品の良い端正なソウルジャズ盤
ブルーノート・レーベルは硬派なジャズ・レーベルだと思われているが、実はそれぞれの時代のトレンドをいち早く押さえた、先取的なレーベルでもある。1960年代後半からのジャズ・ファンク、1970年代「ニューノート」の異名で知られる70年代のフュージョンの時代にユニークな盤がてんこ盛りである。同時代のソウルやファンクとも共鳴する新しい感覚のブラック・ミュージックを積極的にアルバム化している。
ということで、ファンキーなソウルジャズ盤である。The Three Sounds『Soul Symphony』(写真左)。1969年8月の録音。ブルーノートの4341番。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Henry Franklin (b), Carl Burnett (ds) のピアノ・トリオが「The Three Sounds」、このピアノ・トリオをメインに、David Duke, Art Maebe (french horn), Buddy Collette (fl), Fred Robinson (g), Alan Estes (perc)が客演する。
ブルーノートの栄えある1500番台のラスト、1600番で鳴り物入りレビューした、ジーン・ハリス(写真右)率いるピアノ・トリオ「The Three Sounds」。ブルーノートのお抱えピアノ・トリオとして鳴らしてきたスリーサウンズが、なんとこってこてファンキーなソウルジャズに変身している。僕はこの盤を初めて聴いた時、スリー・サウンズとは全く判らなかった。アルバム・ジャケットを見てビックリ。
ファンキーなソウルジャズとは言っても、1969年なのでまだまだ端正で品の良いソウルジャズである。ストリングスが入ったり、コーラスが入ったりで、アレンジも豪華。それでも、ファンクネスはタップリ、オフビート芳しい、ユルユルなノリのミッドテンポ。思わず、ゆらゆらと体が揺れる。品の良い端正なソウルジャズ。そんなジャズロックをアコースティックなピアノ・トリオをメインにやるのだから、その音はかなりユニーク。
タイトル曲の「Soul Symphony」は26分越えの大作。端正で品の良いソウルジャズなんが、演奏の途中、何度もファンキーな転調を経て、バラエティーに富んだ展開が素晴らしい。そんなソウルジャズな演奏がてんこ盛りなんだが、ピアノ・トリオがしっかりとジャジーな音を展開させているところが良い。そこが「品の良い」という印象を受けるところなんだと思う。
じっくり聴くも良し、ながらで聴くも良し、とっても聴き心地の良いソウルジャズです。アルバム・ジャケットは、1969年のリリースなんで、もはやブルーノートらしさは全く無い「ふぁんき〜」なデザインなんだが、このデザインに怯んではならない。我が国の硬派なジャズ者の方々からは忌み嫌われるソウルジャズですが、決して俗っぽくはありません。中身の音は素性の良いソウルジャズです。
東日本大震災から7年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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