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2018年10月 4日 (木曜日)

味わいあるポスト・モダンな演奏

女性のジャズ・ピアニストの頭角、といえば、やはり1980年半ばからの「純ジャズ復古」のムーブメントからだろう。例えば、このリニー・ロスネス(Renee Rosnes)などはその先駆的存在と言える。カナダ出身、1962年3月生まれなので今年で 56歳。もう中堅も中堅、そろそろベテランの域に差し掛かる才媛である。

1987年にOTBの2代目ピアニストとして参加。また同年ジョー・ヘンダーソン4でも活動。このOTBへの参加のタイミングで、僕はロスネスの名前を知った。翌年にはウェイン・ショーターのグループに参加するなど、華々しいデビューであった。以降、メインストリーム・ジャズ畑での第一線を走っている。

そんな彼女の新盤が、Renee Rosnes『Beloved of The Sky』(写真左)。今年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、Renee Rosnes (p), Chris Potter (as, ss, fl), Steve Nelson (vib), Peter Washington (b), Lenny White (ds)。新旧の名うてのジャズメンを集めたクインテット構成。フロントにアルトとヴァイブ、とりわけヴァイブの参加が今時珍しい。クリス・ポッターのアルトが好調。レニー・ホワイトのベテランらしい、味のあるドラミングも聴き応えがある。
 

Beloved_of_the_sky_renee

 
リニー・ロスネスのピアノは、モードをメインとする伝統的なスタイルに則りながら、コンテンポラリーなイメージを取り込み、新鮮で新しい響きを常に織り込んでくる。タッチは確実なものではあるが、マッコイ・タイナーの様な「ガーン、ゴーン」と叩き付ける様な響きとは全く無縁。そこは女性らしい、リリカルで印象的なフレーズが独特の個性である。

ピアノの展開は典型的な「モード」で、1960年代の新主流派の音作りを踏襲するもので、我々の世代からすると懐かしい限り。しかし、その懐かしさの中に現代の新しい響きが織り込まれているところが、ロスネスのリーダー作の小粋なところ。古さを感じるなら「マンネリ」なんだが、新しい響きが見事に織り込まれた展開については「深化」として評価したい。

キャッチャーでポップな展開と無縁なので、商業的にはあまり恵まれないロスネスではあるが、1980年代に起こった純ジャズ回帰の潮流の延長線にあるポスト・モダンな演奏は「誠実さ」と「革新性」を兼ね備えたもので、ネオ・ハードバップな演奏はまだまだ「のりしろ」があることを実感させてくれる。聴けば聴くほど味わいが出てくる「するめ」の様な盤です。

 
 

東日本大震災から7年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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