「これは聴いてみよ」な盤・2
ダウンロード・サイトを徘徊していて、久し振りにこの名前に出会った。「ジョーイ・カルデラッツォ(Joey Calderazzo)」。1980年代後半に彗星のごとく登場。リッチー・バイラークに師事し、ブルーノートやコロンビア等の名門レーベルから数々のリーダー作を発表。1965年生まれだから、今年で53歳になる。これからが楽しみの「中堅の中堅」である。
1980年代後半にデビューしたんだがら、カルデラッツォはデビューして、既に40年近くになるのか。タッチは確か、ピアノの音は太くて深い。フレーズの雰囲気はキース・ジャレットを彷彿とさせるものがあるが、キースよりも落ち着いていて、決して「唸らない」(笑)。唸らないキース、と形容しても良いか、と思う。それでいて、欧州ジャズの様な「翳り」があって、これが癖になる。
Joey Calderazzo『Live From the Cotton Club, Vol.1』(写真左)。2018年9月のリリース。2017年2月、東京丸の内のコットンクラブでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Joey Calderazzo (p), Orlando Le Fleming (b), Donald Edwards (ds)。米国東海岸出身でありながら、欧州ジャズの雰囲気が濃厚に漂う個性的なピアノ。キースよりもジャジー、しかし、ファンクネスは希薄。
典型的な「ネオ・ハードバップ」なトリオ演奏である。手堅いモードな展開が聴き応え十分。カルデラッツォのピアノについては、テクニックは優秀なんだが、決してテクニックに走らず、しっかりとした深いタッチで、ゆったりと流麗に印象的なアドリブ・フレーズを展開していく。響きは欧州的。ファンクネスは希薄。それでいてマイナーでジャジーは節回しがユニーク。
ベーシストもドラマーも僕はよく知らない。それでも、両者とも良い音、出してます。ベースの音は骨太で力感溢れ、アドリブ・ソロは流麗。ドラミングは柔軟でポリリズミック。決して目立たず、それでいて、存在感はしっかりと出ている。このベースとドラムをバックに従えているのだ。このトリオ演奏には「間違いが無い」。
正直いって、カルデラッツォのピアノは暫くぶりであった。彼のピアノ、久し振りに聴いて、デビューの頃とほとんど変わってない、と感じた。これを「停滞」と聴くか、はたまた、これを「深化」と聴くか。聴く人それぞれに印象を持つのだろうが、僕にとっては安心の「深化」と捉えた。カルデラッツォは50歳を過ぎたばかり。「停滞」か「深化」か。その答えが出るのはこれからだろう。これからのカルデラッツォが楽しみである。
東日本大震災から7年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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