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2018年11月15日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・106

ジャズはシンプルなアレンジが良い。シンプルなアレンジは即興演奏を際立たせる。人工的なアレンジがゴテゴテしたジャズは、ジャズの本質である即興演奏が際立たない。シンプルなアレンジだからこそ、それぞれのジャズメンの楽器プレイが良く聴き取れ、その特徴が手に取るように判る。そういう意味で、即興演奏を楽しむには、シンプルなアレンジが良い。

Booker Ervin『The Book Cooks』(写真左)。1960年4月6日の録音。ちなみにパーソネルは、Booker Ervin (ts), Zoot Sims (ts), Tommy Turrentine (tp), Tommy Flanagan (p), George Tucker (b), Dannie Richmond (ds)。ベツレヘム・レーベルからのリリース。このなかなか興味深い組合せは期待が膨らむ。リーダーのブッカー・アーヴィンのテナーに、ズート・シムズのテナーがパートナー。

ジョージ・タッカーのベースとダニー・リッチモンドのドラムが意外とプログレッシブ。冒頭の「The Blue Book」を聴けばそれが良く判る。冒頭、いきなりタッカーのベース・ソロから始まる。このベース・ソロのラインが斬新。このベース・ソロに導かれるように、フロントのサックス2本のユニゾンがドーンと迫ってくる。バックでリッチモンドのドラムがシンプルに絡む。アレンジなど、殆ど施されていない。最低限の決め事だけで、この即興性の高さ。
 

The_book_cooks

 
アドリブ部に入って、トミフラのピアノが絶品。ハードバップの時の流麗で小粋なフレーズは全く聴くことが出来ない。アドリブ・フレーズはかなりプログレッシブ。これがトミフラのピアノか、と思わず感心する。さすが燻し銀のジャズ・ピアノ職人。何時になくモーダルな展開で新しい響きが魅力的。このプログレッシブなトミフラのピアノを受けて、トミタレのトランペットも何時になくモーダルに傾く。これがまた良い。冒頭の「The Blue Book」1曲で、この盤の魅力を十分に確認することが出来る。

主役のテナー2本のパフォーマンスは申し分無い。どちらのテナーもそれぞれの個性をふんだんに振り撒いていて、聴いていてとても楽しい。この盤には、特にリーダーのアーヴィンの個性が実に良く出ている。太くてブルージーで大らかなテナー。それでいて、ややアブストラクトでモーダルで予測不能なフレーズの飛び方が実にユニーク。そこに、オーソドックスなテナーのズートが絡む。アーヴィンとズートの対比。これが、この盤の最大の聴きどころ。

ベツレヘム・レーベルって不思議なレーベルで、録音された演奏は垢抜けないところが残るのだが、演奏自体は意外とプログレッシブなものが多い。この「垢抜けない」ところがこのレーベルの特徴だと思っていて、他のレーベルの様な、強烈なプロデュース力は感じられない。それでも、音はしっかりと太く、ジャジーなところが不思議。あまり人手に頼らず、自然でシンプルな演奏を基本とするところが良い結果を生んでいるのだろう。ジャズにオーバー・プロデュースは御法度である。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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