典型的なECMの音とジャケット
ECMレーベルのアルバムをカタログ番号順に聞き直していると、ECMって本当に音の傾向に統一感があって、暫く聴いていると「これって、ECMの音やね〜」すぐに判る。限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音。そんな、アイヒャー自らの監修・判断による強烈な「美意識」が、この「音」にも反映されている。
The Gary Burton Quintet with Eberhard Weber『Ring』(写真左)。1974年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), Michael Goodrick (g), Pat Metheny (g), Steve Swallow (b-g), Eberhard Weber (b), Bob Moses (perc)。ジャケットに書かれている様に、バートンのカルテットにベースのウェーバーが客演した形。
しかし、このパーソネルを見渡すと、当時、ECMレーベルで活躍していたミュージシャン揃い。特に、ゲイリー・バートン(写真右)のヴァイブの音は透明度が高く切れ味が良く、クラシカルな響きを持つもので、ECMレーベルの音の傾向にピッタリとフィットする、典型的なECMの音である。この盤においても、このバートンのヴァイブの音がアルバム全体の音の傾向を決定付けている。
ギターの音を聴いていると、このくすんだ、少し捻れた特徴のある音はパット・メセニーだと直ぐ判る。このパットのギターの音が不思議とバートンのヴァイブと抜群に相性が良いのだから面白い。まったく違和感の無い、まったく同化した様な相性の良い音の組合せ。明らかに米国ジャズの音とは異なる、欧州独特の音の響きが芳しい。
客演のウェーバーのベースの音が興味深い。粘りの無い、強靱で弾けるような、堅実で重心の低い音。欧州系のアコベの音って、とっても綺麗な音なんですよね。とにかくピッチがしっかりと合っている。ベースについては、特にこれは大切なことだと思っていて、ピッチの合っていないベースの音を長く聴いていると気持ちが悪くなる(笑)。ウェーバーの音は「良い」。
音と相まって、ECMレーベルらしいのが「ジャケット・デザイン」。この現代の印象画の様なイメージはECMレーベル初期のものに多い。このデザインは米国ジャズにはほとんど見られない。というか、ECMレーベル独特と言えるかな。
この『Ring』という盤、音そして、ジャケット・デザイン共々、ECMレーベル初期を代表する好盤と言えるでしょう。ECMの音ってどんなの? と問われたら、この盤をかける確率が高い好盤です。
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