ジャズ喫茶で流したい・132
最近、Dusko Goykovich(ダスコ・ゴイコヴィッチ)の新作を聴いて、無性に彼のトランペットが聴きたくなった。そう言えば、しばらく聴いてなかったんなや〜。好きなトランペッターなんですよ、ゴイコヴィッチって。初めて聴いたリーダー作が『After Hours』(1971年の録音)。ジャズを聴き初めて15年くらい経ってからかなあ。
ダスコ・ゴイコヴィッチは、旧ユーゴスラヴィア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)ヤイツェの出身。1931年生まれなので、今年で87歳になります。この旧ユーゴスラビア出身というところがポイント。ユーゴスラビアとは「南のスラブ民族の国」という意味で、彼のトラペットって、どこかスラブの民俗音楽の響きが漂うんですね。これが僕には堪らない。
Dusko Goykovich『Slavic Mood』(写真左)。1974年、イタリアでの録音。ちなみにパーソネルは、Dusko Goykovich (tp), Bert Thompson (b), Joe Nay (ds), Vince Benedetti (p), Andy Scherrer (ts, ss)。タイトルのとおり東欧(スラブ)を素材にしたモーダルな作品。ゴイコヴィッチの初リーダー作が1966年なので、彼のキャリアの中ではまだまだ初期の頃の傑作です。
1974年ながら録音の悪さがちょっと気になりますが、スラブ民族の民俗音楽の旋律を宿した様な、独特のマイナー調で哀愁溢れるゴイコヴィッチのフレーズが実に芳しい。特にこの盤はタイトルが「スラブのムード」というくらいなので、このスラブ民族の民俗音楽の旋律を宿したフレーズがてんこ盛りです。しかもところどころ、中近東を想起させるフレーズも織り込まれて、なかなかに聴き応えがある。
「東欧のエキゾチックな哀感感」が独特で、この盤を思いっきり個性的なものにしているのですが、もともとゴイコヴィッチのトランペットは正統なハードバッパー。コードもモードも両方こなし、テクニックは優秀、端正かつ歌心溢れるアドリブ・フレーズは米国の一流トランペッターと比較してもひけを取らない。「東欧のエキゾチックな哀感感」だけで、この盤を好盤に押し上げているのでは無い。
ゴイコヴィッチのデビュー盤である『Swinging Macedonia』を彷彿とさせる、哀愁に哀愁を帯びたメロディーがユニーク。さすが欧州ジャズだけあって、ファンクネスは皆無、リズム&ビートは粘ること無く、ソリッドでシャープなもの。全編に渡って、これぞ欧州ジャズ、これぞ東欧ジャズっていう雰囲気が堪らない。
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