(Danny Moss・写真右)。そのダニー・モスが、トラッドな「スイング・ジャズ」と、現代の「モダン・ジャズ」の要素をバランス良くブレンドした、明るく、聴いて楽しいトラッドな雰囲気濃厚なジャズ盤をリリースした。
現代の「スイング・ジャズ」という佇まいが実に良い。ブッダズ・ギャンブラーズ(Buddha's Gamblers)は、人気スイング・バンド。明るく楽しいスイング・ジャズ・バンドの演奏をバックに、ダニー・モスがスイング・ジャズなスタイルのテナーを吹きまくる。演奏自体はしっかりアレンジされ、リハーサルされたものだということは雰囲気で判る。それでも、この盤に詰まっている演奏は「ジャズ」。
とにかく聴いていてハッピーな気分になる。ビートがしっかり効いているので、聴いていて耳に心地良い。これが「ながら聴き」にジャスト・フィットするのだ。破綻の無い、整然と小粋に鳴り響くアンサンブル。聴き心地が実に良い。流れる様なスイング感に「ながら」の作業が一層はかどる。現代の「スイング・ジャズ」。この盤は隅に置けない。
東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« ブレイク前夜のJM 『Hard Bop』 | トップページ | 今の時代の個性派な純ジャズ »
コメント