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2018年9月 6日 (木曜日)

ジャズ演奏の優れた例のひとつ

ジャズにとって「スタンダード曲」は無くてはならない存在で、この「スタンダード曲」を通じて、それぞれのジャズメンの個性の違いを確認したり、それぞれのジャズメンの解釈を楽しんだりする。テーマ部の旋律は同じだけれど解釈も違う。アドリブ部に入ると、テーマ部の旋律のコード進行から発展したり、基音からモーダルなアドリブが展開されたりする。これがまあ、それぞれ演奏毎に違っていて、いわゆる「ジャズの醍醐味」の1つである。

新伝承派のリーダー、ウィントン・マルサリスは、このスタンダード曲だけを採用した企画盤を6枚出している。ジャズとして、一番優れた演奏・アレンジ・展開を提示した格好になっているが、今から振り返ると、このウィントンのスタンダード曲の演奏・アレンジ・展開は、ジャズの「スタンダード曲」を基にした演奏の「優れた例のひとつ」に留まっている。そう、ジャズは懐深く、裾野が広い。優れたジャズ演奏といっても、1つのパターンに収束することはあり得ない。

Wynton Marsalis『Standard Time, Vol. 3: The Resolution of Romance』(写真左)。1990年5月のリリース。ちなみにパーソネルは、Wynton Marsalis (tp, vo), Ellis Marsalis Jr. (p), Reginald Veal (b), Herlin Riley (ds)。ウィントンの父君である、エリス・マルサリスがピアノで共演している。スタンダード曲だけを採用した企画盤の3枚目になる。
 

Standard_time_vol3  

 
サブタイトルが「The Resolution of Romance」なので、リリカルでロマンチックなバラード曲やスロー〜ミッドテンポな曲で固められている。刺激的なところは全く無い、耳当たりの良い、暖かい演奏が展開される。聴いていて思うのは、選曲にも配慮行き届き、アレンジも十分に練られ、演奏も十分にリハーサルを積んだ、しっかり、じっくりと作り込まれたスタンダード曲のジャズ演奏という感じが強く出ている。ジャズの即興性を追求するというよりは、ジャズ演奏の良いところばかりをグッと凝縮した企画盤である。

そんなウィントンのアルバム・コンセプトに従い、父君エリスのピアノが実に良い雰囲気を出している。控えめながらよく唄うピアノで、コードな展開もモードな展開もそれぞれの個性を織り込んで、実に渋く、硬派にメインストリームなジャズ・ピアノを展開為ている。父君エリスは、ハードなモード演奏もこなす「オールマイティー」なジャズ・ピアノなんだが、ここでは実にきめ細やかでリリカル、タッチは堅実でありながら、ロマン溢れるフレーズを供給してくれる。

そんな父君のピアノをバックに、ウィントンのトランペットは相変わらず、ハイテクニックで優等生的な音の伸びと輝き。作り込み感満載なんだが、企画盤として、これは「アリ」でしょう。ジャズの「スタンダード曲」を基にした演奏の「優れた例のひとつ」。作られたジャズという雰囲気が強くする内容で、何度も繰り返し聴く様な盤ではない。意外と「困ったちゃん」なアルバムである。

 
 

東日本大震災から7年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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