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2018年9月27日 (木曜日)

ウェザー・リポートのフォロワー

昔からベーシストのリーダー作を聴くのが好きである。ベースのテクニックをメインにした盤は当たり前なんだが、ベースという楽器のポジションを活かした「グループ・サウンド」をプロデュースしコントロールした盤が良い感じだ。ベーシストの好みの音の傾向、音の個性をバンドメンバーに浸透させ、グループ・サウンドを創成する。これがなかなかに味わい深い。

今日聴いたベーシストのリーダー作が『ARC Trio』(写真左)。つい先月のリリース。ちなみにパーソネルは、Jimmy Haslip (b), Scott Kinsey (key), Gergö Borlai (ds)。ベーシスト、ジミー・ハスリップがリーダーのトリオ作。ジミー・ハスリップは、イエロージャケッツのオリジナルメンバーとしても知られる腕利きベーシストである。

ジミー・ハスリップは1951年生まれなので、今年で67歳。大ベテランの域である。しかし、この盤ではエレベを現代ジャズにおける最新の音で弾きまくる。音だけ聴くと30歳代の若手中堅バリバリのベーシストの弾く音かと思った。さすがベーシストがリーダーの盤、適度に捻れた、ベースの特徴あるフレーズが前面に出ていて、聴いていてとても楽しい。
 

Arc_trio_album

 
ハスリップのベースは、ジャコほどのバカテクでは無いが、相当に高度なテクニックを駆使しながら、コンテンポラリーで流麗なアドリブ・ラインを事も無げに弾き回している。このクールで熱いアドリブ・ラインが良い。キンゼイのキーボードが凄い。その表現力と音の厚みの出し方、流麗な弾き回し、素晴らしいの一言。そこに、現代の最新のポリリズムが聴いて楽しいボーライのドラム。

この盤を一言で表現すると「現代のウェザー・リポート」。ウェザー・リポートのジャコ期の音の個性がそこはかとなく漂う。しかも、これがトリオの演奏か、と驚く位に音の厚みがある。音の厚みがありながら、シンプルでクールに疾走する躍動感。このトリオにショーターばりのテナーが入れば、完璧にウェザーの音。このウェザーの音を彷彿とさせる展開が意外と「新しい」。

ウェザーのジャコ期が1970年代後半から1980年代初頭だから、あれからもう既に約40年経つ。この盤の音はウェザーをパクったのでは無く、正統なウェザー・リポートのフォロワーの音である。音の重ね方や音の捻り方などは現代のジャズの香りが充満していて、ウェザーのフォロワーな音とは言え、古さは全く感じ無い。現代のコンテンポラリーな純ジャズとしての秀作である。

 
 

東日本大震災から7年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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