The Chuck Rainey Coalition
チャック・レイニー(Chuck Rainey)。米国のベーシスト。セッション・ベーシストとして、ソウル、R&B、ジャズ、クロスオーバーを中心に幅広いジャンルで活躍。ボーダーレスなベースで、それぞれの音楽ジャンルに適したフレーズを弾き分ける。それでいて、音色と手癖はレイニーなれではのもので、セッション・ベーシストとしても、純粋にベーシスト単独としても優れた才能の持ち主であった。
Chuck Rainey『The Chuck Rainey Coalition』(写真左)。1972年のリリース。ちなみにパーソネルは、Chuck Rainey (b), Bernard Purdie, Herb Lovelle, Jim Johnson, Ken Rice (ds), Billy Butler, Cornell Dupree, Eric Gale (g), Richard Tee (org,p), George Stubbs (p), Montego Joe, Specs Powell, Warren Smith (per), Trevor Lawrence (ts), Melvin Lastie (tp) 。
パーソネルはじっくり眺めると、後の「伝説のフュージョン・バンド」、スタッフの主要メンバーが名を連ねている(ドラムのスティーヴ・ガッド以外)。他のメンバーもクロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズの強者ばかりで、このアルバムのセッション、結構、充実していたんやろうなあ、と思う。本当に皆、楽しそうに演奏しているのが良く判る。
録音年は1972年。クロスオーバー・ジャズが台頭していた頃。演奏のアレンジはまだ「もったり」していて、洗練されていない。切れ味も不足しているし、メリハリも弱い。それでも、レイニーのベースをメインに、演奏全体のグルーヴ感は、後のフュージョン・ジャズに直結するものだ。
楽曲とアドリブ・フレーズの「ソフト&メロウ感」も、後のフュージョン・ジャズを先取りした様な雰囲気。こういう演奏が1972年にリリースされていたことに驚く。鑑賞前提の演奏、ながら聴きをしながら演奏テクニックに興ずる。そんなフュージョン・ジャズのプロトタイプがこのアルバムの中に詰まっている。
それにしても、チャック・レイニーのベースはいつ聴いても「痺れる」。ピチカートのグルーヴ感、裏ビートを効果的に使った個性的なフレーズ、印象的なピッキング・ハーモニクス。どれもが、後のエレクトリック・ジャズにおけるエレベの先進的奏法を先取りしている。アルバムの演奏の内容は発展途上だが、後のフュージョン・ジャズの演奏の基本形が、このアルバムのセッションでほぼ固まっている。面白い盤である。
東日本大震災から7年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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