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2018年11月21日 (水曜日)

ECMの音に対する許容量

ECMレーベルは「ニュー・ジャズ」の宝庫。欧州ジャズの雰囲気濃厚な、ファンクネス皆無のニュー・ジャズなアルバムが満載。ファンクネス溢れるハードバップなアルバムは殆ど、というか、まず「無い」。創立者マンフレート・アイヒャー自らの監修・判断による強烈な「美意識」がメインなのだが、この「美意識」には幅があるようで、意外と「こんなアルバムあったんや」とビックリする様な盤が、そこかしこに転がっている。

Terje Rypdal『Whenever I Seem To Be Far Away』(写真左)。1974年の作品。ちなみにパーソネルは、Terje Rypdal (g), Sveinung Hovensjø (b), Pete Knutsen (mellotron, el-p), Odd Ulleberg (French horn), Jon Christensen (ds, Perc), Südfunk Symphony Orchestra conducted by Mladen Gutesha。リーダーのテリエ・リピダルをはじめ、ノルウェー出身のメンバーがメインの構成である。

ノルウェーの硬派な「捻れエレギ」の使い手、テリエ・リピダルが大活躍のアルバムであるが、パーソネルを見渡すと面白い事に気がつく。キーボード担当のピート・ナッツセン(Pete Knutsen)がメロトロンを弾いている。メロトロンとは「アナログ再生式(磁気テープを媒体とする)のサンプル音声再生楽器」、いわゆる「テープ音源のオルガン」である。このメロトロンは、1960年代後半から1970年代前半に隆盛を極めた「プログレッシブ・ロック」によく活用された。ここでは、エレクトリック・ジャズの世界でメロトロンがメインで採用されている。
 

Whenever_i_seem_to_be_far_away_1  

 
冒頭の「Silver Bird is Heading for the Sun」からしてメロトロン全開。そこに捻れてくすんで暴力的なリピダルのエレギが入ってきたら、その音世界はまるっきり「プログレッシブ・ロック」。もともと欧州ではジャズとプログレッシブ・ロックの境目が曖昧なのだが、ノルウェーでもそうなんやなあ〜、とこの盤を聴いて妙に感心したのを覚えている。

メロトロンが唸りを上げつつ、暴力的であるが切れ味の良いリピダルのエレギが活躍するところは、なんか「キング・クリムゾン」を想起させる。しかし、スヴェイヌング・ホーヴェンシェー(Sveinung Hovensjø)のベースとヨン・クリステンセン(Jon Christensen)のドラム&パーカッションが醸し出すリズム&ビートが明確に「ジャズ」しているので、この演奏は辛うじて「ジャズ」のジャンルに軸足を残している。

3曲目の「Whenever I seem to be far away」でのクラリネットやオーボエ、弦楽アンサンブルが絡むところは幻想的で、明らかにECMらしい雰囲気ではあるが、どこかプログレ風の雰囲気が漂う。しかし、プログレ風の音世界がECMのアルバムに展開されるとはなあ。ECMの総帥、マンフレート・アイヒャーの音に対する許容量は計り知れないものがある。だからこそ、ECMレーベルは「ニュー・ジャズ」の宝庫たり得たのだろう。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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