最近のトラックバック

« モスクワ出身のトランペッター | トップページ | イエロージャケッツの化学反応 »

2018年10月19日 (金曜日)

ジャズロックのハバードは良い

フレディー・ハバード(Freddie Hubbard)のリーダー作の聴き直しをしている。ほぼ全リーダー作を聴き直し終えた訳であるが、ハバードって、つまるところ、目立ちたがり、吹きたがり、という癖は、年齢を重ねても無くなることはなかった。無くならなくても年齢を重ねれば、徐々に穏やかになっていくのだが、ハバードは違った。

そんなハバードを形容した「ハバードはプレイヤーではあったが、アーティストでは無かった」という「けだし名言」がある。つまり演奏家ではあるが芸術家では無かった、ということ。テクニックは素晴らしく優秀、音も大きく運指も速い。ジャズの歴史の中でも5指に入る、優れたトランペッターであった。それでも、他のメンバーを押しのけて目立ちたがり、誰よりも多く吹きたがった。抑制の美学の欠片も無い、時には五月蠅いと感じるトランペッターであった。つまり「アートの要素に乏しい」トランペッターであった。

そういうハバードである。純ジャズのリーダー作は基本的に全てが吹きすぎという印象が残る。とにかくアルバムを聴いていて、途中から耳が疲れてくるのだ。リーダー作ばかりでなく、他のリーダー作に客演した時でも目立ちたがり、吹きたがる。それも相当高いレベルのテクニックで吹きまくるので、とにかく耳に付く。今でも「抑制」ということを幾ばくかでも覚えておれば、「アーティスティックなトランペッター」として、ジャズ史にその名を残したのになあ、とつくづく惜しいことをした、と思うのだ。
 

Backlash  

 
そんなハバード、純ジャズは似合いそうで似合わない。それではハバードは問題を抱えたままだったのか、と言えば、このジャズの演奏ジャンルだけはハバードの「目立ちたがりの吹きたがり」のトランペットがピッタリと填まった、と思っている。「ジャズロック」である。ジャズロックはその演奏にメリハリが効いていることが大事で、そういう点ではハバードの「目立ちたがり、吹きたがり」の癖が良い方向に作用しているのだ。

Freddie hubbard『BackLash』(写真左)。1966年10月の録音。Atlanticレーベルに移籍しての第一弾。レイ・バレットのコンガ入り、セクステット構成。ばりばりのジャズロック盤である。まだまだ、アコースティックな8ビートのリズム&ビートを得て、ハバードが目立ちたがる、吹きたがる。それでも、ジャズロックのバックを背負えば、演奏の音のバランス的に丁度良いのだ。ハバードの速い運指には8ビートが実にフィットする。

ジャズロックの演奏においては、ハバードは水を得た魚の様に、リラックスして喜々として吹きまくっている。しかも、ジャズロックの演奏では、テーマ部のユニゾン&ハーモニーがピタッとあって、それぞれの楽器の音のレベルが同じでないと、フレーズとブレイクが決まらない。そういう特質があるジャズロックでは、ハバードは他の楽器の音を聴きながら「合わせる」という、抑制のプレイをせざるを得ない。このテーマ部のユニゾン&ハーモニーを奏でる「抑制のハバード」が実に心地良く、実に格好良い。一聴の価値ありです。

 
 

東日本大震災から7年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« モスクワ出身のトランペッター | トップページ | イエロージャケッツの化学反応 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ジャズロックのハバードは良い:

« モスクワ出身のトランペッター | トップページ | イエロージャケッツの化学反応 »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2019年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ